#珠洲市真浦地区

☆奥能登ここに「現代集落」 衛星ネットでビレッジDXさらに進化

☆奥能登ここに「現代集落」 衛星ネットでビレッジDXさらに進化

  日本海を望む能登の山の中腹に「現代集落」はある。元日の能登半島地震で背後の山の一部は崩れてはいるものの、緑に囲まれた集落だ=写真・上=。半島の尖端・珠洲市真浦(まうら)地区で、いわゆる「限界集落」を「現代集落」へと再生するプロジェクトが進んでいる。きのう(24日)に久しぶりに現地を訪ねた。

  このプロジェクトは、金沢市内で貸切宿「旅音/TABI-NE」を経営する林俊吾氏や建築家の小津誠一氏らが立ち上げた。水や電気や食を自給自足でつくる集落をつくり、自然のなかで楽しむ生活を「ビレッジDX」と位置付けている。そのキーワードが「シコウ」。「思考」を凝らし、「試行」錯誤し、自らの手で「施工」もする、そして「至高」の現代集落を創るとのコンセプトだ。同地区の空き家を活用して手造りで改装し、風力発電や有機農業、そしてリモートワークを手掛ける、そんな生活スタイルを目指している。

  現地を訪れると、ある住家の庭に四角のテーブルのようなものがあった。近くの人に訪ねると、衛星インターネットの「スターリンク」とのことだった=写真・下=。あのアメリカの実業家イーロン・マスク氏が率いる「SpaceX」のインターネット。光ファイバーによるネット環境が整った都市部や平野部などとは違い、真浦地区は回線環境が整っていない。そこで、アンテナを設置するだけで高速インターネットが利用できるスターリンクはリモートワークをする人たちにとっては実に便利だ。

  「現代集落 / 真浦フィールド」の公式サイトは以下のように述べている。「わたしたちの問題意識は、たとえば『行き過ぎた資本主義』であり『都市の一極集中』です。この潮流のなかで人は100年後も本当に豊かに暮らせるのか?と、懐疑と不安を覚えています。わたしたちは『都市生活のオルタナティブ(代替生活圏)』を考えます。そのために『水や電気や食を自給自足できる集落をつくり、自然のなかで楽しむ生活を、先人の知恵とテクノロジーで実現したい』。そう本気で考え、プロジェクトを立ち上げました」  

  この家には季節限定の「納屋カフェ」もある。農家の納屋を小ぎれいに改装した喫茶店。2階は仕事をする若者たちのワークスペースになっていた。今回のスターリンクの導入で、リモートワークも可能になった。地震で断水状態が続いているが、山の水を濾過して生活用水とする設備もまもなく完成する。まさに「ビレッジDX」に向けて着々と進んでいる。庭のテーブル板が、震災に見舞われた能登にとって希望の光のようにも見えた。

⇒25日(日)午後・金沢の天気    くもり時々あめ 

★能登半島地震 再生への希望の光を「現代集落」に見る

★能登半島地震 再生への希望の光を「現代集落」に見る

  前回のブログで述べた「現代集落」について。この言葉を初めて聞いたのは2021年3月だった。能登半島の尖端、珠洲市で開催された「能登SDGsラボ2021シンポジウム」に参加し、金沢市内で貸切宿「旅音/TABI-NE」を手広く経営する林俊吾氏が「なぜ珠洲がこれからの世界の最先端になると思うのか」と題して講演した。能登半島には「限界集落」が存在すると言われているが、むしろ「現代集落」になる可能性があるのと能登での自らの取り組み紹介した。

   その取り組みとして、同市真浦(まうら)地区=写真=で限界集落を現代集落へと再生するプロジェクトへを立ち上げたと説明していた。水や電気や食を自給自足でつくる集落をつくり、自然のなかで楽しむ生活を「ビレッジDX」と位置付けていた。そのキーワードが「シコウ」だった。「思考」を凝らし、「試行」錯誤し、自らの手で「施工」もする、そして「至高」の現代集落を創るとのことだった。同地区の空き家を活用して手造りで改装し、風力発電や有機農業、そしてリモートワークを手掛ける、そんな生活を目指す、と。

   このプロジェクトにはその後、建築家や大学の研究者なども加わり盛り上がっていると耳にした。その年の9月に初めて見に行った。休日を利用して若い人たち10人余りが空き家の改装作業をしていた。海が見える「納屋カフェ」に入った。農家の納屋を小ぎれいに改装した喫茶店。当時、同市では「奥能登国際芸術祭」が開催されていて、期間限定でカフェを営業ということだった。そう言われると、納屋カフェもアートのように思えるから不思議だった。2階はリモートワークで仕事をする若者たちのワークスペースになっていた。

   先日(2月16日)のシンポジウム「能登半島地震を考える-現地からの声-」で建築家の小津誠一氏が「現代集落」再生プロジェクトは30年計画だが、それを10年に早めて若者たちが集う集落にしたいとコメントしていた。能登にとっての希望の光にもなる。ぜひ実現してほしいと願う。

⇒22日(木)夜・金沢の天気   くもり