#気象庁

☆「顕著な大雪」峠は越えるも 能登で集落の孤立、停電

☆「顕著な大雪」峠は越えるも 能登で集落の孤立、停電

      気象庁は「顕著な大雪」という言葉を何度も使って、北陸地方に大雪に警戒するよう呼びかけている。きょう金沢の自宅周辺は銀世界となった。自宅二階から雪景色をきのうと同じアングルで撮影した。樹木に積もった雪のぶ厚さが顕著な大雪を物語る。(※写真・上は、23日午前7時35分に自宅2階から撮影した近所の雪景色)

   雪による被害が出ているのは能登地方だ。半島尖端部にある輪島市や珠洲市ではきょう午前で50㌢余りの積雪となっている。大雪で倒れた木や電柱が道を塞ぎ、車で行き来できなくなっており、180世帯が孤立化した。また、停電が2200戸余り、凍結による断水なども起きている。地元紙のきょうの朝夕刊によると=写真・下=、道路での倒木の撤去に時間がかかるため復旧の見通しは立っていないところもあり、輪島市などではまだ170世帯余りの孤立状態が続いている。同市は要望に応じ、食糧や毛布といった救援物資を届けている。停電などは一部復旧したものの、2100戸で停電が続いている。

   積雪が多いと交通事故が多発する。金沢市などではスリップ事故がきょう朝までに119件発生した。また、事故にはいたっていないもの、雪で車が動かなくなったりしているケースも相当数あるようだ。

   石川など北陸を襲った「顕著な大雪」は続くのか。金沢地方気象台によると、寒気のピークは過ぎつつあるものの、この後も断続的に雪が降る見込み。24日午前6時までに予想される降雪量は、多いところで、加賀平地10㌢、加賀山地20㌢、能登平地10㌢、能登山地20㌢となっている。「顕著な大雪」は峠は越えたものの、雪は降り続く。

⇒23日(土)夜・金沢の天気    あめ時々ゆき

★「まだ降りやまぬ」 落雷で停電、雷サージをどう防ぐ

★「まだ降りやまぬ」 落雷で停電、雷サージをどう防ぐ

   きのうの深夜から未明にかけて、金沢では激しい雷雨となった。気象庁はきょう未明にも「顕著な大雨に関する情報」を発表した。石川県で線状降水帯が発生し、土砂災害や洪水が発生する危険性が急激に高まっているとメディアやネットを通じて注意を喚起した=写真=。

   午前0時過ぎごろに自宅近くで落雷があり、停電となった。電源のブレーカー(電気回路の遮断器)が落ちていた。オンにしたが復旧しない。近所を見渡すと住宅の西側一帯の街灯が消えていた。ということは周囲一帯が停電になったようだ。

   そして懐中電灯を灯して書斎に行く。パソコンは大丈夫かと心配になったからだ。雷が直接落ちなくても、近くで落ちた場合でも「雷サージ」と呼ばれる現象が広範囲に起きる。いわゆる電気の津波だ。この雷サージがパソコンの電源ケーブルから機器内に侵入した場合、部品やデータを破壊することになる。PCをチェックしたが、異常はなくひと安心した。

   何しろ、全国で年間の雷日数がもっとも多いは金沢の45.1日だ(気象庁「雷日数」1991-2020)。このため、金沢では雷害からパソコンを守るためにガードコンセントは不可欠だ。現在使っているガードコンセントは金沢市に本社があるメーカーが製造したもの。北陸で雷害のケースと実情を研究し耐雷対策に取り組んできた企業の製品なので信頼を寄せている。が、それでも気になり、念のためPCをチェックした次第。

   雷がとどろけば、落雷も発生する。1602年(慶長7)に金沢城の天守閣が落雷による火災で焼失している。石川県の消防防災年報によると、県内の落雷による火災発生件数は年4、5件だが、多い年(2002年)で12件も発生している。雷が人々の恐怖心を煽るのはその音だけではなく、落雷はどこに落ちるか予想がつかないからだ。

   金沢地方気象台は、きょう午後からは再び雨が降りだしあす14日昼前にかけて大雨となるところがある見通しで、引き続き土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒するようにと呼びかけている。

⇒13日(木)午後・金沢の天気    くもり時々あめ

☆季節外れの黄砂がやって来る

☆季節外れの黄砂がやって来る

   きょうも線状降水帯が九州地方にはびこるなど、異常気象ともいえる状況が続いている。そして、これも異常な空だ。気象庁公式サイト「黄砂情報」によると、あす6日は大陸から黄砂が飛んでくる可能性がある。これまで7月から9月かけて黄砂が観測されたことはなく、もし観測された場合、統計が始まった1967年以来初めてのこととなる。季節外れの黄砂だ。   

   日本から4000㌔も離れた中国大陸のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠から偏西風に乗って黄砂はやって来る。ただ、この時期に黄砂が来るということは、中国北部が高温少雨の干ばつに見舞われていて、砂が巻き上げられやすくなっているのではないか、と憶測してしまう。北京などでは猛暑が続き、観測史上初めて6月に3日連続で40度を超え、22日には過去最高の41度を記録したと報じれらている(6月25日付・AFP通信Web版日本語)。

   黄砂の日に外出すると、目がかゆくなる。黄砂そのものはアレルギー物質になりにくいとされているが、黄砂に付着した微生物や大気汚染物質がアレルギーの原因となり、鼻炎など引き起こすようだ。さらに、黄砂の粒子が鼻や口から体の奥の方まで入り、気管支喘息を起こす人もいる。日本海側の黄砂のルートにもなっている金沢では古くから「唐土の鳥」がまき散らす悪疫として、黄砂を忌み嫌ってきた。

   厄介もの扱いの黄砂だが、日本海に恵みをもたらすともいわれている。大量の黄砂が日本海に注ぐ3月と4月には、「ブルーミング」と呼ばれる、海の表面が白くなるほど植物プランクトンが大発生する。黄砂の成分といえるケイ酸が海水表面で溶出し、植物プランクトンの発生が促される。それを動物プランクトンが食べ、さらに魚が食べるという海の食物連鎖があるとの研究がある。確かに、地球規模から見れば、「小さな生け簀(す)」のような日本海になぜクジラやサメ、ブリ、サバ、フグ、イカ、カニなど魚介類が豊富に獲れるのか、いろいろ要因もあるが、黄砂もその役割を担っているのかもしれない。

   気象庁「黄砂情報」=予想図=によると、北陸地方にはあす6日午後3時ごろからが黄砂のピークだ。

⇒5日(水)夜・金沢の天気    くもり   

☆「地震にも津波にも注意を」 大地の変動は続く

☆「地震にも津波にも注意を」 大地の変動は続く

   能登半島だけでなく日本各地で、そして世界で地震が相次いでいる。きょう午前4時16分ごろ千葉県木更津市でマグニチュード5.2、震度5強の揺れがあり、東京23区や横浜市などの広い範囲で震度4が観測された。また、日本時間の11日午前1時2分ごろに南太平洋のトンガ諸島を震源とするマグニチュード7.6の地震があった(気象庁公式サイト「地震情報」)。2月6日にはトルコ南部のシリア国境近くでマグニチュード7.8の地震が起きている。世界が「大地の変動」期に入ったのではないかと想像してしまう。   

   地震で思い起こすのがあのドラマだ。2021年10月10日から5回にわたって放送されたTBS系「日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』」。地盤の変動で日本列島が海に沈むという設定のSF小説「日本沈没」(小松左京著、1973年)をベースにしたテレビドラマだったが、初回放送の3日前の10月7日には首都圏で最大震度5強の地震があり、10月20日には阿蘇山が噴火した。

   若かりし頃、この小説も読み、映画も観ていたので既視感は多少あったものの、内容に迫力があった。ドラマの初回は2023年の東京が舞台。内閣府や環境省の官僚、東大の地震学者らが、天才肌の地震学者が唱える巨大地震説を伏せようと画策する。環境省の官僚が海に潜ると、海底の地下からガスが噴き出して空洞に吸い込まれそうになる。ラストシーンは、実際に島が沈むというニュース速報が流れ、騒然となる。実にリアルな番組だった。

   話は変わる。きょう気象庁の下山利浩地震情報企画官が会見した。震度6強を観測した珠洲市では最大20㌢ほど隆起が国土地理院による地殻変動の観測データ分析で確認された。さらに、一連の活動で地震の発生する場所がやや移動し、能登半島の北側の海域でも発生するようになった。下山企画官は「海域で規模の大きな地震が発生した時には津波に注意する必要もあり、海岸付近で強い揺れを感じたらまずは高い場所に逃げるという避難行動を取ってほしい」と述べた(11日付・NHKニュースWeb版)。地震にも、そして津波にも注意を、大地の変動は続く。

⇒11日(木)夜・金沢の天気    はれ

☆「厄介もの」黄砂 「恵みもたらす」黄砂

☆「厄介もの」黄砂 「恵みもたらす」黄砂

   きょう12日は朝から雨模様だったが、午後には雨があがり、そしてどんよりとした「黄砂の空」になった=写真、午後3時35分ごろ、金沢市の野田山から市内中心部を撮影=。きょう夜にかけて、北陸や北日本、北海道はさらに濃度の高い黄砂に覆われるようだ(気象庁公式サイト「黄砂情報」)。

   日本から4000㌔も離れた中国大陸のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠から偏西風に乗って黄砂はやってくる。きょうのような日に外出すると、目がかゆくなる。黄砂そのものはアレルギー物質になりにくいとされているが、黄砂に付着した微生物や大気汚染物質がアレルギーの原因となり、鼻炎など引き起こすようだ。さらに、黄砂の粒子が鼻や口から体の奥の方まで入り、気管支喘息を起こす人もいる。

   金沢では古くから「唐土の鳥」がまき散らす悪疫として、黄砂を忌み嫌った。加賀藩主の御膳所を代々勤めた市内の料亭では七草粥をつくる際に、台所の七つ道具で音を立てて病魔をはらう春の行事がある。そのときの掛け声は「ナンナン、七草、なずな、唐土の鳥が日本の土地に渡らぬ先にかち合せてボートボト」と。春になると、唐の国(中国)から海を渡って来る鳥が空から悪疫のもとを降らすというのだ。現代風に解釈すれば、肺がんやぜんそくなどを引き起こすとされる微小粒子状物質「PM2.5」が黄砂とともに飛来するとの意味だろうか。

   まさに黄砂は「厄介もの」だが、日本海に恵みをもたらすともいわれている。大量の黄砂が日本海に注ぐ3月と4月には、「ブルーミング」と呼ばれる、海一面が白くなるほど植物プランクトンが大発生する。黄砂の成分といえるケイ酸が海水表面で溶出し、植物プランクトンの発生が促されるのだ。それを動物プランクトンが食べ、さらに魚が食べるという海の食物連鎖があるとの研究がある。確かに、地球規模から見れば、「小さな生け簀(す)」のような日本海になぜクジラやサメ、ブリ、サバ、フグ、イカ、カニなど魚介類が豊富に獲れるのか、いろいろ要因もあるが、黄砂もその役割を担っているのかもしれない。

   また、黄砂研究から商品化されたものもある。黄砂に乗って浮遊する微生物、花粉、有機粉塵などは「黄砂バイオエアロゾル」と呼ばれる。金沢大学のある研究者は発酵に関連する微生物がいることに気づき、採取したバチルス菌で実際に納豆をつくり、商品化した。空から採取したので商品名は「そらなっとう」。納豆特有の匂いが薄いことから、機内食としても使われている。日本の納豆文化はひょっとして黄砂が運んできたのではないかとの研究者の解説を聞いて、妙に納得した。

⇒12日(水)午後・金沢の天気   くもり

★いまそこにある危機「線状降水帯」とSDGs

★いまそこにある危機「線状降水帯」とSDGs

   季節は移ろい、6月の梅雨の時節に。梅雨はしっとり雨が降るという印象だったが、近年は「激しい雨」のイメージだ。積乱雲がどんどんと列ををなして留まって、激しい雨を降らせる。この「線状降水帯」という言葉を自身が意識したのは2017年8月、北陸で1時間に80㍉の猛烈な雨をもたらしたころからだ。

   気象庁はこれまで線状降水帯が「発生」した場合に「顕著な大雨に関する情報」を発表していたが、きょう1日からは、線状降水帯が発生する「可能性が高まった」場合、予測の段階で発生の半日前から6時間前に気象情報を発表することにした(気象庁公式サイト・31日付ニュースリリース)。全国の大学など研究機関と連携して、メカニズム解明に向けた高密度な集中観測や、スーパーコンピュータ「富岳」を活用したリアルタイムシミュレーション実験を実施するという。

   さらに、今月30日からは地図上に5段階で色分けして表示する「キキクル(危険度分布)」で、5色を警戒レベルの色と統一して、紫は「レベル4の全員避難」、黒は「レベル5で災害切迫」。紫は早めの避難行動の呼びかけになる。しっとり梅雨もいつの間にか怖くなったなものだ。

   先述のように、気象庁が大学など研究機関が連携して集中観測を行ったり、早めの避難行動の呼びかけを行う背景には、国連が掲げるSDGs(持続可能な17の開発目標)の13番の目標「気候変動に具体的な対策を」があるのだろう。天気情報をテレビで視聴する側とすると、警戒レベルの気象情報が出ていないからまだ安心だと認識してしまう。実際に情報が出たときは大気の状態が不安定で、非常に危険な状態にあるケースもままある。

   線状降水帯による豪雨の被害は毎年のように起きている。「いまそこにある危機」を集中観測やスーパーコンピュータで大胆に切り込んで予知する。一歩も二歩も踏み込んだ気象情報に期待したい。

⇒1日(水)夜・金沢の天気    くもり

☆やっかいな黄砂 めぐみの黄砂

☆やっかいな黄砂 めぐみの黄砂

    黄砂の季節だ。気象庁公式サイトの「黄砂情報」をチェックすると、あす27日午前中から日本海に黄砂が張り出して、午後3時ごろには北陸などが覆われる=写真=。日本から4000㌔も離れた中国大陸のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠で、風で砂が舞い上がり、偏西風に乗って極東アジアにやってくる。黄砂と同時に大陸の工場などから排出されたPM2.5(微小粒子状物質)も飛散してくるからやっかいだ。

   この時季、野外の駐車場に車を停めておくと、フロントガラスが白くなり、ガソリンスタンドで列について洗車をする。洗濯物も部屋干し。そして、外出してしばらくすると目がかゆくなることがある。黄砂そのものはアレルギー物質になりにくいとされているが、黄砂に付着した微生物や大気汚染物質がアレルギーの原因となり、鼻炎など引き起こすとされる。さらに、黄砂の粒子が鼻や口から体の奥の方まで入り、気管支喘息を起こす人もいる。

   黄砂はやっかいだが、こんな側面もある。黄砂に乗って浮遊する微生物、花粉、有機粉塵などは「黄砂バイオエアロゾル」と呼ばれる。金沢大学のある研究者は発酵に関連する微生物がいることに気づき、採取したバチルス菌で実際に納豆をつくり、商品化した。この納豆の試食会に参加させてもらったが、日本の納豆文化はひょっとして黄砂が運んできたのではないかとの解説に妙に納得したものだ。

   また、大量の黄砂が日本海に注ぐことになる。3月、4月に「ブルーミング」と呼ばれる、海一面が白くなるほど植物プランクトンが大発生する。黄砂の成分といえるケイ酸が海水表面で溶出し、植物プランクトンの発生が促されるのだ。それを動物プランクトンが食べ、さらに魚が食べるという食物連鎖があるとの研究もある。地球規模から見れば、「小さな生け簀(す)」のような日本海になぜブリやサバ、フグ、イカ、カニなど魚介類が豊富に獲れるのか、いろいろ要因もあるが、黄砂もその役割を担っているのかもしれない。

⇒26日(火)夜・金沢の天気     あめ

★ラニーニャの冬来る

★ラニーニャの冬来る

   このような雪の積もり具合を北陸では「うっすら積もった」と言う。金沢の自宅周辺の積雪は数㌢ほど。屋根や樹木は少し雪を被った程度で、路面は積雪にはいたっていない=写真、午前10時20分ごろ撮影=。うっすら積もる雪のことを淡雪(あわゆき)と表現したりもするが、これは季節的に冬が終わり、春先にうすく積もる雪のことを指すので、「春の淡雪」と言う。冬の始まりの時節では使わない。これは雪国に実際住まないと理解できない感覚かもしれない。

   ニュースによると、石川県内の午前中の積雪は、白山市河内で8㌢、加賀市菅谷で6㌢、金沢市で2㌢、輪島市と珠洲市でそれぞれ1㌢となっている。白山麓の山の福井県との県境付近にある白山市の谷峠で57㌢の積雪を観測している(18日・NHKニュース)。山手に積雪が多い場合は山雪(やまゆき)、平地の方が山手より多く積もる場合を里雪(さとゆき)と言ったりする。

   それにしても寒い。気象庁ホームページによると、きょうの金沢の最高気温は4度の予想だ。今シーズン一番の寒気が流れ込んでいる上、冬型の気圧配置が強まっている。そして、きょうはおさまっているが、きのう午後から雷がよく鳴っていた。北陸では「雪出しの雷」と言う。ちなみに、気象庁の雷日数(雷を観測した日の合計)の平年値(1991-2020年)によると、全国で年間の雷日数がもっとも多いは金沢の45.1日だ。

   冒頭で述べたように、きょうの初積雪が「うっすら」だったからこの先も安堵できるかと言えばそうではない。気象庁は先月10日に太平洋の南米ペルー沖の監視水域で海面水温が低い状態が続き、世界的な異常気象の原因となるラニーニャ現象が発生したとみられると監視速報を発表している(11月10日付・時事通信Web版)。ラニーニャの年には豪雪がやってくる。直近で言えば、去年の冬は北陸では24時間で1㍍以上の降雪となり、観測史上1位の記録を更新した。2017年から2018年かけては福井県で豪雪となり、北陸自動車道で1500台の車が立ち往生。さらにさかのぼれば、あの1981年の「五六豪雪」も1963年の「三八豪雪」もラニーニャだったと言われている。

    ラニーニャが本格化するこれからの白い世界に身震いする。「ラニーニャ」冬将軍、いよいよ来たる。来るなら来い。こちらも戦闘態勢だ。

⇒18日(土)午前・金沢の天気    くもり

☆気象情報 言葉が複雑化している

☆気象情報 言葉が複雑化している

   「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものだ。きょうの金沢の最高気温は27度で夏日だったものの、夕方からは涼しさを感じるようになった。と言うと、「随分のんきなことを」としかられるかもしれない。九州北部や中国地方を中心に記録的な大雨となっている。11日からの降り始めの雨量は佐賀県嬉野市で1000㍉を超え、8月の平年の雨量(277㍉)の3倍以上の雨量となった(15日付・気象庁公式ホームページ)。石川県内でも宝達志水町では12日午前2時の降り始めから15日午前5時までに降水量が311㍉となり、8月の平年の雨量を上回り、観測史上最大となった(同・金沢地方気象台公式ホームページ)。

         この記録的な大雨で、堤防の決壊や越水など9県の36河川で氾濫が発生。鉄道や道路も被害が相次いでいる。土砂災害は15府県で44件が発生していて、都道府県別件数(15日正午現在)では、長崎11、広島7、熊本5、佐賀4、富山、福岡各3、石川、鹿児島各2、福島、長野、岐阜、静岡、滋賀、京都、大阪各1などとなっている。さらに増える見通し(国土交通省公式ホームページ「プレスリリース」)。

             これまでの雨のイメージとはまったく異なる強い雨や雨量、そして、「線状降水帯」といった帯状に連なる積乱雲など、気象庁から発表される気象情報のレベルが一気にアップしている。その分、国民や視聴者にはとても分かりにくくなっている。たとえば、きょう午前中に民放テレビが報じていた。「気象庁は午前10時7分、神奈川県山北町に記録的短時間大雨情報を発表しました。この情報が発表された地域では、災害の発生に結びつくような猛烈な雨が降っています。ただちに身の安全を確保してください」(15日付・TBSニュース)。「記録的短時間大雨情報」とあるが、「顕著な大雨に関する情報」や「大雨警報」はどう違うのか。

    これだけではない「警報」と「特別警報」の違いや、「氾濫危険情報」と「氾濫警戒情報」の違いを国民、視聴者はどれほど理解しているだろうか。単なる気象情報ではなく、防災情報を含めているので、言葉の複雑化が生じているのだろう。ただ、情報は流せばよいというものではない。言葉の分かりやすさが人々にいち早く訴える。「大雨洪水警報」、これで十分伝わるのではないか。(※写真は日本気象協会の天気予報専門サイト「tenki.jp」より)

⇒15日(日)夜・金沢の天気      くもり時々はれ