#斬首作戦

★「チークナイフ」こだわるアメリの執念

★「チークナイフ」こだわるアメリの執念

   北朝鮮による弾道ミサイルの発射など挑発が相次ぐ中、米韓両軍は特殊作戦を展開しているようだ。韓国の朝鮮日報Web版日本語(3月1日付)によると、2月28日の米韓合同訓練では特殊部隊を動員した「チークナイフ(Teak Knife)」、別名「斬首作戦」と呼ばれる北朝鮮の指導部を狙った訓練が行われた。この訓練は1990年代以降で毎年実施されているが、尹錫悦政権の発足後の去年9月に続き今回と、わずか半年で2回訓練を実施し公開している。挑発の頻度を高める北朝鮮に向けた警告メッセージなのだろう。

   アメリカ軍はこれまで単独で2回、斬首作戦を実行している。2001年9月11日にニューヨ-ク・マンハッタンなどで起きた同時多発テロを仕掛けた国際テロ組織アルカイダの首謀者オサマ・ビン・ラディンに対して、2011年5月1日、パキスタンのイスラマバードから60㌔ほど離れた潜伏先をステルスヘリコプターなどで奇襲し殺害。2022年7月30日にもう一人の首謀者とされていたアイマン・アル・ザワヒリを潜伏先のアフガニスタンのカブール近郊のダウンタウンで、無人攻撃機に搭載した2発のヘルファイアミサイル(空からの対戦車ミサイル)で攻撃し殺害している。

   これで、アメリカによる対テロ戦争は終わったのか。「9・11」翌年の2002年の一般教書演説で当時のブッシュ大統領が述べた「悪の枢軸」。それ以前からイランやイラク、北朝鮮などを「テロ支援国家」や「ならずもの国家(rogue state)」などと称して敵視を続けている。

   アメリカが北朝鮮を悪の枢軸」に位置付けるのは、朝鮮戦争(1950年6月-53年7月)に由来する。北朝鮮が、国境線といわれた38度線を南下し、韓国に侵攻した。これにアメリカなど国連軍は反撃したが、アメリカ軍は3万6000人にもおよぶ多大な犠牲を払った。しかも、朝鮮戦争は終戦ではなく、現在も休戦状態にあり、一触即発の状況に変わりない。朝鮮戦争にどう決着をつけるか、アメリカにとって、冒頭のチークナイフはその選択肢の一つなのだろう。(※写真は「The White House」公式ホームページより)

⇒2日(木)夜・金沢の天気     くもり

★憶測呼ぶ「娘との手つなぎ」

★憶測呼ぶ「娘との手つなぎ」

   この画像を見ていろいろ憶測をめぐらした。メディア各社は北朝鮮の国営メディアである「朝鮮中央テレビ」や「労働新聞」の映像として、18日に金正恩総書記がICBM「火星17型」の発射を視察する際に同行する娘の写真を掲載したと伝えている。白の防寒ジャケットに身を包んだ娘が金総書記と手をつないで兵器の前を歩く姿が写っている(※写真は19日付・CNNニュースWeb版日本語より)。

   メディア各社は娘の同行は伝えているが、その理由についての解説がない。冒頭の憶測とは、家族を守りの盾に使おうとの意図があるのではないか、ということだ。金総書記は今月17日まで「空白期間」が30日間と、ことしに入って最も長くなっていた(18日付・NHKニュースWeb版)。

   動静報道のブランクには、アメリカの斬首(ピンポイント)作戦を恐れていたのではないだろうか。ことし7月30日、アメリカは同時多発テロ事件「9・11」の首謀者の一人とされていたアイマン・アル・ザワヒリを潜伏先のアフガンのカブール近郊のダウンタウンで、無人攻撃機に搭載した2発のヘルファイアミサイル(空からの対戦車ミサイル)で攻撃し殺害している。「テロ支援国家」や「ならずもの国家」などとアメリカから敵視されている北朝鮮の金氏にとっては気が気ではない。

   さらに、米韓の合同軍事訓練が長く続いた。野外機動訓練(8月)が4年ぶりに再開され、9月と10月には米原子力空母「ロナルド・レーガン」などが参加した海上機動訓練、11月にはステルス戦闘機と称されるアメリカの戦略爆撃機「B1B」が朝鮮半島周辺の上空で空中訓練を実施した。この間での斬首作戦を金氏は恐れていたのではないか。

   が、金氏は気が付いた、家族といっしょにいるならばアメリカの斬首作戦は実行されないのではないか、と。先に述べたアイマン・アル・ザワヒリ、そして、2011年5月1日、パキスタンのイスラマバードから60㌔ほど離れたところに潜伏していたオサマ・ビン・ラディンも一人でいるところを、ステルスヘリコプターなどで奇襲されている。

   そこで、家族を盾にすることを考えた。手をつないで家族といれば、奇襲攻撃を受けることはない。まったく根拠のない憶測にすぎない。ただ、そう思わせるほど娘との手つなぎは唐突なイメージなのだ。

⇒20日(日)夜・金沢の天気    あめ  

☆バイデンが背負った「9.11」の総仕上げ

☆バイデンが背負った「9.11」の総仕上げ

   あす9月11日はアメリカの同時多発テロから20年になる。2001年9月11日、現地時間で午前8時46分、日本時間で午後9時46分だった。当時、会社から帰宅して、報道番組「ニュースステーション」が始まったばかりの同9時55分ごろにリモコンを入れると、ニューヨ-ク・マンハッタンの高層ビル「ワールドトレードセンター」に民間航空機が追突する事故があったと生中継で放送されていた。食事を取りながら視聴していると、間もなくして、2機目が同じワールドトレードセンターの別棟に突っ込んできた。リアルタイムの映像で衝撃的だった。世界の多くの視聴者が「9・11」テロリズム(terrorism)の目撃者になった。

   その後、アメリカは「テロとの戦い(War on Terrorism)」を錦の御旗に掲げ新たな闘いを始める。当時のブッシュ大統領はアフガニスタンで政権を握っていたタリバンが、テロ事件の首謀者とされたオサマ・ビン・ラディンをかくまっていると非難。翌10月にはアメリカ主導の有志連合軍がアフガンへの空爆を始め、タリバン政権は崩壊する。大規模な捜索にもかかわらず、ビン・ラディンを捕捉できなかった。

   テロとの戦いはオバマ大統領に引き継がれる。2011年5月1日、パキスタンのイスラマバードから60㌔ほど離れた、ビン・ラディンの潜伏先をステルスヘリコプター「ブラックホーク」などで奇襲し殺害。DNA鑑定で本人確認をし、アラビア海で待機していた空母カール・ビンソンに遺体を移送、海に水葬した。作戦完了の直後、オバマ大統領はホワイトハウスでの緊急声明で、「Justice has been done」と発した。声明はアメリカ東部時間で1日午後11時30分すぎ、日本時間で2日午後0時30分すぎだった、ニュースは世界を駆け巡った。

   バイデン大統領は今年4月、同時多発テロ事件から20年の節目にあたる「9月11日」まで完全撤退すると表明した(4月14日付・BBCニュースWeb版日本語)。ところが8月に入り、アメリカ軍の撤退を見越して、タリバンが首都カブールに進攻し、日本時間の16日朝、政府に対する勝利を宣言した。一方、2014年から政権を担ってきたガニ大統領はまさに「敵前逃亡」で出国し、政権は事実上、崩壊した。

   バイデン大統領は8月31日、国民に向けた演説で、アフガンからのアメリカ軍撤退について、「終わりなき撤退を延長させるつもりはなかった」と述べ、同日までに完了したことを発表した(9月1日付・BBCニュースWeb版日本語)。ブッシュ、オバマ、トランプ、そしてバイデンと4代、20年に渡った「テロとの戦い」がこれで総仕上げとなった。2001年9月11日の衝撃的なシーンをリアルタイムで見ていただけに、歴史的な出来事の結末を見た思いで感慨深い。

⇒10日(金)午後・金沢の天気     くもり

☆ニュースをリアルタイムで知る醍醐味

☆ニュースをリアルタイムで知る醍醐味

   あれからちょうど10年になる。2011年5月2日、ニューヨークの同時多発テロの首謀者とされたオサマ・ビン・ラディンに対する斬首作戦がアメリカ軍特殊部隊によって実行された。命令を下したのは当時のオバマ大統領だった。

   パキスタンのイスラマバードから60㌔ほど離れた潜伏先をステルスヘリコプター「ブラックホーク」などで奇襲し殺害。DNA鑑定で本人確認がなされ、アラビア海で待機していた空母カール・ビンソンに遺体は移され、海に水葬した。作戦完了の直後、オバマ氏はホワイトハウスでの緊急声明で、「Justice has been done」と発した。声明はアメリカ東部時間で1日午後11時30分すぎ、日本時間で2日午後0時30分すぎだった、ニュースは世界を駆け巡った。

    ニューヨークの同時多発テロもリアルタイムで見た。2001年9月11日、ニューヨ-ク・マンハッタンの高層ビル「ワールドトレードセンター」に最初の1機が突っ込んだのは東部時間で午前8時46分、日本時間で午後9時46分だった。当時帰宅して、報道番組「ニュースステーション」が始まったばかりの同9時55分ごろにリモコンを入れると、マンハッタンの高層ビルに民間航空機が追突する事故があったと生中継で放送していた。食事を取りながら視聴していると、2機目が同じワールドトレードセンターの別棟に突っ込んできた=写真・上=。すると、番組のコメンテーターが「これは事故ではなく、おそらくテロです」と解説し、スタジオが騒然となった。リアルタイム映像は衝撃的だった。そして、テロリズム(terrorism)という言葉が世界で認知されたのは、この事件がきっかけではなかったか。

   バイデン大統領はきょう「この日」をどう思い浮かべているのだろうか。オサマ・ビン・ラディンに対する斬首作戦は軍によって同時中継され、ホワイトハウスの

   もう一つ。小学生のときにテレビで見た、ケネディ大統領の暗殺シーンと、「悲しいニュースをお送りしなければならないのはまことに残念に思います」というアナウンサーの声が妙に記憶に残っていた。テキサス州ダラスでの悲劇は1963年11月23日(土)に起きた。アメリカ東部時間で22日午後1時30分、日本時間で23日午前3時30分だった。調べると、11月23日に日本とアメリカで放送を衛星中継でつなぐ実験が2回行われた。1回目が日本時間の午前5時27分から20分間、2回目が同じく午前8時58分から17分間だった。その2回目の始まりのときに、毎日放送のニューヨーク駐在のアナウンサーが冒頭の「悲しいニュース」を読み上げ、衝撃的な映像が繰り返し流された。58年も前に、その日に起きた大統領暗殺事件の第一報を生中継で視聴したことになる。

   おそらく、自身は友人たちと遊びながら「朝、テレビ見たか。すごいニュースがあったぞ」とケネディ暗殺事件を知ったかぶりで周囲に語ったに違いない。子どものころからのニュースを語る癖はそのころ身についた。大学卒業後にマスメディアの新聞記者や番組制作を担当、金沢大学ではメディア論を講義した。16年前からはブログでも語っている。自身にとってニュースをリアルタイムで知ること語ることの醍醐味は今も変わらない。

⇒2日(日)午前・金沢の天気      あめ

☆トランプ大統領、冥土の道連れ

☆トランプ大統領、冥土の道連れ

   CNNニュースWeb版日本語(10日付)をチェックしていると、驚きのニュースがあった。アメリカ民主党のペロシ下院議長は、トランプ大統領による核攻撃命令などが起きる事態を懸念し、軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長と協議したことを明らかにした。ベロシ議長は、行動などが不安定な大統領が軍事的な敵対行動に踏み切ったり、(核ミサイルの)発射コードへのアクセスや核攻撃を命令したりするのを阻む予防措置をミリー氏と話し合ったと語った。

   上記のCNNニュースに自身が注目したのは、別のニュースとの連鎖反応だった。BloombergニュースWeb版日本語(9日付)を読んでいて、北朝鮮の金正恩委員長が5-7日に開催した党大会への報告で、アメリカを「最大の主敵」「戦争モンスター」と呼び、より高度な核技術の追求などを通じて、アメリカの脅威に対する防衛力を絶えず強化する必要があると述べた。核兵器の小型・軽量化と大型核弾頭の製造推進、1万5000㌔射程内の戦略的目標に命中させ破壊する能力の向上を目指す方針も表明。固体燃料を用いる大陸間弾道ミサイル(ICBM)と原子力潜水艦の開発、衛星による情報収集能力強化にも言及した。

   3年前のあの時に時代は戻ったと連想した。2017年7月28日、北朝鮮が打ち上げたICBMはアメリカ西海岸のロサンゼルスなどが射程に入るものだった。北は同年9月3日に6回目の核実験を実施し、同15日には弾道ミサイルを日本上空に飛ばした。それをトランプ大統領が国連総会の演説(同19日)で「ロケットマンが自殺行為の任務を進めている」と演説した。それ以前には、アメリカ太平洋軍のハリス司令官は同じ年の4月26日、アメリカ下院軍事委員会公聴会で、北朝鮮に関して「アメリカは先制攻撃の様々な選択肢がある」と述べ、原子力空母カールビンソン率いる空母打撃群が北朝鮮を攻撃できる射程内に入ったことも明らかにした(2017年4月27日付・朝日新聞ニュースWEB版)。

   その後、トランプ氏と金氏による米朝首脳会談は2018年6月12日(シンガポール)、2019年2月28日(ハノイ)、同年6月30日(板門店)で3回行われたが、北の非核化の交渉は進まなかった。トランプ氏にとっては外交の失敗事例でもある。そして、本人は「この交渉でロケットマンがさらにつけあがった」と悔いているのではないだろうか。

   トランプ氏の大統領任期は1月20日正午までとされる。冥土の道連れに、アメリカを「最大の主敵」「戦争モンスター」と呼んだ金氏に核攻撃を仕掛けるのではないかとペロス氏は懸念しているのではないだろうか。以下憶測だ。仮に、トランプ氏が軍に核攻撃を命令したとして、それが軍によって阻まれた場合、金氏へのピンポイント攻撃、つまり「斬首作戦」を命令する可能性がある。斬首作戦が実行されるとして、作戦に使用されるのはステルスヘリコプター「ブラックホーク」だろう。この機を使うのは新月で夜が真っ暗闇となる日。直近の新月の日は今月13日だ。

   この機を使った斬首作戦で知られるのがオバマ政権下で実行された、オサマ・ビン・ラディンに対して行った2011年5月2日のバキスタンでの攻撃だ。この日は新月の前夜だった。以上は連想ゲームのような話だ。

⇒11日(月)朝・金沢の天気