#竹又吊り

★北陸の冬の備え、雪吊りの心構え

★北陸の冬の備え、雪吊りの心構え

   北陸に住む者にとって、冬の備えが少なくとも2つある。まずは自家用車のノーマルタイヤからスノータイヤへの交換だ。積雪で路面がアイスバーン(凍結)状態になると交通事故のもとになる。もう一つが民家の庭木の雪吊り。北陸の雪はパウダースノーではなく、湿気を含んで重い。雪の重みで庭木の枝が折れる。金沢の兼六園では毎年11月1日に雪吊りを施し、民家では12月から始まる。

   きのう我が家の雪吊り作業を行った。素人ではできない仕事なので、造園業者に依頼している。雪吊りには木の種類や形状、枝ぶりによって実に11種もの技法がある。庭木に雪が積もりると、「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」と言って、樹木の形状によってさまざま雪害が起きる。樹木の姿を見てプロは「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」などの手法の判断をする。

   雪吊りで有名なのは「りんご吊り」=写真・上=。五葉松などの高木に施される。マツの木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄をたらして枝を吊る。パラソル状になっていることろがアートではある。「りんご吊り」の名称については、金沢では江戸時代から実のなる木の一つとしてリンゴの木があった。果実がたわわに実ると枝が折れるので、補強するため同様な手法を用いていた。

   低木に施される雪吊りが「竹又吊り」=写真・中=。ツツジの木に竹を3本、等間隔に立てて上部で結んだ縄を下げて吊る。庭職人の親方から聞いた話だ。秋ごろに庭木の枝葉を剪定してもらっているが、ベテランの職人は庭木への積雪をイメージ(意識)して、剪定を行うという話だった。このために強く刈り込みを施すこともある。ゆるく刈り込みをすると、それだけ枝が不必要に伸び、雪害の要因にもなる。庭木本来の美しい形状を保つために、常に雪のことを配慮している。

   ムクゲの木に施されている「しぼり」=写真・下=は低木の枝を全て上に集め、縄で結ぶ。大雪になると枝がボキボキと折れる。「備えあれば憂いなし」の心構えで、暖冬予報であっても雪吊りをする。雪つりは年末の恒例行事でもあり、これをやらないと気持ちのけじめがつかない。北陸に住む者の心構えではある。

⇒8日(木)夜・金沢の天気    くもり

☆「雪吊り」は庭木のアート

☆「雪吊り」は庭木のアート

   この時節、金沢の一つのキーワードは「雪吊り」だ。11月に兼六園で雪吊りのニュースが流れると金沢市内の家々でも雪吊りが始まり、12月初旬にピークを迎える。我が家も造園業者に依頼している。きょうは朝から小雨が降っていたが、庭師が来てくれた。

   庭木に雪が積もると、雪圧や雪倒、雪折れ、雪曲など樹木の形状によってさまざま雪害が起きる。金沢の庭師は樹木の姿を見てどのような樹木の雪対策をしたらよいか判断する。「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」など11種の方法があると、出入りの庭師から聞いた。毎年見慣れている雪吊りの光景だが、縄の結び方などが樹木によって異なるのだ。

   雪吊りで有名なのは「りんご吊り」。我が家では五葉松などに施されている=写真・上=。木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄を17本たらして枝を吊る。パラソル状になっている。「りんご吊り」という名称は、金沢では江戸時代に庭にリンゴの木を植えていて、果実がたわわに実ると枝が折れるのを補強するためそのような手法を用いた。それが冬の樹木にも応用されたと伝えられている。

   低木に施される雪吊りが「竹又吊り」=写真・下=。ツツジの木に竹を3本、等間隔に立てて上部で結んだ縄を下げて吊る。秋ごろには庭木の枝葉を剪定してもらっているが、庭師は庭木の積雪を意識して、積もらないように剪定を行うと話してくれた。その仕事ぶりを見ていると、「庭木のアーチスト」ではないかと思う。庭木の積雪をイメージして剪定を行い、雪害を予想して庭木の生命や美の形状を保つために、雪吊りや雪囲いといった作業をする。

     関西や関東の友人たちに雪吊りの写真をメールで送ると、「長期予報で北陸が暖冬だったら、わざわざ雪つりをする必要はないよね」と返信があったりする。理にかなってはいるが、冬の現実はそう単純ではない。暖冬ではあっても、冬将軍は突然やってくる。一夜にして大雪になることもままある。北陸の雪は湿っぽく重い。とくに松の木の枝には雪が積もりやすく、大雪になると枝がボキボキと折れる。「備えあれば憂いなし」の心構えで、暖冬予報であっても雪吊りをする。雪つりは年末の恒例行事でもある。気持ちの問題として、年末の大掃除のように、これをやらないと気持ち的にけじめがつかないということもある。

⇒6日(月)夜・金沢の天気      くもり