★国連安保理は機能不全 付け込む弾道ミサイル
国連安保理が事実上の機能不全に陥っているが、きのう6日朝の北朝鮮の弾道ミサイルの発射はそれに付け込んだかのようなタイミングだった。国連安保理は、北朝鮮が4日に日本列島を通過する中距離弾道ミサイルを発射したことを受けて緊急会合を開いた。その会合の終了間際に、北朝鮮が日本海に向けて発射したのだ(6日付・NHKニュースWeb版)。
会合そのものも、常任理事国である中国とロシアが「朝鮮半島周辺でアメリカが日本や韓国と軍事演習を行い緊張を高めた結果だ」と反発したことから、アメリカやヨーロッパの各国と一致して安保理決議違反であるとの声明を出すことはできなかった(同)。ロシアによるウクライナ侵攻も同様で、ロシアは常任理事国で拒否権があるため、安保理は法的な拘束力がある決議を何一つ成立させていない。
そもそも、中国とロシアがなぜ国連安保理の常任理事国なのか。中国の場合。もともと常任理事国は第2次世界大戦の戦勝国である国民党の中華民国だった。それが中国共産党に追われ台湾に逃れる。アメリカのニクソン大統領の中華人民共和国への訪問が公表され、国際社会がにわかに動いた。1971年10月のいわゆる「アルバニア決議」によって、国連における中国代表権は中華人民共和国にあると可決され、中華民国は常任理事国の座から外され、国連を脱退することになる。代わって中国が国連に加盟し、台湾の常任理事国を引き継ぐことになった。では、常任理事国として相応しいとする正当性はどこにあったのだろうか。
ロシアも同じだ。もともと、戦勝国であるソビエトが崩壊した。それを、ロシアが常任理事国として拒否権を持ったまま引き継いでいる。それが、ウクライナ侵攻やウクライナ4州併合という行為があっても国連安保理は機能不全、という現実問題を生み出している。
解せないもう一つの国連の姿がある。国連憲章(第53、107条)の「敵国条項」だ。日本はいまだに第二次世界大戦の「敵国」だ。ある国を攻撃する場合は国連安保理の承認が必要だが、「敵国」に再侵略の企てがあるとみなせば先制攻撃が可能で、安保理の承認は不要という規定だ。北朝鮮やロシア、中国はいつでも日本に対する先制攻撃が可能なのだ。
日本人にはある意味で「国連離れ」という現象が起きている。データは少々古いが、アメリカの世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」は2020年10月、国連の実績について先進14ヵ国で実施した世論調査を発表している。その中で、日本は国連に対する好感度は14ヵ国中で最も低く、「好感を持つ」29%、「好感を持たない」55%だった。
アメリカでも国連に対する評価は低下している。ピュー・リサーチ・センターがことし6月に発表したアメリカ国内調査では、「国連の影響は弱まっている」が39%だった。「変わらない」が46%、「強まってる」が16%だった。ウクライナ侵攻を仕掛けたロシアに非難声明すら出せない国連安保理への憤り、そして無力感ではないだろうか。
(※写真は、国連安全保障理事会の会議室。バックの壁画はノルウェーの画家ペール・クロフが描いた「灰から飛び立つ不死鳥」=国連広報センター公式サイト)
⇒7日(金)夜・金沢の天気 くもり時々あめ
きのうの衆院代表質問で立憲民主党の泉代表は、本来ならば岸田総理の所信表明演説に対する質疑となるが、矢面に立ったのは細田議長だった=写真・上=。旧統一教会の関連団体の会合に4回出席し、地元の島根1区で選挙支援を受けたことをA4用紙一枚でまとめ、記者に配布していた(9月29日)。ところが、その後も教団組織票の差配などの証言が次々と出ている。
泉代表は真後ろの議長席を見上げて、細田議長に異例の質問を浴びせた=写真・下=。「細田議長、あなた自身その中心人物として、4つの会合への出席、関連団体の名誉会長就任、選挙の支持を得ていた、これを認めましたね。今うなずいていただきましたね」
記事では、「Japan issued an alert to some citizens to take cover.」と、日本でのJアラートによる避難勧告の様子も伝えている。
前回ブログをアップして、ふと気が付いたことがある。防衛省サイトで一連の弾道ミサイルの落下場所(想定)を見ると、核実験がこれまで行われてきた北朝鮮北東部にある豊渓里(プンゲリ)と近い。9月28日に発射された弾道ミイサルは2発。午後6時10分の弾道ミサイルは最高高度約50㌔程度の低い高度で、約350km程度飛翔。午後6時17分の弾道ミサイルも最高高度約50㌔程度の低い高度で、約300㌔程度飛んだとみられる。その発射場所と落下場所を防衛省は略図で示している。落下場所は上の図の豊渓里ととても近いことが見て取れる。
この対潜水艦の共同訓練は明らかに、北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を想定したものだろう。防衛省サイトによると、北朝鮮は「新型潜水艦発射弾道弾」と称するSLBMをこれまで2021年10月19日と2022年5月7日に2度発射させている。SLBMは変則的な軌道で、低高度(最高高度50㌔程度)を飛ぶため、ミサイル防衛システムによる迎撃は困難とされる。
防衛省サイトで公開されている資料「2019年以降に北朝鮮が発射した弾道ミサイル等」によると、高度と飛距離から、一連の弾道ミサイルは北朝鮮が「極超音速ミサイル」と称しているミサイルと推測できる。ことし1月11日発射した「極超音速ミサイル」は最高高度約50km程度を最大速度約マッハ10で飛翔し、水平機動を含め変則的な軌道で飛翔した可能性がある。飛翔距離は約500㌔だった。「滑空再跳躍し、強い旋回機動」と北朝鮮の発表も記載している。
もう一つの狙いが想定される。前回6月5日のとき、日本海に向けて立て続けに6発撃っている。
の首謀者とされたオサマ・ビン・ラディンをかくまっていると非難。同年10月にはアメリカが率いる有志連合軍がアフガンへの空爆を始め、タリバン政権は崩壊する。
軍縮は国連の役割そのものだ。国連憲章は、総会と安全保障理事会の双方に具体的な責任を委託している。そして、軍縮条例をまとめるのが軍縮会議だ。これまで、核兵器不拡散条約(NPT、1968年)、生物兵器禁止条約(BWC、1972年)、化学兵器禁止条約(CWC、1993年)、包括的核実験禁止条約(CTBT、1996年)などの重要な軍縮関連条約を作成。国連総会で採択された。各国による署名と批准で発効するが、CTBTについては核兵器保有国を含む44ヵ国の批准が完了していないため、26年経ったいまでも未発効の状態だ。