#新型コロナウイルス

★まるで「戦時下」 大阪のコロナ禍

★まるで「戦時下」 大阪のコロナ禍

   新型コロナウイルス感染者が急拡大している大阪府できのう20日新たに1153人増えた。また、医療体制がひっ迫していることから、全国の大学病院などから看護師ら90人の医療従事者が大阪に入るとニュースで報じられていた。ここまで来ると、まさに「戦時下」の印象だ。そして、昨夜に大阪府は国に緊急事態宣言の発令を正式に国に要請した。緊急事態宣言が発令されれば、人の流れを減らすために、百貨店など商業施設やテーマパークなどに休業要請がなされる。宣言の期間については3週間から1ヵ月の見込み。

   しかし、大阪府では3度目となる緊急事態宣言の効果は果たしてあるのか。2度目の緊急事態宣言(1月14日から2月28日)の後、大阪市内に「まん延防止措置」(4月5日から5月5日)が適用され、飲食店に午後8時までの営業時間の短縮を要請し、府民に対しても不要不急の外出自粛を求めている。それでもほぼ連日のように新たな感染者が1000人を超えている。そして、今回の3度目の緊急事態宣言の要請だ。

   大阪のメディアのニュースをチェックすると、3度目の緊急事態宣言中の飲食店に対する措置として3つの案を国と調整する。1つ目は、すべての飲食店の休業、2つ目は土日祝日は休業し、平日は午後8時までの時短営業で酒の提供を自粛、3つ目は休業要請はせずに酒の提供は自粛する、という内容(4月20日付・読売テレビニュースWeb版)。仮にすべての飲食店の休業だとしても効果はあるのか。

   先日、大阪の梅田の繁華街で、店が開いてないからとマスクもせずに路上で宴会する若者たちの姿がテレビで報じられていた。このとき思い出したのが、子どものころ父親から聞いた、「また逃げたか八連隊」という言葉だった。戦時中、大阪を中心に部隊編成された陸軍の八連隊では司令官が「突撃」と叫んでも、逆に逃げる兵士が多くいて部隊の統制が効かないとの例えだった。コロナ禍でこのような言葉を持ち出すことは相応しくないが、吉村府知事が緊急事態宣言だといくら叫んでも、実行性が伴わなければコロナ禍は治まらないのではないか。むしろ大阪にワクチン接種を集中させてもよいのではないだろうか。(※写真は大阪府庁舎=「Wikipedia」より)

⇒21日(水)午前・金沢の天気      はれ

☆広く薄くばらまかれるワクチン

☆広く薄くばらまかれるワクチン

   65歳以上のシニアへの新型コロナウイルスのワクチン接種がきのう12日から始まった。自身もその対象なのだが、ニュースを視聴していて期待感どころか、モヤモヤ感がわいてくる。それはなぜか。先行して2月17日から始まった医療従事者への接種は12日までに168万9453回(首相官邸公式ホームページ)とある。ところが、医療従事者は480万人と言われているので、2回打つとなると960万回の接種が必要だ。ということは、接種率は17%にすぎない。

   国のワクチン接種の優先順位は  (1)医療従事者、 (2)高齢者(令和3年度中に65歳に達する人)、 (3)高齢者以外で基礎疾患を有する人や高齢者施設等で従事する人、 (4)それ以外の人となっている(厚労省公式ホームページ)。ワクチンの供給量は限られているので、医療現場に携わる人たちを最優先すべきではないだろうか。

   医療従事者への接種が中途半端なまま、今度は高齢者が対象となった。日本の高齢者は3600万人、7200万回の接種となる。自身が住む石川県ではきょうから接種が始まった。スタートは能登半島の尖端部分にある珠洲市。対象は75歳以上4000人だが、まず接種するのは1500人分。残り2500人は5月下旬以降に接種の見通し(4月14日付・北陸中日新聞)。実は、珠洲市は県内でも感染者ゼロの地域だ。言葉は適切ではないかもしれないが、感染者ゼロ地域にワクチンを回すより、まず医療従事者を優先すべきだ。

   きょう大阪府の新たな感染者が1000人超えと報道されているが、今後東京を含め大都会に感染拡大するであろうことは目に見えている。自身は医療の専門家ではないが、感染症対策としてのワクチンは「選択と集中」が効果を発揮するのであって、広く薄くばらまいても意味はないだろう。大都会での感染を抑えることは地方での感染を抑えることに結果的につながるのではないか。

   逆に、ワクチン供給量が限られているにもかかわらず、なぜ感染者が少ない地方にまで広く薄くばらまくのか。うがった見方かもしれないが、今年の総選挙を意識してのことか。ワクチンは大都会も地方も全県平等に配分せよと政治家たちが裏で動いているのか。「ワクチン担当大臣」は行革担当大臣の河野太郎氏だ。既成概念を突破するリーダーシップを期待しているのだが。ワクチン効果を高めてほしと誰しもが願っている。

(※写真は、ファイザー社のワクチン=同社の公式ホームページより)

⇒13日(水)夜・金沢の天気     くもり

★コロナ禍で頭もたげる黄禍論か

★コロナ禍で頭もたげる黄禍論か

   先ほど「ジョンズ・ホプキンス大学」公式ホームページのコロナ・ダッシュボード=写真=をチェックすると、世界の感染者数は4月4日時点(日本時間)で1億3065万人、コロナウイルス感染による死亡者は世界中で284万人となっている。アメリカでは55万人以上が亡くなり、変異株ウイルスが蔓延するヨーロッパではイギリスで12万人、イタリアで11万人の死亡が確認されている。日本は感染者48万人、死亡9223人(4月3日現在・NHKWeb版)。欧米諸国と比べて人数が少ないのは、日本人がソーシャル・ディスタンスとマスク着用を律儀に守っていることの効果かもしれない。

   このダッシュボードの感染発生の地図を見ていて、北東アジア、とくに中国では小さな赤丸がポツポツとしかない。つまり感染者が少ない。中国では強制力を有しての厳格な感染拡大防止策が講じられていると言われる。その成果の表れがダッシュボードなのだが、ほかの国々の人たちはこれを眺めて何を感じているのか気になる。

   コロナ禍で印象に残っているのはアメリカと中国の応酬だ。中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスだが、WHOの独立委員会は中国のウイルス感染症への初期対応に遅れがあったと指摘する中間報告を出した(2021年1月18日付・ロイター通信Web版日本語)。すると、中国側は反論した。中国外務省の報道局長は19日の記者会見で、武漢市の海鮮市場を2020年1月1日に閉鎖し、新型肺炎の発見からわずか3週間あまりで武漢を封鎖したと強調。早期に世界に警鐘を鳴らしたと主張した(1月19日付・共同通信Web版)。

   世界の人々はこの応酬で何を思うか。中国が初期対応に遅れはなかったと主張するのであれば、昨年1月下旬の中国の春節の大移動で世界にコロナ禍をまき散らす結果となったが、なぜそのときに出国禁止としなかったのか、と考えるだろう。そして、1月23日のWHO会合では、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を時期尚早として見送った。この頃すでに、中国以外での感染が18ヵ国で確認され、日本政府は1月29日からチャーター機で武漢から邦人を帰国させた。WHOによる緊急事態宣言が出たのは翌日の30日だった。WHOテドロス事務局長と中国の関係が怪しいと取り沙汰されるようになった。

           その後、政治問題化したのは当時のアメリカ大統領トランプ氏が3月16日付のツイッターで、新型コロナウイルスコロナのことを「チャイナウイルス」と書き、18日の記者会見でも同じ言葉を述べた。これに対し、中国外務省の報道官は、トランプ氏のツイートは「中国に汚名を着せる行為」「中国に対する根拠のない告発をやめるようアメリカに強く求める」などと批判の応酬があった(2020年3月19日付け・BBCニュースWeb版日本語)。

   アメリカにおける中国への感情が悪化したのはこの頃ではなかったか。「コロナは中国の人工ウイルス兵器」といった根拠のないコメントもネット上で飛び交っていた。さらに中国だけでなく、アジアへの憎悪感情へと広がっていく。4月23日にはホワイトハウスへの請願サイト「WE the PEOPLE」に、「INDICT & ARREST Moon Jae-in for SMUGGLING the ChinaVirus into the US & ENDANGERING the national security of US & ROK!」(意訳:起訴し逮捕を。ムーン・ジェインはチャイナウイルスをアメリカに密かに持ち込み、アメリカと韓国の国家安全保障を危険にさらしている!)が掲載された。86万もの署名を集めて一時期トップにランキングされた。ムーン・ジェインは韓国大統領の文寅在氏のことだ。

   そして今年2月25日、日本が標的となった。ロサンゼルスにある東本願寺別院の提灯立てが放火され、金属製の灯籠や窓ガラスが壊された。事件をテレビのニュースで知って、「黄禍論(おうかろん)」という、かつて歴史の授業で習った言葉が浮かんだ。黄禍論(Yellow Peril)は欧米の白人による黄色人種への脅威感や差別感を表現する言葉だ。現在は、ヘイトクライム(Hate crime)に言葉が置き換わっているのかもしれない。

   アメリカでは、アジア系住民に対する暴行などのヘイトクライムが急増していると連日のように報じられている。暴行犯は白人だけでなく、アフリカ系やヒスパニック系もいるようだ。55万人が亡くなったアメリカでは、このダッシュボードによってアジアに違和感を感じ、黄禍論が頭をもたげているのかもしれない。そうでないことを祈る。

⇒4日(日)午前・金沢の天気      あめ

☆身の回りのコロナ世情

☆身の回りのコロナ世情

   コロナ禍の世情を眺めてみると、実は身の回りにいろいろ起きていると気付く。きのう2日、コーヒーのカプセルを通販で注文している「ネスカフェ」からお詫びのメールが届いた。以下。

「専用カプセルをご購入いただいているお客様にお知らせとお詫びがございます。専用カプセルは、主にヨーロッパの工場で製造し、輸入していますが、世界的な商品の需要増加と昨年末からの国際輸送の逼迫により、現在一部の商品で欠品が発生しております。さらに、その他の商品の安定供給も困難な状況となりましたため、十分な供給体制が確保されるまでの間は、専用カプセルにおきまして、新規の定期お届け便への商品追加注文と単品購入を休止とさせていただきます」

   新型コロナウイルスのパンデミックで自宅でのコーヒ-飲みが世界中で急増していて、ヨーロッパでの生産が追いついていないという内容だった。5月半ばで再開するので、それまでは我が家もインスタントコーヒーで。

   先日自宅近くのガソリンスタンドで給油した。ガソリンはまだ半分ほど残っていたが、このところ毎日のように価格が値上がりしているので、1円でも安いうちにと消費者心理が働いて満タンにした。1㍑当たり149円だった。それにしても不思議だ。新型コロナウイルスの感染で、不要不急の外出自粛やオンライン会議、リモートワークの生活スタイルが定着して、自身もマイカーに乗る回数が減ったと実感している。街中でもコロナ禍以前の3分の2ほどの交通量だ。さらに、脱炭素化で「EVシフト」が加速し、電気自動車やプラグインハイブリッド車が目立つようになってきた。

         車のガソリン需要は全国、あるいはグローバルに見ても減少傾向だろう。脱炭素時代に入り、石油が余っていると思うのだが、ガソリンの小売価格が上がっている。解せない。

   そしてこれは、おそらく日本人の誰もの感じていることだ。なぜ日本の製薬メーカーが新型コロナウイルスのワクチンや治療薬を独自開発できないのか。メディアに報じられている開発メーカーは、ファイザーやモデルナ、アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ノババックスなどアメリカやイギリスの会社だ。日本の製薬メーカーは不活化ワクチンというインフルエンザのワクチンをつくる伝統的な技術には強いが、独自にコロナワクチンを開発したというニュースを見たことも聞いたこともない。

   日本の最大手、武田薬品工業は売上高で世界トップ10に入るメガファーマ(巨大製薬企業)だ。それでも、コロナワクチンの独自開発をしていない。ただ、同社はノババックス(アメリカ)が開発したコロナワクチンについて、日本国内での臨床試験(治験)を開始したと発表した(2月24日付・時事通信Web版)。下請けだが、7月以降に結果をまとめ、厚生労働省に薬事承認を申請。年内の供給開始を目指すという。

   きょう石川県は、新たに11人に新型コロナウイルスへの感染が確認されたと発表した。きのうは14人で2日連続の二桁の人数だ。いよいよ第4波の始まりか。県内のワクチン接種は今月13日から一部自治体でようやく始まる。ワクチンから日本の滞った国の姿がよく見える。

⇒3日(土)夜・金沢の天気      はれ

★コロナ騒動と「能登ジン」

★コロナ騒動と「能登ジン」

   能登半島の尖端に金沢大学が設けている能登学舎。ここで実施する社会人の人材育成事業「能登里山里海SDGsマイスタープログラム」についてはこのブログでも何度か取り上げている。月2回の割合で土曜日に実施し、座学や演習・実習、そして卒業課題研究などに取り組む10ヵ月のプログラムだ。卒業課題研究では自然環境問題や地域課題、起業やSDGsの取り組みなど、これまでイメージでしかなかった自分の思いを調査や実施計画の策定などを通じてストーリーとして描く。

   その卒業課題研究の発表会がきょう27日あった。2020年度の受講生は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり人数は10人に減った。そして、これまで能登学舎での講義だったが、オンラインが中心となった。その分、教員は個別指導にもチカラを入れた。そして迎えたきょうの発表会は受講生が一堂に会する晴れの舞台、の予定だったが、急きょオンランに切り替わった。というのも、前日26日になって、「コロナ騒動」が持ち上がったからだ。

   別の研究プロジェクトのために能登学舎に来ていた学生が発熱と倦怠感を訴え、病院に運ばれた。26日午前のことだった。正午の段階で検査結果は出ていなかったが、万一に備えて、午後1時30分にはオンラインでの発表会に切り替え、全員に連絡した。というのも、受講生の中には能登地区だけでなく、県外の在住者もいるので、前泊のため午後には能登にやって来る。早めに連絡する必要があった。別日での開催、あるいは別の場所でとの案もあったが、「オンラインが無難」となった。結局、この学生のPCR検査の結果も陰性ということでひと安心。何より、スピード感を持って慎重に対処することがコロナ禍で求められることだと実感した。

   きょう午前9時30分からオンラインでの発表会。自身も審査員として参加した。発表者の一人で、東京のIT企業に勤める受講生は能登に移住し、5年後をめどに能登でジンの蒸留所の設置を目指す計画を淡々と述べた=写真=。能登の塩にユズの皮、クロモジなど、地元の素材を使った洋酒「能登ジン」を造る。この研究のため、去年9月にはEU離脱にともない蒸留酒製造が規制緩和されたイギリスの蒸留所の現場を訪れ、製造工程やコスト算出のノウハウなど学び、能登の植物素材で試作品を造ってもらった。その試作のジンが能登学舎に届けられていた。ユズの甘い香りは能登の自然豊かな里山をイメージさせる。「能登に新たな文化を持ち込む可能性」を感じた。

   受講生が夢の実現に向けて行動するとなれば、マイスタープログラムとは別途設けている金融機関と連携するセミナー「創業塾」で融資に至る手続きなど実務面を学ぶこともできる。

   3月20日には能登学舎で2020年度修了式も開催される予定だ。受講生がオンラインを超えて、初めて一堂に会する「晴れの舞台」となる。

⇒27日(土)夜・金沢の天気     はれ

★ウメは咲いたか、ワクチンはまだかいな

★ウメは咲いたか、ワクチンはまだかいな

   金沢では20日に春一番が吹いて、21日にはウメが開花した(金沢地方気象台「生物季節観測」より)。きのう22日は金沢で最高気温が19.6度まで上がり、昔から歌われる「梅は咲いたか 桜はまだかいな」のような春の気分だ。

   春気分に浮かれてはいけない。新型コロナウイルスはまだまだ治まっていない。NHKが公表している直近1週間(2月16-22日)の人口10万人あたりの感染者数で、地元石川県は9.14人と東京、千葉、埼玉、神奈川に次いで5番目だ。以下、福岡、茨木、大阪と続く。コロナ禍ではまるで大都会並み、実に「不名誉」な数字ではないだろうか。同じ北陸でも、福井1.56人、富山1.05人と石川に比べれば、感染対策をしっかりやっているという印象だ。

   その石川もようやく重い腰を上げた。金沢の繁華街(片町1丁目、2丁目、木倉町)で酒類の提供を行うクラブやバー、居酒屋など飲食の2千店を対象に、石川県庁は営業時間を午後9時までとする時間短縮の要請をきのうから始めた。3月7日までの2週間で、時短要請の協力金は1店舗当たり56万円(1日4万円)だ。地元紙によると、2月に入ってからの県内の飲食関係クラスターの7例のうち6例が片町地区で発生し、新規感染者(2月3-16日)241人のうち、約5割に当たる113人が同地区の関係者だったことから時短要請に踏み切った(2月23日付・北陸中日新聞)

   こうなると待たれるのがワクチン接種だ。県内でも先行接種として、医療従事者を対象に19日から始まっているが、医師や看護師、薬剤師、歯科医に加え、コロナ患者と接触する可能性のある救急隊員なども含めると数万人の規模だろう。次なる65歳以上の高齢者への接種はいつからなのか。

   石川県庁の公式ホームページをチェックすると、「新型コロナワクチンについて」というページがある。さらに「県民のみなさまへ」のコーナーがあるが、県民へのワクチン接種についてのスケジュールの記載などはない。厚労省へのリンクがあり開くと、「(医療従事者への接種を先行)その後、高齢者、基礎疾患を有する方等の順に接種を進めていく見込みです。なお、高齢者への接種の開始は早くても4月1日以降になる見込みです」と。要は、接種の順番しか決まっていない。これが医療先進国・日本のコロナ対策の現状なのだ。

(※写真は自宅庭のウメ。23日午前8時撮影。金沢地方気象台の生物季節観測地点より山手にあり、まだ開花には至っていない)

⇒23日(祝)朝・金沢の天気   くもり

☆春一番、ワクチン二番

☆春一番、ワクチン二番

   きょうは春本番かと思うほど暖かく、そして台風並みの風だった。北陸地方に春一番が吹いたと金沢地方気象台が発表した。とくにかく強烈な風だった。石川県内の最大瞬間風速は、能登で23.3㍍と2月の観測史上最大、金沢では21.2㍍だった。日中の最高気温は金沢で14.8度と4月上旬並みの暖かさ。自宅の庭や屋根の雪が見事に解けた。   

   そして待たれるのが新型コロナウイルスのワクチンだ。およそ4万人の医療従事者を対象に今月17日から接種が始まり、各地でニュースとなっている。政府は、接種が始まった富山県の富山労災病院で、副反応の疑いがある、じんましんの発生があったと、総理大臣官邸のきょうのツイッターで公表した=写真=。厚生労働省によると、19日午後5時現在でワクチンの接種を受けた人は5039人となっていて、国内での接種で副反応の疑いが公表されるのは初めて。厚生労働省は同じツイッターで、接種後15分以上は接種会場で様子を見るなどの安全対策の周知に努めていく、としている。医療従事者の次は65歳以上の高齢者なので、自身もぜひ接種に行こうと楽しみにしていたが、このニュースで少し気乗りがしなくなった。周囲の様子を見てからにしようか、と。

   このところ石川県内の感染者は二桁が続いている。きょうも19人の感染が確認された(石川県庁公式ホームページ「新型コロナウイルス感染症の県内の患者発生状況」)。感染者は10歳未満から90歳以上と幅広い年代に及んでいる。ニュースによると、このうち金沢市の30代から40代の男性3人は接待を伴う飲食店のクラスター関係の感染者。また、40代の女性は県内の福祉施設で介護を担当する職員、50代の男性は県内の医療機関に勤務する医師だ。これまで県内では合計1779人が感染、うち61人が亡くなっている。病床使用率は45.7%だ。県内の感染状況を総合的に判断すると、ステージ2の「感染拡大警報レベル」にあたるとしている(2月20日付・NHKニュースWeb版)。

   春一番の訪れたとともに、コロナ禍の勢いも治まってほしいと思うのだが、現実はなかなか厳しい。

⇒20日(土)夜・金沢の天気    くもり

★森発言 五輪のモチベーションも失速

★森発言 五輪のモチベーションも失速

    菅総理はことし元旦の年頭所感で、「我が国は、多国間主義を重視しながら、『団結した世界』の実現を目指し、ポストコロナの秩序づくりを主導してまいります。そして、今年の夏、世界の団結の象徴となる東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催いたします」(総理官邸公式ホームページ)と述べたが、開催自体も怪しくなってきた。 

   共同通信社が6、7両日に実施した全国電話世論調査によると、「女性蔑視」発言をした東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長に関し、会長として「適任とは思わない」との回答が59.9%に上った。「適任と思う」6.8%、「どちらとも言えない」32.8%だった。菅内閣の支持率は38.8%で前回1月調査から2.5ポイント続落し、初めて40%を割り込んだ。不支持率は3.1ポイント増の45.9%となった(2月7日付・共同通信Web版)。

   読売新聞が5-7日に実施した全国世論調査では、森会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言したことについて、「問題がある」との回答は「大いに」63%、「多少は」28%を合わせて91%に上った。「大いに」を男女別にみると、女性が67%で、男性の59%を上回った。オリ・パラの開催では、「観客を入れて開催する」8%と「観客を入れずに開催する」28%を合わせ、計36%が開催に前向きな考えを示した。「再び延期する」は33%、「中止する」は28%だった(2月7日付・読売新聞Web版)。

   内閣支持率は39%と前回(1月15-17日調査)の39%から横ばいだった。不支持率は44%(前回49%)に下がった。昨年11月に69%だった内閣支持率は、その後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い3回連続で下落していた。今回の調査で支持率の下落傾向に歯止めがかかったのは、新規感染者数が減少に転じたことが主な要因とみられる(同)。

   国内世論にオリ・パラ開催へのモチベーションが感じられない。森会長が辞めたら、世論的にモチベーションは上がるのだろうか。新型コロナウイルスの感染収束が見通せない状態では八方塞がりだ。どうやら、暗いトンネルに入り込んでしまったようだ。

⇒7日(日)夜・金沢の天気 

☆企業版パーマカルチャーの時代

☆企業版パーマカルチャーの時代

   このブログで「パ-マルチャー」という言葉を何度か使って、リスクヘッジと人間の行動の解析を試みた。パーマネント・アグリカルチャー(パーマカルチャー=Permaculture、持続型農業)の略語だ。農業のある暮らしを志す都会の若者たちの間で共通認識となっている言葉だ。農業だけではなく、地域社会の伝統文化を守ることで自分を活かしたいと考えている若者たちも多く見受けられるようになった。

   このパーマカルチャーの発想で若者たちの地方への流れができたのは直近で言えば、2011年3月の東日本大震災のときだった。金沢大学が2007年度から能登半島で実施している人材育成事業「能登里山マイスター養成プログラム」の2011年度募集に初めて東京からの受講希望が数名あった。面接で受講の動機を尋ね、出てきた言葉が「パーマカルチャー」だった。里山や農業のことを学び、将来は移住したいとの希望だった。実際、東京から夜行バスで金沢に到着し、それから再びバスで能登に。あるいは前日に羽田空港から能登空港に入り、月4回(土曜日)能登で学んだ。その後、実際に能登に移住した受講生もいた。

   そして、パーマカルチャーの第2波が新型コロナウイルスの感染拡大にともなう動きだ。コロナ禍で、石川県の自治体への移住相談が増えていて、とくに能登地域にある七尾市では前年同時期の約12倍、珠洲市は約4倍になっているという(2020年7月11日付・日経新聞北陸版)。コロナ禍をきっかにリモートワークが広がった。光回線や5Gなど通信インフラが整っていれば、東京に在住する必要性はない。第2波で特徴的なのは、このリモートワークをきっかけに、人だけではなく企業そのものが「本社移転」を目指し始めたことだ。

    昨年7月、総合人材サービスの「パソナグループ」は東京の本社機能の一部を兵庫県淡路島に移転すると発表し注目を浴びた。そして、東証一部の医薬品商社「イワキ」の社長はきのう29日に石川県の谷本知事を訪ね、ことし6月から本社機能の一部を東京から能登半島の最先端・珠洲市に移転することを報告した。同社は珠洲にテレワークの拠点を置き、同月から持ち株会社「アステナホールディングス」に移行、人事や経理を中心に希望者が移住する。メディア各社の記事=写真=を読んで、同社の本気度が伝わってきた。
  
   パーマカルチャーは人間の本能ではないかと察している。コロナ禍だけでなく、天変地異のリスクが東京で起きたとき、企業は果たして存続できるのか。パソナにしても、イワキにしてもそうしたことを本能的に嗅ぎ取って先回りをしているのではないかと思えてならない。もちろん企業的な計算や価値判断もあるだろう。能登でどのような企業展開を試みるのか注目したい。

⇒30日(土)夜・金沢の天気    あめ 

★ついにコロナ感染1億人、「世界の団結」の証を

★ついにコロナ感染1億人、「世界の団結」の証を

   ついに1億人に感染が拡大した。うち死者は215万人。時折チェックしているジョンズ・ホプキンス大学のコロナダッシュボ-ド(日本時間で27日午前9時現在)=写真=を見て、心が痛んだ。国別ではアメリカの死者が42万人と最多だ。次いでブラジル、インド、メキシコ、イギリスとなっている。この5ヵ国を合わせた死者数は世界全体の48%、半数を占める。ブラジルではことし7月延期されていた「リオのカーニバル」が中止に追い込まれている。

   新型コロナウイルスに立ち向かう人類の武器は「ワクチン」だが、これが思うように進んでいない。NHKニュースWeb版(1月27日付)はオックスフォード大学Webサイト「アワ・ワールド・イン・データ」からの引用で記事を掲載している。今月26日の時点で全世界で接種されたワクチンは合わせて6900万回分で、少なくとも1回は接種を受けた人の数も6300万人と世界の人口からみると一部にとどまっているのが現状だ。

   では、日本はどうか。報道でも、政府は2月下旬からワクチンの接種を始めたいとしているが具体的なスケジュールや接種場所などがまだ示されていない。政府は、アメリカとイギリスの製薬会社3社との間で合わせて1億5700万人分の供給を受ける契約を交わしていて、「ことし6月までに接種対象となるすべての国民に必要な数量の確保は見込んでいる」と示している(1月22日付・NHKニュースWeb版)。

   世界でワクチン接種が進まないとなると、どうしても気になるのが東京オリンピック・パラリンピックの開催だ。オリンピックには、世界から選手や審判員、競技関係者が1万5000人が訪れる。選手村では、一堂に会した選手たちがマスクをして黙々と食事を取るだろうか。にぎやかな食事風景を想像するだけでも、選手村がクラスター化するのではないかとの思いがよぎる。

   ワクチン接種を素早く手当てして、医療体制を整えることが先決だろう。「今年の夏、世界の団結の象徴となる東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催いたします。安全・安心な大会を実現すべく、しっかりと準備を進めてまいります」(菅総理の年頭所感、総理官邸公式ホームページ)。有言実行を期待したい。オリンピックで日本の存在価値が問われる。

⇒27日(水)夜・金沢の天気   くもり