#日経平均

☆円安・株価深く下振れ 経済の「異常震域」起きるのか

☆円安・株価深く下振れ 経済の「異常震域」起きるのか

   この数字、なんとかならないかと思う。石川県がきょう9日発表した新型コロナウイスの新たな感染者は521人だ。8割近くに当たる412人は感染経路が分かっていない。 年代別では20代が112人で最も多く、10代が100人、30代が95人など若い世代で6割を占める。

   きのう8日は597人だったので2日連続の500人の大台となる。県では体調が優れない場合は出勤や登校を控えるよう呼びかけているが、去年もゴールデンウイーク明けごろから感染が急拡大していた。感染爆発の予兆なのか。ちなみにきょうの東京都は3011人。人口100万人当たりで比較すると東京都は215人、石川県は473人と東京の倍以上だ。

   株価の値下がりが止まらない。きょうの東京株式の日経平均は前週末比で684円安の2万6319円だった。きょうはアメリカのインフレ懸念でFRBが金融引き締めを加速するとの警戒感のようだが、ロシア関連も気になる。ことし1月5日に2万9332円をつけ、上がり相場の気配もあったが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が2月24日に始まって75日、戦況はドロ沼と化している。きょう岸田総理はG7の各国と足並みをそろえてロシア産石油の輸入を原則禁止とする発表した(9日付・NHKニュースWeb版)。日本は原油の輸入の3.6%をロシアに頼っている。これが、さらに経済にどう影響を与えるか。

   そして円安も続く。きょうの外国為替市場で円が対ドルで下落し、1㌦=131円台前半と2002年4月以来およそ20年ぶりの円安・ドル高水準を付けた(同・日経新聞Web版)。

   下振れしているのは数字だけではない。きょう午後5時33分ごろ、伊勢湾の深さ340㌔を震源とする地震があった。これによって東北や関東の広い範囲で震度2や1の揺れを観測した=画像、気象庁「地震情報」=。震源が非常に深かったため震源から離れた広い範囲で揺れが観測される「異常震域」と呼ばれる現象だった。

   同じ現象が去年9月29日にもあった。能登半島の沖で震源の深さ400㌔、マグニチュード6.1の地震があった。これに、北海道、青森、岩手、福島、茨城、埼玉の1道5県の太平洋側で震度3の揺れを観測した。この地震は大陸のユーラシアプレートに沈み込む海洋の太平洋プレートの内部深くで起きたとみられている。震源が深いため、近くよりも、遠くが大きく揺れるのが「異常震域」とされる。円安や株安も深く下振れしている。ひょっとして経済の「異常震域」が起きるのか。

⇒9日(月)夜・金沢の天気     はれ

☆先が読めないニュースあれこれ

☆先が読めないニュースあれこれ

   日々のニュースに接していて、この先どうなるのだろうかと考え込んでしまうことがある。きょうもふとそのような心境に陥った。NHKニュースWeb版(27日付)によると、北朝鮮はきょう午前8時ごろ、南道ハムン(咸興)周辺から日本海に向けて短距離弾道ミサイルと推定される飛しょう体2発を発射した。北朝鮮は、ことしに入ってからミサイルの発射を極めて高い頻度で繰り返していて、5日と11日に飛しょう体を1発ずつ発射し、その翌日に「極超音速ミサイル」の発射実験を行ったと発表したほか、今月14日と17日にも日本海に向けて短距離弾道ミサイルと推定される飛しょう体を2発ずつ発射している=写真・上は1月6日付・朝鮮新報Web版=。

   直近では25日午前に巡航ミサイルを2発したと報じられていた。射程距離が2000-1万3000㌔の弾道ミサイルに比べ、巡行ミサイルは1500㌔と射程は狭く速度も遅いが、日本や韓国では脅威だ。北朝鮮は今月19日に開かれた朝鮮労働党の政治局会議で「アメリカ帝国主義との長期的な対決に徹底して準備しなければならない」とする方針を決定し、2018年に中止を表明していた大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験や核実験については見直しを検討するとしている(同)。ICBMが発射されれば、アメリカ西海岸のロサンゼルスなどが射程に入る。かつて、アメリカのトランプ大統領が国連総会(2017年9月)で「ロケットマンが自殺行為の任務を進めている」と演説したが、その状況が蘇ってきた。

   新型コロナウイルスの感染拡大が止まない。全国で7万人の新規感染者(26日)が出て、石川県内でも一日の新規感染がついに500人を超えた(504人)。ここまで人数が増えてくると感染経路そのものが多様化して、防ぎようがない。県内の504人のうち感染経路調査中が337人、感染者の濃厚接触者などが122人、残りがクラスター関係で7件45人だ(県発表)。 また、入院や宿泊療養などの療養先が決まっていない人は1000人を超えて1013人となっている。感染者が確認された保育園や小学校など学校では臨時休校が相次いでいる。中学では高校受験を控えた3年生はオンライン授業に切り替えているが、生徒たちは感染と受験の「二重苦」にさいなまれているに違いない。県内ではきょうから「まん延防止等重点措置」の適用に全県域が入る(2月20日まで)=写真・下=。

   もう一つ先が読めないニュース。きょうの東京株式市場は、日経平均が午前中、一時700円を超える値下がりとなった。午前の終値は前日の終値より690円安い2万6321円。アメリカのパウエルFRB議長がきのう理事会でインフレ抑制を優先する姿勢を打ち出し、量的緩和の3月終了を決定したことで金融引き締めへの警戒感、それに伴う経済の回復傾向にマイナスになるという懸念が広がった。ダウ平均もこのところ一時800㌦を超える大幅な値下げがあるなど乱高下が続いている。

   では日銀はどうか。黒田総裁が2013年に就任以降、2%の消費者物価指数を政策目標に掲げて大規模な金融緩和策を粘り強く続けている。ここにきて、物価上昇が顕著になってきた。これに賃上げが加われば、ひょっとして「金融政策の正常化」へと回帰するのではないかとも考えたりする。ただ、中国不動産開発の中国恒大のデフォルト問題が象徴するように中国経済が今後どうなるかによって暗雲が漂うかもしれない。経済の先も読めない。

⇒27日(木)午後・金沢の天気     はれ

☆静かなる年末年始(7)「高値の大納会なれど」

☆静かなる年末年始(7)「高値の大納会なれど」

   石川県の地元企業である石川製作所(白山市、東証1部)の株価をたまにチェックしている。このところ、同社の株価が再び上昇に転じている。ことし最後、きょう大引けの日経平均は123円安の2万7444円と3日ぶりの反落にもかかわらず、同社の終値は1955円と40円(+2.09%)の上げだった。この「上げ」の背景を憶測してみる。

   石川製作所は北朝鮮の動きと連動する株価で知られる。段ボール印刷機、繊維機械を生産しているが、追尾型の機雷も製造する防衛産業でもあり、朝鮮半島でキナ臭さが漂うと同社の株価に注目が集まる。2017年9月、アメリカのトランプ大統領が国連総会の演説で金正恩党委員長を「ロケットマン」と呼び、双方の言葉の応酬が過熱した。トランプ氏が北に対して斬首作戦を決行するのではないかと憶測され、それまで1000円に満たなかった株価は急上昇し、10月には4435円の最高値をつけた。

   この一年の北の動きを振り返っても株価が敏感に反応していることが分かる。金氏がことし4月12日の最高人民会議を欠席し、祖父・金日成主席の誕生日である同月15日に安置所がある太陽宮殿への参拝がなかったことが報道されると株価は上昇に転じ、CNNの危篤説の報道(21日付)で1584円に。その後元山(ウォンサン)の別荘に停車している特別列車の衛星画像の公開され、死亡説まで取り沙汰されると4月28日は1710円に。ところが、金氏が姿を見せると、5月7日には152円安の1553円に。南北首脳会談の「板門店宣言」で建設された北南連絡事務所が6月16日に北によって爆破されると、翌日17日には1914円に上昇した。

   このところ再び1900円台での上昇が続いている。これをどう読むか。国連安保理が履行を求める国際社会による経済制裁、それに台風と洪水など自然災害の食糧危機などが重なって政治情勢が危ぶまれる。それに、党委員長である金氏の動静が伝わってこない不気味さだろうか。NHKニュースWeb版(12月27日付)によると、北朝鮮国営の朝鮮中央通信や朝鮮中央テレビなどがことし1月1日から今月27日までに伝えた金氏の情報は53件で、これは昨年の113件の半分以下。新型コロナウイルス対策で公の場での活動を控えた可能性がある、と伝えている。

   北朝鮮では年明けの1月上旬に最高指導機関と位置づける党大会が開催される予定(NHKニュースWeb版・同)で、ここで金氏が演説する姿を見せるかどうか。もし、不在ならば同社株価の乱高下は来年も続く。

   きょうの東証の大納会の模様がネット動画で配信されていた=写真=。年末終値としては史上最高値を付けた1989年(3万8915円)以来、31年ぶりの高値水準となった。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大によって、ことし3月に1万6552円まで下げている。コロナ禍のステージは、強烈な感染力をもつ異変種化へと進んでいる。はたしてワクチン接種で収まるのか。来年をどう読むか。

⇒30日(水)午後・金沢の天気   ゆき

☆数字は踊る、気になる、「一番」に弱い

☆数字は踊る、気になる、「一番」に弱い

   あさ起きると数字が踊っていた。16日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価の終値が前週末比で470㌦高の2万9950㌦となり、今年2月につけた終値としての最高値2万9551㌦を更新し、初の3万㌦突破も迫っているとメディア各社が報じている。アメリカの株高を好感して、きょう17日の東京株式市場で日経平均株価が前日比100円を超える上昇、一時、2万6000円台をつけた(午前9時10分現在)。2万6000円台の回復は終値ベースで1991年5月以来29年ぶりととか。

   「一番」という数字には目が向く。理化学研究所と富士通が開発したスーパーコンピューター「富岳」が、17日に公表された計算速度を競う世界ランキングで首位を維持した。富岳が世界一になるのは今年6月に続いて2期連続(11月17日付・日経新聞Web版)。世界ランキングは毎年6月と11月に公表され、富岳は1秒あたり44.2京(京は1兆の1万倍)回の計算速度を達成した。2位のアメリカの「サミット」(同14.8京回)をさらに引き離した(同)。「富岳」を製造している富士通ITプロダクツは石川県かほく市にあり、地元の多くの人たちが製造に関わり、地域の誇りでもある。

   ここで思い出す。2009年11月、民主党政権下に内閣府が設置した事業仕分け(行政刷新会議)で蓮舫議員が、次世代スーパーコンピューター開発の要求予算の妥当性について説明を求めた発言。「(コンピューターが)世界一になる理由は何があるんでしょうか。2位じゃダメなんでしょうか」だった。科学者やスポーツ選手では当たり前と思われてきた世界一(金メダル、ノーベル賞)への道だが、政治家にはこの目標がない、正確に言えば「政治の世界ナンバー1」という尺度がないのだ。その尺度がない政治家が「世界一になる理由は何があるんでしょうか」と言う資格は本来ないだろう。ひょっとして政治家の多くは「オリンピックは参加することに意義がある」と今でも思っているのかもしれない。

   世論調査の数字も気になる。朝日新聞が今月11月14、15日に行った世論調査によると、「菅内閣を支持しますか。支持しませんか」の問いでは、「支持する」が56%で前回(10月17、18日)より3ポイントアップ。「支持しない」は20%で前回より2ポイント下げた。国会で論戦にもなった「日本学術会議」問題で、菅総理が学術会議が推薦した学者の一部を任命しなかったことについて、「あなたはこのことは妥当だと思いますか。妥当ではないと思いますか」の問い。「妥当だ」34%(前回31%)、「妥当ではない」36%(同36%)、「その他・答えない」30%(同33%)だった。三つ巴の様相だが、「菅総理の国会での説明に納得できますか。納得できませんか」の問いでは、「納得できる」が22%、「納得できない」49%となる。

    民意はどこにあるのだろうか。「菅さん、国会答弁は口下手だけど、やっていることはそう間違ってはいない。東京オリ・パラもあるのでなんとか頑張って」ということだろうか。

⇒17日(火)午前・金沢の天気    はれ