#当選確実

☆衆参補選で問われたこと、選挙は変わるか

☆衆参補選で問われたこと、選挙は変わるか

   衆参院5つの選挙区で補欠選挙(衆院:千葉5区、和歌山1区、山口2区、同4区、参院:大分)、そして統一地方選の投開票がきょう行われた。午後8時、投票が終了するやいなやテレビの「当選確実」の速報が出たのは山口4区の衆院補選だった。安倍元総理の死去に伴い、安倍氏の後継として立った自民新人の吉田真次氏が立ち、本来ならば「弔い選挙」というイメージなのだが、立憲民主党から有田芳生氏が立候補したことで、「統一教会問題を問う選挙」でもあった。

   何しろ安倍氏と旧統一教会との関わりが襲撃事件の引き金となり、その後、連日のようにワイドショーなどでは統一教会による多額献金問題がクローズアップされ、旧統一教会問題に詳しいジャーナリストの有田氏が出演していた。選挙の結果は吉田氏が5万1961票で初当選、有田氏は2万5595票だった。得票率にして、63.5%と31.3%だった。NHKなどの報道によると、安倍元総理の昭恵夫人が候補者選びから選挙戦にも関わるなど、後継者の吉田氏を全面支援したことで、「弔い選挙」となり他の候補を寄せ付けなかったのだろう。

   ただ、山口県選管の発表によると、山口4区の確定投票率は34.71%で前回選挙(2021年10月31日)を13.93ポイントも下回り、過去最低となっている。また、前回、安倍氏は8万票余りを獲得していた。数字だけ眺めると、「弔い選挙」とは言え、山口4区の有権者はさめていたのではないだろうか。むしろ、有田氏が31%の得票率を得たことが気にかかる。落選の報道を受けて、有田氏は「保守王国、自民党王国と戦後ずっと言われてきた山口4区において、それが溶けはじめてきていると本当に確信を持っている」と述べている(23日付・産経新聞Web版)。

   今回の衆参の補選で目立ったのは、女性候補の躍進ではないだろうか。5人の当選者のうち、3人が女性だった。統一地方選挙が行われた石川県でも、市議選で無投票を含めて19人が当選してる。金沢市議選(定数38)では7人が当選を果たしている。これから選挙の様相が変わりそうムードを感じた選挙だった。

⇒23日(日)夜・金沢の天気    はれ

★選挙の「出口調査」や「開披台調査」が終わる日

★選挙の「出口調査」や「開披台調査」が終わる日

   きのう午後10時すぎに衆院選挙石川1区の開票場の金沢市営中央市民体育館(同市長町3丁目)に行ってきた=写真・上=。独自の「開披台調査」をするためだ。「かいひだいちょうさ」、聞き慣れないこの調査は新聞・テレビが行う開票調査の一つ。投開票日のその日には、投票所で出口調査を、開票所では開披台調査を実施する。開披台とは開票場で投票箱から票を出して、候補者ごとに仕分けをする台のこと。出口調査で大差がついていれば、NHKなどテレビ各社は午後8時からの選挙特番で「当選確実」を打てるのだが、10ポイント以内の小差ならば開披台調査で当落を見極めることになる。

   石川1区は新人4人が立候補し、自民の小森卓郎氏、立憲民主の荒井淳志氏、日本維新の会の小林誠氏が競っている。 小森氏の出身は神奈川県。1993年に旧大蔵省に入り、出馬の直前まで財務官僚を務めていた。2011年から3年間は石川県の総務部長などの経験もあり、51歳の若さだ。前職の馳浩氏が不出馬を宣言していたので、自民党は今年9月に公募で選出した。ただ、県の総務部長を務めた経験があるとはいえ、有権者にとってはいわゆる「落下傘候補」だ。荒井氏は元新聞記者で27歳、小林氏は44歳で金沢市の市議を4期連続で当選している。

   地元メディア各社は選挙終盤の情勢調査で「小森氏一歩リード」の報道をしていた。そこで、この目で確かめようと、開票場の現場を訪れた。メディア各社の調査員が10数人いた。アルバイトの学生調査員を記者が指揮している。学生たちは開票作業を行う職員の手元を双眼鏡でのぞき込み、誰に投票されているか確認する=写真・下=。「コモリ、コモリ、アライ、コバヤシ、コモリ、アライ・・・」などと声を出すと、その声がワイヤレスで集計場にいる受け手の担当に伝わり、その場で集計する仕組みだ。調査員は双眼鏡でのぞく場所を次々と変えていく。開票は投票会場から持ち込まれた投票箱を開けて作業をするので、双眼鏡でのぞく場所を変えることで地域的な偏りをなくす。

   自身は双眼鏡を持参せず、その調査員の横に行き、その声をさりげなく聞く。さらに別の調査員の声を聞く。これを4、5回繰り返すと。誰が実際に票を獲得しているのか判断できる。この「独自調査」の結果では、「コモリ」がおおむね4割だった。

   テレビ局を辞して2005年4月から大学で勤務。ことし3月で退職したが、この間、国政選挙になるとメディアの知り合いから出口調査や開披台調査の学生アルバイトの動員を依頼された。退職したこともあって、今回は断った。自身の興味で今回は開票場に足を運んだが、心では「このようなアナログな投票はもう止めて、デジタルに切り替えるべき」との思いを持っている。デジタル投票にすれば、午後8時の投票終了をもって一気に開票結果が出る。デジタル庁が新設されて、その可能性が出てきた。出口調査や開披台調査が終わる日が来る。

⇒1日(月)朝・金沢の天気      あめ