#新型コロナウイルス

★初めてのコロナワクチン接種

★初めてのコロナワクチン接種

   国内で新型コロナウイルスのワクチン接種者は1回目が2102万人(人口比率16.5%)、2回目が804万人(同6.3%)と進捗している(6月26日現在・総理官邸公式ホームページ「ワクチン接種状況ダッシュボード」)。自身もきょう27日午前、金沢市内の病院に行き、1回目の接種を受けた。すでに多くの人が接種していて話題性も低いので、ブログのネタにしようかどうか迷ったが、備忘録のつもりで記すことにした。

   金沢市では5月6日にワクチン接種の予約受付が始まり、市のコールセンタ-とは同月12日にようやく電話が繋がった。ところが、ワクチン接種を行う市内201の医療機関はすでに申し込みが満杯の状態で予約はできないとの返事。この日、予約受付の顧客管理システム「Salesforce」が一時ダウンするなど行政の現場は混乱していた。メッセージアプリ「LINE」による予約受付もあったが、ユーザー情報が中国のLINE子会社からアクセスできる状態になっていたと問題になっていたので、わざわざインストールして使う気にはなれなかった。電話で予約できたのは6月2日だった。

   友人たちとメールでやり取りをしていると、「オレは接種しない」との意見も少数だがある。石川県では2回接種(3月13日、4月3日)を終えた病院の女性職員が感染したことがニュースになっていた(4月12日付・メディア各社)。2回接種が完了しているにもかかわらず発症することを、「ブレイクスルー感染」と言うそうだ。また、全身にアレルギーが出たり、急に血圧が低下して気分が悪くなったという、アナフィラキシー・ショックを体感した知人もいる。さらに、次々と出現する変異株にワクチンがどこまで効果があるのかなどワクチン接種に不安がない訳でもなかった。

   そしてきょう午前、指定されていた金沢市の病院に赴いた。この日持参したのは接種券(クーポン券)、予診票、運転免許証の3点。予定より少し早めの9時13分に受付窓口に着いた。同16分に男性医師による問診があった。予診票を出し、血液をサラサラにする薬を服用している旨を告げると、「それでは接種した部分を2分間軽く圧迫してください」と言う。「えっ、圧迫とは」と聞き直すと、医師は「あっ、軽く押さえてくださいという意味ですよ」と。接種希望書に署名する。

   9時16分、隣接の接種会場に行き、指定されたイスに着席する。間もなく小型ワゴンを押しながら女性看護師2人が近づいてきた。接種を受ける人は座ったままで、看護師が会場内を移動して接種する方式だ。看護師は「お待たせしました。右利きですか、左利きですか」と尋ねてきたので、「右利きです」と答えると、左腕の半袖をさっとめくり上げてくれて、接種の準備が始まった。「少しチクリとするかもしれませんがすぐ終わります」と言う間にチクリと。あっという間だった。これが今世間を騒がせているワクチン接種かと妙に実感した。

   接種担当の看護師に、「確かにワゴンで回ると効率的でスピード感がありまね」と声をかけると、「これ、三島方式と言うんです」とすぐに返事が。静岡県三島市が始めた方式で、接種を受ける側は座ったまま、巡回する医師から問診と接種を順番に受ける。おそらく、「三島方式」が全国で広がっているのだろう。もう一人の看護師が用紙に接種時間(9時19分)と経過観察終了時間(9時34分)を記入して手渡してくれた。

   経過観察として15分間、同じイスに座り、時折スマホで時間を見る。用紙には「息切れがする。咳が出る」「じんましんや皮膚のかゆみがでてきた」「呼吸がゼーゼー、ヒューヒューする」「気分が悪くなってきた。座っているのがしんどい」などの体調の変化や自覚症状を感じた場合にはスタッフに知らせてくださいと書いてある。さらに、「接種後の数日間には以下のような副反応が起こることがあります」と注意書きがあり、「注射した部位の痛み」「疲労感、倦怠感」「頭痛」「寒気、発熱」「関節や筋肉の痛み」など書かれている。

   接種から15分間経過したが体調の変化や自覚症状もないのでイスから立ち上がり、出口の受付へ。2回目の接種は3週間後の7月18日であることを確認し、次回持参する予診票と接種クーポン券を渡された。クーポン券をよく見ると、「予防接種済証(臨時)」の欄に、「COMIRNATY(コミナティ筋注)」というシールが貼られてあった。シールにあるQRコードをスマホで読み取ると、ワクチンの説明があった。「コミナティ筋注」は薬品名で、アメリカの製薬会社「ファイザー」がドイツのバイオ医薬品企業「ビオンテック」と共同開発した筋肉注射のワクチン。日本ではことし2月に特例承認されている。

   病院を出たのが9時36分。受付から退出までわずか23分だった。ブログを書き終えるまで接種から4時間余り経ったが、とくに体調の変化もない。念のため、飲酒は数日間控えることにした。

⇒27日(日)午後・金沢の天気     くもり時々あめ  

☆「コロナ禍」と「ケムシ」 ニュース・アラカルト

☆「コロナ禍」と「ケムシ」 ニュース・アラカルト

           新型コロナウイルスの感染拡大はさまざまが言葉を産んでいる。「ロックダウン」(都市封鎖)や「クラスター」(感染集団)、「ソーシャル・ディスタンス」(社会的距離)、「オーバーシュート」(爆発的急増)、「パンデミック」(世界的大流行)といったカタカナ語は常識となった。さらに、「三密」や「濃厚接触」、「飛沫感染」、「無観客開催」などの漢字も。最近でも「職域接種」という言葉が新聞・テレビのマスメディアでも普通に使われるようになった。言葉を産み出す量が半端ではない。それだけ「コロナ禍」という世界のリスクがいかにすさまじいかを物語る。

   東京オリ・パラに伴う感染拡大のリスク評価について、政府の分科会の尾身会長ら専門家の有志が提言をまとめ、大会組織委員会の橋本会長と西村経済再生担当大臣に提出した。提言では「無観客開催が最も感染拡大リスクが少なく望ましい」としたうえで、観客を入れるのであれば、現行の大規模イベントの開催基準より厳しい基準を採用することなどを政府や大会の主催者に求めた(6月18日付・NHKニュースWeb版)。むしろ、新型コロナウイルスのワクチン接種を証明する「ワクチンパスポート」を自治体が発行し、これで会場に入れるようにすればよいだけの話ではないだろうか。

   能登半島で聞いた話。半島の北部にある能登町の山間部では、マイマイガの幼虫(ケムシ)が大量に発生している。電柱や建物の壁、木の幹などに大量の卵塊を生みつけられ、卵塊から続々とケムシがはい出している。この地域ではほぼ10年周期で大量発生していて、一度大量発生すると2、3年は続く。これまで、ケムシを駆除するため農薬散布を行ってきた。が、多量の農薬散布そのものが自然環境に過度の負荷をかけることになると最近では散布そのものを敬遠する傾向にある。ガムテープに貼り付けて取り除く方法もあるが、それだけではなかなか追いつかない。(※写真は公益社団法人「農林水産・食品産業技術振興協会」の公式ホームページより)   

   時事通信の世論調査(今月11-14日実施)によると、菅内閣の支持率は前月比0.9ポイント増の33.1%と横ばい。不支持率は0.4ポイント減の44.2%だった。不支持が支持を上回るのは6カ月連続。菅総理が感染対策の「切り札」とするワクチン接種については、「遅い」が69.4%で、「順調だ」の20.0%を大きく上回った。 政党支持率は自民党が22.8%、公明党3.7%。立憲民主党2.9%、共産党1.7%、日本維新の会1.2%、国民民主党0.5%、社民党とれいわ新選組がともに0.2%で、「支持政党なし」は63.2%だった(6月18日付・時事通信Web版)。

⇒18日(金)夜・能登町の天気     くもり   

★「必要は発明の神さま」で祭り復活

★「必要は発明の神さま」で祭り復活

   「必要は発明の母」と言われる。この場合は「必要は発明の神さま」かもしれない。新型コロナウイルスの感染拡大で、昨年に引き続きことしも各地域の祭礼や神事などの恒例行事の中止が相次いでいる。インターネット調査で、コロナ禍で失われる可能性が⾼い⽇本⽂化として、「祭り」がもっとく高く42.3%、「花⽕⼤会」32.8%、「屋形船」29.0%、「花⾒」24.3%と続く(⼀般社団法⼈マツリズム、有効回答:男女400人、調査:2021年02月27日-3月1日)。祭りについては以前から高齢化や少子化で担い手不足が指摘されていたが、コロナ禍が拍車がかけたとも言える。

   多くの祭りは、神輿を担ぎ、その先導に獅子舞などがいて、それを見学する人々がいる。いわゆる「3密」の状態になることから、祭りが中止となるケースが多い。このような中、伝統の祭りを絶やしてはいけないと、神様を神社から外にお連れする神輿の代わりにミニ台車を手作りした神社の宮司がいる。きょう神社を訪れる機会に恵まれ、その想いを聞いた。

   石川県羽咋(はくい)市にある深江八幡神社。羽咋は祭礼の獅子舞が盛んな土地柄だが、昨年ほとんど中止となった。宮司の宮谷敬哉氏は3密を避けるために神輿を出せないとなれば、一人で押せる台車を作れないかとホームセンターに何度も通い、高さ150㌢ほどのものを完成させた=写真=。みこしに欠かせない鳳凰(ほうおう)は手作りが難しかったので、通販で小型のものを購入し飾り付けた。「神座(みくら)台車」と名付けた。

   昨年7月12日の例祭「祇園祭」では、神のより代である御霊代(みたましろ)を台車に収め、獅子頭だけを乗せた手押しワゴンが先導した。宮谷宮司が神輿の代わりに1人で台車を押して後に続いた。各家を1軒1軒回った。例年ならば神輿と獅子舞でにぎやか祭礼だが、簡素ではあるものの中止することなく続けることができた。

   この地区は500年ほど前に疫病が流行したことから、京都の八坂神社から神を招いて七日七夜祈祷したところ疫病が収まり、それを機に祇園祭が始まったと伝わる。宮谷宮司は「苦労して疫病を鎮めた歴史が地元にあり、『できない』ではなく、『どうしたらできるか』と考えた末にアイデアが浮かんだ」と。

   この神座台車と獅子頭の手押しワゴンが意外な展開を見せる。1965年(昭和40)年前後に神輿の渡御が途絶えていた集落から復活させたいと申し出があった。10月18日に地元の子どもたち6人が中心となって、神座台車と獅子頭の手押しワゴンで町内を歩いて回った。少子高齢化で担い手が少なくなり中止していたが、実に55年ぶりに祭りが復活したのだ。

   宮司は「祭りの復活で地域の様子が活き活きとしていることを一番感じたのは地域の人たちだと思う」と。この秋も神座台車と獅子頭の手押しワゴンの出番となる。

⇒17日(木)夜・金沢の天気     くもり

☆「ニュースは知識のワクチン」とは言うものの

☆「ニュースは知識のワクチン」とは言うものの

   きのうテレビで午後のニュースを視聴していて違和感を感じた。東京都の新型コロナウイルスの感染状況についての民放のニュースだった。「インドで蔓延する変異種について、中学校でクラスターが発生し、海外リンクのない感染者も増えていることから、都は、スクリーニング検査などの監視体制を強化する考えです」とのワンセンテンスで意味が分からない言葉が2つあった。「海外リンク」と「スクリーニング検査」だ。

   その後、ネットで「新型コロナウイルス」と検索して調べてみた。「海外リンク」は海外の感染者などとの接触という意味だ。また、「スクリーニング検査」は感染者の中でウイルスの遺伝子変異の有無を判別をする検査を指す。東京都の小池知事がインタビューや会見で述べた言葉であれば、「また、小池カタカナ語が出た」と受け流すこともできるのだが、アンウンサーが読むニュースとして相応しい言葉遣いかと問えば、明らかに「NG」だろう。

   新聞とテレビのニュースを担当した経験で、「テレビのニュースは小学5年生が分かる言葉で」「新聞は中学2年生が理解できる記事を」と叩き込まれた。それは今も変わらないだろう。そのポイントは難しい漢字やカタカナ言葉を安易に使わず、分かりやすい言葉でニュース原稿を作成するということだ。

   そもそも、ニュースって何だ。「ニュースは知識のワクチン」という言葉がある。新型コロナウイルスや悪性のインフルエンザなどが流行する恐れがある場合、予防接種でワクチンを打っておけば、免疫がついて病気にかからない。それと同じように、まちがった情報やうわさにまどわされないために、普段から新聞やテレビのニュースを読んだり見たりすることで、間違えのない判断ができるようになる。なので、ニュースそのものが理解できなければ意味がない。

   冒頭の話に戻る。2つの言葉がすでに日常でも使われているのであればニュース原稿の言葉として問題はないだろう。ただ、記者が書いた原稿をニュースデスクがチェックしたのだろうか。あるいは、担当したアナウンサーが「この言葉、分かりにくくありませんか」と記者やデスクに問い合わせをしなかったのだろうか。ひょっとして、テレビ局の報道フロアで通用している業界用語なのだろうか。

⇒11日(金)午後・金沢の天気    はれ

★「コロナ」にも「アルツ」にも「打ち」勝つ

★「コロナ」にも「アルツ」にも「打ち」勝つ

   65歳以上のシニア世代のワクチン接種が進んでいる。1回以上の接種が延べで900万人(6月6日現在・総理官邸公式ホームページ)となった。うち、2回の接種を終えた人は90万人となる。対象者は3600万人なので数字的にはまだ遠いが、「7月末を念頭に希望するすべての高齢者に2回の接種」の政府目標が見えてきたのではないだろうか。

   この進捗状況の背景には、それぞれの自治体のユニークな取り組みがある。なるほどと思ったのは「調布方式」や「三島モデル」という、接種を受ける人は座ったまま、医師や看護師が会場内を移動して接種する方式だ。毎日新聞Web版(6月2日付)によると、静岡県三島市は今月2日からこの方式を始めた。会場は4つの小学校の体育館で、接種を受ける人は、コの字形に囲われた段ボールの仕切りの中で1人ずつ待機。座ったまま、医師からの問診と接種を順番に受け、経過観察の15分が過ぎると退席する。接種を終えた人の肩に緑色テープを貼り、二重接種を防止する工夫もある。経過観察も含めた会場での滞在時間は1人当たり30分だ。三島市は今後、自力で移動ができない要介護者や要支援者120人を対象にドライブスルー接種も行う。

   医師が移動することで、接種待ちの滞留による「3密」なども防ぐことができ、お年寄りの移動時間を少なくすることで時間短縮ができる。この方式は、佐賀県唐津市や福岡県宇美町など全国に広がっている。まさに逆転の発想ではないだろうか。(※イラストは厚労省公式ホームページより)

   もう一つ、シニアにとって朗報がある。NHKニュースWeb版(6月8日付)によると、日本の「エーザイ」とアメリカの製薬会社「バイオジェン」が開発したアルツハイマー病の新薬「アデュカヌマブ」について、アメリカのFDA(食品医薬品局)は原因と考えられる脳内の異常なタンパク質「アミロイドβ」を減少させる効果を示したとして治療薬として承認したと発表した。

   これまでのアルツハイマー病の治療薬は、残った神経細胞を活性化させるなどして症状の悪化を数年程度、遅らせるもので、病気によって脳の神経細胞が壊れていくこと自体を止めることはできなかった。こうした中で、「アデュカヌマブ」は、アミロイドβを取り除く効果が認められ、アルツハイマー病の進行そのものを抑える効果が期待される初めての薬となる(同)。

   ただ、今回の承認は深刻な病気の患者に早期に治療を提供するための「迅速承認」という仕組みで行われたため、FDAは追加の臨床試験で検証する必要があるとしていて、この結果、効果が認められない場合には承認を取り消すこともあるとしている。「アデュカヌマブ」については日本でも昨年12月に厚生労働省に承認の申請が出されている。

   シニア世代は「認知症」や「アルツハイマー病」という言葉には敏感になっている。日本の承認が遅れるのであれば、この夢の薬を求めてアメリカに行き、ぜひ点滴投与を受けたいという人は少なからず出てくるだろう。いや、世界中からやってくるだろう。まさに、「コロナ」にも「アルツ」にも「打ち」勝つ、朗報だ。ちなみにきょうの東証一部のエーザイの株価は始値で前日より1500円も急騰し、9251円をつけた。上昇率19.35%のストップ高となった。

⇒8日(火)午前・金沢の天気   くもり

★「トーチキス」って何だ 時代の変化とカタカナ語

★「トーチキス」って何だ 時代の変化とカタカナ語

          きょう2日、ようやく金沢市のコロナワクチンコールセンターと電話がつながり接種の予約ができた。5月6日から予約が始まり、土日を除いて毎日繰り返し電話をしたがつながらず、「電話うつ」の状態だった。夕方になって繋がってもきょうの予約分はすでにいっぱいになっていて、係員から「あすまた電話をおかけください」と言われ、ショックを受けていた。電話そのものをかけたくなくなる状態だった。

   きょうは正午ごろにつながって、接種券の番号や住所・氏名、指定の病院、日時、当日持参する書類の確認など5分足らずの手続きだった。最後に「ほかに何か問い合わせがありますか」と聞かれたので、「なぜつながらないのか、予約の仕組みがおかしい」と一言文句を垂れようかと一瞬思った。が、電話の相手の男性のしゃがれ声に対応の疲労を察して、「お疲れ様、ありがとう、これで安心しました」と受話器を置いた。

   話はがらりと変わる。東京オリンピック・パラリンピックの「聖火リレー」が31日と1日の両日、石川県内で行われた。テレビでその様子を見ていた。石川県に適用されている新型コロナウイルスの「蔓延防止等重点措置」(今月13日まで)を受けて、公道でのリレーは中止になった。その代わり行われたのが無観客のセレモニー会場のステージで行われた「トーチキス」。ランナーは走らずにトーチで聖火を受け渡す=写真、東京オリ・パラ組織委員会公式ホームページより=。

   それにしても、「トーチキス」という言葉は今回初めて知った。それぞれトーチがまるでキスでも交わすように聖火を渡していくので、「トーチキス」。和製英語なのだろうか。

   昨年の新型コロナウイルスのパンデミック以来、次々とカタカナ語が飛び交っている。「ロックダウン」や「ソーシャルデスタンス」、「クラスター」などはその典型だろう。これらの言葉は聞いただけでなんとなく理解はできるが、戸惑うカタカナ語もある。この3月、テレビのニュースで東京都の小池知事が「ハンマー・アンド・ダンスという言葉があるが、今はダンスの時ではない」と語っていた。「ハンマー・アンド・ダンス(The Hammer &The Dance)」、ネットなどで調べると、ハンマーでたたくように対峙、そしてダンスを踊るように共存を意味する。アメリカでは医療従事者の間でよく使われる感染対策の理論のようだ。

   時代の変化とともにカタカナ語などがどんどんと生れ、移入してくる。そして時代が去れば言葉も死語と化す。言葉は生き物のようでもある。とりとめのない話になってしまった。

⇒2日(水)夜・金沢の天気      はれ

★バイデン指示「90日で結論を」動物感染か研究所漏洩か

★バイデン指示「90日で結論を」動物感染か研究所漏洩か

   ワクチン接種の遅れに自身もやきもきしている。ことし2月に接種が始まった医療従事者(480万人)ですら、2回接種を終えたのは282万人(5月27日現在・総理官邸公式ホ-ムページ)、率換算で58%、ようやく半数越えだ。65歳以上の高齢者3600万人のうち2回接種は24万人(同)、率ではわずか0.6%だ。もたもたしているうちに、変異株が多様化と進化を繰り返し、そのうちワクチンが効かなくなるのではないかと不安もよぎる。

   新型コロナウイルスの起源をめぐってニュースが相次いでいる。CNNニュースWeb版日本語(5月28日付)は、「フェイスブック社の広報はCNNに寄せた声明で、今後は新型コロナウイルス感染症が人工的に作られたとする主張を当社のアプリから削除しないことにした」と伝えている。フェイスブックは今年2月、WHOなどと協議し、ウイルスが人工的に作られたとの主張を削除すると発表していた。(※写真・上はThe White House公式ホームページより)

   ロイター通信Web版日本語(同27日付)は、アメリカのバイデン大統領は新型コロナウイルスの起源について、動物からの感染と研究所からの漏洩という2つのシナリオを国内の情報機関が精査しているものの、見解は割れていると明らかにし、声明で「明確な結論に近づくことができるよう、情報機関に対し情報の収集・分析に関する取り組みを強化し、90日以内に報告するよう要請した」と述べた、と報じている。 WHOは実施したコロナの起源を探る調査報告書を3月に公表し、ウイルスが武漢周辺の研究所から漏洩したとの見方は「最も可能性の低い仮説」と結論付けていた。

   ウォールストリート・ジャーナルWeb版日本語(同27日付)も「2020年2月6日、華南理工大学の肖波涛教授は、このウイルスについて『恐らく武漢の研究所が発生源だろう』と結論付けた論文を発表した。しかし中国政府はコロナの発生源に関する研究を厳しく制限しており、同教授は論文を撤回した」と研究所からの漏洩を報じている。 

   上記の一連の報道でいぶかったのは、研究所からの漏洩がは発生源とする分析はアメリカで相当進んでいるものとこれまで理解していたからだ。現に、アメリカ前政権の当時のポンペイオ国務長官は、中国科学院武漢ウイルス研究所に関する「新たな情報」として声明を発表している。NHKニュースWeb版(20121年1月16日付)によると、ポンペイオ氏は「アメリカ政府には、感染拡大が確認される前のおととし秋、研究所の複数の研究員が新型コロナウイルス感染症やほかの季節性の病気とよく似た症状になったと信じるに足る理由がある」と主張。加えて、「研究所は新型コロナウイルスに最も近いコウモリのコロナウイルスを遅くとも2016年から研究していた」「中国軍のための極秘の研究に関わっていた」と発表していた。

   ポンペイオ氏の声明には裏付けがあるものと自身も理解していた。この事件がきっかけだった。アメリカのハーバード大学教授が中国政府からの学術・研究協力の名目で多額の研究資金などを受け取っていたことを報告していなかったとして、アメリカ司法省は2020年1月、大学教授を「重大な虚偽、架空請求、詐欺」の容疑で訴追(逮捕は2019年12月10日、その後、21種類の生物学的研究を中国に密輸しようとした罪で起訴)している。教授はハーバード大学化学・化学生物学部のチャールズ・リーバー氏で、ナノサイエンス・ナノテクノロジーの分野で世界最先端の研究を行っている科学者。リーバー氏は中国の武漢理工大学の「戦略科学者」として2011-16年までの雇用契約を結んでいた。(※写真・下は2020年2月6日付・ニューヨーク・タイムズWeb版)

   つまり、武漢周辺の研究機関でのウイルス研究に詳しかったであろうリーバー氏から事情聴取が進み、かなり全容が見えてきた段階でポンペイオ氏が声明を出した、とニュースの流れを読めば誰しもそう考える。ところが、トランプ氏からバイデン氏へと政権交代がポンペイオ氏の声明から5日後の1月20日に行われたことで、武漢市でウイルス感染の起源についての調査は頓挫していたようだ。トランプ氏やポンペオ氏は新型コロナを「中国ウイルス」「武漢ウイルス」と叫んだため、コロナ禍をめぐる政権の失政を中国の責任に転嫁しようとする政治的な発言とバイデン政権は解釈したのだろう。解明調査はストップした。フェイスブック社もバイデン政権と連動するように武漢起源説やウイルス人工説に関する主張をアプリから削除した。

   このアメリカの状況を中国側は利用した。WHO報告書では武漢のウイルス研究所からの漏洩説を「可能性が低い」としているが、NHKの取材によると、インタビューした武漢担当の調査メンバーのオーストラリアの研究者は、感染拡大の初期の患者に関する詳しいデータを中国側に求めたが、提供されなかったと告白している(2月15日付・NHKニュースWeb版) 。

   このままだと武漢研究所からの漏洩説が消滅するはずだったが、すんでのところで調査再開の指示がバイデン氏から出た。動物からの感染と研究所からの漏洩という2つのシナリオの結論を90日以内に結論を出すことになる。遅くとも8月末には公表される。アメリカと中国の間で激しいコロナ情報戦も今後予想される。映画の『バイオハザード』のような展開になってきた。結論を待ちたい。

⇒31日(月)午後・金沢の天気    くもり

☆オリンピックの終焉を暗示する「アルマゲドン」

☆オリンピックの終焉を暗示する「アルマゲドン」

   IOCの委員がイギリスの「Evening Standard」紙(5月26日付)に語ったコメントが波紋を広げている。記事の見出しは「Barring Armageddon, the Tokyo Olympics will go ahead, says IOC committee member Dick Pound」=写真・上=、意訳すれば、「アルマゲドンにならない限り、東京オリンピックはやれるだろう、IOC委員のディック・ポウンド氏は語る」。例えとは言え、「Armageddon」という言葉を使った時点で世界に強烈な衝撃を与えたに違いない。「人類最終戦争」という意味だが、久しぶりに聴いた言葉だ。

   自身がこの言葉を知ったのは、一連のオウム真理教事件の取材を通じてだった。オウム事件は、坂本堤弁護士一家殺害事件(1989年11月)、長野県松本市でのサリン事件(1994年6月)、東京の地下鉄サリン事件(1995年3月)など数々ある。一方で、犯行の首謀者で教祖の松本智津夫(麻原彰晃、2018年7月死刑執行)は「アルマゲドンが迫っている」と不安を煽ることで若者の心理につけ込み、信者を急速に増やしていた。あの電極が付いた「ヘッドギア」は「カルト教団」を強く印象づけた。

   その麻原彰晃が1992年10月、石川県能美市(当時・寺井町)で記者会見した。自身は当時、テレビ朝日系ローカル局の報道デスクで現場にも立ち会ったので覚えている。寺井町の油圧シリンダーメーカーの社長に麻原が就いた。前社長は信者で資金繰りの悪化を機に社長を交代した、という内容だった。ほとんどの従業員は教団の経営に反発して退職し、代わりに信者が送り込まれていたので「教団に乗っ取られた」と周囲の評判は良くなかった。まもなくして会社は倒産。会社の金属加工機械などは山梨県の教団施設「サテイアン」に運ばれていた。その後の裁判で、金属加工機械でロシア製カラシニコフAK47自動小銃を模倣した銃を密造する計画だったことが明らかになった。

   話が随分と横にそれた。「もう時機を逸した。やめることすらできない状況に追い込まれている」。先日届いた東京の知人(メディア専門誌編集長)からのメールマガジンにこのようなことが書かれてあった。東京オリンピック・パラリンピックの開催についてだ。メルマガでは、日本の戦史に残る大敗を喫した「インパール作戦」の事例が述べられていた。

   大戦の末期、日本軍は1944年3月からイギリス軍の駐留拠点だったインドのインパールに侵攻する。当時、十分な武器や食糧もない中での作戦だった。その時の陸軍司令官はこう言ったとされる。「兵器や弾丸、食糧がないことは戦いを放棄する理由にはならない。弾丸がなかったら銃剣がある、銃剣がなくなれば、腕で行け、腕がなくなったら足で蹴れ、足をやられたら噛みつけ。日本男子には大和魂がある。日本は神州である。神々が守ってくれる」と。この事例は、精神論ではもう大会の開催は無理だと物語っている。

   アルマゲドンにならなくても、すでにオリンピックへのモチベーションは下がっている。NHKニュースWeb版(5月17日付)によると、オリ・パラで予定されている海外選手の事前合宿や交流について、国内の感染拡大への懸念などから少なくとも全国の54の自治体で受け入れが中止された。相手国側から「日本で感染が収まらず移動にリスクがある」や「選手やスタッフの安全を確保できない」といった理由で中止が8割余りで、それ以外は、自治体側から申し出たり両者で協議したりしたケースだった。

   IOCが粘って開催を唱えれば、それだけ人々の心はオリンピックから遠ざかっていく。アルマゲドンという言葉を出したこと、それ自体がオリンピックの終わりを暗示しているのではないだろうか。

⇒28日(金)夜・金沢の天気     くもり

★選挙は人流を招く コロナ禍の懸念

★選挙は人流を招く コロナ禍の懸念

    能登半島の輪島市に本校がある日本航空高校石川の野球部はこれまで甲子園大会に4回(夏2回、春1回、交流試合1回)出場している。その強みは、選手のほとんどが寮生活で意思疎通を図ることができるからとされてきた。しかし、新型コロナウイルスで感染拡大が続く中、寮生活は裏目に出てきたようだ。

   石川県が25日に発表した新型コロナウイルスの新たな感染者はこれまで過去最多の101人で、このうち53人が日本航空高校石川の関係者だった。49人は高校の男子生徒、残りの4人は併設されている大学校の学生や感染した生徒の同居者だった。日本航空高校石川の感染者は24日に9人、25日に53人、26日に1人で累計63人となる。感染者は軽症か無症状という。

   地元紙などの報道によると、高校生と大学校生、教職員合わせて1229人のうち882人が寮生活をしている。寮は2段ベッドの2人部屋と4人部屋、女子寮と男子寮があるが、食堂は一つだ。寮生活はまさに濃密で、一人でも感染者が出るとクラスター化しやすい環境にあった。県の25日発表では239人へのPCR検査で53人の陽性だったので、陽性率は22%と実に高い。28日までに学校関係者全員の検査を実施するという。陽性者はさらに増える可能性がある。

   コロナ禍で注視されるのは、上記の寮生活のような「3密」、そして「人流」だ。人流は観光地やデーパート、駅などへの人のが流れを指したりするが、選挙もその一つではないだろうか。投票行動や候補者の演説、支援者を集めた集会などまさに人流をつくる。7月4日投票の東京都議選は一体どうなるのか。東京オリンピックどころではないのではないか、と気がかりだ。

   大阪市が昨年11月1日に「大阪都構想」の是非をめぐる住民投票を実施。同月10日に吉村大阪府知事は府の対策本部会議で「第3波に入っているという認識だ」と述べていた。大阪市民からは、「コロナ禍にも関わらず、なぜ住民投票を実施するのか。都構想のメリット・デメリットはなにか」(大阪市公式ホームページ「市民の声」)などと住民投票そのものに疑念の声が上がっていた。もちろん、「コロナ感染をもって、民主主義に踏み込んでよいものか、投票とコロナは別だ」との意見もあるだろう。

   ワクチン接種も十分ではないのに、6月25日告示の東京都議選は可能なのだろうか。時事通信Web版(5月27日付)によると、自民と立憲民主は今国会で、ホテルや自宅で療養するコロナウイルス感染者が国政や地方選挙の際に郵便投票を利用できるようにする法案整備に合意し、東京都議選からの導入を目指すと報じている。

          聞こえはよいが、これは対処療法にすぎない。本筋で言えば、コロナ禍ではなく超高齢化社会などを見据えて、希望する有権者が利用できるようにすべきだろう。さらに、郵便投票だけでなく、選挙のデジタル投票化を進めてほしいものだ。9月のデジタル庁設置を契機に。

⇒27日(木)夜・金沢の天気   くもり時々あめ

★「誰一人取り残さない」ワクチン接種のシステムを

★「誰一人取り残さない」ワクチン接種のシステムを

   「報道の自由」は国民の知る権利に応えるメディアの振る舞いであり、憲法第21条の表現の自由が拠りどころとなっている。ところが、欠点やあやまちを執拗に探して報じる、「あら探し」のような報道もないわけではない。

   岸防衛大臣がきのう18日閣議後の記者会見で述べたメディアへの抗議がニュースになった。新型コロナウイルスのワクチンの大規模接種センターのインターネットによる予約をめぐり、朝日新聞出版のニュースサイト「アエラドット」と毎日新聞の記者がそれぞれ、実在しない接種券番号で予約できることを実際に予約して試した記事を掲載した。これに対して、岸氏は「悪質な行為で、極めて遺憾だ」と抗議した(5月18日付・NHKニュースWeb版)。

  防衛庁の公式ホームページに岸氏の会見内容が掲載されている。その中で、「今般の予約に関して、朝日新聞出版アエラドットの記者の方および毎日新聞の記者の方から、不正な手段によって予約が取れたがどのように受け止めているのか、との問い合わせが防衛省にございました」と経緯を述べている。

   架空の番号でも入力が可能であることの原因について、「不正な手段による虚偽予約を完全に防止するためには、市区町村が管理する接種券番号を含む個人情報をあらかじめ防衛省が把握し、入力される予約情報と照合する必要があります。このようなシステムを短期間で実現するのは、国民の皆さまに迅速にワクチン接種を受けていただけるようにするという観点から、困難であり、そして何より、この予約システムを本センターにおいて運営するにあたり、接種対象となる全国民の個人情報を防衛省が把握することは適切ではないと考え、採用しないこととした」と。解釈すれば、予約システムの完璧性を求めて時間をかけるより、迅速な接種のために必要な範囲でシステム構築をした。

   問題はむしろ以下だと指摘している。「今回の記者の行為は、ワクチン接種を希望する65歳以上の方の接種機会を奪い、ワクチンそのものが無駄になりかねない悪質な行為であり、極めて遺憾」。つまり、予約システムにこのような欠陥があると報道すれば、かえって不正なアクセスを助長することになりかねない。一方で、岸氏は「今回の問題を受け、例えば、市区町村コード等については、真正な情報であることが確認できるように、対応可能な範囲でのシステム改修を実施する予定」とシステム改修の意向を述べている。

   このニュースで思うことは、メディアが問うべきは、高齢者の中にはネットにアクセスできない人が大勢いるはずで、その人たちへの接種の段取りのケアはどうすべきなのか、ではないだろうか。それより何より、これは持論だが、予約システムそのものが必要なのか、ということだ。予約にこれほど時間をかけるより、迅速に接種を始めること、接種率を高めることが必要だろう。このブログでも何度か述べているが、選挙の投票方式で地区ごとに日程を指定した案内はがきを出して接収を始めればよい。予約システムが完璧であることより、「誰一人取り残さない」接種のシステムをどう構築するか、ではないだろうか。

(※写真は、朝日新聞出版のニュースサイト「アエラドット」で掲載された「予約システムに重大欠陥」の5月17日付記事)

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