#碧桂園

☆「核汚染水」キャンペーンを張る中国のどん詰まり事情

☆「核汚染水」キャンペーンを張る中国のどん詰まり事情

   それにしても中国では過剰反応が起きている。福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に放出する措置が今月24日に始まったことを受けて、中国の税関総署は「日本水産物の輸入全面停止に関する公告」を出し、即日発効した。それ以前からも、中国税関は日本からの輸入食品、特に水産品(ホタテ貝など魚介類など含む)に放射能検査を課していた。検査結果が出るまで商品が留め置かれるため、輸出する日本側の企業は魚介類の鮮度の悪化を考慮し、出荷を止めざるを得なかった。実質的な中国側の水産物の輸入禁止措置だった。

   さらに24日以降は、処理水の放出とは関係のない日本国内の個人や団体に対して中国から嫌がらせの電話が相次いでいる。メディア各社の報道によると、とくに、福島県内の自治体や飲食店、学校などに中国の国番号「86」から始まる国際電話の着信があり、たどたどしい日本語で処理水の放出の理由を尋ねたり、中には「汚染水を飲みましたか、おいしかったですか」「核汚染水の放出は国際犯罪だ」と大声を出す者もいる。以下は憶測だが、この電話をかけている若者たちは電話番号を調べるチームと電話をかけるチームで分担しているのではないか。つまり「動員された者たち」ではないだろうか。

    中国が相手につけ込む振る舞いをするのは今回の処理水の放出だけではない。直近だと、ことし1月10日に中国国家移民管理局は日本に対し入国ビザ発給を中断し、トランジットビザ免除政策も中断した(1月29日に再開)。当時、中国では新型コロナウイルスの感染爆発が起きていて、日本政府が中国本土から入国する人を対象に抗原検査など水際措置を強化したことに対して、中国側は「差別的入国制限」の対抗策だと発表していた。

   今回の処理水の放出に関連する中国側の水産物の輸入全面停止には別の意図も感じる。巨額な赤字で経営危機に陥っている中国の不動産大手「恒大グループ」は今月17日、アメリカ・ニューヨーク州のマンハッタン地区連邦破産裁判所に連邦破産法15条の適用を申請した。恒大グループだけでなく、中国最大級の不動産会社「碧桂園」も経営危機が表面化していて、不動産危機の不安が高まっている。販売されたものの未完成の集合住宅は72万戸もあるとされ、住宅に入居できない人からは抗議の声が各地で上がっている。

   また、経済指標も悪化していて、雇用で言えば16歳から24歳までの若者の失業率(6月分)は過去最悪の21.3%と発表された。しかし、都合の悪い数字なので、7月分以降は非公表としている。

   憶測だが、中国政府とすれば拡大する不都合な現状から人々の目をそらしたいのではないか。なので、国を挙げて大々的な「核汚染水」キャンペーンを張っている。そう思えてならない。

(※写真は、2022年5月19日、福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出に向けて現地視察をするIAEAのグロッシ-事務局長=東京電力公式サイトより)

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★中国の不動産危機という時限爆弾 日米韓はどう対応

★中国の不動産危機という時限爆弾 日米韓はどう対応

    「中国の時限爆弾」が爆発した。メディア各社の報道によると、2年連続の巨額な赤字で経営危機に陥っている中国の不動産大手「恒大グループ」は17日、アメリカ・ニューヨーク州のマンハッタン地区連邦破産裁判所に連邦破産法15条の適用を申請した。連邦破産法15条は、再建をめざす外国籍の企業が申請する条項で、資産の強制的な差し押さえなどを回避でき、難航している外貨建て債務の再編協議の前進を狙っているものと見られる。ロイター通信Web版日本語(18日付)によると、恒大の負債額は先月末基準で3300億㌦(48兆円)にのぼっている。

   バイデン大統領が「中国は時限爆弾だ」と述べてニュース(今月12日付・読売新聞Web版)となっていたが、今回の恒大グループの破産申請を念頭に置いた発言だったのかもしれない。あくまでも憶測だ。恒大グループだけでなく、中国では不動産大手の経営危機が相次いで表面化していて資金繰りが悪化している中国最大級の不動産会社「碧桂園(カントリー・ガーデン)」に対しても市場の不安が高まっている。次なる時限爆弾なのか。

   朝鮮半島のある意味で時限爆弾と言えるのが北朝鮮問題ではないだろうか。読売新聞Web版(18日付)によると、国連安全保障理事会は17日、北朝鮮の人権問題に関する公開会合を開いた。ボルカー・ターク国連人権高等弁務官は会合冒頭に「北朝鮮で数十年にわたって人権侵害が続いている」と指摘し、子供を含む強制労働などが軍事機構と武器製造能力を支えていると強調した。11年に脱北した男性28歳が会合に出席し、「政府は私たちの血と汗を指導者のぜいたくな生活とミサイルに変えてしまう」と語った。日本と米欧各国も核・ミサイル開発を優先する北朝鮮の姿勢を強く非難した。北朝鮮の人権に関する安保理会合が公開で行われたのは2017年以来で6年ぶり。

   アメリカのワシントン郊外にあるキャンプ・デービッド山荘で、日本時間のあす19日未明、岸田総理とバイデン大統領、尹大統領との日米韓3か国の首脳会談が行われる(18日付・NHKニュースWeb版)。中国や北朝鮮の動向などを踏まえて、安全保障協力の強化を確認する見通し。また、日米韓国による半導体などのサプライチェーンの強靭化といった経済安全保障分野での連携などでも一致するものとみられる。さらに、時限爆弾となっている中国の不動産危機が3か国や世界に及ぼす影響などについても議論するに違いない。その意味で実にタイムリーな首脳会談なのかもしれない。

(※写真は、ことし5月21日、広島市でのG7サミット後に行われた日米韓首脳間の意見交換=外務省公式サイト「日米韓首脳間の意見交換」より)

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