#民主化運動

★香港の民主活動「根絶やし」作戦か

★香港の民主活動「根絶やし」作戦か

    ついに「根絶やし」作戦に転じた。イギリスBBCWeb版(12月3日付)は「Hong Kong pro-democracy tycoon Jimmy Lai detained for fraud」(香港の民主化の大物、ジミー・ライが詐欺で拘束された)と大きく伝えている=写真=。日本のメディアも、香港の裁判所はきょう3日、中国批判で知られる「蘋果日報(アップル・デイリー)」創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏に対する詐欺罪での初公判を開き、保釈申請を却下して収監を命じた。黎氏は即日収監された(12月3日付・読売新聞WEB版)。

   黎氏の勾留は、来年4月16日の第2回公判まで続くとみられる。黎氏はこし8月に香港国家安全維持法(国安法)違反と詐欺などの疑いで香港警察に逮捕された後、保釈されていた。今回は、逃亡や再犯の恐れを理由に保釈申請が認められず、収監された(同)。

   では、今回の詐欺罪はどのような内容なのか。蘋果日報を発行する「壱伝媒」の本社がある不動産の貸借契約に反し、黎氏が別会社に一部を提供して不正に利益を得たとして詐欺罪に問われている(同)。つまり、「また貸し」が詐欺として罪に問われたというのだ。香港の転貸に関する法律を理解してはいないが、日本ならば、無断転貸の場合、ビルのオーナーは賃貸借契約を解除することになるだろう(民法612条「賃借権の譲渡及び転貸の制限」)。民事をあえて刑事事件として問い、収監におよぶところに政治的なむき出しが見て取れる。

   新聞メディアを経営する黎氏は一貫して民主活動を支持している。香港政府とバックの中国政府は、黎氏の収監により、中国に批判的な報道の萎縮を狙ったのだろう。きのう2日には、民主活動家の周庭氏や黄之鋒氏らが無許可集会を扇動したなどとして実刑判決を受けたばかりで、香港当局による民主派への締め付けは強まる一方だ。

   BBCの解説(3日付)によると、ことし6月に施行された国安法では、裁判は陪審員なしで秘密裏に行われ、裁判は本土当局に引き継がれる。本土の治安要員は、免責されたまま香港で合法的に活動することができる。この法律が導入された後、多くの民主化運動グループが安全性を恐れて解散した。中国政府は、この法律は民主化運動で揺らいだ領土の安定を取り戻し、中国本土との整合性を高めるのに役立つと主張している。
 
⇒3日(木)夜・金沢の天気    あめ

☆香港に響く「むせび泣き」

☆香港に響く「むせび泣き」

   香港の民主化運動を訴えてきた黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や周庭(アグネス・チョウ)氏ら3人に香港の裁判所はきょう2日、禁錮刑を言い渡した。イギリスBBCも「Hong Kong: Joshua Wong and fellow pro-democracy activists jailed」(黄之鋒氏ら民主活動家を投獄)=写真=と大きく伝えている。香港、そして背後の中国に対して国際社会の目線はいっそう厳しくなるだろう。

   香港の民主派団体「香港衆志」の幹部だった黄氏や周氏ら3人は2019年6月、警察本部を取り囲んだ大規模な抗議デモに関連し、無許可の集会への参加をあおった罪などに問われ、先月11月23日、裁判所は有罪を認定し、拘置施設に収監されていた。きょう量刑が言い渡され、「公共の秩序と安全を壊し、市民の生命と安全を脅かした」として、黄氏に禁錮13か月半、周氏に禁錮10か月が確定した(12月2日付・NHKニュースWeb版)。

   BBCの記事の中で気になる下りがある。「The pro-democracy movement has been stifled since Beijing introduced a controversial security law with harsh punishments.But as their offences took place before the law’s enactment, the activists have avoided a potential life sentence.」。以下意訳だが、中国政府が、議論の的となっている香港国家安全維持法を(ことし6月に)導入し、厳しい罰則を科して以来、民主化運動は停滞している。この法律が施行される前に彼らの犯罪があったため、(今回3人の)活動家たちは終身刑を免れている。

   また同じくBBCが紹介している人権団体「アムネスティ・インターナショナル」の批判コメントも共通している。「Rights group Amnesty International condemned the ruling, saying it was a way for authorities to “send a warning to anyone who dares to openly criticise the government that they could be next”.」。以下意訳。人権団体アムネスティ・インターナショナルはこの判決を非難し、これは当局が「政府を公然と批判する勇気ある人に、次は自分たちであるという警告を送る」方法であると述べた。

   BBCやアムネスティ・インターナショナル伝えているように、この判決は民主活動家への「警告」だろう。香港国家安全維持法(国安法)施行前の法律での裁きなので、量刑はこれで済んでいるが、今後の抗議活動は国安法での裁きになるので終身刑も覚悟せよ、とのメッセージなのだ。

   周氏の場合、ことし8月に国安法に違反した疑いでも逮捕されていて、今後起訴される可能性もある。周氏が収監されるのは今回が初めとなり、周氏は裁判のあと肩を震わせてむせび泣いていた(NHKニュ-スWeb版)。ニュースを通じて、このような民主活動家への弾圧が現代でも繰り広げられていることに、憤りを覚える。

⇒2日(水)夜・金沢の天気    くもり