#新型コロナウイルス

★デスマッチ化するアメリカの大統領選

★デスマッチ化するアメリカの大統領選

          この時季に庭に咲くアメリカ八角蓮(はっかくれん)は葉の切れ込みが深く、葉の下に白い花が咲く。ハスに似た葉の角の数からそう名付けられている。北アメリカ原産の種が日本に入ってきて、アメリカ八角蓮と花名がつけられた。生けて玄関に飾る。ハスなので銅の花入れ。野にある花には格付けはないが、「青磁に牡丹(ぼたん)」のたとえのように、その花に似合うの器というものがある。自然のありのままの姿を花器に入れる=写真・上=。地にあっては目立たない花ではあるが、花器の一輪は風格を漂わせる。

   アメリカの花から今度はネガティブな話題に入る。11月3日のアメリカ大統領選挙に向けて、いよいよ前哨戦が苛烈になってきた。「BEIJING BIDEN」=写真・中=というサイトがある。共和党のトランプ陣営が民主党の候補、バイデン氏を攻撃するサイトだ。「ペキン・バイデン」。バイデン氏はこれまで中国の脅威を無視して癒着し、アメリカの雇用と国家安全保障を危険にさらしてきたとキャンペーンを張っている。

   一方の民主党団体「American Bridge 21st Century」はサイトの動画で、トランプ大統領が新型コロナウイルス感染の初期対応でパンデミックであるにもかかわらず中国を称賛していたと批判を展開している。 双方の陣営が中国を引き合いにネガティブ・キャンペーンの応酬を続けている。いよいよアメリカの大統領選がいよいよ始まったという感じで、これからさらにヒートアップしていく。

   前回のトランプ対ヒラリー・クリントン戦(2016年11月)でも壮絶な誹謗合戦があった。クリントン陣営は「トランプはKKK(白人至上主義団体クー・クラックス・クラン)と組んでいる」とキャンペーンを張り、トランプ陣営は「クリントンは錬金術師だ」と映画までつくり相手陣営を攻撃した=写真・下=。対立候補を誹謗や中傷するネガティブ・キャンペーンは対立候補にダメージを与える上では有効との選挙戦略なのだろう。アメリカの選挙風土は​候補者が自らの実績をアピールするより相手の落ち度を責めたほうが勝者として信じてもらいやすい。とことん戦うアメリカの選挙戦はデスマッチと言えるかもしれない。

            このデスマッチにはテレビメディアも参戦する。かつてテレビメディアにはフェアネスドクトリンという選挙報道の公平性を義務づける法律があったが1987年に撤廃され、その後は選挙広告費をめぐって旗色を鮮明にしている。FOXテレビは共和党、CNNは民主党がその代表選手だろう。トランプ氏がときに「フェイクニュースだ」とCNNの記者に向かって声を荒げるが、敵陣営のメディアとの意識がベースとしてある。

   大統領選まであと6ヵ月。新型コロナウイルスとの戦いも続き、さらに深刻な経済の立て直し、険悪化する対中国との外交関係、そして壮絶な選挙戦だ。おそらくこのすべての戦いが今後デスマッチ化する。アメリカは選挙、経済、外交ともにドロ沼化していくのではないだろうか。では、日本の立ち位置はどうあるべきか。

⇒7日(木)午後・金沢の天気    はれ

★「新しい生活様式」横並びで「最後の晩餐」

★「新しい生活様式」横並びで「最後の晩餐」

   新型コロナウイルスの感染対策で、政府はあす6日期限の緊急事態宣言を今月31日まで延長すると決めた。これを受けて、13の「特定警戒都道府県」に入っている石川県も106業種への休業と県民への外出自粛の要請を今月7日以降も続けると表明した。問題は中小企業への影響だ。県は4月21日から今月6日までの全期間、休業に応じた中小企業に50万円、個人事業主に20万円の協力金を支払う(石川県公式ホームページ)。ところが、石川県知事はきのう会見で7日から31日も休業要請はするが、追加の協力金ついては「無理だ」と述べた。地域財政の限界が見えてきた。となると、個人事業主などでは今後、営業再開に向けた動きが出てきそうだ。

   きのう安倍総理が緊急事態宣言の延長についての会見で、「新しい生活様式」という新しい概念を持ち出した。気になってネット検索すると、もともとはウイルス対策について話し合う政府の専門家会議の提言だった。三つの基本として①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗い、を上げさらに日常生活や買い物、公共機関の利用などそれぞれに場面に応じての所作についても提言している。

   たとえば、食事では食べ方や飲み方までも示していて、「大皿は避けて料理は個々に」「対面ではなく横並びで座ろう」と続く。ここで、食事は対面ではなく、横並びで座るというのはどこかで見たイメージだ。そう、レオナルド・ダ・ヴィンチの壁画「最後の晩餐」ではないか。2006年1月に訪れたミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院で初めて原画を鑑賞した。絵は、イエスが12人の使徒のうち一人が裏切ると告知したときに、使徒のそれぞれの反応、怒りやショックなどを描写していることで知られる。

          当時撮影した「最後の晩餐」の画像ファイルを見ていて、ふと、今のパンデミックで揺れる国際社会のような気がしてきた。混乱の中で各国はうろたえ、国際協調とは程遠い。象徴的なのは国連機関であるWHOへの信頼性が揺らいでいることだ。WHOが中国に配慮して緊急事態宣言を「時期尚早」と見送ったことが、感染拡大の原因の一つと問題視する見方が世界で広がっている。さらに、台湾はWHOへオブザーバー参加を求めてきたものの、中国の反対があって実現できていない。

   その中国の責任をめぐる追及も声高になってきている。アメリカなどでは損害賠償を求める動きが出ている。一方、中国はその動きを不当だとしているが、トランプ大統領が主張している、新型コロナウイルスが武漢の研究所から漏れ出たものということになればその管理責任が追及され、損害賠償請求の動きは現実的なものなるだろう。「最後の晩餐」の絵のように、「裏切者はだれか」とざわざわとしている。

   きょうのコラムは思いつくままにランダムに書いた。とくに脈絡はない。

⇒5日(こどもの日)夜・金沢の天気   くもり

★ステイホーム飲み会の楽しみ方あれこれ

★ステイホーム飲み会の楽しみ方あれこれ

   東京都の小池知事が新型コロナウイルス対策に関する記者会見で、大型連休の12日間を「いのちを守るSTAYHOME(ステイホーム)週間」と呼びかけたのは先月24日だった。企業や事業主には12日間におよぶ連続休暇やリモートワークの促進を求め、都民には外出の自粛を強く促した。以来、ステイホームが言葉として全国的に定着した感がある。

   きのう(2日)「ステイホーム飲み会」を気心知れた仲間たちと楽しんだ。正午から4人がそれぞれにパソコン画面に向き合い、ビールや焼酎を片手に近況を語り合った(うち1人は仕事の関係でノンアルコール)。自身はとっておきのワインを話のネタにと選んだ。フランス・ボルドー産の「シャトー・モンペラ」。10年ほど前、日本テレビのドラマ『神の雫』に登場するワインで国内でも知られるようになった。グラスを何度か傾けるうちに顔が随分と赤くなり、目が虚ろになってきたのが画面で分かった。自らの姿が他の人にどう見えているかリアルに理解できること、これはPC飲み会の特徴だと自覚した。

   話題に上ったテーマの一つが「自宅のオフィス化」だった。アフター・コロナではリモートワーク(テレワーク)や在宅ワークがいっそう進み、自宅にオフィス空間を確保するという発想が必要になる。光ファイバーなど通信回線の確保はもちろんのこと、PCカメラを意識した背景の工夫もしなければならない。というのも、きのう使ったアプリ「Zoom」では背景をバーチャルリアリティに切り替えることができる。では、自宅オフィスが雑然としているからと安易にバーチャルリアリティに切り替えてよいものかどうか。とくに仕事の話をする場合だと最初から何かを隠しているような印象を相手に与えてしまうのではないだろうか。飲み仲間の一人の建築家の意見がとても参考になった。

   今回のPC飲み会ではそれぞれの自宅の回線容量がしっかりしていたせいか、画面がフリーズすることはなかった。問題は音声だと感じた。会話が弾むと、つい横から口をはさんでしまうものだ。対面での飲み会ではそれほど気にならないのだが、PCだと相手の音声を遮断することにもなり、会話のタイミングを見計らうという暗黙のルールが求められる。最初は自制心が効いていたとしても、飲むにつれてその気持ちは削がれる。こうなると会話が成立しなくなり、「場の戻し」が必要となる。今回その役回りをする幹事役を買って出てくれたのはITベンチャーの社長だった。「話がこんがらかってきました、いったんリセットしましょう」と何度か。

   正午に乾杯をして、「ではバイバイ」とPC画面が消えるまで2時間ほど。十分に酔い、会話を堪能させてもらった。ステイホームの新しい楽しみ方の一つだと実感した。ふと、外を眺めると快晴だ。人は日光を浴びて、紫外線を受けて体内にビタミンDをつくり、カルシウムの吸収を助ける。日光を浴びないと、逆に体は自分の骨を溶かしてカルシウムを得ようとするため骨粗しょう症になる。かつて聞いた話を思い出し、散歩に出かけた。

⇒3日(日)朝・金沢の天気    はれ時々くもり

☆「9月新学期」はグローバルスタンダード

☆「9月新学期」はグローバルスタンダード

   季節は5月になり、街ではこいのぼりを見かけるようになった。ただ、例年の大型連休と雰囲気が異なって、子どもたちの元気な声が聞こえてこない。新型コロナウイルスの緊急事態宣言で子どもたちも自粛しているのだろうか。

   学校の休校がさらに長期化しそうだ。金沢大学など多くの大学でも授業の開始が遅れたり、講義も対面ではなくオンライン化したりと現場が戸惑っている。また、日本政府が感染対策として170ヵ国余の発給済みのビザを停止する措置をとっていることから、来日できない留学生が続出している。いっそうのこと、新学期を9月、あるいは10月で仕切り直ししてはどうかと思ったりする。

   というのも、欧米やアジアの多くの国では新学期のスタートは9月なのだ。日本のように4月新学期はおそらく数少ない。このことは大学の関係者との間ではたまに話題に上る。「日本もグローバルスタンダードで足並みをそろえないと、優秀な留学生が来ないよね」などと。留学生が4月と9月のどちらを入学時期として選択するかと言えば、タイムラグのことを考えれば9月と考えて当然の発想だろう。すでに、日本の大学では日本語を学ぶ1年間の短期留学の受け入れは「9月入学」でカリキュラムを組んでいるケースが多い。逆に日本から海外に留学する場合も9月が新学期の方がよいということになる。

   では、簡単に9月新学期に移行が可能かと言えば、難問山積かもしれない。日本には「年度」という、4月に始まり3月で終わる仕組みがある。いわゆる、会計年度だ。国など官公庁や地域自治体はこの会計年度をベースとして予算を編成し、決算の会計処理する。とくに国公立の教育機関だと会計年度がずれるとややこしくなる。そもそも、学校教育法において学年は4月1日に始まり翌3月31日に終わると定めているので、法律の改正もともなう。

   社会全体に影響がおよぶことが予想されるものの、それでもやはり、新型コロナウイルスという災禍をチャンスとして「9月新学期」を導入してはどうかと考える。大学としても、学生の就活時期との兼ね合いなども出てくるだろう。民間企業もほとんどが3月期決算であり、入社は4月となっている。逆に9月新学期の移行を機に、企業の採用の有り様も通年採用へとシフトするかもしれない。9月新学期がグローバルスタンダードへの社会変革の口火となることを期待したい。

⇒2日(土)朝・金沢の天気    はれ

★「コロナとの共生」は人類の知恵か誤解か

★「コロナとの共生」は人類の知恵か誤解か

   今も感染拡大が続く新型コロナウイルスへの各国の防止対策の中で、独特なのはスウェーデンのやり方だ。日本のように「最低7割、極力8割」の外出自粛の要請も、あるいは欧米各国のようなロックダウンもしない。学校や企業も通常通りで、あくまでも個人の自主性を尊重するという独自路線をとっている。

          スウェーデンの対策のキーワードは「集団免疫」だ。集団免疫を獲得する方法が2つあり、それはワクチンと自然感染。今回ワクチンはまだ開発されていないので、自然感染を戦略として選んだ。これは人口の大多数がウイルスに感染することで、人の体内で抗体がつくられ感染が広がりにくくなる効果を狙っている。

   4月28日付の「USA TODAY」Web版はスウェーデン公衆衛生局コロナウイルス対策の責任者で、疫学者の アンダース・テグネル(Anders Tegnell)氏へのインタビュー記事を掲載している=写真=。見出しは「Swedish official Anders Tegnell says ‘herd immunity’ in Sweden might be a few weeks away」(意訳:テグネル氏はスウェーデンでの「集団免疫」は数週間先にと語る)。記事を以下まとめてみる。

    ストックホルムを含む首都人口の25%が新型コロナウイルスに感染して、あと数週間先には集団免疫を獲得する公算がある。積極的に集団免疫を目指したわけではなく、医療への負担を最小限にとどめる方策も勘案してこのような対策になった。商店営業など容認にしているので経済への影響は比較的少ない。

   インタビューの最後のコメントは印象的だ。「Coronavirus is not something that is just going to go away. Any country that believes it can keep it out (by closing borders, shuttering businesses, etc.) will most likely be proven wrong at some stage. We need to learn to live with this disease.」。(意訳)コロナウイルスは長期間存在する。国境を閉ざし、企業を封鎖してウイルスを排除できると考える国はいつか間違いに気がつくだろう。私たちはこの感染症と共生することを学ばなければならない。

   上記の記事を読むと理想的な疫学対応であり、人類の知恵のように感じてしまう。が、一方でスウェーデンでは感染者が2万1092人、死者2586人(4月30日・ジョンズ・ホプキンス大学集計)となり、厳格な外出規制を実施している隣国のフィンランドなどと比べて高い致死率だ。このままの戦略で良いのか、と思ってしまう。

   WHOが29日に行った記者ブリーフィングで、緊急対応責任者がスウェーデンの集団免疫の効果について記者から質問を受け、こう返答している。「感染が広がったエリアでは免疫を持つ人のパーセンテージは低い傾向にあるのではないか」「一時的に治まってもウイルスの勢いはぶり返す可能性もある」と述べている(WHO公式ホームページ会見動画)。

⇒1日(金)午後・金沢の天気   はれ時々くもり

☆コロナ的日常が創り出すビジネスと新語

☆コロナ的日常が創り出すビジネスと新語

   今ではオンラインがすっかり定着した感がある。金沢大学でも「5月6日まで対面での授業は実施しない」との新型コロナウイルスの予防対策がとられ、オンラインでの講義が中心となっている。大型連休に入ってからは、「オンラインで飲み会をやろう」という輩(やから)もいて、それも「昼から」だという。きのうのことだ。30分ほどだったが画面に顔出しをした。会話が弾み、この時初めて意識したことは、飲み会とは本来「近況を語り合う会」なのだ、と。

   この飲み会の中で、「オンライン・ソムリエ」が話題になった。金沢のワイン・バーのソムリエがネットで客とつながり、客の自宅の食卓に並ぶ料理に合うワインの銘柄などを解説してくれるという。自宅にいながらにして「マリアージュ」の楽しみ方が学べる。確かに、ワインのソムリエからはグラスに注いでもうらうだけではなく、そのワインの歴史やエピソードなどの語りが面白い。参加者から「ハッピータイムだね」と声も上がり、雰囲気が盛り上がった。

   そのワイン・バーは夜の営業は今月11日から自粛しているが、その代わり午後2時から7時まで店を開いて貯蔵しているワインを販売している。きょう午後、オンライン・ソムリエの店に行った。ネットお客と会話が始まっていた。ソムリエはオーストラリアのワインについて説明していた。「最初にブドウの木が植えられたのは1788年で、場所はシドニーにだったそうです」とまるでカウンター越しに話しかけているようだった=写真=。

   話のルールはただ一つ、コロナウイルスの話はしないことだそうだ。「話がマイナスのイメージばかりになるので避けています」と。プロの世界はリアルでもオンラインでも話が面白い。これは新しいビジネスではないか、そう実感した。ちなみにオンライン・ソムリエの利用は20分間で2000円、ワインは客が自分で購入する。帰りに店でワインを数本購入した。

   帰宅すると、高校時代からの友人が訪ねてきてくれた。先日(27日付)ブログで金沢市内のドラッグストアを4軒回ったもののマスクが販売されてなかったと書いたが、それを読んでわざわざ新品のマスク(5枚セット)を持参してくれたのだ。「マスク・パトロールばかりやっていると感染するから注意しろよ」とアドバイスがあった。マスク・パトロールという言葉を初めて聞いた。マスクを求めて、店を探し回ることを意味するそうだ。それが、3密(密集、密閉、密接)」のもととなる、とか。気遣ってマスクをプレゼントしてくれた友人にお礼として購入したワイン1本を持って帰ってもらった。

   コロナ的な日常はオンラインとうビジネスチャンスと新しい言葉を創り出している。そのひとコマを記した。とくに話の文脈はない。

⇒30日(木)午後・金沢の天気    はれ

★「中国に感謝」テドロス会見から読めること

★「中国に感謝」テドロス会見から読めること

   前回に続き、気になった記者会見をもう一つ取り上げてみる。WHOのテドロス事務局長が現地時間27日にスイス・ジュネーブの本部でインターネットを通じ行った会見だ。WHOの公式ホームページをチェックすると会見のテドロス氏の ブリーフィングの内容と記者からの質疑の様子が動画で掲載されている=写真=。 

         ブリーフィングの前段は一般論でウイルスを制御するためにはワクチンが必要と訴えている。ワクチン接種率が下がると、麻疹(はしか)やポリオなどの生命にかかわる病気で多くの集団発生が起こると警鐘を鳴らしている。後半から新型コロナウイルス感染に対するWHOの対応を述べている。その中で気になる文言が、「I would like to thank the People’s Republic of China, Portugal and Viet Nam for their recent contributions to WHO’s Strategic Preparedness and Response Plan.」だ。WHOへの活動に貢献する中国、ポルトガル、ベトナムに感謝する、としている。

   確かに、中国は今月23日にWHОに対し感染対策として3千万㌦を寄付すると発表した。これまで表明していた2千万㌦に加えて合計5千万㌦、日本円で53億円の寄付となる(今月24日付・NHKニュースWeb版)。テドロス氏が中国に感謝するのは理解できるが、ポルトガルとベトナムはどのような貢献なのか読めない。「中国寄り」との批判をかわすための付け足しなのかと勘繰ってしまう。

   ブリーフィングの締め括りは、「We can only defeat this virus through unity at the national level and solidarity at the global level.(私たちは国家レベルでの団結と世界レベルでの連帯を通じてのみこのウイルスを倒すことができます。)と強調している。裏返せば、世界が団結に至っていないので、感染者は310万人、死者は21万人(28日現在、ジョンズ・ホプキンス大学CSSE集計)のパンデミックになっているのだ、とも読める。

   穿(うが)ち過ぎとの指摘を受けるかもしれないが、アメリカのトランプ大統領はWHOの一連の対応が中国寄りと批判し、一時的に資金(4億㌦)の拠出を停止する考えを示している。そこで、テドロス氏は国名を名指しこそしなかったが、団結を乱したアメリカで感染者100万人、死者が6万人も出ているのは自業自得だ、と皮肉っているようにも読める。

   このブログでも何度か述べたが、テドロス氏はWHOの緊急事態宣言を「時期尚早」と見送った(1月23日)。これが感染拡大の原因の一つと問題視する見方が世界で広がった。最近ときおり閲覧する、署名サイト「Change.org」でテドロス氏解任キャンペーンが展開されている。きょうチェックすると100万を上回る署名が集まっている。

⇒29日(祝)午後・金沢の天気    はれ時々くもり

☆「Say it?」のトランプ会見から読めること

☆「Say it?」のトランプ会見から読めること

   健康不安説が浮上している北朝鮮の金正恩党委員長の状態について、アメリカのトランプ大統領が記者会見(27日)で「大体分かっている」と述べたと報じられた(28日付・共同通信Web版)。記者会見の中身を詳しく知りたいと思い、ホワイトハウスの公式ホームページを検索し、27日の会見の内容を読んでみる。(※写真はホワイトハウスのツイッターから)

   会見は55分間。前半は新型コロナウイルスに関する経済対策などのブリーフィング、後半は記者からの質問で、金正恩氏の健康状態に関しては最後の方に出てくる。以下、気になった箇所をピックアップする。

Q    Do you have any update on Kim Jong Un’s health?

THE PRESIDENT:  Say it?

I — I hope he’s fine.  I do know how he’s doing, relatively speaking.  We will see.  You’ll probably be hearing in the not-too-distant future.

All right.  One or two more.  Go ahead, please.

Q    Is he alive?  Are — are you confirming he’s alive?

  記者からの質問にトランプ氏が発した言葉は「 Say it?」だった。「それを言うか」と。つまり、「この件は質問してほしくなかった」との意味だろう。意味深なのは次の言葉だ。「彼が元気であることを願っている。私は彼の状態をおおむね分かっている。様子を見ましょう。遠くない将来にあなたたちも知ることになるでしょう」と。その後、トランプ氏は「さあ(質問を)さらに一つ二つ続けて」と言うと、記者が「正恩氏は生きているのでしょうか、大統領は彼が生きていることを確認していますか」と食い下がったが、トランプ氏はその質問には一切答えず、次の大統領選についての質問に答えていた。

   今月21日付でCNNは金正恩氏が手術を受けて重篤な状態にあるという情報があると伝えた。病名などは特定していない。この報道を受けて、トランプ氏は記者団から尋ねられ、「私に言えるのはこれだけだ。彼の健康を願う」と述べるにとどめていた(22日付・CNNニュースWeb版)。その後も、中国が金氏の容体について助言を行うための医療専門家チームを北朝鮮に派遣したと報じられた(25日付・ロイター通信Web版)。

   「Say it?」の記者会見の文脈やニュースの流れを読めば、「次なるニュース」は想像に難くない。

⇒28日(火)朝・金沢の天気    くもり

★コロナとナマズ 見えざる敵

★コロナとナマズ 見えざる敵

   手元のマスクが残りわずかになり、きのう金沢市内のドラッグストアを4軒回ったがどこも品切れだった。たまたま、文房具店に入ると、「ファッションマスク 1人5枚まで」とチラシが貼ってあった。ファッションマスクの意味を理解せず、5枚購入した。1枚162円。ネットで検索しても、ファッションマスクの意味がよく理解できない。商品の袋には飛沫予防、ポリウレタン素材で伸縮性があり耳が痛くなりにくいなどの説明書きがある。マスクとしての機能より、おしゃれ感覚で使う身につけるマスクという意味だろうか。

           新型コロナウイルスによる感染も怖いが、最近、日本列島の各地で頻発している地震も、大地震の予兆ではないかと不安心理に陥る。この一週間(今月20-26日)だけでも長野など中部、関東、東北、北海道で震度3から4の揺れが13回あった(気象庁公式ホームページ「地震速報」)。3月13日未明に能登半島の輪島で震度5強、金沢で震度3と身近に揺れがあり、神経が少々過敏になっているのかもしれない。

   ネット上で見つけた論文だが、「地震の前兆の可能性がある自然現象」(東北大学東北アジア研究センターの石渡明氏、2011年6月作成)の中で「ナマズなどの生態異常」という項目が目を引いた。以下一部引用する。

   「・・・1923年の関東大地震の前日に湘南の鵠沼海岸の池で、投げ網を用いて30 ㌢大のナマズをバケツ3杯分ほど漁獲した人がいた。ナマズは昼間は池の底に潜んでいるはずなのに、泳ぎ回っていて容易に捕獲されたことは、地震の前兆の何らかの刺激による異常行動かもしれない。関東大地震の直前に、向島の料亭において、池の水面から頻繁に小魚が跳び上がるのを見て、店の者に何という魚か聞いたところ、ナマズの幼魚で2~3日前からこのように跳ね上がっていて不思議なことだと答えたという。・・・」

   マナズと地震の関係性を最初に唱えたのは豊臣秀吉とされる。寒川旭著『秀吉を襲った大震災~地震考古学で戦国史を読む~』 (平凡社新書) に詳しい。1586年の天正地震。このとき秀吉は琵琶湖に面する坂本城にいた。湖のナマズが騒ぐと地震が起きるとの土地の人たちの話を聞いた秀吉は「鯰(ナマズ)は地震」と頭にインプットしてしまった。その後、伏見城を建造する折、家臣たちに地震対策をしっかりせよとの意味を込めた、「ふしん(普請)なまつ(鯰)大事にて候・・」と書簡をしたためている。この「なまつ大事にて候」の一文は時と所を超えて安政の江戸に伝わる。地震に怯える江戸の民衆は、震災情報を求めて瓦版や、鯰を諫(いさ)める錦絵=写真=を競って買い求めた。

   論文「地震の前兆の可能性がある自然現象」の中でナマズがバケツ3杯も獲れたとの話は、マナズと地震の口頭伝承がある江戸=東京であるがゆえに記録された日常の異変かもしれない。拡大解釈すれば、秀吉の「なまつ大事にて候」は人々に日常における危機意識を植えつけてくれた言葉と言えないだろうか。予兆を早めに察知する心構えや機転、情報共有をスムーズに伝播する知恵でもある。

   ところが現代人はメディアの発達によって、情報があれば危機意識を持つことは無用と思い込むようになったのではないだろうか。防災用語に「正常化の偏見」や「正常性バイアス」という言葉がある。目の前に危険が迫ってくるまで、その危険を認めようとしない人間の心理傾向、あるいは危険を無視する心理のことを指す。コロナ禍の緊急事態宣言の下でも、休業要請を無視するパチンコ店、そこに列をなす客。見えない敵への危機意識のなさは決して他人事ではない。自戒を込めての話だ。

⇒27日(月)午後・金沢の天気    はれ

☆コロナ禍 腐心するテレビと新聞

☆コロナ禍 腐心するテレビと新聞

   新型コロナウイルスの緊急事態宣言の下、社会では「巣ごもり」や「在宅ワーク」が当たり前となった。在宅率が高まればその分、テレビや新聞との接触度も増える。そこからは番組や紙面づくりに腐心するメディアの姿も垣間見える。

   先日(今月21日)ローカルテレビ局の知人と話していて、「HUT(総世帯視聴率)が10%も増えたが、再放送の番組ばかりで視聴者は満足していないのでは」と。「確かにそうだね」と瞬間うなずいた。お笑いタレントの志村けんさんが3月29日に新型コロナウイルスの肺炎で亡くなり、「追悼番組」と称して民放だけでなくNHKも出演番組を再放送していた。不謹慎な言い方かもしれないが、「バカ殿様」のシーンがどの局でも繰り返され、正直言って、亡き人への記憶を消費しているに過ぎないのではないだろうか、死者の尊厳に配慮した追悼番組なのだろうかと疑問に思った。次は今月23日に亡くなった女優・岡江久美子さんの出演番組の再放送かと思うと少々いたたまれない。

   自身も在宅ワークとなり、平日の日中にテレビのリモコンをオンにする回数が増えた。視聴して感じることは、土日であってもCMが少なく、自社番組の宣伝や「ACジャパン(公共広告機構)」やがやたらと目立つ。インターネット広告費がテレビ広告費を初めて超えるという「広告業界の転換点」(電通「2019年 日本の広告費」)から転げ落ちるようにCM出稿量が激減しているのではないか。「ギョーカイは大丈夫か」と他人事ながら懸念する。

   報道や情報番組は新型コロナウイルスの関連テーマが多いが、伝えるべき情報をいち早くというテレビ報道の使命感のようなものを感じる一方で、出演しているウイルス感染の専門家のコメントが危機感を煽り過ぎると感じることもある。

   先にテレビCMが減ったと述べたが、新聞も同様に広告段数が低くなり、自社広告が目立つ。新聞に折り込まれるチラシ広告も随分減った。これまであったスーパーの特売日やポイント還元のチラシを見なくなった。感染予防のため、買い物客の混雑を招く販売促進のチラシを自粛しているのだろうか。

   紙面では見出しにも気遣がうかがえる。「連休中 うちで過ごそう 各地の人出 大幅減」(26日付・朝日新聞)。連休初日(25日)の全国各地の人出の様子を記した一面の記事だが、あえて見出しで「うちで過ごそう」とつけた。社会状況や読者の心理、そして報道の有り様を鑑みた編集者の苦心の見出しではないだろうか。

   新聞紙面の広告段数が減るとその分、紙面を埋める記事の量が増えて記者の仕事量が増える。ところが、大型連休とは言え、屋内外のイベントは中止、観光名所も閉鎖となり記事にならない。新聞業界では「ニッパチ」といって、2月と8月は社会の動きが緩慢になり記事も少なくなる。このニッパチ現象が連休明け後も当面続くのではないだろうか。   

   テレビ局は放送時間を極端に削減することはできないが、新聞社はページ数を削減できる。今後はその方向ではないだろうか。

⇒26日(日)午後・金沢の天気   くもり時々あめ