#文科省

★外務省をも巻き込む 統一教会の狡猾さ

★外務省をも巻き込む 統一教会の狡猾さ

   反社会的な宗教団体への政府の動きがようやく見えてきた。世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)による霊感商法や献金強制の問題をめぐって、永岡文科大臣はきのう、宗教法人法に基づく「質問権」を行使すると表明した。

   その理由として、教団や信者などに対する不法行為の責任を認めた民事裁判の判決22件で、損害賠償額が少なくとも14億円に上ることから、質問権の行使理由に定められている、広範な被害や重大な影響が生じている疑いの基準に該当するとの判断だった。質問権の行使で、解散命令に該当する事実関係を把握した場合、地裁へ解散命令を請求することになる。

   これまで騙されていたのは文科省だけではない。外務省もだ。きのうの衆院外務委員会で林外務大臣は、旧統一教会の関連団体「世界平和女性連合」からアフリカのセネガルに派遣された日本人女性が職業訓練校を建設した際、2018年にODA(政府開発援助)として955万円の無償資金を供与していたと説明した。林大臣は「セネガルの女性が質の高い職業訓練などを受け、社会進出に貢献するものと考えて供与を決定した」と説明した(12日付・NHKニュースWeb版)。旧統一教会が「学校」と称した布教活動の拠点を海外に造り、それを外務省が支援していたのだ。

   これだけではない。10月26日の衆院外務委員会でも、「世界平和女性連合」からモザンビークへ派遣され、現地で中学・高校を開校した日本人女性に対し、外務省が「2019年度外務大臣表彰」を授与していたことが指摘されている。また、2018年に旧統一教会の関連団体が運営するルワンダの技術専門学校で、創立20周年記念式典が開かれた際、当時の日本のルワンダ大使が出席し祝辞を述べていたことを、外務省が明らかにしている。

   日本人の女性信者を海外に派遣し、学校や職業訓練校という名目の布教活動の拠点を造っていた。これを外務省が称賛し、支援金まで出していた。日本人信者を巧みに利用した旧統一教会の韓国本部の狡猾さではある。

⇒12日(土)夜・金沢の天気    はれ 

☆オンラインか対面か、揺れる大学キャンパス

☆オンラインか対面か、揺れる大学キャンパス

          新型コロナウイルスの感染者が急増する大阪府の吉村知事はきのう14日、「学生の感染が増えている」として府内の大学に授業の原則オンライン化を要請する方針を表明したとニュースになっていた。新年度の講義が対面で始まったばかりの各大学では、おそらく大混乱となっているだろう。

   何しろ文科省は対面授業を重視していて、先日(4月9日)萩生田文科大臣は閣議後記者会見で、コロナウイルスの蔓延防止措置が適用された地域の大学であったとしても対面授業の実施を求めると見解を示した。以下、文科省公式ホームペ-ジから会見の内容を要約する。

記者) 昨日(8日)東京都の小池知事が大学にオンライン授業を要請したいとの発言があった。文科省は新年度においては、できる限り対面を拡大してほしいと大学に対して要請してきた。文科省と東京都とで齟齬が生じている。

大臣) 都知事の会見で「大学にオンライン授業の拡大を要請する」との発言があった旨は報道を通じて承知している、文科省としては、これまでも、各大学において十分な感染対策を講じた上での対面授業とオンライン授業とを効果的に実施するなど、学生が安心・納得して学修に専念できる環境を確保するよう求めてきた。大学における感染の事例の多くが、いわゆる、授業中のことではなく、放課後の飲み会や部活動など課外活動において発生していることを踏まえ、そのような感染リスクが高まる場面での注意喚起や感染対策の徹底を求めてきた。ぜひ上手に対面とオンラインのハイブリット型で対応していただくよう各大学にはお願いしたい。

記者) 基本的にこれまで出してきた通知やQ&Aに関して変更する考えはないという理解でよいか。

大臣) 対面授業の再開は歓迎すべきことだ。しかし、感染防止対策を全くやらないで再開ということを望んでいるわけではない。一部の大学では、大教室に詰め詰めの授業が始まっているという報道もある。大学も知恵を出していただきたい。

記者) 蔓延防止措置で、都知事が大学は学生に対してPCR検査もやってほしいというような発言を昨日の会見でしていた。国の考えはどうか。

大臣) その報道は承知していない。PCRをやるやらないは学校の判断だ。国全体として大学生のみにPCR検査を義務付けることは現段階で考えてはいない。

   要は、萩生田大臣とすれば、学生コンパなど課外活動で感染が広がっているのであって、授業の場が原因ではない限り対面授業を中止するのは本末転倒。大学側が学生に適切な指導をすればよい、というのが言い分だろう。記者の質問はある意味で都知事の言葉を代弁しているが、感染拡大が止まらなければ現実問題としてオンライン授業に切り替えるのは当然ではないのか、PCR検査もしてほしいとの主張だ。

   大学はまさに板挟みだろう。「対面とオンラインのハイブリット型」と口で言うのは簡単だが、たとえば、1限目が対面で、2限目がオンライン、3限目が対面となった場合、学生たちはキャンパスでの身の置き方に困る。それだったら、すべてオンラインにしてもらったほうが、自宅やアパ-ト、寮で講義を受けることができる。自身の体験でもあるが、教員は対面授業の方がよい。動画収録でオンライン講義を試みたが、1コマ90分の撮影はNGが出たりと時間がかかった。学生たちのリアクション・ペーパー(感想文)の回収もメールでやり取りをすると手間がかかる。

   オンラインでの授業が主流だった昨年は中退した学生が減少した。文科省公式ホームページによると、2020年4月-12月に大学(短大を含む)を中退した学生は2万8647人だった。前年同期より7369人も減少している。中退の理由は「経済的な困難」19%、「学生生活不適応・修学意欲低下」(18%)となっている。各大学による授業料の納付猶予や減免などで経済的なサポートもあったことが減少の理由かもしれない。ただ、自身は「学生生活不適応・修学意欲低下」が18%もいることに注目したい。割合とすると2019年同時期の調査とほとんど変わらないが、オンラインへの違和感やキャンパスでの学生同士のコミュニケーションが絶たれることがネガティブな心理に働いているのではないかと憶測もする。

(※写真は昨年6月19日に対面講義が再開された金沢大学での図書館のカフェの様子。普段は学生たちがよく集まるが、座席人数も制限されガランとしていた)

⇒15日(木)夜・金沢の天気    くもり