#神の国発言

☆また物議かもす、森失言

☆また物議かもす、森失言

   森発言は何度も物議をかもしてきた。2000年4月、森氏は脳梗塞で倒れた当時の小渕総理の後を継ぐかたちで総理に就任した。その直後の5月、神道政治連盟国会議員懇談会で森氏は「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知して戴く、そのために我々が頑張ってきた」と述べた。いわゆる「神の国」発言である。戦後、天皇は神性を否定する「人間宣言」をしているにもかかわらず、国の総理がそれを否定するような発言をしたとして大騒ぎとなった。   

   表現が率直過ぎて、笑える失言もある。2005年8月、参院で郵政民営化法案が否決された当時の小泉総理が衆院解散を決意する。それを思いとどまらせようと森氏が官邸を訪ねたが、「殺されてもいい」と小泉氏に拒否された。会談直後に、森氏は「寿司でも取ってくれるのかと思ったらこの干からびたチーズだ」「硬くて歯が痛くなったよ」と不平を漏らした。干からびたチーズを前総理の森氏に出したことで小泉氏は解散総選挙への本気度を示したとメディアが報じ、結果、選挙は自民大勝。その干からびたチーズはフランス産高級チーズ「ミモレット」だった。

   そして、2021年2月3日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長だった森氏はJOC臨時評議員会で、「女性っていうのは競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。みんな発言される」と述べた。メディアはこの発言を女性差別であり、オリンピックへの女性参画の流れに逆行すると報道した。その後、森氏は自身の発言の責任を取って辞任している。

   言葉は本人が込めた想いとは裏腹に誤解を生みやすい時代環境になっている。それだけ、価値観の多様化や、とくに人権には厳しい視線が注がれる。語る場にもよるが、政治家が聴衆に面白く話せば話すほど誤解を生むことにもなりかねない。今回のゼレンスキー批判発言はどのように展開していくのか。

⇒19日(土)午前・金沢の天気    はれ

★物議かもす森発言を読む

★物議かもす森発言を読む

   同じ石川県出身の森喜朗元総理の講演をこれまで何度か聞いたことがある。大学の教員となってからでは、2012年5月に金沢大学が発祥から150年となる「創基150年」の記念式典で、森氏の講演を聴いた=写真=。金沢大学の総合移転をめぐる話だった。以下当時の講演メモから。

   1970年代でもめた「筑波大学法案」(国立学校設置法等の一部を改正する法律案)では国会議員からも猛反発も受けたが、「私は一歩も引く気はなかった。なぜなら、わたしの頭には次は金沢大学の総合移転があった」と。金沢大学の移転をめぐっては反対意見もあり、「筑波の矛先を金沢に向ける保守反動、右翼森喜朗をつぶせ」などと書いたビラも金沢市内に貼られたが、森氏は「むしろ政治家のライフワークと自覚した」。大学移転後の金沢城では櫓や門などが復元整備され、附属小中学校の跡地には金沢21世紀美術館がオープンして人気を博している。どちらも2014年度末の北陸新幹線金沢開業に向けて、有力な観光スポットとして期待されている。「私の判断は間違っていなかった」と語気を強めた。

   講演では話の流れが分かりやすく、しかも、アドリブを利かせながら聴衆をひきつける。森氏は学生時代、早稲田大学の雄弁会で活躍したそうだ。鍛え抜かれた弁舌だと感じた。ただ、時にその弁舌はマスメディアの目線では誤解を生むこともある。

   2000年4月、森氏は脳梗塞で倒れた当時の小渕総理の後を継ぐかたちで総理に就任した。その直後の5月、神道政治連盟国会議員懇談会で森氏は「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知して戴く、そのために我々が頑張ってきた」と述べた。いわゆる「神の国」発言である。戦後、天皇は神性を否定する「人間宣言」をしているにもかかわらず、国の総理がそれを否定したとして大騒ぎとなった。その後、ハワイ沖で日本の高校生の練習船がアメリカの原子力潜水艦と衝突して死者を出した「えひめ丸」事故(2001年2月)への対応が問題となり、就任から1年で総理の座を小泉純一郎氏に渡した。退陣前の内閣支持率は9%(朝日新聞調査)と1桁に落ちていた。

   そして、きのう3日の発言も物議をかもした。東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長である森氏はJOC臨時評議員会で「女性っていうのは競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。みんな発言される」と述べた。メディアはこの発言を女性差別であり、理事会への女性参画の流れにも逆行すると国内外でニュースとして発信した(2月4日付・NHKニュースWeb版など)。

   表現が率直過ぎて、笑える失言もある。2005年8月、参院で郵政民営化法案が否決された当時の小泉総理が衆院解散を決意する。それを思いとどまらせようと森氏が官邸を訪ねたが、「殺されてもいい」と小泉氏に拒否された。会談直後に、森氏は握りつぶした缶ビールとチーズを記者団に見せて、「寿司でも取ってくれるのかと思ったらこの干からびたチーズだ」「硬くて歯が痛くなったよ」と不平を漏らした。

   干からびたチーズを前総理の森氏に出したことで小泉氏は解散総選挙への本気度を示したとメディアが報じ、結果、選挙は自民大勝となった。その干からびたチーズはフランス産高級チーズ「ミモレット」だった。

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