#新型コロナウイルス

★「コロナ」から5年、ワクチン接種8回目 マスクはすっかり日常に定着

★「コロナ」から5年、ワクチン接種8回目 マスクはすっかり日常に定着

  打つか打たないか少々迷ったが、結局、打つことにした。きのう(18日)金沢市内のクリニックで新型コロナウィルスのワクチン接種をしてきた。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2023年5月に5類に移行して、単なる風邪くらいのイメージだったが、5類以降でコロナに罹った知人から発熱とのどの痛みに悩まされ続けたと聞かされ不安に思ったことがある。なので5類以降も、接種の案内が市役所から届くたびに律儀に接種を続けてきた。ただ今回市役所から案内で迷ったのは、前回去年11月13日に接種したのが最後だったので、あれから11ヵ月も経っている。「もういいだろ」と「いちおう念のため」の思いが交錯した次第。

  1年ぶりの接種、8回目だった。医師は右肩にさりげなく接種。これまでは、15分ほど待合室で待機して、何もなければ退室だったので、今回も「このまま15分待っていればいいですか」と医療スタッフに問うと、「そのままお帰りください」とのことだった。新型コロナワクチンは、2023年度までは全額公費負担で無料接種が行われてきたが、今年度はインフルエンザと同じ予防接種扱い。なので自己負担、2300円だった。(※写真・上は、ファイザー社のワクチン=同社の公式ホームページより)

  間もなく師走。年の瀬ともなれば年末の行事や買い物など忙しくなり、人と会う機会も格段に増えるだろう。で、「やっぱり打ってよかった」といま思っている。ワクチ接種に理由はない。要は自己防衛の本能なのだろう。

  日本人と新型コロナウイルスとの長い戦いは2020年4月に政府から出された「緊急事態宣言」から始まった。国民生活や経済に甚大な影響をおよぼす恐れがあるとして、総理大臣が宣言を行い、緊急的な措置を取る期間や区域を指定した。5年が経ち、あのころとまったく変わっていない光景がある。マスク着用のことだ。5類に移行してある意味で平時に戻って、世の中全体が肩の荷を下ろしたように楽になった。感染症法に基づく外出自粛要請や濃厚接触者の特定などは廃止となり、マスク着用も個人の判断に委ねられるようになった。ところが、電車やバスの中はもちろんのこと、金沢の街を歩いていてもすれ違うほとんどの人がマスクを着用している。(※写真・下は、2020年4月に当時の安倍総理が1世帯2枚のマスクを配布すると説明=首相官邸公式ホームページ)

  マスクへの執着は弊害を生むこともあった。2020年の非常事態宣言後の夏にマスク着用者に熱中症が続出し、厚生労働省と環境省は「マスクをはずしましょう」とポスターで呼びかけた。マスクを着けたままだと、自らがはいた熱い息を吸うことで、熱中症のリスクが高まる、というのだ。そこで、人と人の間で2㍍以上の十分な距離がとれるのであれば、「マスクをはずしましょう」となる。あれから5年経っても、夏マスクを着けている人は多い。

  コロナ感染が世の中からなくなったわけではないので着用は当然なのかもしれない。コロナ禍でマスクがすっかり日常に定着した。これも自己防衛の本能なのだろう。

⇒19日(火)午後・金沢の天気     くもり

☆「2023 アレどうなった」➃ マスクとワクチンは防衛本能

☆「2023 アレどうなった」➃ マスクとワクチンは防衛本能

   新型コロナウイルスの感染はことし5月8日に感染症法上の位置づけが「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ扱いの「5類」に移行した。2020年1月から足掛け4年に渡る、人とウイルスの長い戦いだった。

           感染症法「5類」に移行とは言え、マスクは手放せない

   平時に戻って、世の中全体が肩の荷を下ろしたように楽になった。なんと言っても、マスク着用は個人の判断に委ねられるようになった。また、感染症法に基づく外出自粛要請や濃厚接触者の特定などは廃止となった。もちろん、5類に移行したからと言って、コロナ感染が世の中から消えたわけではない。5類以降でコロナに罹った知人から発熱とのどの痛みに悩まされたと聞かされ不安に思ったこともある。

   とりあえずワクチンを打とうと思い、先月11月13日に金沢市内のクリニックで新型コロナワクチンを接種してきた。前回は6月で7回目の接種だった。接種のつい数日前までは感染症法上の位置づけが5類に移行していることだし、「もういいだろう」と接種を止めようと思い、9月に市役所から郵送されてきた接種券をほったらかしにしていた。しかし、間もなく師走。年の瀬ともなれば年末の行事や買い物など忙しくなり、人と会う機会も格段に増える。で、「やっぱり打っておこうか」と接種を申し込んだ次第。コロナ禍で人混みを気にするようになり、自己防衛の本能が働いたようだ。

   コロナ禍で、新たな習慣として一つ身に着いたのはマスクの洗濯かもしれない。マスクは衛生上も使い捨てという概念だったが、それが一変した。生活様式としてマスクを身につけるのであれば、それは衣類と同様に持続可能な使い方をしなけらばならない。それは洗濯である。洗剤で手洗いをする。1枚を2日間使い、2枚か3枚をまとめ洗いをする。そして、ハンガーにつるす=写真=。「5類」移行後は洗濯の回数はずいぶんと減ったが、それでもたまにマスク洗いをしている。時代の変化をマスクで感じたものだ。

   今後、コロナとどう向き合い、そして共生していけばよいか、マスクを手にしながらそんなことを考える。

⇒30日(土)午後・金沢の天気    はれ

☆金沢はカミナリ銀座、インフル発生、コロナ禍止まず

☆金沢はカミナリ銀座、インフル発生、コロナ禍止まず

   朝から西の空に雨雲が立ち込めている。気象庁は、北陸地方できょう午前中から午後にかけて、線状降水帯が発生する可能性があると発表している。きのう5日午後も雷を伴って、一時的に激しい雨が降った。

   金沢に住んでいて、とくに気をつけるのは雷だ。何しろ金沢は「カミナリ銀座」。全国の都市で年間の雷日数がもっとも多いは金沢の45.1日だ(気象庁「雷日数」1991-2020)。ちなみに、東京は14.5日、仙台は9.8日となっている。雷が直接落ちなくても、近くで落ちた場合には「雷サージ」と呼ばれる、瞬間的に電線を伝って高電圧の津波現象が起きる。この雷サージがパソコンの電源ケーブルから機器内に侵入した場合、部品やデータを破壊することになる。(※写真は、北陸電力公式サイト「雷情報」より)

   きのうもピカッと空が光り、ヤバイと思い、瞬間的にパソコンの電源ケーブルを外した。PCをチェックしたが、異常はなくひと安心した。電源ケーブルをコンセントに入れたまま外出して、途中で雷が発生するということもある。万が一に備えて、雷害からPCを守るためにガードコンセントを使っている。

   話は変わる。この時節としては珍しい集団風邪が石川県内で発生している。県のプレスリリース(5日付)によると、5日現在の患者数はあわせて153人で、金沢市内の高校や小松市と白山市の小学校など4つの学校で学級閉鎖や学年閉鎖の措置がとられている。欠席した生徒や児童の症状は、38度以上の発熱があり、のどの痛みを訴えるなどインフルエンザの症状という。昨シーズンの集団風邪の発生はことし1月16日だった。インフルエンザは季節性がなくなり、年間を通して発症が見られるようになってきた。
   
   県内では新型コロナウイルスと診断された患者数は1223人(8月21-27日の合計)と高止まりの傾向が続いている。今後、集団風邪と新型コロナの「ダブル感染」も流行するのかもしれない。

⇒6日(水)午前・金沢の天気   あめ

☆コロナ禍で丸3年 「ブラボー」まだ叫べない

☆コロナ禍で丸3年 「ブラボー」まだ叫べない

   新型コロナナウイルスの感染拡大は第8波に見舞われている。その起点となる最初の感染が確認されたのが2020年1月15日だったので、ちょうど3年たったことになる。この間、マスク着用やソーシャルディスタンスなどは日常の自然の振る舞いのようにもなった。そして、さまざまな変化にも気づく。

   先日、金沢市にある県立音楽堂で開催されたコンサートに出かけた。新型コロナウイルスの感染を避ける観客席の制限はとくになかったものの、一点だけ注意のアナウンスがあった。「ブラボーの声掛けは控えてください」。素晴らしい演奏にブラボーが飛べば客席の気分がさらに盛り上がるものだが、確かにブラボーを叫べば前方につばが飛ぶだろう。今後、コロナ禍が沈静化しても、ブラボーは復活しないかもしれない。

   もう一つ。茶道の茶会で濃茶は茶碗の回し飲みをする「吸い茶」が流儀だったが、コロナ禍では各服点(かくふくだて)と呼ばれる、一人が一碗で飲む流儀になっている。この各服点は、百年前の大正期にスペイン風邪と呼ばれるインフルエンザが日本で大流行したときに導入されたが、風邪が治まって吸い茶が復活していた。コロナ禍で人々の衛生観念はかなり敏感になった。コロナ禍が終了したとして、回し飲みの流儀にすんなりと戻るのか。

   話は海外に飛ぶ。いま流行のオミクロン株は世界で派生型の種類が多いとされる。メディアが連日取り上げている、中国のゼロコロナ政策解除の爆発的な感染拡大、さらに、春節の休暇(今月21-27日)による中国人の海外渡航の問題。中国国内ではすでに集団免疫を獲得していて、渡航を許可しているのかもしれない。ところが、中国政府が感染者数や死亡者数をあいまいにしたことから、他国は疑心暗鬼に陥っている。

   逆なことを考えると、中国人が国内で集団免疫を獲得していたとしても、海外の旅先で別の変異株に感染すると、帰国後にそれが新たな感染拡大の要因になるのではないか。人とコロナウイルスのいたちごっこが繰り返される。もちろん、中国だけの話ではない。コロナ禍の収束までには相当な時間がかかりそうだ。

⇒16日(月)夜・金沢の天気   くもり

☆コロナ感染の実態伝えない中国 世界の不信感は募る

☆コロナ感染の実態伝えない中国 世界の不信感は募る

   WHOは中国に対して、新型コロナウイルス感染が拡大しているにもかかわらず、死者数などを過少に報告していることに苛立っている。WHO公式サイト(4日付)によると、WHO担当者が先月30日、感染者の入院やワクチン接種などのデータを定期的に共有するよう中国側に要請。中国と国際社会の医療の効果的な対応のためにもデータ公表が重要だと強調していた。にもかかわらず、中国側は真摯に対応しようとしていない。

   テドロス事務局長の記者会見(今月4日)からもその様子がうかがえる。「WHO is concerned about the risk to life in China and has reiterated the importance of vaccination, including booster doses, to protect against hospitalization, severe disease, and death.(意訳:WHOは、中国での生命に対するリスクを懸念しており、入院、重症疾患、死亡から保護するために、追加接種を含むワクチン接種の重要性を繰り返し表明している)」(WHO公式サイト)

   なぜ中国は正確な数字を把握して世界に公表しないのか。世界各国は不信の念を抱かざるを得なくなる。さらに、中国国家衛生健康委員会は先月25日、感染者と死者の人数公表を同日から取りやめた(同25日付・時事通信Web版)。これを契機に世界各国は水際対策を取ることになる。中国では今月21日から旧正月・春節の大型連休が始まり、中国から観光の渡航者が増えるからだ。

   日本は先月30日から水際対策を実施。今月8日からは精度の高いPCR検査や抗原定量検査に切り替える。韓国と台湾、フランス、イタリアもすでに入国時の検査。アメリカとイギリス、カナダ、オーストラリアはきょう5日から実施している。EUは加盟国に対して、中国渡航者から出発前の陰性証明の提示を求めることを勧告している。

   こうした各国の水際措置に対して、中国は反発している。BBCニュースWeb版日本語(12月29日付)=写真=によると、中国外務省の汪文斌報道官は記者会見(同28日)で、中国の感染状況について西側諸国とメディアが誇張し、ねじまげて伝えていると非難。「コロナ対応は科学的根拠に基づいた、適切なものであるべきで、人的交流に影響をおよぼしてはならない」「安全な越境移動を確保し、世界の産業サプライチェーンの安定性を維持し、経済の回復と成長を促進するための共同努力が必要だ」と述べた。

   述べている内容には間違いはないものの、数字をねじまげて伝えたのは中国側であり、数字の公表を取りやめたことに世界は不信感を抱いている。2020年の春節で中国が行動制限をしなかったことから、パンデミックが拡大した。世界各国はそのことを教訓として警戒している。

⇒5日(木)夜・金沢の天気    くもり

☆「不都合な痛み」あれこれ

☆「不都合な痛み」あれこれ

   きのう新型コロナウイルスの4回目のワクチン接種を金沢市内の病院で受けてきた。去年の2回(6月、7月)はファイザーで、3回目(ことし3月)と今回にはモデルナだった。すこし不安があった。3回目とのときは、接種した右腕の付け根の部分に痛みが1週間ほど残った。そして今回、ちょっと不思議なことに、右腕の付け根だけでなく、左腕のほぼ同じ個所にもじんわりとした痛みがあるのだ。痛みが左右で連動することはあるのだろうか。あるいは就寝中に左腕を下に寝てしまい、その痛みだろうか。なんとも不都合な痛みである。

   そして気になるニュースをいくつか。札幌市が招致を目指す2030年の冬季オリンピック・パラリンピック。札幌市長は意欲満々のようだが、事実上、ストップしたのではないだろうか。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会(6月解散)の高橋治之・元理事が五輪スポンサーをめぐり、受託収賄容疑で家宅捜査を受けた(7月26日付・朝日新聞Web版)。

   電通の元専務もある高橋氏はオリンピックそのものを誘致するロビイストだ。ロイター通信Web版(2020年3月31日付)は、ロイター通信が五輪招致をめぐり高橋が招致委員会から820万㌦(8億9000万円)の資金を受け、IOC委員にロビー活動を行っていたと報じている。IOC委員に対するロビー活動については、国際的にも問題が指摘されている。これだけあからさまになって、高橋氏は札幌五輪のためにロビー活動を続けることはできるだろうか。札幌市長にとっては不都合な痛みだ。 

   銃撃に倒れた安倍元総理の国葬が9月27日に日本武道館で営まれる。国葬の前になすべきことは、まず国会での追悼演説ではないか。メディア各社の報道によると、本来は8月5日の臨時国会で甘利前幹事長による追悼演説が「遺族の意向」もあり、セットされていた。ところが、与野党から反対論があったことから見送られ、秋の臨時国会で行われることになったようだ。誰が演説するのか決まっていない。演説する側も内容や器量が問われる。

   読売新聞の世論調査(8月5-7日)によると、岸田内閣の支持率は、前回(7月11-12日)より、8ポイント下落して57%だった。不支持は8ポイント上昇して32%。自民党の支持率も6ポイント落ちて38%だった。煮え切らない、はっきりしない、じれったい内閣に有権者の不満が募っている。「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)とのつながりについて、政党や国会議員が説明責任を果たしていると「思わない」は87%だ。おそらく、統一教会問題、そして追悼演説問題は不都合な痛みとしてこれからさらにじわじわと増してくるのでは。

   冒頭で述べた、ワクチン接種の痛みが先ほどから増してきた。さらに、小刻みに体が震える症状も。しばらくキードボードを打つことができなかった。いまは痛みも震えも治まった。これって、アナフィラキシー症状なのか。ヤバイ。

⇒10日(水)午後・金沢の天気   くもり

★能登が輝く祭りシーズン ウイズコロナで3年ぶり

★能登が輝く祭りシーズン ウイズコロナで3年ぶり

   能登では夏から秋にかけて祭りのシーズンとなる。「盆や正月に帰らんでいい、祭りの日には帰って来いよ」。能登の集落を回っていてよく聞く言葉だ。能登の祭りは集落や、町内会での単位が多い。それだけ祭りに関わる密度が濃い。子どもたちが太鼓をたたき、鉦(かね)を鳴らす。大人やお年寄りが神輿やキリコと呼ばれる大きな奉灯を担ぐ。集落を挙げて、町内会を挙げての祭りだ。その祭りが新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2020年と21年は軒並み中止だった。3年ぶりでようやく「復活」のめどがついたようだ。

   能登の祭りは派手でにぎやかだ。大学教員のときに、留学生たちを何度か能登の祭りに連れて行った。中国の留学生が「能登はアジアですね」と目を輝かせた。キリコは収穫を神様に感謝する祭礼用の奉灯を巨大化したもので、大きなものは高さ16㍍にもなる=写真=。輪島塗の本体を蒔(まき)絵で装飾した何基ものキリコが地区の神社に集う。集落によっては、若者たちがドテラと呼ばれる派手な衣装まとってキリコ担ぎに参加する。もともと女性の和服用の襦袢(じゅばん)を祭りのときに粋に羽織ったのがルーツとされ、花鳥風月の柄が入る。インドネシアの留学生は「少数民族も祭りのときには多彩でキラキラとした衣装を着ますよ」と。留学生たちは興味津々だった。

   ところで、3年ぶりに祭り再開とは言え、実施に当たってはコロナ対応にかなり気遣っているようだ。地元紙の記事によると、高さ15㍍のキリコを100人の若衆で担ぎ上げ、6基が街中を練る七尾市の石崎奉燈祭(8月6日)では練り歩く範囲を町中心部の広場に限定して実施するようだ。さらに祭りの2日前に関係者のPCR検査を、当日には抗原検査を実施して陰性の人のみ参加とする。そして、祭り当日の飲酒は禁止となる(今月26日付・北國新聞)。

   祭りに酒はつきものだが、大きなキリコを担ぎ上げる際には勢いをつけるために一升瓶を回し飲みしたりするので、禁止となるようだ。石崎奉燈祭は漁師町の若衆が中心なので、ノンアルコールで勢いはつくのかどうか。

   能登のキリコ祭りは2015年4月に、日本遺産「灯り舞う半島 能登 ~熱狂のキリコ祭り~」に認定され、全国から見学や参加希望の祭りファンが増えていた。また、祭りを開催する側もおそらくこれ以上の中止が続くと、伝統行事の祭礼の継承そのものが痛手となること判断したのだろう。冒頭の「盆や正月に帰らんでいい、祭りの日には帰って来いよ」の言葉が示すように、過疎化が進行する能登にあって、祭りの継続は集落にとって価値観の共有であり、持続可能な地域づくりに欠かせない祭礼イベントなのだ。

⇒27日(月)午前・金沢の天気    はれ時々くもり

★さりげないディスタンス茶席に和の心

★さりげないディスタンス茶席に和の心

   新型コロナウイルス禍の影響で3年ぶりの開催となった金沢の「百万石まつり」(3-5日)に出かけた。このイベントは加賀藩初代の前田利家公が金沢城に入城するのを再現する「百万石行列」がメインで行われ、市内7ヵ所で茶道の各流派が茶席を設ける「百万石茶会」が開催される。出かけた先は7つの茶席の一つの「旧中村邸」。造り酒屋の一族の旧邸宅で、昭和3年(1928)に建てられ、切妻造りの建物は市の指定保存建造物でもある。

   茶席は2階の27畳の大広間。床の間に掛け軸「乕一声清風起(とらいっせい   せいふうおこる)」が掛けられていた=写真=。虎の鳴き声で一陣の清風が吹いて山や海の景色が変わる例えのように、百万石祭りが行われることでコロナ禍で沈んでいる金沢に再びにぎわいが戻ることを期待するという思いが込められているそうだ。茶席の亭主の解説を聞きながら薄茶をいただく。

   コロナ禍での注意も怠りはなかった。参加者の入れ替えなどで人数を制限していた。お菓子とお茶をいただく以外はマスクを着用し、間隔を空けて一定の距離を保つ。これまでのように1つの畳に3人か4人ではなく、「半畳に1人」という間隔を空けて座る。誰かの指示で着座するというより、参加者が自然とソーシャルディスタンスを保ちながら、席入りしていたので心得たものだ。

   3年ぶりの百万石茶会ということもあって、目立ったのは和服姿だった。見たところ女性の8割は和装だった。コロナ禍で和服を着る機会が少なかった。参加者は久しぶりで和の装いを楽しみ、そして茶道を満喫したのではないだろうか。

⇒5日(日)夜・金沢の天気    くもり

★マスメディアは数字にこだわる

★マスメディアは数字にこだわる

   記事やニュースの見出しで数字を見ない日はない。きょうの新聞紙面をチェックすると、一面で「海外協力隊 高まる関心 北陸の説明会応募2.3倍」(北陸中日新聞)と報じている。JICA調べで、北陸3県の説明会の応募累計は68人に上り、2019年春より2.3倍の多さだという記事だ。さらに同じ一面で「災害時トイレ『不足』39% 県庁所在地など 自治体備蓄に限界」(同)は大規模災害に使えるトイレが、金沢市など県庁所在地と政令指定都市の51市のうち39%にあたる20市が「不足する恐れがある」と調査で分かったという内容だ。

   他紙でも、「著作権料 過去2番目の徴収額 昨年度1167億円 JASRAC 配信・サブスク伸びる」(朝日新聞)など。NHKニュースWeb版も「“1.5度”の気温上昇『今後5年間に起きる可能性 50%近く』」「『集中豪雨』の頻度 45年間で2倍余増」と見出しで数字が踊っている。

   では、なぜ記事では数字を多用するのか。ジャーナリズムの鉄則は「形容詞は使わない」ことにある。形容詞は主観的な表現であり、言葉に客観性を持たせるには、数字を用いて言葉に説得性を持たせる。たとえば「高いビル」とはせず、「20階建てのビル」と数字で表現する。上記の「可能性50%近く」は「可能性大いにあり」などと表現はしない。

   先に金沢大学の在任中は特任教授として「メディア論」を講義したが、数字を使っての客観的な表現方法は学生たちにとっては新鮮だったらしく、「小さいころからうまい形容詞を使うとほめられたが、確かに新聞では形容詞を見たことがない。でも、形容詞を使わない文章って難しそうだ。大学の論文でも形容詞は使わないですよね、目が覚めました」などと感想があった。​

   ただ、メディアは数字にこだわりすぎではないかと最近思うことがある。連日紙面で掲載されている「新型コロナウイルス感染者数」だ。都道府県別に累計の感染者数、増えた数、死者数の累計を掲載。地方紙はさらに各市町ごとの総数と増えた数、治療の患者数などを別表で掲載している。NHKも東京の感染者数を連日速報で伝え、それぞれのローカル局も地元の感染者情報を伝えている。

   メディアが発する数字は気になるものだ。しかし、政府はウイルス対策の「まん延防止等重点措置」に関し、東京や大阪、石川など18都道府県への適用を3月21日をもって全面解除している。が、新聞メディアは以降もずっと毎日だ。そこまで数字の掲載にこだわる意義はどこにあるのだろうか。1週間ごとの累計でもよいのではないか。ひょっとして、メディア各社も仕舞いのタイミングを見計らっているのかもしれない、が。

⇒30日(月)夜・金沢の天気   くもり

☆熱病と飢え、ミサイル発射は断末魔の叫びか

☆熱病と飢え、ミサイル発射は断末魔の叫びか

   北朝鮮では「原因不明の熱病」が大流行しているようだ。NHKニュースWeb版(13日付)によると、北朝鮮は12日、4月下旬以降、発熱の症状があった人が全土で35万人余りに上り、これまでに18万人以上が隔離されたり治療を受けたりしていると明らかにした。12日だけで全土で1万8000人が発熱した。

   北朝鮮の労働新聞Web版(13日付)をチェックすると、「경애하는 김정은동지께서 국가비상방역사령부를 방문하시고 전국적인 비상방역상황을 료해하시였다」との見出しで、金正恩総書記が12日、国家緊急防止司令部を訪れ、感染状況について報告を受けたと伝えている。熱病によってこれまで6人が死亡しているが、うち1人から新型コロナウイルスが確認されたとしている。金氏は、首都圏の周辺で感染が同時に広がっていることから、これまでの予防体制に落ち度があったと認め、「最大非常防疫態勢」に移行すると発表。すべての市や郡などを封鎖するよう指示した。

   今ごろなぜと思うと、妙に納得できた。先日テレビのニュースでやっていた朝鮮人民革命軍の創設90周年記念の軍事パレード(4月25日)には大勢の人民が動員されていた。4月下旬から感染爆発ということなので、ひょっとしてそれはパレードの準備や練習で「三密」状態になり、感染拡大が一気に進んだのではないか、と推測した。

   北朝鮮は人口が2500万人とされる。これまでのニュースでも報じられているように、2年以上にわたって国境を封鎖し、食糧は限られていて多くの人々は栄養失調の状態にある。医薬品も不足し、医療制度そのものも貧弱とされる。最悪のケースを想定すると、ロックダウンによって多くの人々が自宅で瀕死の状態に追い込まれる可能性さえある。

   その一方で不穏な動きもある。北朝鮮はきのう12日午後6時28分ごろ、半島の西岸付近から3発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射した。最高高度は約100㌔で、350㌔ほど飛翔し日本のEEZ(排他的経済水域)外に落下した(12日付・防衛省公式サイト「報道資料」)。今月10日に韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が発足して初めての発射となる。さらに、韓国の聯合ニュースWeb版(13日付)によると、韓国大統領室はきょう日、北朝鮮が7回目の核実験を行う可能性に関連し「核実験の準備はできているようだ。ただ、核実験の前に各種ミサイルの発射実験を行う可能性もあるのではないか」との見解を示した。

   国内では新型コロナウイルスとも推測される原因不明の熱病でパンデミックが起き、さらに飢えが広がる。そして、核実験と弾道ミサイルの発射だ。核・ミサイル開発に対する国連安保理の制裁により貿易制限はさらに続く。かの国の断末魔の叫びのようにも思える。

(※写真は、マスクをした金正恩総書記が12日、国家緊急防止司令部を訪れた様子=13日付・CNNニュースWeb版)

⇒13日(金)夜・金沢の天気    あめ