★目の当たりの『戦』この一年 ~その4~
北朝鮮は本気、やる気なのだろう。その実戦配備に向けた発射実験だ。防衛省は、北朝鮮がきょう31日午前8時1分と14分、15分に、平壌近郊から北東方向の日本海に向けて計3発の弾道ミサイルを発射、ミサイルはそれぞれ最高高度100㌔程度で、約350㌔飛翔したと推測されると発表した(31日付・同公式サイト)。日本のEEZ外に落下したと推測される。北朝鮮による弾道ミサイルの発射は今年だけで37回、計70発となり、異例の頻度だ。
~北朝鮮が実『戦』配備へ 移動可能、すぐ発射の弾道ミサイル~
冒頭で「実戦配備」と述べたのは、隣国への脅しの打ち上げではなく、弾道ミサイルの性能向上のための発射実験を繰り返している。今月15日に金正恩総書記の立ち会いのもと大出力の固体燃料エンジンの燃焼実験に初めて成功したと発表している(12月月16日付・労働新聞Web版)。固体燃料ロケットは、北朝鮮がこれまでのICBM発射実験で使用した液体燃料ロケットよりも安定性に優
れ、ICBMをより容易に移動することが可能で、打ち上げにかかる時間も短縮できるとされる。北朝鮮は2021年からの「国防5ヵ年計画」で固体燃料のICBM開発を重点目標に掲げており、労働新聞の記事では、「最短期間内に別の新しいタイプの戦略兵器が出現することを見越して彼らを温かく励ました」と論評している。
さっそく、北朝鮮は固体燃料エンジンのロケット化を進めているようだ。今月23日に日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射。その前の今月18日に偵察衛星開発のための実験と主張し、中距離弾道ミサイル2発を日本海に向けて発射している。そして今回と併せ、矢継ぎ早に3回の固体燃料ロケットの実践訓練ではないだろうか。あくまでも推測である。(※写真は、今月18日、北朝鮮が 発射した中距離弾道ミサイル。最高高度は550㌔程度で、500㌔程度飛翔したと推定されている=19日付・労働新聞Web版)
日本政府は今月16日の閣議で「国家安全保障戦略」など新たな防衛3文書を決定した。敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が明記され、日本の安全保障政策の大きな転換となる。「反撃能力」は「敵基地攻撃能力」とも呼ばれる。このため、国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」の改良型の開発・量産や、アメリカの巡航ミサイル「トマホーク」の取得など、防衛力の抜本的な強化策を盛り込んでいる。
先の北朝鮮の動きと照らし合わせすると、反撃能力はどこまで効果があるのか。固体燃料ロケットの開発でICBMをより容易に移動することができるとなれば、敵基地攻撃は意味を成すのだろうか。分かりやすく言えば、移動したICBMを追尾し、発射前にたたくことはできるのだろうか。北朝鮮の実戦配備に向けた動きは2023年もさらに強まるだろう。日本海側に住む一人としての懸念である。
⇒31日(土)午後・金沢の天気 くもり時々あめ
問題はこの冬の積雪量だ。気象予報士が大雪の予想でキーワードとしてよく使うのが「ラニーニャ現象」。同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象をいう。ラニーニャの年には豪雪がやってくる。あの1981年の「五六豪雪」も1963年の「三八豪雪」もラニーニャだったと言われている。
証された」と成果を誇示するコメントを出した。同時に、白の防寒ジャケットに身を包んだ娘が金総書記と手をつないで兵器の前を歩く姿も掲載した。(※写真は11月19日付・CNNニュースWeb版日本語より)
頭の重さによっては、射程は1万5000㌔を超え、アメリカ全土に届くとみられる。(※写真は3月24日に北朝鮮が打ち上げた新型ICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版、下の図は11月18日付の防衛省公式サイトより)
NHKニュースWeb版(18日付)は海上自衛隊の元海将のコメントを以下伝えている。「2017年にICBM級の弾道ミサイルを発射した例や最近の例から考えると、今回はICBM級のいわゆる『火星17型』の可能性が十分ある」「従来はアメリカを交渉の場に引っ張り出すためにいわゆる瀬戸際外交をしていたが、今回は交渉のためのミサイル発射ではなく挑発行為だ。最近も米韓の訓練や日米韓の合同のコメントなどに反発するような形でミサイルを撃ってきている。これに対して米韓も挑発を繰り返す形になっていて、第三者の仲裁が入っていないことが一番気になっている。南北朝鮮間の挑発行為が繰り返されると朝鮮半島の有事にもつながりかねない」
同日は午前7時40分にも日本海に向けてICBMを発射。ミサイルは2段目の分離まで行われたが、その後は不正常に飛行し、日本海で消失した。日本政府は午前7時50分ごろから8時ごろにかけてJアラート(全国瞬時警報システム)を宮城県、山形県、新潟県に発した後、その後訂正するという騒ぎになった。ICBMのほか2発の弾道ミサイルも発射していた。さらにその前日の2日は、23発の弾道ミサイルを日本海や黄海に向け発射している。
アメリカ軍と韓国軍は先月31日から今月4日までの予定で、最新鋭のステルス戦闘機などおよそ240機を投入した空軍による大規模な共同訓練「ビジラントストーム(Vigilant Storm)」を行っている。北朝鮮のミサイルの乱発はこれに対するけん制だ。
河野太郎デジタル大臣は記者会見(13日)で、2024年秋に現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替えると発表した。また、24年度末としているマイナンバーカードと運転免許証の一体化時期の前倒しを検討することも明らかにした(13日付・毎日新聞Web版)。ことし8月10日の改造内閣でデジタル大臣に就任、河野氏らしい「突破力」を見せたようだ。
記事によると、9月25日に発射した弾道ミサイルは、貯水池に設けられた水中発射施設からの発射だった=写真・上=。水中発射ということは、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)なのだろう。記事では、「設定された高度で正確な弾頭爆発の信頼性が検証された」としている。同28日の弾道ミサイル発射は韓国の飛行場への攻撃訓練で、戦術核弾頭を想定したと記載している。具体的な核攻撃目標が飛行場であり、リアルさを感じる。
ンのモニターを見ながら、想定飛行を確認する様子が映っている=写真・下=。記事では、「地上中長距離弾道ミサイル」の発射は朝鮮労働党中央軍事委員会の決定によるもので、「敵に対してより強力で明確な警告を発した」と記載している。この中距離弾道ミサイルの飛翔距離は4600㌔と推定され、距離としてはこれまでの弾道ミサイルで最長だった。この射程内には、アメリカ軍のアジア太平洋地域の戦略拠点であるグアムがすっぽりと入る。核弾頭が搭載して高いステルス性能を持つB2戦略爆撃機などが展開するアンダーセン基地がある。
自身が注目したのは、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイルの発射に関連する質問だった。問いでは「政府は、外国からミサイル攻撃を受ける前に、相手国のミサイル発射基地などを攻撃する『敵基地攻撃能力』の保持を検討しています」との説明で、賛否を尋ねている。「賛成」が54%、「反対」が38%となっている。弾道ミサイル発射は9月25日以降7回目、そして、調査期間中のきのう9日未明にSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの発射があり、急激高まった世論の危機意識のあらわれとも言える。
去年10月19日にも半島東部の潜水艦の拠点となっている新浦(シンポ)付近から、SLBMを東方向に発射させている。このときの労働新聞(同20日付)は「조선민주주의인민공화국 국방과학원 신형잠수함발사탄도탄 시험발사 진행」(国防科学研究所が新型潜水艦発射弾道ミサイルを試験打ち上げ)の見出し=写真=で、2016年7月9日にSLBM「北極星」を初めて発射した潜水艦から再び新型SLBMの発射に成功し、国防技術の高度化や水中での作戦能力の向上に寄与したと記事を掲載している。