#木下ふみこ

☆緊急宣言再び 不可解な「都の選良」を追う

☆緊急宣言再び 不可解な「都の選良」を追う

   選挙で選ばれた公人として記者会見を開き、説明責任を果たすことが最優先ではないのか。東京都議会選に当選した都民ファーストの会の女性都議が選挙期間中に無免許運転で人身事故を起こし、党から除名処分(5日)を受け、その後雲隠れしている問題は今月6日付のブログでも取り上げた。メディア各社が、その都議が新会派「SDGs東京」を立ち上げたと報じている。(※写真・上は選挙応援に駆け付けた小池都知事とツーショット、本人のツイッターより)

   さっそく、都議会議会局広報課の公式サイトをチェックする。「各会派等の構成(7月6日現在)」の欄には、確かに「無所属(SDGs 東京)」と記載されている。1人会派だ。しかし、「各会派等の連絡先」は11会派のうち、SDGs 東京だけが空欄となっている。何かやましさでもあるのかと勘繰ってしまう。後ろめたさがないのであれば堂々と連絡先を表記すればよいのではいか。

   除名処分を受けた日には、記者からの取材に対し「仕事をしていくことで期待に応えたい」と述べて、議員辞職の考えはないことを示した(7月5日付・産経新聞Web版)。その後、新たな疑惑(無免許運転の常習性)の証言が出る中で、翌6日には新会派を立ち上げたのだから、本人はヤル気を示したのだろう。

   ただ、「SDGs東京」のネーミングについては解せない。国連が採択したSDGs(目標持続可能な開発目標)をベースに都政の課題とどう向き合うのか、本人が政策を具体的に示さないと、環境や社会、経済に問題意識を持ちながらSDGsに取り組んでいる人たちはこのネーミングに納得しないだろう。その説明がなければ、「SDGs」を借用しただけの会派ということになる。もっと厳しく言えば、SDGsを愚弄する行為ではないだろうか。

   都議は板橋区役所で6日開かれた当選証書付与式を欠席した。選挙後初めての公の場となる付与式だったが、代理人も来なかった(7月6日付・NNNニュースWeb版)。冒頭で述べた「説明責任」を果たすタイムリミットはもう迫っている。報道によると、政府は新型コロナウイルスの感染の再拡大が続く東京都に対し、今月12日から来月22日まで緊急事態宣言を出す方針を専門家でつくる分科会に諮った。了承を得て、夕方の対策本部で決定する(7月8日付・NHKニュースWeb版)。今月23日に開会式を迎える東京オリンピックは緊急事態宣言の下で行われることになる=写真・下=。

   東京の緊急事態下、都の選良である政治家が果たすべき役割が多々あるはずだ。都議は一体いつ会見を開いて、自らの行動について釈明する説明責任を果たすのか。なぜ雲隠れを続けるのか。あくまでも、メディアを通した1人の政治家の観察記録である。人物との関わりは一切ない。

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☆「自分ファースト」な議員 「議員ファースト」なメディア

☆「自分ファースト」な議員 「議員ファースト」なメディア

   誰がどう見てもこれは「自分ファースト」ではないだろうか。報道によると、今月4日投開票の東京都議選で板橋区選挙区で当選した都民ファーストの会の木下富美子氏が、選挙期間中だった2日に車で人身事故を起こしていた。木下氏は免許停止期間中で、警視庁が自動車運転処罰法違反(過失傷害)や道交法違反(無免許運転)の疑いで捜査している(7月5日付・朝日新聞Web版)。

   都民ファーストの会は5日夜、木下氏を除名処分にしたと発表した。「無免許運転は明確な法律違反であり、公人としてあるまじき行為だ」と指摘したうえで「このような重大な事故について、事故発生から数日経って初めて党に報告されたことは、党として看過できない」としている(同)。

   問題は根深い。木下氏は取材に「2日が免停期間の最終日で(免停期間が終わっていると思い)運転しても大丈夫だと思っていた。申し訳ない」と話した(7月5日付・産経新聞Web版)。ところが、都議選で木下氏と同じ板橋区で東京維新の会から出馬し落選した候補者がツイッター(7月5日付)でこう記している。「大事な点なので記載しておく。告示日直前の6月21日に志村坂上でご自身が街宣車を運転しているのを、私はハッキリと見た。私は自分の街宣車のマイクでご挨拶をしたが無視されたので、良く記憶している」

   つまり、無免許運転は2日だけではなく、その他の日(6月21日)でも目撃されている。それを木下氏は「免停中の期間を間違えた」と言い張っている。さらに、都民ファーストの会から除名処分を受けたものの、取材に対し「仕事をしていくことで期待に応えたい」と述べて、議員辞職の考えはないことを示した(7月5日付・産経新聞Web版)。

   政治家の矜持が感じられない。議員報酬にしがみつく様子が見え見えで、「自分ファースト」なスタンスだ。まず、都議会の記者クラブで会見を開くべきだろう。それにしても奇異に感じるのは、各メディアはなぜ2日の人身事故の時点で報道しなかったのだろうか。警察の担当記者は把握していたはずだ。2日の時点で「無免許で人身事故」と報じていれば、選挙情勢は変わっていたに違いない。選挙期間中ということで忖度したのだろうか。とすれば、まるで、「議員ファースト」なメディアだ。

(※写真は、当選を報告する木下富美子氏のツイッター=7月5日付)

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