#新型コロナウイルス

☆命拾いしたイギリス首相のメッセージ

☆命拾いしたイギリス首相のメッセージ

   ヨーロッパで猛威をふるう新型コロナウイルス。アメリカのジョン・ホプキンズ大学のまとめによると、イギリスでは8万5200人が感染、1万629人が死亡した(日本時間13日午前9時時点)。BBCニュースWeb版(13日付)によると、イギリス政府科学顧問は「イギリスが欧州で最悪級の、下手をすると最悪の被害を出す可能性がある」と、番組で述べたと報じている。欧州では現在イタリアが死者1万9800人以上で最も多く、スペイン、フランスと続き、イギリスは4番目だ。

   イギリスの死亡者数は病院で確認された人数で、院以外での死者数を含んでいない。この数字を踏まえた上で、イギリス政府科学顧問は感染の第2、第3の波の到来は「おそらく不可避だ」と警告。治療法とワクチンの開発がされても、必要としている何百万もの人々に行き渡るには長い時間がかかるだろうと説明した(同)。

   暗い話ばかりのイギリスだが、朗報があった。集中治療室で入院していたボリス・ジョンソン首相が12日退院し、ツイッターを6日ぶりに更新した=写真=。「It is hard to find the words to express my debt to the NHS for saving my life.The efforts of millions of people across this country to stay home are worth it. Together we will overcome this challenge, as we have overcome so many challenges in the past.」(意訳:NHSには命を救ってくれたことへの恩義を表す言葉を探すのが難しい。この国で何百万もの人々が家にいる努力はそれだけの価値があるのです。私たちは過去に多くの難題を克服してきました、ともにこの難題を克服しましょう)

   動画では24時間つきっきりでケアしてくれた看護師2人の名前を上げて感謝している。命拾いした首相の丁寧な感謝のメッセージはむしろ国民、あるいは世界の人々に励みにもなっている。もうすでに1000万回も再生されている。

⇒14日(火)朝・金沢の天気   くもり時々はれ    

★ついに石川県独自に緊急事態宣言

★ついに石川県独自に緊急事態宣言

   ニュース速報が流れた。石川県の谷本知事は午後2時30分、県庁で記者会見し、新型コロナウイルスの感染者が増加していることから、県独自の緊急事態宣言を出した。宣言の期間は5月6日まで。知事は不要不急の外出や移動の自粛徹底を要請し、県外からの来訪自粛なども求めた。知事は「改めて危機感を共有し、社会全体が一致結束しなければならない」と強調した。県内では現在113人の感染が確認されている。

  石川県知事がこれほど危機感を持って対応したのは、金沢市の10万人当たりの感染者が15.3人と東京都の13.6人と比べて多く、全国トップとなっているからだ。市内のある病院では5人の感染者が出て、クラスター化している。8日付のこのブログでも記したが、病院の医師が岐阜市内のナイトクラブで感染したとされる。中日本高速道路グループ関連会社15人、市内の飲食店関連で11人、3ヵ所のクラスターで計31人だ。隣県の富山県の全体30人より多い。石川県知事の切迫感を察する。知事が会見で、東京都民に向けて「無症状の人はお越しいただければ。新幹線もあり、2時間半で来られる」と述べて話題となったのは先月、3月27日のこと。随分と「隔世の感」がある。

   話は変わるが、この時節にこのような予算配分をしたら、国民にとてつもなく不公平感を生むのではないだろうか。ウイルスの感染拡大で和牛の需要が落ちていることから、農林水産省は500億円の予算規模で和牛の販売に奨励金を出すなどして販売促進を図る、と報じられた(13日付・NHKニュースWeb版)。宴会など飲み会のキャンセルが続出し、和牛の需要が落ち込み、国内産牛肉の在庫が平年より6割増の1万4000㌧に増えているようだ(同)。

   今の閉塞状況は生産者だけが被害を被っているのではない。そこに生産者に500億円という数字が出てくると、数字が独り歩きをして、妬みややっかみがかぶさって、批判の矛先が生産者に向くことを懸念する。「国難」という状況下で特定の業種や生産者への助成金は意味がない。国民の不信感を増幅させるだけだ。

⇒13日(月)午後・金沢の天気     あめ

★疫病退散の祭りも中止に

★疫病退散の祭りも中止に

   新型コロナウイルスの感染者は、石川県で92人となった。人口10万人当たりの感染者で見ると、驚くことに北陸が多い。総務省が公表している最新の人口推計で割った「人口10万人当たりの感染者数」(10日午後5時現在)の都道府県別で最も多い東京が11人、福井10.6人、石川は8人の順となる。緊急事態宣言が出されいている大阪7人、兵庫・千葉5.7人、福岡4.9人、神奈川4.4人、埼玉3.9人より多いのだ。しかも、市町村別で比較すると、金沢市が14人となり、東京都の11人を上回る(11日付・NHKニュースWeb版)。地元の新聞メディアは石川県が独自に緊急事態宣言を出すのではないかと報じている=写真・上=。

   確かに、金沢に住んでいると、感染者は身近にいる。いつも利用しているタクシー会社の運転手や、近場の病院、そして職場の大学でも感染例が報告された。知人の話では、今月中ごろに金沢市内の病院で人間ドックを予約していたが、キャンセルされたという。受診者が陽性だった場合、内視鏡などの従事者へ感染する恐れがあるためとの説明があったという。すでに医療の現場が受診者を警戒しているのだ。知人は「次の予約の目途も教えてくれなかった」と憤慨していた。双方に疑心暗鬼が生じている。

   能登に住む知人からの一報だ。毎年7月初旬に行われる能登町の「あばれ祭り」が中止になるとの連絡だった。あばれ祭りは能登半島のキリコ祭りを代表する祭りだ。それを執り行うことを断念したということは、相当重い判断だったろう。

   あばれ祭りは、40基のキリコが繰り出し、広場に集まって、松明(たいまつ)のまわりを勇壮に乱舞するのが見どころだ=写真・下=。また、神輿を川に投げ込んだり、火の中に放り込むなど、担ぎ手が思う存分に暴れる。祭りは暴れることで神が喜ぶという伝説がある。江戸時代の寛文年間(1661-73)、この地で疫病がはやり、京都の祇園社(八坂神社)から神様を勧請し、盛大な祭礼を執り行った。そのとき大きなハチがあらわれて、病人を刺したところ病が治り、地元の人々はこのハチを神様の使いと考えて感謝した。それから祭りでは「ハチや刺いた」とはやしながら練り回ったというのが、この祭りのルーツとされる(日本遺産「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」公式ホームページ、写真も)。

   日本、そして世界に元気がない。疫病を退散させる元気な祭りでコロナに打ち勝ってほしい。そう願うばかりだ。

⇒11日(土)午後・金沢の天気      くもり

☆コロナ感染、ニュースを巡る

☆コロナ感染、ニュースを巡る

  新型コロナウイルスに関するニュースが世界を交錯している。日本では詐欺が横行している。新型コロナウイルスの感染拡大に便乗したオレオレ詐欺(特殊詐欺)が横行している。ある金融機関がホームページで発生事例を公開している。息子に成りすました犯人から現金を要求され、被害者は銀行の窓口で犯人から指示された通りに「新型コロナウイルスの流行で外出できないので、まとまったお金を手元に置いておきたい」と説明して、多額の現金を引き出す。その後、受け子が息子の代理人を名乗って取りに行く、という手口だ。   

  巧妙なのは、今回の緊急事態宣言では東京都の対応案でも、銀行など金融機関や病院、薬局、コンビニ、スーパーマーケットなど「生活インフラ」に関しては営業休止の要請の対象ではない。すると、金融機関の窓口も社会的な使命感を持っているので、「新型コロナウイルスで外出できないので・・・」と言われるとその言葉に納得してしまうかも知れない。このご時世を読んだ騙しの手口ではある。

           イギリスではすでに7978人が死亡している。ボリス・ジョンソン首相が新型コロナウイルスの感染で集中治療室に入った(現地時間・今月6日)とのニュースからその後の様子が伝わってこなかった。55歳のジョンソン首相は酸素供給は受けているが、人工呼吸器を使っているわけではないという(現地7日付・BBCニュースWeb版)。

   集中治療室に入った日のツイッター=写真=ではこう述べていた。「Last night, on the advice of my doctor, I went into hospital for some routine tests as I’m still experiencing coronavirus symptoms. I’m in good spirits and keeping in touch with my team, as we work together to fight this virus and keep everyone safe.」(意訳:新型ウイルスの症状が続いているため、医師の助言のもと、定期検査のために昨夜入院した。私は元気で、このウイルスと戦い、皆さんが安全でいられるよう、引き続きチームと連絡を取り合っている)

   現地9日付のBBCは最新ニュースとして、「Boris Johnson out of intensive care」の見出しで、集中治療からは外れたと伝えている。はやくツイッターを更新してほしい。そのツイッターを読んでイギリス国民はひと安心するだろう。

   イタリアから痛ましいニュースが流れてきた。新型コロナウイルスで死亡した医師が105人に上った。イタリアの医師会連盟は声明で、「命を落とした医師の多くは開業医で、防護のための装備も十分ないまま新型コロナウイルスとの戦いに送られた」と述べ、哀悼の意を表した(10日付・NHKニュースWeb版)。治療の最前線に立つ医師がこれほど多くの命を落とすとは。

⇒10日(金)午前・金沢の天気    くもり

★In the pocket of China

★In the pocket of China

   新型コロナウイルスによる世界全体の感染者数が150万人を超え、死者は8万7000人以上となったと報じられている。そこで、WHOのホームページをチェックすると。8日のテドロス事務局長の記者会見の発言内容が掲載されていた。

「Tomorrow marks 100 days since WHO was notified of the first cases of “pneumonia with unknown cause” in China.It’s incredible to reflect on how dramatically the world has changed, in such a short period of time.」(意訳:中国で「原因不明の肺炎」の最初の症例がWHOに通知されてから、あすで100日目となります。 このように短期間で、世界がどれほど劇的に変化したかを振り返ると驚くべきことです)

   記者会見の冒頭のコメントだ。率直に違和感を感じた。1月下旬は中国の春節の大移動で、フランスやオーストラリアでも初めての感染者が確認されるなど世界的に感染拡大の兆しが見え始めていた。にもかかわらず、1月23日のWHO会合では、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を時期尚早として見送った。WHOが緊急事態宣言を出したのは1週間遅れの30日だった。中国以外での感染が18ヵ国で確認され、日本をはじめアメリカ、フランスなど各国政府が武漢から自国民をチャーター機で帰国させていた。なぜWHOは23日に宣言を見送ったのか、中国に配慮して「武漢ウイルス」を国際的に宣言するのをためらったのはないか、との疑念が残っていた。

   この会見の後、記者との質疑の掲載はないが、世界のメディアがその様子を報じている。アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルス感染症へのWHOの対応が「中国に偏っている」と批判していることについて、テドロス氏は「われわれは全ての国に寄り添っている」と述べ、特定の国への配慮などは行っていないと反論した(9日付・共同通信Web版)。

   テドロス氏の反撃もあった、トランプ大統領の名指しはしなかったが「さらなる死者の増加を望まないのであれば、政治問題化するのは、やめてほしい」と主張し「(WHOの)われわれも人間なので間違うこともある」としながらも、WHOが「最新のデータや情報、根拠などを世界に提供してきた」と、感染拡大防止に尽力してきたと訴えた(同)。言い訳がましさを感じないだろうか。

   テドロス氏の冒頭の会見の模様は、ユーチューブ動画で公開されている=写真=。批判のコメントが続々と。「WHO cannot be trusted in they’re in the pocket of China. Pathetic gentlemen, very sad state indeed.」(WHOは中国のポケットにいるため、信頼できない。哀れな紳士、確かに悲しい状態)

⇒9日(木)朝・金沢の天気     はれ

☆緊急事態宣言 今ここにある難局

☆緊急事態宣言 今ここにある難局

      7都府県とは言え、新型コロナウイルスの感染対策として緊急事態宣言が発令された。金沢大学でもこの3月に医学系の大学院を修了した30代男性の陽性が確認された。卒業後に研究室を訪問していたので、本人からの聞き取りで、接触した10人は現在自宅待機となっている(金沢大学公式ホームページ)。石川県内の感染者は51人ではあるものの、大学キャンパスに感染者が出たとなると、コロナウイルスがごく身近に迫ってきたと実感する。

           金沢市内の精神科の病院でも医師3人と患者1人の4人の感染が伝えられている。このうち30代の男性医師1人は3月26日にクラスターが発生した岐阜市内のナイトクラブを岐阜大学医学部附属病院の医師らと訪れていた。27日に金沢市に戻り、今月3日まで勤務していた。この間に他に医師2人と患者1人が感染したとみられる(8日付・北陸放送Web版)。これは心の隙間を突かれた感染事例だろうか。

   今月5日付のブログでテレビ番組がコロナウイルスの感染拡大に番組の制作を中断していると述べた。日本テレビも6日付のホームページで「新型コロナウイルス対策と番組編成指針について」と題して発表している。それによると、「現時点で安全確保が難しいと判断される番組の制作について本日(6日)から2週間の休止期間を設けることといたしました」と。

 制作を休止するのは、1)バラエティ番組のスタジオ収録、2)報道・スポーツ・情報番組以外(情報・制作局バラエティ部門)の番組のロケ、3)ドラマのスタジオ収録・ロケ、の制作活動。「出演者や社員・スタッフ、番組制作の全ての関係者の感染予防を最優先に考え、安全を確保したうえで通常通りの番組制作スケジュールを消化することは難しいという判断からです」と述べている。

 「未知」であり「見えない」ウイルスの脅威に対して、メディア事業者として対応する「番組編成指針」を以下記している。 ①「真実を伝え、生活者から信頼される報道・情報番組」の編成(公平・公正さを保ち、迅速・正確な情報を発信します)、②「豊かな時を提供し、生活者に希望と活力を届ける健全な娯楽番組」の編成(心に通う番組制作を心掛け、創造的で良質な娯楽を発信します)、③「学びの場を提供し、生活者の知見を広められる教育・教養番組」の編成(社会的良識に基づき、文化創造と社会貢献に繋がる教養を発信します)

  最後に「日本テレビは上記の番組編成指針、番組制作の基本姿勢のもと、社員・スタッフ一丸となり、社会的責任を果たし、日本の未来に貢献する番組制作に引き続き、邁進してまいります」と。この最後の一文を読んで、これは「対コロナ、メディア宣言」ではないかと思えた。5日付ブログで紹介した他のキー局とは違い、日本テレビはテレビ局として一丸となって今ここにある難局を乗り切る姿勢を打ち出している。

⇒8日(水)午後・金沢の天気    はれ

★緊急事態宣言で問われる非日常性のこと

★緊急事態宣言で問われる非日常性のこと

   金沢大学角間キャンパスは市内より少々高台にあり、兼六園より少し遅れて、今ちょうどソメイヨシノの満開を迎えている。桜並木の通りから満開の桜を見上げると青空に映えて、絶妙な風景が描かれる=写真・上=。それにしても、自然界は春を迎えることができたが、人間界は新型コロナウイルスの感染拡大で戦々恐々としていてそれどころではない。きょう7日、わが国では緊急事態宣言が発令される=写真・下=。人の世の無常というものを感じる。

   昨夜、町内会の班長から電話があった。今月11日に予定していた町会の定期総会を急きょ中止することにした、と。これまでも毎年楽しみにしているゴールデンウイークの音楽祭や、参加を予定していた学術シンポジウム、菩提寺の春の団子まき(涅槃会)などイベントや伝統行事が中止となっている。町内会の寄り合いまでもか、と。

   安倍総理はきのう緊急事態宣言に先立って緊急経済対策会議を開き、午後5時50分から記者団に説明した。事業規模については「コロナウイルス感染の経済に与える甚大な影響を踏まえ、過去にない、強大な規模となるGDPの2割にあたる事業規模108兆円の経済対策を実施する」と述べた(6日付・NHKニュースWeb版)。緊急事態宣言は全国ではなく、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に出される。期間もゴールデンウイーク最終日の5月6日までをめどするようだ。海外のようなロックダウン(都市封鎖)は行わない。PCR検査態勢を1日2万件に倍増し、病床数も現在の2万8千床から5万床を確保する。

   この総理の発表を受けて、小池都知事は午後9時30分から記者会見を行った。都の対応案として、外出の自粛を都民に要請するとともに、映画館や図書館、デパ-トやショッピングモールなどの商業施設、カラオケ店や居酒屋、そして学習塾や理髪店、質屋にまで休止を要請する方針だ。ただし、病院や薬局、コンビニ、スーパーマーケット、銀行、飲食店などの「生活インフラ」に関してはその対象ではない(7日付・朝日新聞)。

   人々にひたすら「自宅に籠(こも)っておれ」との都知事の強いメッセージではある。しかし、別の意味で穏やかならぬ不安もよぎる。独り身がマンションに籠るのであれば落ち着いたものだろう。ただ、家族が籠るとなると、必ずしも穏やかとは限らない。今月1日付のBloombergニュースの記事だ。中国の事例として、離婚率が急激に増え、陝西省西安市や四川省達州市では3月前半に離婚届件数が過去最高になった、と。

   日常ではない非日常での生活では、団結する家族もあれば、逆に夫婦喧嘩や親子喧嘩、DVなどが顕在化することもあるだろう。限られた空間で長い時間を共に過ごすことで、予想もしなかった人間の関係性が露呈するものだ。それは中国に限らず人間界の常ではないだろうか。

⇒7日(火)午前・金沢の天気    はれ

☆蟄居生活、グランドカバーの攻防

☆蟄居生活、グランドカバーの攻防

  新型コロナウイルスの感染を警戒して自宅にこもるような生活を「巣ごもり」とメディアでは紹介され、自らは「蟄居(ちっきょ)」と言っている。江戸時代の武士に科せられた刑罰で、閉門の上、自宅の一室に謹慎する。TBS番組『水戸黄門』で黄門様が蟄居の武士と障子戸ごしに対話するシーンがあったのを覚えている。現代では都会を退いての田舎暮らしを謙遜してそう言ったり、外出をなるべく避けて家で暮らすことを指す。

   一昨日の土曜日、そして昨日の日曜日はまさに蟄居生活だった。不要不急な外出を避け、買いだめした食材を自宅で食べ、パソコンとテレビで国内外のニュースをチェックしブログを書き、読書、掃除と洗濯をする。ただ、そのような中で戦いに挑んだのが「グランドカバーの攻防」だった。分かりやすく言えば、「草むしり」だ。

   ソメイヨシノの開花ごろから雑草の勢いが増す。庭にはグランドカバープランツ(地べたに生やす植物)があり、芝生とスギゴケの2つのゾーンで、手入れをしている。ところが、油断すると雑草に覆われる。スギナ、ヨモギ、ヤブカラシ、ドクダミ、チドメグサなどは通年で生えてくる。最近はチドメグサの勢いが強い。チドメグサは茎全体が横にはって、節から根を出し、どこまでも広がる=写真=。これが芝生ゾ-ン、スギゴケ・ゾーンに侵入し、急速に増殖する。

   雑草には専用の除草剤はあるのだが、使いたくないので手作業での草取りだ。手作業は地味だ。芝生ゾーンでは、芝生の根に絡まるようにして生えているので、しかたなく芝生の根ごと除草することもある。スギゴケの場合、スギゴケをかき分けて、チドメグサの茎を捜し出して抜く。1日に2時間ほどの戦いを終えると爽快感がある。ただ、敵もさるもの、こちらの気の緩みうかがってまた攻防が始まる。持久戦ではある。

   ひと昔前なら、「年寄くさい」と一笑に付された話ではある。が、金沢の街も雑草が生い茂っている公園や住宅、道路をよく見かけるようになった。雑草をあまり気にしない人が多くなったのか。あるいは、行政は公共施設の美化に予算をさけなくなったのか。このままでは街全体のグランドカバーの攻防はじわじわと雑草にやられてしまうのではないか。

   新型コロナウイルス感染で不要不急な外出は自粛するが、この際、自宅や周囲の公園の美化清掃を行政が市民に呼びかけてはどうだろう。          

          と、書いたところで、ニュースが飛び込んできた。安倍総理はようやく緊急事態宣言の発令の意向を固めた、とメディア各社が報じている。緊急事態宣言はロックダウン(都市封鎖)かと以前から騒がれているが、法的強制力と罰則を伴う外出禁止令などが発令される海外の緊急事態宣言とは違い、日本の場合はあくまでも「自粛要請」であり、法的拘束力も罰則もない。緩い。

⇒6日(月)朝・金沢の天気      はれ

★テレビ番組 悩ましい「3密」

★テレビ番組 悩ましい「3密」

         新型コロナウイルスの感染拡大はマスメディアも例外ではない。きょうの朝日新聞朝刊の第2社会面のベタ記事(1段見出しの記事)が掲載されていた。東京本社に勤務する編集局の30代の女性記者が匂いを感じないなどの症状があり、先月31日に倦怠感があったため保健所と相談、今月1日にPCR検査を受け、4日に陽性と判明した。NHKでも感染者が出ている。3日付の報道資料によると、国際放送局に所属する40代の男性は先月23日に発熱があり、医療機関で「風邪」と診断された。以降自宅で療養し、30日に出勤したが、帰宅後に再び発熱。別の医療機関で受診し、今月1日にPCR検査を受け、3日に陽性と判明した。

   テレビ局の場合、番組制作という仕事はまさに「3つの密」である。スタジオという密閉空間と密集場所、一堂に会した番組打ち合わせは密接場面である。TBSは今月2日に「新型コロナウイルス対策についてのお知らせ」と題した報道資料(ニュースリリース)を出した=写真=。報道・情報番組は従来通りに取り組むものの、ドラマやバラエティなどの番組については、「不特定多数の方々と接触したり、大人数が集まったりするケースが多いことから、一般の方々や出演者の方々、番組スタッフへの感染予防を最優先に、当面、ロケやスタジオ収録などを見合わせる」(報道資料)。見合わせる期間を4日から今月19日までの2週間で、それ以降はその都度で判断するとしている。

        TBSは前日の1日、今月スタートのドラマ3本(『半沢直樹』『私の家政夫ナギサさん』『MIU404』)と、4日に生放送する予定だった特別番組『オールスター感謝祭2020春』の放送を延期すると発表していた。放送直前での苦渋の決断だったろう。TBSでは、さらにその前日の31日に派遣契約の60代の男性スタッフが陽性と確認されたと発表していた。

   ここからは憶測だ。クライアントであるスポンサーの意向もあったのではないだろうか。放送予定だった生番組『オールスター感謝祭2020春』は多数が出演してのクイズやスポーツに挑戦する内容で、まさに「3つの密」だ。これが放送された場合、SNSで相当な批判が沸き起こることは想像に難くない。事前に有力なスポンサーから番組の提供を降りたい旨の話があったとしても不思議ではない。

   NHKには別の悩ましさもある。今月2日の前田会長の記者会見で記者から質問があった。「コロナウイルスに関して、中小企業やホテルなどに対して緩和措置を取るのか」と。これに対し「3月30日に高市総務大臣から、旅館やホテルなどの中小事業者向けの受信料負担の軽減について、減免を含めて、検討の要請がありましたことを踏まえて、前向きに検討したい」と答えている。受信料問題と絡んできている。

⇒5日(日)午後・金沢の天気    くもり

☆コロナショック 経済が重症化する前に

☆コロナショック 経済が重症化する前に

     世界の新型コロナウイルスの感染拡大は続く。死亡者数▽イタリア1万4681人▽スペイン1万935人▽アメリカ7152人▽フランス6507人▽イギリス3605人▽中国3326人、となっている(4日付・NHKニュースWeb版)。

   日本集中治療医学会のホームページによると、イタリアでは3月31日の時点で感染者10万5792人に対して死者約1万2428人と死亡率は11.7%と急増している。一方でドイツは、感染者約7万1808人に対して死者は775人で、死亡率は1.1%となる。この違いは、集中治療の体制の違いと指摘している。ICUのベッド数は、ドイツでは人口10万人あたり29-30床であるのに対し、イタリアは12床程度。ドイツではコロナ感染の死亡者のほとんどがICUで亡くなるのに対し、イタリアでは集中治療を受けることなく多くの人々が亡くなっているのが現状だ、と。結果として、ベッド数が足りている分、高齢者の重症化を抑えることに成功し、死亡者が他の国に比べ少ない。

   日本はどうか。クルーズ船感染を除いた死亡率は2.4%(4日現在)だ。重症患者用の病床数は10万人あたり7.3床となる。ドイツやイタリアに比べ少ない。そこで、政府はまず「検問体制」を設けた。発熱があってもそれだけで病院での受付はせず、事前の電話確認を行う。「37.5度以上の熱が4日間以上続いている」「基礎疾患がある」「海外から帰国した」などの特定条件に充当していれば、病院で診察が受けられる。これは憶測だが、入口を狭くする意味合いは、まず罹(かか)らないように十分気をつけてください。本当に罹患したと思われる人のみ受け付けます。「病床数が少ないので、国民のみなさんご理解ください」との国民へのメッセージなのだろう。それだったら最初からそう言えばいい。

   それにしても、国民に「3つの密」(密閉空間、密集場所、密接場面)を避けることが求められ、日本の主力産業である自動車工場の休業が相次ぐ。これが日本の、そして世界の経済に及ぼす影響はいかほどだろうか。想像もつかない。ただ、懸念されるのは自殺の増加だ。バブル経済の崩壊後の不況で山一證券や北海道拓殖銀行などの金融機関の破綻し、翌年の1998年にどん底となる。この年はそれまで2万人台だった自殺者数が一気に3万人台と増加し、その後10年余り高止まりした。

   個人的にショックだったのは、新聞記者時代に赴任した輪島市で取材のお世話になった輪島塗業界の経営者が相次いで3人も資金繰りに困って自殺するという訃報に接したことだった。自死を選んだ理由は保険金だった。経営者は責任感が人一倍強い。その分、融資を絶たれると覚悟を決めてしまう。新型コロナウイルスによる経済の行き詰まりはこれから表面化してくるだろう。中小零細企業に手厚い支援策を望む。「1世帯2枚のマスク」より緊急度の高い対策課題ではないだろうか。(※写真はWHOの公式ホームページ)

⇒4日(土)夜・金沢の天気      あめ