#異常気象

☆災難続く能登の農家 大雨冠水で横倒しの稲をどうする

☆災難続く能登の農家 大雨冠水で横倒しの稲をどうする

  異常気象が世界各地で災害をもたらしている。アメリカに上陸したハリケーンは南部のノースカロライナ州やジョージア州などで大規模な洪水や土砂崩れをもたらし、亡くなった人は6つの州合わせて160人を超え、行方不明者も多数出ているという(2日付・NHKニュースWeb版)。ネパールは雨期の大雨によって首都カトマンズの南部や近隣の都市が洪水や土砂崩れに見舞われ、市街地が水没するなど192人が死亡。ネパールでは数ヵ月前にも記録的な大雨や鉄砲水に見舞われている(1日付・CNNニュースWeb版)。去年は世界各地で熱波と干ばつが深刻化した。気象災害をもたらす地球温暖化を抑えることはできるのか。

  9月21日を中心に48時間で498㍉の雨が降った輪島市をきょう(3日)もめぐった。がけ崩れや河川の氾濫が顕著だった同市町野町の農村部に行くと、町野川の周囲の田んぼでは流れ込んだ河川水で横倒しになった刈り入れ前の稲が一面に広がっていた=写真・上=。

  稲刈りのシーズンでほぼ作業は終わっているが、横倒しになった稲の田んぼはどこも手付かずの状態だ。泥水をかぶり倒れた米はおそらく3等米以下、規格外なのだろう。農家にとっては大打撃だ。元日の能登半島地震で田んぼにき裂が入ったり水路が壊れたりで、奥能登(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)では作付け面積は例年の6割ほどと言われていた。せっかく作付けした田んぼだが、豪雨で冠水して商品にならないという事態に追い込まれた。それにしても、農家はこの田んぼをほったらかしにしておくのだろうか。

  田んぼ近くにあるいくつかの農家では裏山が崩れていた=写真・下=。中には、農機具などを保管しておく納屋が土砂で半壊状態になっているところもあった。農家の苦難を見た思いだった。地震で亀裂が入った田んぼを耕そうと、土砂崩れがあった納屋から耕運機と田植え機をなんとか取り出し耕した。稲刈りシーズンに入り、稲刈り機を取り出したものの、9月の大雨で河川が氾濫して田んぼが冠水。商品価値が下落してしまった稲穂を眺めながら農家の人たちは複雑な思いに駆られているのではないだろうか。勝手な憶測で筆を運んだ。

⇒3日(木)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

☆この暑さ「地球は未知の領域」に 難題かぶさるCOP28

☆この暑さ「地球は未知の領域」に 難題かぶさるCOP28

   異常気象は世界を覆っている。28日付のBBCニュースは、7月の暑さが記録的なことから、「Climate change: July set to be world’s warmest month on record」の見出しで、グレーテス国連事務総長のこのようなコメントを掲載している。「the planet is entering an “era of global boiling”」。「地球は沸騰化の時代に入った」と。グレーテス氏は単に暑いと言っているのはなく、異常な暑さの背景として化石燃料の使用による二酸化炭素の排出があると言っていることは間違いない。

   また、BBCは別の記事(24日付)で、ロンドンの気象学者のコメントとして、現在の状況は温室効果ガスの増加によって気温が上昇した世界で起こると予測されていた、まさにその通りのことが起きていて、「気温上昇の傾向は100%、人類が引き起こしたことだ」と述べている。多くの人々はエルーニーニョ現象のせいだと思っているが、温暖化の記録はすでに6月で破られている。エルニーニョ現象は通常、発生から5、6ヵ月たたないと世界的な影響を及ぼさない、説明している。

   気象庁は、今月20日にことしの夏は広い範囲で「10年に一度」クラスの暑さになる可能性があると発表していたが、BBCの記事を読むとそんな生易しい状況ではないようだ。むしろ、24日付の記事「Earth in uncharted waters as climate records tumble」にあるように、「地球は未知の領域」に入ってしまったのか。

    ことし11月から国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦で開催される。これまでの議論で国際社会は「世界平均気温の上昇を産業革命前に比べ1.5度以内に抑える」との目標を共有している。ところが、世界気象機関(WMO)の年次報告書によると、今後5年間のうち、少なくと1年間で1.5度を超える年が66%の確率である、としている。その66%の確率の年は今年になる可能性もある。

   そうなるとCOP28は混乱に陥るだろう。環境団体からは石炭、石油、ガスなどすべての化石燃料の段階的廃止を強烈に求められる。COP28の議長はUAEのスルターン・アル・ジャーベル氏。アブダビ国営石油会社のCEOであり、UAEにおける気候変動対策やクリーンエネルギーへの取り組みに実績のある人物とされる。気候変動と化石燃料という地球課題を人類が納得するようにどう導いていくのか。

⇒29日(土)午後・金沢の天気    くもり

☆世界で猛威ふるう熱波と水害の異常気象

☆世界で猛威ふるう熱波と水害の異常気象

   猛暑や水害などの異常気象は日本だけでなく、世界を襲っている。16日付のBBCニュースWeb版は「Europe heatwave: No respite in sight for heat-stricken southern Europe」(意訳:ヨーロッパの熱波、暑さに苦しむ南欧にもう猶予はない)との見出し=写真=で、猛暑が続いているギリシャでは14日に気温が40度以上となり、遺跡「パルテノン神殿」がある観光名所アクロポリスが一時閉鎖されたと報じている。また、イタリアでは週末にローマ、ボローニャ、フィレンツェを含む16都市にレッドアラート(「死の危険」を意味する)が発令された。イタリアでは去年も熱波が原因で1万8000人の死者が出て、ヨーロッパでは最多だった。

   同じくBBCは「US heatwave: ‘Dangerous’ temperatures could set new records」(意訳:アメリカの熱波、「危険な」気温記録更新の可能性)の見出しで、世界で一番暑い場所とも言われるカリフォルニア州のデスバレー国立公園では熱波が続き、13日に気温46度となり、今後さらに54度に達するとの予測されており、地球上で最も暑い気温に近づいていると伝えている。

   気温が上昇すれば大気中の水蒸気が増え、大雨のリスクも高まる。韓国では今月13日以降、西部から東部にかけて強い雨が続いていて、川の氾濫や土砂崩れの被害に見舞われている。中部の忠州では地下道が冠水して10台余りの車が水につかり、動けなくなったバスや車に乗っていた7人が死亡している。韓国政府の災害対策本部による16日午前11時現在のまとめでは、水害でこれまでに33人が死亡し、10人の行方がわからなくなっている。韓国の大雨被害を受けて、岸田総理はお見舞いのメッセージを出した。「韓国で尊い命が失われ、市民生活に甚大な被害が生じていることに深い悲しみを覚えています。日本政府と国民を代表し、犠牲になられた方々、ご遺族に心から哀悼の意を表します」(16日付・NHKニュースWeb版)

   ことし11月に国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦で開催される。これまでの議論で国際社会は「世界平均気温の上昇を産業革命前に比べ1.5度以内に抑える」との目標を共有している。ところが、世界気象機関(WMO)の年次報告書によると、今後5年間のうち、少なくと1年間で1.5度を超える年が66%の確率である、としている。人類の活動による温暖化ガスの排出と、今年のエルニーニョ現象によって確立が上昇しているという。その66%の確率の年がひょっとして今年なのかもしれない。

⇒16日(日)午後・金沢の天気     はれ

★強いエルニーニョが夏に異常気象をもたらすのか

★強いエルニーニョが夏に異常気象をもたらすのか

   気象庁は今月12日付で少々不気味な監視速報を発表した。「今後、夏までの間にエルニーニョ現象が発生する可能性が高い(80%)」と。世界の異常気象の一因とされるエルニーニョ現象が夏までに80%の確率で発生するというのだ。

   この現象は、太平洋赤道域の中央部(日付変更線付近)から南米のペルー沿岸部にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が半年から1年半ほど続く。海で起こる現象ではあるものの、発生すると大気に影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態となり、雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくる。

   エルニーニョ現象があった2009年の8月9日付のブログでこのように書いている。「盛夏のころだというのに一日中雨か曇り、朝が晴れでも昼には雨だ。太陽が照りつける夏らしい天気は数日あったかどうか。海面水温の高い状態が半年以上続くエルニーニョ現象で、日本の場合、梅雨明けの時期が遅れ、冷夏や暖冬になりやすいとか」

   上記のように、夏にエルニーニョ現象が発生すると、盛夏に「戻り梅雨」のような天気となる可能性がある。ただ、メディア各社の報道によると、ことしのエルニーニョ現象は数年の一度のものとはスケールが異なるようだ。発表した気象庁の異常気象情報センターの楳田貴郁所長は、「太平洋赤道域の海洋の貯熱量も上昇してきて、過去最大級のエルニーニョだった1997年から98年のレベルに近付いている。強いエルニーニョになる可能性を持っている」と述べている(12日付・テレビ朝日ニュースWeb版)。

   過去最大級の強いエルニーニョとなれば、単なる「戻り梅雨」ではなく、1997年から98年にかけて起きたような高温や大雨被害、日照不足など日本を含め世界各国で起きた異常気象に再び見舞われるのか。

⇒14日(日)午後・金沢の天気    あめ

★熱波、洪水、地球規模の異常気象

★熱波、洪水、地球規模の異常気象

   九州地方に連続して線状降水帯が発生し、災害級の大雨をもたらすなど異常な天候が続いた。海外メディアをチェックするとこれは地球規模のようだ。

   BBCニュースWeb版日本語(今月20日付)によると、ヨーロッパの広い地域で厳しい熱波が続き、普段は気候が穏やかなイギリスでもロンドンのヒースロー空港で40.2度を記録するなど観測史上初めて40度を超えた。 ドイツは今年の最高気温を更新。ポルトガルでは連日の猛暑で死者が増えている。 欧州大陸の各地で山火事が発生し、死者も出ている。

   国連の世界気象機関(WMO)は、事態は深刻さを増すと警告した。 人為的な気候変動の影響で、熱波は以前より頻繁かつ激しくなり、期間も長くなっている。 WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、「ゆくゆくはこのような熱波が常態化し、さらに強烈で極端な事象が発生するだろう」と述べた。(※写真・上はWMO公式サイトより=18日付)

   WHO公式サイト(今月22日付)で欧州地域局長のハンス・アンリ・クルーゲ氏は「Heatwave in Europe: local resilience saves lives – global collaboration will save humanity」と題する異例の声明を出している=写真・下=。長期にわたる熱波によって、スペインとポルトガルだけでもすでに1700人以上が死亡、山火事ははるか北のスカンジナビアでも発生していると述べている。「夜間を含め、できるだけ暑さを避け、激しい身体活動を避け、子供や動物が駐車中の車に残らないようにする」「体を冷たくし、水分補給をする」などと、人々に気候変動と闘う自覚を呼びかけている。

   ヨーロッパだけではない、きょう24日付のBBCニュースWeb版によると、中国の一部では今後10日間で40度超える熱波など厳しい気温を予想されるとして、中央政府は森林火災が発生する可能性があると注意を呼びかけている。浙江省では一部の都市に赤色の発しており、これは最も高い警告マーク。同省は例年7月は20度台前半の気温だが、今年は地元当局が今後24時間で40度になると警告している。また、CNNニュースWeb版日本語(20日付)によると、6月には福建省や広東省、広西チワン族自治区の一部が「歴史的記録」を塗り替えるほどの極端な降雨に見舞われた。また、中国北部はうだるような熱波に覆われ、気温は40度を超えた。

   去年もアメリカのカリフォルニア州デスバレーで54度を記録するなど世界各地が熱波や洪水に見舞われた。今後もこのような熱波が世界中で常態化し、そして洪水や山火事など事象が今後発生するのか。カーボンニュートラルを世界が進めれば、この異常気象は鎮まるのだろうか。

⇒24日(日)午前・金沢の天気    はれ

★ラニーニャの冬来る

★ラニーニャの冬来る

   このような雪の積もり具合を北陸では「うっすら積もった」と言う。金沢の自宅周辺の積雪は数㌢ほど。屋根や樹木は少し雪を被った程度で、路面は積雪にはいたっていない=写真、午前10時20分ごろ撮影=。うっすら積もる雪のことを淡雪(あわゆき)と表現したりもするが、これは季節的に冬が終わり、春先にうすく積もる雪のことを指すので、「春の淡雪」と言う。冬の始まりの時節では使わない。これは雪国に実際住まないと理解できない感覚かもしれない。

   ニュースによると、石川県内の午前中の積雪は、白山市河内で8㌢、加賀市菅谷で6㌢、金沢市で2㌢、輪島市と珠洲市でそれぞれ1㌢となっている。白山麓の山の福井県との県境付近にある白山市の谷峠で57㌢の積雪を観測している(18日・NHKニュース)。山手に積雪が多い場合は山雪(やまゆき)、平地の方が山手より多く積もる場合を里雪(さとゆき)と言ったりする。

   それにしても寒い。気象庁ホームページによると、きょうの金沢の最高気温は4度の予想だ。今シーズン一番の寒気が流れ込んでいる上、冬型の気圧配置が強まっている。そして、きょうはおさまっているが、きのう午後から雷がよく鳴っていた。北陸では「雪出しの雷」と言う。ちなみに、気象庁の雷日数(雷を観測した日の合計)の平年値(1991-2020年)によると、全国で年間の雷日数がもっとも多いは金沢の45.1日だ。

   冒頭で述べたように、きょうの初積雪が「うっすら」だったからこの先も安堵できるかと言えばそうではない。気象庁は先月10日に太平洋の南米ペルー沖の監視水域で海面水温が低い状態が続き、世界的な異常気象の原因となるラニーニャ現象が発生したとみられると監視速報を発表している(11月10日付・時事通信Web版)。ラニーニャの年には豪雪がやってくる。直近で言えば、去年の冬は北陸では24時間で1㍍以上の降雪となり、観測史上1位の記録を更新した。2017年から2018年かけては福井県で豪雪となり、北陸自動車道で1500台の車が立ち往生。さらにさかのぼれば、あの1981年の「五六豪雪」も1963年の「三八豪雪」もラニーニャだったと言われている。

    ラニーニャが本格化するこれからの白い世界に身震いする。「ラニーニャ」冬将軍、いよいよ来たる。来るなら来い。こちらも戦闘態勢だ。

⇒18日(土)午前・金沢の天気    くもり