#日本沈没

☆「地震にも津波にも注意を」 大地の変動は続く

☆「地震にも津波にも注意を」 大地の変動は続く

   能登半島だけでなく日本各地で、そして世界で地震が相次いでいる。きょう午前4時16分ごろ千葉県木更津市でマグニチュード5.2、震度5強の揺れがあり、東京23区や横浜市などの広い範囲で震度4が観測された。また、日本時間の11日午前1時2分ごろに南太平洋のトンガ諸島を震源とするマグニチュード7.6の地震があった(気象庁公式サイト「地震情報」)。2月6日にはトルコ南部のシリア国境近くでマグニチュード7.8の地震が起きている。世界が「大地の変動」期に入ったのではないかと想像してしまう。   

   地震で思い起こすのがあのドラマだ。2021年10月10日から5回にわたって放送されたTBS系「日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』」。地盤の変動で日本列島が海に沈むという設定のSF小説「日本沈没」(小松左京著、1973年)をベースにしたテレビドラマだったが、初回放送の3日前の10月7日には首都圏で最大震度5強の地震があり、10月20日には阿蘇山が噴火した。

   若かりし頃、この小説も読み、映画も観ていたので既視感は多少あったものの、内容に迫力があった。ドラマの初回は2023年の東京が舞台。内閣府や環境省の官僚、東大の地震学者らが、天才肌の地震学者が唱える巨大地震説を伏せようと画策する。環境省の官僚が海に潜ると、海底の地下からガスが噴き出して空洞に吸い込まれそうになる。ラストシーンは、実際に島が沈むというニュース速報が流れ、騒然となる。実にリアルな番組だった。

   話は変わる。きょう気象庁の下山利浩地震情報企画官が会見した。震度6強を観測した珠洲市では最大20㌢ほど隆起が国土地理院による地殻変動の観測データ分析で確認された。さらに、一連の活動で地震の発生する場所がやや移動し、能登半島の北側の海域でも発生するようになった。下山企画官は「海域で規模の大きな地震が発生した時には津波に注意する必要もあり、海岸付近で強い揺れを感じたらまずは高い場所に逃げるという避難行動を取ってほしい」と述べた(11日付・NHKニュースWeb版)。地震にも、そして津波にも注意を、大地の変動は続く。

⇒11日(木)夜・金沢の天気    はれ

☆民主主義と経済のデジタル化が「日本沈没」を救う

☆民主主義と経済のデジタル化が「日本沈没」を救う

   前々回のブログ「☆日本は途上国へと退化していくのか」の続き。ことし9月に発足したデジタル庁の公式ホームページをチェックすると、牧島かれんデジタル大臣の記者会見(17日付)が動画で掲載されている。主な内容は、ワクチン接種の電子証明書アプリについて、今月20日午前中からスマートフォンでのダウンロードが可能になるとの見通しを示した。これによって、国内外の出入国の手続きの際に必要な書面の証明書(コロナパスポート)は必要なくなり、イベント会場などで求められてもスマホでOK ということになるとの説明だった。確かに便利ではあるが、単にアナログを補完しているだけの話で、大臣の説明からデジタル活用の本質が見えて来ない。

   デジタル大臣の言葉として期待したいことは、ぜひ総務省と組んで選挙を「デジタル投票」にしてほしい。そして、日銀と組んで「デジタル法定通貨」を使えるようにしてほしいということだ。デジタル投票の場合は、投票アプリに入り、マイナンバーカードをスマホにかざし、パスワードを入力することで本人確認をし、投票画面に入る。デジタル法定通貨による支払いも同じ要領だ。

   投票も通貨もポイントはマイナンバーカードなのだが、政府は普及を優先させている。先月、ニュースでマイナンバーカードの普及を図るために総務省はカードの取得などの段階に応じて最大2万円分のポイントを付与する制度を創設する費用として1兆8000億円を今年度の補正予算案に計上する方針を示した(11月25日付・NHKニュースWeb版)。発想が逆ではないか。お金をデジタル通貨にすると国が発表すれば、大人も高齢者も子どもも必死になってマイナンバーカードを取得するようになる。大切なのは普及ではなく、必然ではないか。デジタル投票は民主主義のデジタル化であり、デジタル法定通貨は経済のデジタル化だ。この発想がなければ国のデジタル化は進まない。逆に民主主義と経済のデジタル化が進めば、本格的なデジタル社会(Society5.0)が訪れるのではないか。

   Society5.0は、2016年に策定された国の「第5期科学技術計画」の中で用いられ、狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く、日本の未来社会の姿として提唱するものである。何もしなければ途上国へと退化する、進めば未来先進国へと進化する。日本の進むべき道は後者しかない。このようなことを、ぜひデジタル大臣が提言してほしい。

⇒17日(金)夜・金沢の天気     あめ時々あられ

☆秋の夜長3題~聴く、見る、読む~

☆秋の夜長3題~聴く、見る、読む~

   秋の夜長とはよく言ったものだ。たまにはゆったりと月を眺めて過ごしてみたいと思う気持ちは古今変わらない。昨夜は「ソナタの夕べ」と題したリサイタル=写真・上=を聴きに出かけた。オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の第一バイオリンで活躍する原田智子さん、そして、原田さんが敬愛するというピアニスト小林道夫氏を招いて、ピアノとバイオリンのソナタの魅力を披露した。

   モーツァルトのピアノとバイオリンのためのソナタ(K379)、シューベルトのソナチネ第2番、ベートーベンのソナタ第10番の3曲。心に響いたのはベートーベンだった。森の中にいることを思わせる響きで、日光が差したかと思えば、暗闇になり、嵐になり、そして月影が現れ、また日光が差してくる。まるで、ドラマのような流れだった。アンコール曲は同じくベートーベンの「スプリング・ソナタ」。コロナ禍で席は一つ空けての着席。この方がむしろ、演奏者と空間を分け合い、そして音楽を聴きながら自分と対話しているような感覚になって、十分楽しむことができた。

    次の秋の夜長は、まるでベートーベンの「運命」をテレビで見るような感覚だった。10日に放送されたTBSの日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」(午後9時)の初回=写真・中=。1973年の小松左京のSF小説が原作。2023年の東京を舞台に内閣府や環境省の官僚、東大の地震学者らが、天才肌の地震学者が唱える巨大地震説を伏せようと画策する。環境省の官僚が海に潜ると、海底の地下からガスが噴き出して空洞に吸い込まれそうになるシーンはリアル感があった。ラストシーンは実際に島が沈むというニュース速報が流れ、騒然となる。

   これまで小説も読み、映画も観たので既視感はあった。さらに、7日夜に首都圏で震度5強の地震があった直後だけに、関東の人たちはこの番組をどのような思いで視聴しているのだろうかなど案じながら見ていた。ビデオリサーチ社によると、初回の世帯平均視聴率は15.8%だった。ドラマを楽しむというより、自分たちの運命はどうなるのだろうという不安心理などがない交ぜになった高視聴率ではなかったか。

   月刊誌「文藝春秋」(11月号)の「財務次官、モノ申す 『このままでは国家財政は破綻する』」=写真・下=を秋の夜長に読んだ。「最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いていて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない、ここで言うべきことを言わねば卑怯でさえあると思います。」との出だし。現職の財務事務次官による、強烈な政治家批判だ。「数十兆円もの大規模な経済対策が謳われ」は岸田総理の自民党総裁選での主張のこと。また、「財政収支黒字化の凍結」は総裁選での高市早苗氏の政策だった。「さらには消費税率の引き下げまでが提案されている」は立憲民主党の枝野代表の公約だ。

 
   読んだ感想だが。財務事務次官の立場からすれば当然だろう。国庫には無尽蔵にお金があるはずがない。財政規律を唱えて当然だ。政治家は選挙を前に必死に財政出動を訴えるものだ。今月31日の衆院選を前に多様な議論があっていいのではないか。
 
⇒13日(水)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

★首都圏で震度5強、ドラマ『日本沈没』のリアル

★首都圏で震度5強、ドラマ『日本沈没』のリアル

   昨夜寝がけにスマホでニュースを見ると、「首都圏で震度5強の地震」とあり、関連ニュースを見ていると寝付けなかった。東京、群馬、埼玉、千葉、神奈川の5都県で計32人が重軽傷を負い、埼玉県草加市では建物火災があり、千葉県の富士石油袖ケ浦製油所では未明に火災が発生したと報じられている。東京都足立区では、緊急停止した日暮里・舎人ライナーの列車(6両編成)が脱輪。高架上で止まった列車から乗客100人が降り、駅員らの誘導で最寄りのまで歩いて移動した。午後10時41分の発生なので、夜中の停電でパニック状態、そして多くの人は「次は首都直下型」が頭をよぎったことは想像がつく。

   けさ気象庁公式ホームページをチェックすると、震源の深さは75㌔、地震の規模を示すマグニチュードは5.9と推定される。東京23区内で震度5強を記録したのは東日本大震災が発生した2011年3月11日以来10年ぶりとのこと。気象庁は、今後1週間ほどは最大震度5強程度の地震に注意するよう呼びかけている。

   能登半島でも先月、9月16日にマグニチュード5.1、震度5弱の地震があった。そして、29日には日本海側が震源なのに太平洋側が揺れる「異常震域」という地震があった。震源の深さは400㌔、マグニチュード6.1の地震に、北海道、青森、岩手、福島、茨城、埼玉の1道5県の太平洋側で震度3の揺れを観測した。このところの頻発する地震に不気味さを感じる。

   あさって10日から、TBS系の番組、日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』(午後9時)が始まる=写真、TBS公式ホームページより=。小松左京のSF小説『日本沈没』が原作。かつて映画で見たことがある。日本を襲う巨大地震という未曽有の事態に立ち向かう人々の姿を描くドラマではあるものの、今回首都圏を襲った震度5強という現実があるだけに、いくらドラマとは言え、視聴する気にはなれない。金沢に住んでいてもそう感じる。ましてや、首都圏の人々は恐怖心を呼び起こすことになりはしないか。リアルすぎる。

   さらに気になるのは、このドラマが30言語に字幕翻訳され、動画配信サービス「Netflix」で世界配信される。おそらく世界の人たちは現実に日本で地震が頻発していることを知れば、ドラマというより、ドキュメンタリー、あるいは現実的な未来予測というふうに思い込んで視聴するだろう。「日本沈没」というワードが独り歩きして、経済や政治、外交などさまざまなカタチで影響を与えるかもしれない。

   TBSがあさってから予定通り放送をスタートさせるのか、あるいは、首都圏だけでなく東日本大震災の被災地の人々のことを考えてしばらく延期するのか注目したい。

⇒8日(金)朝・金沢の天気      はれ 

★能登の地震、地球は動く

★能登の地震、地球は動く

   きのうの地震は金沢でも揺れを感じた。16日午後6時42分ごろ、能登半島の尖端を震源とする強い地震があった=写真・上=。気象庁によると、震源の深さは13㌔で地震の規模を示すマグニチュードは5.1と推定されている。震源近くの珠洲市では震度5弱を、隣接の能登町では震度4を。このほか震度3の揺れは輪島市や新潟県、長野県でも観測された。金沢は震度2だった。きょうのテレビニュースによると、人的な被害は出ていない。また、珠洲市で開催されている奥能登国際芸術祭の展示作品などへの影響はいまのところないようだ。

   ことしに入って能登半島を震源とした震度1以上の揺れはきのう夕方を含めて36回(震度3以上は7回)発生している。2020年は11回(同2回)、2019年は9回(同1回)、2018年は3回(同0回)だったので、地震活動が活発化していることが分かる(tenki.jp「石川県能登地方を震源とする地震情報」)。

   能登半島の地震と言えば、2007年3月25日午前9時41分の能登半島地震を思い出す。輪島市などで震度6強、マグニチュードは6.9だった。本震の後、震度5弱の余震も続いた。被害は死者1人、負傷者356人、全壊家屋686棟、半壊家屋1740棟、一部損壊家屋2万6958棟に及んだ(Wikipedia「能登半島地震」)。震災の翌日、学生たちといっしょに復旧のボランティアに被災地に入ろうとしたが、余震があり危険として現地の対策本部から待ったがかかり、3日後に被災地に入ったことを覚えている。。

   能登半島地震について、北陸地方の地震活動に詳しい地震学者の尾池和夫氏(2007年当時・京都大学総長)は「ユーラシアプレート内部で発生したと考えられるが、あまり大きな地震の起きない珍しい場所での地震だ」と話し、そのうえで「ユーラシアプレートに乗っている西日本全体の地震活動が活発化している。今回の地震で、このプレート東端の能登半島沖まで、大きな地震が進行してきたことが明らかになった」と述べていた(2007年3月25日付・読売新聞Web版)。

   学生時代に読んだ小松左京のSF小説『日本沈没』では、ユーラシアプレートに乗っている能登半島など日本列島は太平洋プレートに押され沈没するが、最後に沈むのが能登半島という設定だったと記憶している。そんな印象から、能登は地震の少ない地域だと思っていたのだが。やはり地殻変動が起きているのか。地球は動く。

⇒17日(金)午後・金沢の天気  くもり時々あめ