#日韓首脳会談

☆韓国の尹大統領に感じる「実務家」田中角栄のイメージ

☆韓国の尹大統領に感じる「実務家」田中角栄のイメージ

   韓国の尹錫悦大統領がワシントンポストの単独インタビューで日韓関係について触れ、「欧州は過去100年間に数度の戦争を経験したが、それでも戦争を行った国は、未来に向けて協力していく方法を見つけた」「100年前の歴史のために日本がひざまずいて許しを乞うべきだという考え方を受け入れることはできない」と発言した。メディア各社も記事を引用するカタチで報じている(※写真は、4月24日付・ニューズウイーク日本語Web版)。

   尹大統領は日本との未来志向の外交関係を改めて述べたことになる。ことし3月16日、大統領として初来日し、岸田総理と首脳会談に臨み、トップが互いの国を訪問する「シャトル外交」を復活させることや、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対して日米韓の連携を強化すること、経済安全保障に関する協議体の創設、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化、そして、拉致問題について協力を約束するなど前向きな姿勢を示した。

   尹大統領の日本との未来志向の関係づくりは一貫していて、韓国の閣議(3月21日)で言及した内容からも読み取れる。イギリスのウィンストン・チャーチル首相の言葉を引用して、「もし、われわれが現在と過去を競わせたら、必ず未来を逃すことになるだろう」と述べた。そして、「私は去年5月の大統領就任以来、存在自体、不透明になってしまった韓日関係の正常化の方策について悩んできた。まるで出口のない迷路の中に閉じ込められた気分だった。しかし、手をこまねいてただ見ているわけにはいかなかった。日増しに激しくなる米中競争、サプライチェーンの危機、北の核脅威の高度化など、韓国を取り巻く複合的な危機の中で韓日協力の必要性はさらに高まっている」(3月22日付・NHKニュースWeb版)

   「私も、目の前の政治的利益のための楽な道を選び過去最悪の韓日関係を放置する大統領になる可能性もあった。しかし、昨今の厳しい国際情勢を後回しにして、私までもが敵対的ナショナリズムと反日感情を刺激して国内政治に利用しようとするなら、大統領としての責務を裏切ることになると思った」(同)

   上記の尹大統領の言葉からは「親日家」という言葉は浮かんでこない。むしろ、「実務家」という言葉がふさわしい。日本の歴代の総理にたとえるならば、就任わずか85日で日中国交回復をなし遂げた田中角栄のようなイメージだ。

⇒25日(火)夜・金沢の天気     あめ

☆小技で勝負 大谷バントと日韓「はしご酒」外交

☆小技で勝負 大谷バントと日韓「はしご酒」外交

   昨夜のWBC準々決勝、日本対イタリア戦をテレビ中継で視聴していて驚いたシーン。両チーム無得点で迎えた3回裏、1死一塁で打席に立った大谷翔平選手が初球をセーフティーバント。相手投手は慌てたのだろう、打球を処理したものの一塁へ悪送球。一塁、三塁と打線のチャンスを広げた。その後、岡本和真選手のホームランなどで、この回一挙4得点で侍ジャパンがリード。このバントが勝負を決めた。

   おそらくバントはベンチの指示ではなく、自分の考えでやったのだろう。テレビに映ったチームメイトや監督も驚き顔だった。負けたら終わりの決勝トーナメントなので、大谷選手の「野球脳」は高校野球にシフトしたのかもしれない。「投げるとか打つとかは別だ。とにかく絶対に勝つんだ」と。二刀流の侍の気迫あふれる小技のビッグプレーだった。

   日韓首脳会談も小技で勝負したのかもしれない。岸田総理は16日、初めて来日した韓国の尹大統領と首脳会談に臨み、共同会見を行った。会見の様子はNHKの中継番組を視聴した。トップが互いの国を訪問する「シャトル外交」を復活させることや、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対して日米韓の連携を強化すること、経済安全保障に関する協議体の創設、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化、そして、拉致問題についても岸田総理は「力強い支持をもらった」と述べていた。

   メディア各社の報道によると、共同会見後に両氏は夫人を伴って銀座のすき焼き店で夕食をとり、その後は2人だけで洋食店に移動。オムライスを食べながらビールや焼酎を飲むなど二次会で交流を深めたという。これまでなかった外交ステージだ。ぜひ、バイデン大統領も「はしご酒」の仲間に入れて、まずはミサイル発射を頻発させる北朝鮮対策を日米韓で具体的に構築してほしいと願う。

⇒17日(金)午後・金沢の天気    くもり

☆日韓首脳会談と「能登はやさしや」オムライス

☆日韓首脳会談と「能登はやさしや」オムライス

   韓国の尹錫悦大統領はオムライスが大好物のようだ。読売新聞Web版(14日付)によると、政府はあす16日に東京都内で予定される岸田総理と尹大統領との首脳会談後の夕食会で、異例の2次会を設定し、尹氏をもてなす方針を固めた。1次会は銀座のすき焼き店、2次会はオムライス好きの尹氏の希望を踏まえ、洋食の名店として知られる銀座の「煉瓦亭」とする。かつて尹氏が都内を訪れた際に食べたオムライスの味が忘れられないという韓国側の意向のようだ。   

   洋食のオムライスの発祥の地は大阪・浪速と言われる。1925年、通天閣が見える繁華街で洋食屋を開業した20代の料理人が、オムレツと白ご飯をよく注文する客がいることに気が付いた。客は胃の具合が悪いのだという。そこで、いつも同じメニューではかわいそうだと、マッシュルームと玉ねぎを炒めて、トマトケチャップライスにしたものを薄焼の卵でくるんで「特製料理」として提供した。すると客は「オムレツとライスを合わせて、オムライスでんな」と喜んだ。これがきっかけで「オムライス」をメニュー化したのだという。

   料理人は洋食店「北極星」を創業した北橋茂男氏(故人)、能登出身の人だった。生まれ故郷の石川県宝達志水町では毎月23日を「オムライスの日」と定め、「オムライスの郷」プロジェクトを進めている(「宝達志水町ホームページ」より)。

   同じ能登出身のパテシエの辻口博啓氏からこんな話を聞いたことがある。辻口氏の米粉を使ったスイーツは定評がある。当初、職人仲間から「スイーツは小麦粉でつくるもので、米粉は邪道だよ」と言われたそうだ。それでも米粉のスイーツにこだわったのは、小麦アレルギーのためにスイーツを食べたくても食べれない人が大勢いること気が付いたからだ。高齢者やあごに障害があり、噛むことができない人たちのために、口の中で溶けるチョコレ-トもつくっている。

   能登には人に気遣いをする文化風土があり、「能登はやさしや土までも」との言葉が江戸時代からある。ユネスコ無形文化遺産にも登録されている能登の農耕儀礼「あえのこと」は、目が不自由な田の神様を食でもてなす行事だ。そう考えると、食文化は「うまさ」というより、作り手の「やさしさ」から生まれるのかもしれない。尹大統領のオムライスの話題がいつの間にか能登の話になった。

⇒15日(水)夜・金沢の天気    はれ