#火星17型

★また撃ったか、北朝鮮ICBM

★また撃ったか、北朝鮮ICBM

   北朝鮮がまたICBMを撃った。防衛省公式サイトによると、北朝鮮はきょう18日午前10時14分ごろ、平壌近郊から、1発のICBM級弾道ミサイルを、東方向に向けて発射した。弾道ミサイルは69分ほど飛翔し、午前11時23分ごろ、北海道の渡島大島の西方約200㌔の日本海、EEZ内に落下した。飛翔距離は約1000㌔、また最高高度は約6000㌔と推定される。

   北朝鮮の弾道ミサイルが日本のEEZの内側に落下したのはことし3月24日以来で、今回で11回目となる。弾頭の重さによっては、射程は1万5000㌔を超え、アメリカ全土に届くとみられる。(※写真は3月24日に北朝鮮が打ち上げた新型ICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版、下の図は11月18日付の防衛省公式サイトより)

   NHKニュースWeb版(18日付)は海上自衛隊の元海将のコメントを以下伝えている。「2017年にICBM級の弾道ミサイルを発射した例や最近の例から考えると、今回はICBM級のいわゆる『火星17型』の可能性が十分ある」「従来はアメリカを交渉の場に引っ張り出すためにいわゆる瀬戸際外交をしていたが、今回は交渉のためのミサイル発射ではなく挑発行為だ。最近も米韓の訓練や日米韓の合同のコメントなどに反発するような形でミサイルを撃ってきている。これに対して米韓も挑発を繰り返す形になっていて、第三者の仲裁が入っていないことが一番気になっている。南北朝鮮間の挑発行為が繰り返されると朝鮮半島の有事にもつながりかねない」

   どこまでエスカレートするのか。北朝鮮の金正恩総書記は2021年の1月5-7日に開催した朝鮮労働党大会で、アメリカを「最大の主敵」「戦争モンスター」と呼び、より高度な核技術の追求などを通じて、アメリカの脅威に対する防衛力を絶えず強化する必要があると述べていた(2021年1月9日付・BloombergニュースWeb版日本語)。そして、ことし1月19日に開いた朝鮮労働党の政治局会議で「アメリカ帝国主義との長期的な対決に徹底して準備しなければならない」とする方針を決定し、2018年に中止を表明していたICBMの発射実験や核実験について見直しを表明していた。6月には、IAEA(国際原子力機関)が北朝鮮の豊渓里(プンゲリ)にある核実験場の坑道の1つが再び開いた兆候がみられると指摘していた。

   北朝鮮はICBMの発射実験を繰り返している。それに搭載する小型核弾頭が完成すれば、核・ミサイルによる打撃能力は完成形に近くづく。最高権力者としては、核実験を一刻も早く実施したいのではないか。

⇒18日(金)夜・金沢の天気    はれ

★エスカレートする北朝鮮の軍事挑発 次は核実験なのか

★エスカレートする北朝鮮の軍事挑発 次は核実験なのか

   日本海側に住む者として、このところの北朝鮮の動きに目が離せない。聯合ニュースWeb版日本語(3日付)が韓国軍合同参謀本部からの情報として伝えたニュースによると、北朝鮮はきょう午前7時40分ごろ、平壌・順安付近から日本海に向けてICBMを発射した。最高高度は約1920㌔、飛行距離は760㌔、最高速度はマッハ15だった。ミサイルは2段目の分離まで行われたが、その後は不正常に飛行し、日本海の海上に墜落した。このICBMは新型大陸間弾道ミサイル「火星17型」とみられる。

   ことし3月24日、北朝鮮はICBM「火星17型」を発射させ、「実験は成功した」と公表している。このときは、最高高度は6248㌔に達し、1090㌔の距離を67分32秒飛行した。角度を変えて発射すれば1万5000㌔を超える射程距離となり、アメリカの東海岸を含む全土が射程内に入る(当時の岸防衛大臣の会見)。おそらく、今回はアメリカをけん制する狙いで角度を変えて発射したものの失敗に終わった可能性がある。ただ、北朝鮮による挑発のレベルは高まっている。

   防衛省によると、今回、北朝鮮から発射されたICBMが日本列島を越えて飛翔する可能性があると探知し、政府は午前7時50分ごろから8時ごろにかけてJアラート(全国瞬時警報システム)を宮城県、山形県、新潟県に発した。しかし、ICBMは日本海で消失したため、その後訂正した(防衛省公式サイト「防衛大臣臨時記者会見」)。

   きのうは23発の弾道ミサイルを、そして、きょうはICBMのほか2発の弾道ミサイルを発射した。北朝鮮がここまで執拗に弾道ミサイルの発射を繰り返す口実は、アメリカと韓国が先月31日から今月4日までの予定で行っている、ステルス戦闘機などおよそ240機を投入した大規模な合同訓練に対するけん制だ。

   韓国空軍はこうした北朝鮮からの軍事挑発を受け、きょう3日、実施中の米韓合同訓練の期間を延長することを決めたと発表した(3日付・共同通信Web版)。韓国とすれば、アメリカとの同盟態勢を強調することで北朝鮮に対して圧力をかけたいのだろう。すると、北朝鮮も次なる脅威を誇示するのではないか。7回目の核実験を含むさらなる軍事挑発だ。

(※写真は北朝鮮のICBM「火星17型」の発射実験=3月25日付・労働新聞Web版)

⇒3日(木)夜・金沢の天気   はれ

★北朝鮮はICBMの核搭載を急ぐのか

★北朝鮮はICBMの核搭載を急ぐのか

    北朝鮮がまた日本海に向けて弾道ミサイルを発射した。ミサイルの発射はことしに入って13回目だ。防衛省公式サイト「報道資料」(4日付)によると、「北朝鮮は、本日12時2分頃、北朝鮮西岸付近から、1発の弾道ミサイルを、東方向に向けて発射しました。詳細については現在分析中ですが、最高高度約800km程度で、距離は約500km程度飛翔し、落下したのは、北朝鮮東岸の日本海であり、我が国の排他的経済水域(EEZ)外と推定されます」。

    また、防衛大臣のコメントも添えている。「これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものです。また、ウクライナへの侵略が発生している中で、ミサイルを発射したことは許されない旨、大臣からコメントがありました。さらに、このような弾道ミサイル発射は、関連する安保理決議に違反するものであり、強く非難します」

   注視するのは、発射された場所だ。防衛省公式サイトのイメージ図にあるように、発射は首都平壌の郊外の国際空港で行われたのだろう。ここからは、3月24日に「モンスター・ミサイル」と報じられた全長23㍍にも及ぶ大陸間弾道ミサイル「火星17型」(ICBM)が発射されている。このときは、71分飛翔し、北海道の渡島半島の西方約150㌔の日本海(EEZ内)に落下した。飛翔距離は約1100㌔、最高高度は6000㌔を超えると推定されている。射程距離は首都ワシントンほかアメリカ全土がほぼ入るとされた。

    今回は最高高度は800㌔とされるので火星17型に比べれば、規模が小さいのかもしれない。ただ、4月25日に「朝鮮人民革命軍」創設90年にあわせて軍事パレードを開催した金正恩総書記は「核戦力を最速ペースで強化・開発するため、措置を取り続ける」と表明し、核戦力について、いつでも行使できるよう「準備が欠かせない」と述べている(4月26日付・BBCニュースWeb版日本語)。アメリカ全土を射程距離に入れるICBMの発射実験には成功したので、次は核弾道の搭載に向けて準備を進めているのではないかと懸念する。

   北朝鮮だけではない。ロシア太平洋艦隊の潜水艦2隻が4月14日、日本海で巡航ミサイルの発射演習をした。ミサイルは敵の船を模した海上の標的に命中したとしている(4月14日付・共同通信ニュースWeb版)。また、同じ4月20日には、10以上の核弾頭の搭載が可能な新型の大陸間弾道ミサイル「サルマト」をカムチャッカ半島の標的地に落としている。CNNニュースWeb版日本語(4月21日付)によると、「サルマト」についてはプーチン大統領が2018年の演説で新型兵器として言及し、これでNATOの防衛は「完全に使い物にならなくなる」と誇示していた。日本海周辺にさらなる緊張感が漂う。

⇒4日(水)夜・金沢の天気      くもり

☆ICBMをぶっ放す「悪の枢軸」

☆ICBMをぶっ放す「悪の枢軸」

   まさに「悪の枢軸」とはこのことだ。NHKやCNNニュースWeb版(21日付)によると、ロシア国防省は日本時間の20日午後9時すぎ、北部アルハンゲリスク州にあるプレセツク宇宙基地の発射場から新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」を発射し、およそ5700㌔東のカムチャツカ半島にあるクーラ試験場に向けて目標に命中したと発表した。BBCニュースWeb版は「Russia releases video of intercontinental ballistic missile launch」と題して、ロシア国防省が撮影した「サルマト」の発射映像(43秒)を公開している=写真=。

   読売新聞Web版によると、このICBMは射程1万1000㌔以上、重量200㌧を超える重量があり、10以上の核弾頭の搭載が可能とされる。弾頭部分をマッハ20(時速約2万4500㌔)で滑空飛行させ、既存のアメリカのミサイル防衛網での迎撃は困難とも指摘される。ロシア大統領府の発表として、プーチン大統領は「ロシアの安全を確保し、攻撃的な言動でロシアを脅かす人々に再考を迫るだろう」と述べ、ウクライナ侵攻を受けて対露制裁を科している米欧をけん制した。

   CNNニュースWeb版日本語によると、「サルマト」についてはプーチン大統領が2018年の演説で新型兵器として言及し、これでNATOの防衛は「完全に使い物にならなくなる」と誇示していた。

   NATOだけでなく、東京も射程距離に入る。さらに、この射程1万1000㌔以上のICBMをロシア極東に配備すればほぼアメリカ全土が射程距離ではないだろうか。北朝鮮が3月24日に発射したICBM「火星17型」も首都ワシントンほかアメリカ全土がほぼ射程距離内とされる。北朝鮮の労働新聞Web版(3月25日付)は、金正恩総書記が「もし誰かがわが国家の安全を侵害しようとするなら、彼らはその代償を払うこと、そして我々の国防能力はアメリカ帝国主義との長期的対決に徹底的に備える強力な軍事技術を持っていることを明確にしなければならない」(意訳)と述べたと伝えている。

   「悪の枢軸」を最初に唱えたのは、アメリカの第43代大統領のジョージ・W・ブッシュ氏だった。2002年1月の一般教書演説で、「States like these, and their terrorist allies, constitute an axis of evil, arming to threaten the peace of the world. 」と激しく、当時、アメリカがテロ支援国家と呼んでいたイランとイラク、北朝鮮を名指しした。

   そして今、「悪の枢軸はどこの国」と世界の人に問えば、多くはロシアと北朝鮮と答えるのはないだろうか。ウクライナを侵攻して、ICBMをぶっ放すロシア、アメリカを標的にICBMを繰り返す北朝鮮。この先の世界の歴史はICBMが飛び交う悲劇なのか、和平の落としどころあるのか。

⇒21日(木)夜・金沢の天気    あめ