★ぬかるみの岸田内閣 外交の真価問われる拉致問題
岸田内閣はまるでぬかるみにはまったような状態だ。前回ブログの続き。防衛政務官の三宅伸吾氏が10年前、事務所の女性スタッフにセクハラ行為をした疑いがあると、15日付の「文春オンライン」が報じている。三宅氏は参院香川選挙区から出馬して現在2期目。文春の記事によると、被害女性は、初当選から間もなくの2013年8月に参院議員会館の三宅事務所にアルバイトとして入った。
その年の10月に女性が仕事上の相談を三宅氏に持ち掛けたところ、食事に誘われ、西麻布のフランス料理店でディナーを共にした。さらに、2軒目に連れていかれたのは個室のカラオケ店。個室にはシャワー、トレイのほかに、大きな水槽が置かれていて、三宅氏は女性に「ここに来ると、女の子はみんな人魚になるんだよ」とささやいて、性的な加害を行った。女性はこの出来事がきっかけで事務所を退職した。
記事について三宅政務官はきょう16日の参院外交防衛委員会で、「全く身に覚えがない。セクハラをうかがわせるような当時のメールのやり取りもなく、記事にあるようなセクハラの事実はないと確信をしている」と改めて否定。週刊文春に対し、弁護士を通じて抗議文を出したことを明らかにした(16日付・NHKニュースWeb版)。この文春砲が辞任ドミノへと展開するのか、どうか。
それにしても、岸田総理は起死回生にどのような手腕を見せるのだろうか。横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてから46年を迎えたきのう15日、岸田総理は拉致問題が解決していないことについて、「いまだ多くの拉致被害者の方々が北朝鮮に取り残されているということ。このことは痛恨の極みであり、そして大変申し訳なく思います」と記者団に述べた。また、岸田総理が意欲を示す、金正恩総書記との会談に向けた協議については「具体的に申し上げるのは控える」と述べるにとどめた(15日付・テレビ朝日ニュースWeb版)。(※写真は、政府の拉致問題対策本部がつくったポスター。12歳のときの横田めぐみさんの写真)
岸田総理に起死回生の一撃があるとすれば、北朝鮮の拉致問題だろう。2002年9月17日と2004年5月26日、日本の総理として当時の小泉純一郎氏が北朝鮮を訪れ、金正日総書記と2度会談した。金総書記は日本人の拉致を認め、国交正常化に向けた日朝平壌宣言に署名。5人の拉致被害者が帰国を果たした。しかしそれ以降、拉致問題に進展はない。憶測だが、外交の真価が問われる拉致問題に岸田総理はかなり傾斜しているのではないだろうか。「具体的に申し上げるのは控える」というコメントは実に意味深な言い回しと読めるのだ。
⇒16日(木)夜・金沢の天気 はれ
日本人拉致の「1号事件」は能登半島の尖端近くで起きた。1977年9月19日の「宇出津(うしつ)事件」だ。これまで事件現場を何度か訪れたことがある。拉致現場は能登町宇出津の遠島山公園の下の入り江だ=写真=。山が海に突き出たような岬で、入り組んだリアス式海岸は風光明媚とされるが、歩くにはアップダウンがきつい。
の海上に着弾した=写真・上=。北が弾道ミサイルを撃ち込む標的の一つが能登半島だ。半島の先端・輪島市の高洲山(567㍍)には航空自衛隊輪島分屯基地のレーダーサイトがある。その監視レーダーサイトの目と鼻の先にスカッドERが撃ち込まれた。
3つ目が「難民」だ。能登半島の先端からさらに沖合50㌔に舳倉島(へぐらじま)がある。アワビやサザエの漁場でもあり、漁業の中継拠点でもある。この島の周囲は南からの対馬海流(暖流)と北からのリマン海流(寒流)がぶつかり、混じり合うところ。そのため海岸では、日本語だけでなく中国語やハングル、ロシア語で書かれたゴミ(ポリ容器、ペットボトル、ナイロン袋など)を拾うことができる。かつて、島の住民から聞いた話を覚えている。「島に住んでいると、よその国の兵隊が島を占領したり、大量の難民が押し寄せてきたり、そんなことをふと考え不安になることがある。本土の人たちには思いもつかないだろうけど」と。北朝鮮による拉致問題がクローズアップされ、当時の小泉総理が北朝鮮を訪問した2002年ごろの話だ。