#新型コロナウイルス

☆身近で、不可解、パラダイムシフトとは

☆身近で、不可解、パラダイムシフトとは

   社会全体の価値観が劇的に変化するという意味で使う「パラダイムシフト」は日常の言葉として発することがある。自身の記憶では、パラダイムシフト(paradigm shift)の言葉を初めて 交わしたのは、インターネットが劇的に広がった1999年だった。

   自宅を新築する際、光ファイバーケーブルを引き込み、リビングや書斎に光コンセントを設置してほしいと建築士にお願いした。すると、建築士は「光ファイバーがあれば、お部屋がオフィスに様変わりしますよ。パラダイムシフトですね」と。初めて聞いた言葉だった。確かに、完成後に自宅書斎のパソコンを会社(当時、テレビ局)のPCとつないでメールや動画をやり取りして仕事ができるようになった。画期的なことだった。それ以来、書斎を「オフィス」と呼び、パラダイムシフトという言葉を自らも使うようになった。

   もちろん、パラダイムシフトは個別の話ではなく社会全体の価値観の変化のことだが、今のIoT化やSociety5.0、リモートワークといったトレンドを考えると、当時建築士が話したように、パラダイムシフトの先駆けだったかもしれない。パラダイムシフトはIT化だけでなく、新型コロナウイルスなどに揺さぶられ、さまざまな場面で起きている。

   身近にある大きな変化では、葬儀もその一つだ。故人をしのび弔うセレモニ-は近年、会葬の規模が縮小し「家族葬」と言われるまでに少人数化した。さらにコロナ禍にあって、「廻(まわり)り焼香」と呼ばれる簡素化がトレンドになっている。廻り焼香は、通夜や葬儀・告別式に参列するが、焼香を終えた人は席に就かずにそのまま帰る。もともとは、多くの弔問客が滞りなく焼香を済ませるための会葬の流儀だったが、最近ではコロナ禍で「三密」を避ける工夫として用いられている。ドライブスルーでの焼香も可能な葬儀場もある。葬儀の小規模化と簡略化という流れは儀式のパラダイムシフトを象徴している。

   戸惑うパライダイムシフトもある。大学キャンパスで大麻をめぐるニュースが相次いだ。昨年は、日本大学ラグビー部や近畿大学サッカー部、そして東海大学硬式野球部、さらに長崎大学でも不法所持や売買などが発覚し、逮捕者も出ている。一方、アメリカでは民主党政権の復権にともない、ニュージャージー、アリゾナ、サウスダコタ、モンタナなどの各州で新たに合法化された。大麻を合法的に使えるアメリカ人は1億900万人に上り、総人口の3人に1人に相当する。ニューヨーク州でも知事が、州政府の財政を再建するため、オンラインのスポーツ賭博と娯楽用大麻を合法化する意向と報じられている(1月7日付・ロイター通信Web版日本語)。

   この背景には、国連が大麻と大麻樹脂を最も危険な麻薬に分類していたリストから外すことを承認し、大麻の医療的価値を認めたことによる(2020年12月3日付・CNNニュースWeb版日本語)。だからと言って、税収の確保のため大麻を合法化するというアメリカの動きは日本人にとっては不可解だ。アメリカでこの動きが全土に広まれば、日本の学生たちにアメリカへの留学を勧められなくなる。

⇒26日(火)夜・金沢の天気    あめ

☆世界は「破滅的なモラル崩壊寸前」なのか

☆世界は「破滅的なモラル崩壊寸前」なのか

   天気予報によると、きょう19日の金沢の最高気温が零度、最低気温がマイナス2度だ。能登の輪島は最高気温がマイナス1度、最低気温がマイナス3度となっている。朝起きて自宅周囲を見渡すと10数㌢積もっている。きのうは雷もとどろいていたので、しばらく厳冬は続くだろう。

       それにしても、世界は「コロナ厳冬」だ。感染者9560万人、うち死者204万人(1月19日付・ジョンズ・ホプキンス大学コロナダッシュボード)。世界ではさまざま議論が沸き起こっている。WHOのテドロス事務局長は、富裕国が新型コロナウイルスのワクチンを独占して最貧国が苦しむならば、世界は「破滅的なモラル崩壊寸前」だと警告した(1月18日付・時事通信Web版)。

   中国外務省の華春瑩報道局長は19日の記者会見で、WHOの独立委員会が中国の新型コロナウイルス感染症への初期対応に遅れがあったと指摘した中間報告に反論した。華氏は武漢市の海鮮市場を昨年1月1日に閉鎖し、新型肺炎の発見からわずか3週間あまりで武漢を封鎖したと強調。早期に世界に警鐘を鳴らしたと主張した。また、新型コロナの起源を巡り政治問題化することに断固反対すると改めて強調。新型コロナ対策のため国際社会が団結し協力する助けにならないためだと理由を述べた(1月19日付・共同通信Web版)。

   上記のテドロス氏と中国の華報道局長の発言には違和感を感じた。中国が初期対応に遅れはなかったと言うのであれば、1月下旬は中国の春節の大移動で世界にコロナ禍をまき散らす結果となったが、なぜ出国禁止としなかったのか。そして、1月23日のWHO会合では、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を時期尚早として見送った。WHOが緊急事態宣言を出したのは1週間遅れの30日だった。

   このころ、中国以外での感染が18ヵ国で確認され、日本をはじめアメリカ、フランスなど各国政府が武漢から自国民をチャーター機で帰国させていた。なのになぜ、WHOは23日に宣言を見送ったのか、中国に配慮して「武漢ウイルス」を国際的に宣言するのをためらったのはないか、との疑念が今もくすぶっている。

   テドロス氏は、コロナワクチンを「富裕国が独占している」として、「破滅的なモラル崩壊寸前」だと警告したが、ならば、その大前提として世界が抱いているテドロス氏への疑念に真摯に答えなければならない。でなければ、「そもそもパンデミックを広めたのは、貴方でしょう」と、議論は前に進まないのではないか。

⇒19日(火)午後・金沢の天気    あめ時々ゆき       

☆コロナ禍「ステージ4」 試される知事の行動力

☆コロナ禍「ステージ4」 試される知事の行動力

   最近、「ステージ4」という言葉が新聞・テレビなどで目につくようになってきた。けさの北陸中日新聞(1月15日付)でも一面の見出しでも、「石川県の病床使用率『ステージ4』」と出ていた。感染ピーク時における確保想定病床の使用率が50%以上に達し、緊急事態宣言の対象となるステージ4(爆発的感染拡大)の目安に達したというのだ。

   ひっ迫しつつある病床の確保をどうするか。厚生労働省はきょう、感染症の専門部会を開き、通常国会に提出する感染症法改正案について議論し、新型コロナウイルス感染者の病床を確保し、受け入れを促進するため、国や都道府県知事が医療機関に「協力を求めることができる」という現在の感染症法の規定を「勧告できる」に強化する方針を政府が固めた。勧告に従わなければ公表できるようにする(1月15日付・共同通信Web版)。

   病院に対して「協力」要請から「勧告」「公表」へと知事権限を強化するには背景があるようだ。厚労省公式ホームページに掲載されている「療養状況等及び入院患者受入病床数等に関する調査について」をチェックすると。前回の緊急事態宣言(4月7日-5月25日)で確保病床は1万7290、確保想定(見込み)病床は3万639だった(5月13日まとめ)。感染者が拡大し、緊急事態宣言の再発令が議論になっていた今月は確保病床は2万7650、確保見込み病床は2万7635だった(1月6日まとめ)。つまり、確保見込み病床数が減っているのだ。コロナ禍の第1波、第2波に比べれば大きな第3波が来ているのに、病床数が減っている。なぜだ。

   全国で8400余り(病床数156万)ある病院のうち、民間病院が占める割合は82%とされる(平成28年度・総務省まとめ)。公立病院の場合はすでに都道府県知事などから命令に近いカタチで新型コロナの患者の受け入れが要請されている。以下憶測だ。この1年、民間病院関係者は公立の医療現場での新型コロナの患者への対応を見て、医師の負担の大きさや看護師の数が足りなさなど様々な問題を認識した。さらに、病院でクラスターとなれば経営のリスクを抱えることにもなる。当初は医療機関の使命として患者の受け入れを心づもりしていたが、ここに来て躊躇し始めているのではないだろうか。

   日本の医療制度は、医療機関の自主的な判断を尊重するうえ、これまで民間病院に対する行政の介入の余地は小さかった。とは言え、患者がこのまま増えれば公立病院の病床数はひっ迫する。民間病院でも、いわゆる大病院でなければ受け入れは難しい。今後、受け入れ可能な民間病院を都道府県が調査し、知事は自らの責任で決定を下し、予算をつけて必要な人材を手配して、体制を整える。その上で、知事が直接出向いて民間病院側に要請することになるだろう。勧告には法的な拘束力はない。受け入れられなければ、その事実を公表することになる。

   病床がひっ迫して、他の病気の患者の受け入れに影響が出るという事態を避けながら、今後さらに増えるであろう新型コロナの患者がたらい回しにならないように事態を収める。知事は「ワード(言葉)」ではなく、「行動」が試されることになる。

⇒15日(金)午後・金沢の天気    はれ

☆ワクチン囲い込み、WHOの思惑

☆ワクチン囲い込み、WHOの思惑

   けさWHOの公式ホームページをチェックした。直近8日(ジュネーブ現地時間)の記者会見(リモート)の模様が動画で掲載されている。その中で、テドロス事務局長は「The time to deliver vaccines equitably is now! 」(ワクチンを公平に届ける時が来た!)と語気を強めていた=写真=。会見のキーワードは「COVAX」だ。

   COVAXは、新型コロナスウイルスのワクチンを世界各国で共同購入して分配する国際的な枠組みで、WHOや途上国でのワクチン接種を支援する国際機関「Gavi」などが昨年7月に立ち上げた。日本やヨーロッパなどの高所得国などに拠出金を要請し、2021年末までに20億回分のワクチン確保を目指す。

   ところが、ワクチンの分配は現実に進んでいない。当日の会見で明かされたことは、ワクチンの接種や準備が42か国で始まり、このうち36ヵ国は経済的に豊かな高所得国、6ヵ国は中所得国で、低所得国には行き渡っていないというのが現実だ。

   テドロス氏は、高所得国によるワクチンの囲い込みの動きを牽制し、こう発言した。「Iurge countries that have contracted more vaccines than they will need, and are controlling the global supply, to also donate and release them to COVAX immediately, which is ready TODAY to rollout quickly.」(意訳:必要以上に多くのワクチンを契約し、世界の供給を管理している国々にも、すぐにCOVAXに寄付してリリースしてもらいたい。COVAXはきょうからすぐに展開できるようになっている)。そして冒頭の「The time to deliver vaccines equitably is now! 」となった。

   テドロス氏の発言はアメリカを強く意識したものとも読める。アメリカはこのCOVAXに参加していないのだ。自国の感染者2100万人、死亡者36万人(ジョンズ・ホプキンス大学ダッシュボード)という状況では、ワクチンを最優先で確保することがコロナ対策の課題だろう。アメリカのトランプ大統領は「WHOや中国の影響を受ける多国間組織の制約は受けない」と不信感を募らせ不参加を表明した経緯もある。

   おそらくアメリカのこうした態度に不満を抱いている。テドロス氏はこうも述べている。「This is a very dangerous time in the course of the pandemic and I do not want to see people become complacent as vaccines are starting to rollout.」(意訳:これはパンデミックの過程で非常に危険な時期であり、ワクチンが普及し始めていることに人々が満足するのを見たくはない)。

   パンデミックを終わらせるにはすべての国で一定の人々にワクチンを接種することであり、高所得国の全国民に接種することではない、ということだろう。ただ、テドロス氏の理想通りに低所得国にワクチンが持ち込まれたとして、はたして国民に公平な分配ができるのだろうか。国民同士の争奪戦になりかねない。

⇒9日(土)午前・金沢の天気    ゆき

☆緊急事態宣言と大雪警報の日常

☆緊急事態宣言と大雪警報の日常

   菅総理はきょう夕方、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言を出した。期間は2月7日まで。飲食店の営業時間短縮や、テレワークによる出勤の7割減、午後8時以降の外出自粛、イベントの人数制限の4点をパッケージで対策を行っていく(1月7日付・NHKニュースWeb版)。

   石川県の地元メディアは、能登半島にある穴水町の石川宣雄町長が感染したと報じている。石川町長は79歳で、きのう6日午前、新年のあいさつで谷本県知事と面会し、その後、公務中に体調不良を訴え、検査したところ、感染が確認された。肺炎を起こしていて、中等症だという。感染経路はわかっておらず穴水町では初めての感染者となった。きょう県内で25人が感染した(石川県庁公式ホームページ)。

   県内での感染拡大を受けて、石川県庁ではきょう夕方、新型コロナウイルスの対策本部会議が開かれ、知事は首都圏への不要不急の往来を自粛するよう県民に呼びかけた。ただ、知事は県独自の緊急事態宣言について、「前回の宣言は地域経済に相当なダメージを与えたことは事実。(モニタリング指標などの)基準に照らし合わせながら、石川県は今どういう状況にあるのかということがある程度客観的に判断できる。総合的に判断していくということになる」と述べるにとどめた(1月7日付・北陸放送ニュースWeb版)。

   きょうの県内は、急速に発達する低気圧の影響で雪や風が強まり、大荒れの天気となった。今夜からは強い寒気が流れ込み大雪になるおそれがあるとして、金沢地方気象台は県内全域に大雪警報を出して、大雪による交通障害に警戒を呼びかけている。雪の降る量は、8日夕方までの24時間で多い所で県内の平地で30㌢から50㌢、そのあと、9日の夕方にかけても平地の多い所で30㌢から50㌢の積雪となる見込み。(※写真は2018年1月13日の大雪では金沢の中心部でも57㌢の積雪となった)

           今回の寒波では九州地方でも20㌢の積雪が見込まれると予報で伝えている。スノータイヤに履き替えていないトラックや乗用車などのスリップ事故などが多発するのではないだろうか。

⇒7日(木)夜・金沢の天気     くもり時々ゆき  

★コロナ禍に ネオンも消える 寒の入り

★コロナ禍に ネオンも消える 寒の入り

   寒の入り、二十四節気の一つ「小寒」に入った。父親から昔教わった言葉が「小寒の氷、大寒に解く」だった。小寒の寒さの方が大寒のときよりむしろ寒いと感じるという意味。最初に来る寒さを寒いと感じ、あとは寒さも慣れてくる。北陸で生まれ育って、この肌感覚は実によく分かる。きのう5日、金沢市の寺町を車で通ると、曹洞宗大乗寺の僧が托鉢に回っていた。雪が残る道を素足にわらじを履いての修行は、その姿を見ただけでも寒さを感じた。

   天気予報ではあす7日から再び日本海に低気圧が急速に発達し、前回の「年越し寒波」よりも広範囲に日本列島が強烈な寒波に覆われると予想している。積雪見込みは8日12時までで、北陸地方では70-100㌢となっている。

   もう一つ襲来するのは「コロナ寒波」だ。新型コロナウイルスの感染が1都3県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)で広がり、あす7日、政府は首都圏で再び緊急事態宣言を発令する方向だと報じられている。期間は1ヵ月程度とする方向で政府が調整している(1月5日付・NHKニュースWeb版)。

   ただ、あすからの緊急事態宣言は前回(昨年4月7日から5月31日)と違って、飲食店を通じた感染拡大を徹底的に減らす、いわばワンポイント規制となりそうだ(同)。前回は、人と人との接触を「最低7割、極力8割」減らすという目標のもと、飲食店のほか、ホテルやデパート、映画館、そしてなぜか図書館までが自粛する動きとなった。また、小中高校は休校となり、大学はオンライン授業に。祭りやスポーツなどのイベントは中止や延期が相次いだ。

   今回飲食の場での感染リスクの防止にポイントを絞ったのは、経済全体への影響を極力抑えたいとの政府の意向があるのだろう。ただ、飲食ワンポイントでどれだけ効果があるのだろうか。緊急事態宣言によって、飲食店は営業時間が短縮され、▽今月8日から11日までは酒を提供する飲食店などを対象に午後8時までに前倒したうえで、酒の提供は午後7時までとなる。そのうえで、▽今月12日から31日までは酒を提供するしないにかかわらず、すべての飲食店に午後8時までに営業時間を短縮するよう要請する(同)。一時的であるにせよ、新宿や池袋の夜のネオン街は灯が消えることになる。これがモデルとなって、全国に規制が拡大するかもしれない。

   ここで一句。「コロナ禍に ネオンも消える 寒の入り」

(※写真は、寒波に見舞われる能登半島の集落=2018年1月27日、輪島市門前町で撮影)

⇒6日(水)朝・金沢の天気    はれ

☆コロナ禍、世界は再びロックダウン

☆コロナ禍、世界は再びロックダウン

          けさイギリスBBCニュ-スWeb版(1月4日付)をチェックすると、新型コロナウイルスの感染拡大がすさまじい。変異種化したウイルスの感染によって、1日当たりの感染者が5万人を超える日が続き、ジョンソン首相は4日夜のテレビ演説で外出を厳しく制限する措置(ロックダウン)をイングランド全域で導入することを明らかにした=写真=。

   BBCによると、食料品の買い物や通院、1日1回の運動などを除き、外出を厳しく制限し、違反した場合には200ポンド(円換算で2万8000円)の罰金が科される。生活必需品をあつかう店舗以外は原則として営業を禁止とするほか、小中学校や大学は原則として閉鎖し、来月中旬まではオンラインでの授業となる。

   感染者数はイギリスほどではないが、日本でもコロナ禍の勢いが増している。5日は全国で4900人超えの感染が発表され、死亡者も68人。感染者数、死亡者数とも1日当たり過去最多を更新した(1月5日付・共同通信Web版)。日本相撲協会は同じ日、横綱・白鵬の感染を発表した。白鵬は嗅覚異常の症状で4日にPCR検査を受け、けさ陽性と判定された。10日から始まる初場所の出場については休場となる見込み(同)。

   菅総理は感染拡大を受けて、きょうの自民党役員会で、東京都と埼玉、千葉、神奈川3県を対象とする緊急事態宣言の発令を7日に決定する方針を表明した(同)。宣言の発令は昨年4月に続いて2回目だ。

   当地の石川県でもきょう感染者が20人となった。金沢大学でも3日付でこのような一斉メールが届いた。「本日、共通教育科目受講学生に新型コロナウイルスの感染者が報告されました。行動歴の調査から,複数の濃厚接触者またはその疑いがある学生の存在が危惧されます。大学入学共通テストを控えて感染の拡大を予防するために1月4日(月)から7日(木)の授業についても、対面講義を取り止め遠隔授業といたします」と。コロナ禍の新年、仕事始めから強烈だ。

⇒5日(火)午後・金沢の天気    くもり

★静かなる年末年始(10)「賀状で読む総選挙」

★静かなる年末年始(10)「賀状で読む総選挙」

   ことしの年賀状は書き出しを「謹賀新年」とはしなかった。昨年からの新型コロナウイルスが感染拡大する中で決して「おめでたい年を迎えた」などとは自身の気持ちとして言えないとこだわったからだ。その代わりに、「希望が持てる新年でありますように」と記した=写真・上=。では、果たして2021年(令和3年)は希望が持てる年になるのだろうか。いただいた年賀状からことしを読んでみる。

   菅内閣を皮肉った賀状をいただいた=写真・下=。大学時代の同級生で、元雑誌社の編集長。「麻生太郎(副総理)81歳! 二階俊博(幹事長)82歳! あ~あ。老人はもういいよ。若い政治家はいないの? と思ったら、いつのまにか私も高齢者で今年67歳に。」との自虐的な内容には笑える。「中身スカスカの『スカ総理』は73歳とイラストも添えている。

   共同通信社が12月5、6日に実施した全国電話世論調査(回答は固定電話524人、携帯電話519人)によると、菅内閣の支持率は50%で、前回11月から12.7ポイント急落した。政府の新型コロナウイルス対策は「評価しない」が55%。感染防止と経済活動のどちらを優先すべきか尋ねたところ「どちらかといえば」を含め「感染防止」を挙げたのは計76%に上った(12月6日付・共同通信ニュースWeb版)。

   内閣支持率が下がり続ければ、おそらく解散・総選挙は近い。それはいつか。以下憶測だ。コロナ禍の感染拡大で勢いづいている今の状態では3月、4月の総選挙は無理だろう。むしろこの時期はワクチン接種がピークを迎えている。ワクチン効果の評判が広がれば、世論の安心感と政府への評価が高まる。その絶妙なタイミングを狙えば、解散・総選挙は7月の東京オリンピック(21日競技開始、23日開会式)前の5月か6月ではないだろうか。

   賀状を手にして、狡猾な老人政治家たちが考えそうなシナリオを描いてみた。自らも老人政治家たちの腹を探ろうする年代に入った。
 
⇒2日(土)夜・金沢の天気  くもり時々ゆき

☆静かなる年末年始(9)「初夢に東京五輪」

☆静かなる年末年始(9)「初夢に東京五輪」

   2021年(令和3)元旦の初夢は、なんと「東京オリンピック」だった。テレビを見ている自分がいて、そのテレビのモニターには国旗を掲げた選手団が次々と入場行進してくる。なぜか、ニュースキャスターの辛坊治郎氏が選手団について「最近のロシアでは・・」「インドでは中国に対し・・」などと時事解説を行っている。それを違和感なくじっと見ている自分の姿だった。ふと目覚めて時計を見ると、午前2時33分。再び寝込んだが、夢の続きを見たかどうかは覚えていない。

   きょうのブログは初夢が正夢になってほしいと願いつつ書いている。知人と話していても、「このままだとオリンピックの開催は無理だろう」との声をしばしば耳にするようになってきた。政府の新型コロナウイルス対策担当の西村・経済再生担当大臣は自らのツイッター(12月30日付)の動画で「新型コロナウイルスの感染がこれ以上拡大すれば緊急事態宣言も視野に入る」と述べている。コロナ禍の拡大は止まず、ウイルスの国内感染はきのう国内で初めて4000人を超えて4188人と過去最多となった(12月31日付・NHKニュースWeb版)。暗雲が垂れ込める正月を迎えた。

   起死回生、頼みのワクチン接種はどうなのか。アメリカやイギリスなどではすでに一部で接種は始まっているが、日本ではアメリカの製薬大手ファイザーのワクチンの承認申請が行われていて、早くて2月中に承認されるかどうか結論が出る見通し(12月28日付・同)。このニュースを見て、開催国の日本がこの対応の遅さで果たして選手団を迎えることができるのだろうか、と思ってしまう。

   CNNニュースWeb版日本語(12月31日付)によると、アメリカ国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長がインタビューで、4月初めからワクチンを広範囲に行き渡らせることが可能となり、人口の70%から85%が接種を受ければ集団免疫を獲得でき、ウイルスの感染拡大を抑え込むことができる。初秋までにはかなり正常に近い状態に戻れるとの見通しを示している。「ワクチン先進国」のアメリカでこのスケジュール感だ。

   予定通り東京オリンピック競技が始まると想定すれば7月21日(開会式は23日)がスタートだ。それに先立って、日本で行われる国際大会や強化合宿に参加する国外の選手が5月以降で続々と入国してくるだろう。予定通り開催するには4月中にはコロナ禍をなんとか収めなければ間に合わない。逆算すれば、3月と4月に国内での接種を広範囲に行い、集団免疫を獲得しておく必要があるのではないだろうか。

   菅総理は元旦の年頭所感でこう述べている。「コロナ危機は、国際社会の連帯の必要性を想起させました。我が国は、多国間主義を重視しながら、『団結した世界』の実現を目指し、ポストコロナの秩序づくりを主導してまいります。そして、今年の夏、世界の団結の象徴となる東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催いたします。安全・安心な大会を実現すべく、しっかりと準備を進めてまいります」(総理官邸公式ホームページ)

   総理の所感とは裏腹にコロナ禍の猛威は世界に迫る。感染力が強いとされる変異種化したウイルスがイギリスや南アフリカ、フランス、イタリアなど17の国・地域で広まり、日本政府は今月末までオリンピック選手を含めて入国制限をする措置をとった(12月31日付・NHKニュースWeb版)。各国の選手団そのものが結成されるのかどうか、どう克服して開催するのか。総理が述べているように、人類の「団結した世界」をぜひ実現をしてほしい。今から出かける初詣ではそう願いたい。

(※写真は、元旦の床の間に飾った「鶴と亀」の掛け軸と、正月飾り)

⇒1日(金)午前・金沢の天気    くもり時々ゆき

☆静かなる年末年始(7)「高値の大納会なれど」

☆静かなる年末年始(7)「高値の大納会なれど」

   石川県の地元企業である石川製作所(白山市、東証1部)の株価をたまにチェックしている。このところ、同社の株価が再び上昇に転じている。ことし最後、きょう大引けの日経平均は123円安の2万7444円と3日ぶりの反落にもかかわらず、同社の終値は1955円と40円(+2.09%)の上げだった。この「上げ」の背景を憶測してみる。

   石川製作所は北朝鮮の動きと連動する株価で知られる。段ボール印刷機、繊維機械を生産しているが、追尾型の機雷も製造する防衛産業でもあり、朝鮮半島でキナ臭さが漂うと同社の株価に注目が集まる。2017年9月、アメリカのトランプ大統領が国連総会の演説で金正恩党委員長を「ロケットマン」と呼び、双方の言葉の応酬が過熱した。トランプ氏が北に対して斬首作戦を決行するのではないかと憶測され、それまで1000円に満たなかった株価は急上昇し、10月には4435円の最高値をつけた。

   この一年の北の動きを振り返っても株価が敏感に反応していることが分かる。金氏がことし4月12日の最高人民会議を欠席し、祖父・金日成主席の誕生日である同月15日に安置所がある太陽宮殿への参拝がなかったことが報道されると株価は上昇に転じ、CNNの危篤説の報道(21日付)で1584円に。その後元山(ウォンサン)の別荘に停車している特別列車の衛星画像の公開され、死亡説まで取り沙汰されると4月28日は1710円に。ところが、金氏が姿を見せると、5月7日には152円安の1553円に。南北首脳会談の「板門店宣言」で建設された北南連絡事務所が6月16日に北によって爆破されると、翌日17日には1914円に上昇した。

   このところ再び1900円台での上昇が続いている。これをどう読むか。国連安保理が履行を求める国際社会による経済制裁、それに台風と洪水など自然災害の食糧危機などが重なって政治情勢が危ぶまれる。それに、党委員長である金氏の動静が伝わってこない不気味さだろうか。NHKニュースWeb版(12月27日付)によると、北朝鮮国営の朝鮮中央通信や朝鮮中央テレビなどがことし1月1日から今月27日までに伝えた金氏の情報は53件で、これは昨年の113件の半分以下。新型コロナウイルス対策で公の場での活動を控えた可能性がある、と伝えている。

   北朝鮮では年明けの1月上旬に最高指導機関と位置づける党大会が開催される予定(NHKニュースWeb版・同)で、ここで金氏が演説する姿を見せるかどうか。もし、不在ならば同社株価の乱高下は来年も続く。

   きょうの東証の大納会の模様がネット動画で配信されていた=写真=。年末終値としては史上最高値を付けた1989年(3万8915円)以来、31年ぶりの高値水準となった。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大によって、ことし3月に1万6552円まで下げている。コロナ禍のステージは、強烈な感染力をもつ異変種化へと進んでいる。はたしてワクチン接種で収まるのか。来年をどう読むか。

⇒30日(水)午後・金沢の天気   ゆき