#弾道ミサイル

☆「衛星」であってもなくても / 世論調査で読む心象風景

☆「衛星」であってもなくても / 世論調査で読む心象風景

   きょう北朝鮮から、今月31日から来月11日の間に「衛星」を発射すると通報があったと日本政府が明らかにした。政府では、この「衛星」が弾道ミサイルの発射予告と見なし、防衛大臣は日本の領空に飛来した場合には破壊措置命令を出すと発表した(29日付・NHKニュースWeb版)。このニュースを知って、正直な話、北朝鮮の「ディープフェイク」ではないかと疑った。

   2022年12月18日、偵察衛星開発のための実験と主張し、中距離弾道ミサイル2発を日本海に向けて発射しているが=写真・上=、事前の通報などはなかった。逆に、これまで通報なしに弾道ミサイルを飛ばしてしてはいたが、あえて通報があったということは本当に衛星を打ち上げるのではないか、との見方もある。ただ、それが国威発揚告につながったとしても、北朝鮮のなすべきことかと、世界の人々はいぶかるだろう。「もっと人民のために金を使え」「われわれが人道支援をする意義はあるのだろうか」と。

   きょうメディア各社は世論調査での岸田内閣の支持率を発表している。朝日新聞(29日付)の内閣支持率は46%(前回4月調査は38%)、不支持率は42%(同45%)だった。G7広島サミットの議長国として「指導力を発揮した」が59%で、「そう思わない」の32%を上回り、いわゆるサミット効果が支持率を押し上げたと読める。日経新聞(29日付)の内閣支持率は47%で、前回4月の調査から5ポイント下落した。不支持率は44%で、前回より4ポイント上昇した。G7サミットでの岸田氏の働きぶりを「評価する」は66%あったものの、直近で総理の長男による首相公邸内での忘年会の騒ぎが報道され支持率を下げたと同紙は分析している。

   共同通信社が28日に実施した世論調査では、内閣支持率は47.0%(前回4月調査は46.6%)と横ばいだった。不支持率は35.9%(同35.5%)とこれも横ばいだった。岸田総理について、「総理は、子ども予算の倍増のほか、防衛費の増額も目指してします。あなたは、今後の日本の財政に不安を感じますか、感じませんか」との問いでは、「不安を感じる」が78.3%もある。「不安を感じない」が20.0%だ。支持はするものの、大いなる不安もある。支持率横ばいの数字から、有権者の微妙な心象風景が見えてくる。

⇒29日(月)夜・金沢の天気   あめ時々くもり

✰北の弾道ミサイルはなぜレーダーから消えたのか

✰北の弾道ミサイルはなぜレーダーから消えたのか

   きのう朝、北朝鮮による弾道ミサイル発射で、日本政府は北海道に落下のおそれがあるとしてJラートを発出して、住民に避難を呼びかけた。その後、落下の可能性がなくなったと修正する情報を出した。Jアラートは精度の高いレーダー情報をもとに分析の上で発出されるが、メディア各社の報道によると、弾道ミサイルが途中でレーダー上から消えたことが原因とされる。

   その弾道ミサイルの発射の動画が、きょう北朝鮮の国営メディア「朝鮮中央テレビ」で公開され、NHKがツイッターで上げている。ゆっくりと立ち上がる移動式発射台。そして、空中で燃料が点火されると轟音を上げて空へと突き進んでいく。実に生々しい映像だ=写真・上=。

   きょうの北朝鮮の党機関紙「労働新聞」は 「조선민주주의인민공화국 전략무력의 끊임없는 발전상을 보여주는 위력적실체 또다시 출현 경애하는 김정은동지께서 신형대륙간탄도미싸일 《화성포-18》형 첫 시험발사를 현지에서 지도하시였다」との見出しで、金正恩総書記の立ち会いのもと、新型の大陸間弾道ミサイル「火星18型」を初めて試験発射したと述べている=写真・下=。

   2つの国営メディアの記事によると、今回の新型のICBM「火星18型」の発射実験は、従来の液体燃料ではなく、固体燃料が使った初めての発射実験だった。液体燃料は注入に時間がかかることから、その発射の兆候が他国の衛星などで察知されやすい。固体燃料だと即時に発射でき、また、地下サイロ(格納庫)から発射できる。金総書記は「『火星18』は核反撃態勢の効用性を進展させ軍事戦略の実用性を変革させるだろう」と述べ、実験成功に満足しているとのこと。

   日本の防衛にとっての問題は、冒頭でも述べたように、そのICBMを防衛省のレーダーで見失ったことではないだろうか。以下は憶測だ。北朝鮮は、液体燃料のICBM「火星17型」を北海道近辺に何度も発射している。ことし3月16日には午前7時9分に発射、飛翔距離は約1000㌔、最高高度は約6000㌔超え、70分飛行して午前8時19分ごろに北海道の渡島大島の西約200㌔のEEZ外側の日本海に落下した。今回、自衛隊の各種レーダーなどで発射直後から落下まで追尾をできなかったということは、火星18型の最高高度がこれまで想定していた火星17型の6000㌔よりはるかに超えたためではないだろうか。

   北朝鮮が液体燃料から固体燃料へと、奇襲攻撃を想定したICBMにシフトさせ、さらに、高高度へと機能を拡大させているとなると、いわゆる「ロフテッド軌道」の角度を低くすれば、飛翔距離は1万4000㌔を超えてアメリカ全土が射程内に入る。憶測の話ではあるものの、日本の防衛レーダーでICBMそのものが探知できなくなったこと、そのことが問題ではないだろうか。敵基地攻撃能力などとは次元の異なる防衛の有り方が問われている。

   そして、いったいどこの国が北朝鮮をコントロールしていくのか。このままいけば、「核反撃態勢」を整えるために、7回目の核実験も時間の問題ではないだろうか。

⇒14日(金)午後・金沢の天気    くもり

★ニュースは西の空から降り注ぐ 黄砂に続き弾道ミサイル

★ニュースは西の空から降り注ぐ 黄砂に続き弾道ミサイル

   前回ブログの続き。けさから金沢の空は晴れてはいるものの、黄砂でかすみがかかったような状態だ。写真は午前7時10分ごろ、金沢市の寺町台から小立野台周辺を撮影したもの=写真・上=。きのうの夕方に比べて、黄砂のピークは去ったのか、かすみ具合は少々薄くなったようにも見える。

   気象庁公式サイトによると、黄砂は北陸や北日本、北海道にかけての広い範囲に飛来し、各地で物が肉眼ではっきり見える範囲の「視程」が10㌔未満となっている。黄砂の範囲はさらに広がり、けさは東京都心でも観測されている。早朝から黄砂のニュースであふれていた。

   西の空から飛来するニュースは黄砂だけではない。午前7時25分ごろ、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとの速報がNHKラジオで流れた。写真撮影を終えて、車で帰宅途中にラジオの男性アナの声がせっぱ詰まったようなトーンになった。「Jアラートが出ています。午前8時ごろには弾道ミサイルが北海道周辺に落下するものと見られます。ビルなどに避難してください」などと繰り返していた。午前7時55分ごろだ。

   今回のニュースで一瞬思ったことは、北朝鮮が計算ミスで北海道に撃ち込んだのではないか、と。北朝鮮は先月3月16日午前7時9分ごろ、首都・平壌近郊からICBM(大陸間弾道ミサイル)1発を東側に向けて発射、70分飛行し、午前8時19分ごろに北海道の渡島大島の西約200㌔のEEZ外側の日本海に落下させている。2月18日にはICBMを北海道の西200㌔のEEZ内に落下させている。(※写真・下は、2022年3月24日に北朝鮮が打ち上げたICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版)

   その後、Jアラートによる避難指示は訂正されたが、通勤・通学の時間とも重なり北海道は大混乱に陥ったことは想像に難くない。もし、同じ事が北陸で発出されたら、どこに緊急避難すればよいのか。周囲にシェルターらしきものはない。ビルやマンションはあっても、階上に窓があるので吹き飛ばされる。ビルの地下駐車場に逃げ込むしかない、のか。

⇒13日(木)午前・金沢の天気    はれ

★極東で連日の軍事訓練 「対岸の事」で済むのか

★極東で連日の軍事訓練 「対岸の事」で済むのか

   ロシア極東での巡航ミサイル発射訓練、北朝鮮の弾道ミサイルと水中ドローン、そしてアメリカと韓国の大規模な軍事訓練などが連日のように報道され、日本海側がキナ臭い。はたして「対岸の事」で済ませることができるのか。

   朝日新聞Web版(今月28日付)によると、北朝鮮の党機関紙「労働新聞」(28日付)は、軍のミサイル部隊が首都ピョンヤンから北東部ハムギョン(咸鏡)北道の島に向けて「地対地戦術弾道ミサイル」2発を発射する訓練を27日に行ったと伝えた。また、27日までの3日間、日本海で「核無人水中攻撃艇」と呼ぶ新型兵器の「津波(ヘイル)1型」を使った実験を行ったと発表した。「ヘイル1型」は東部ウォンサン(元山)から41時間余りかけて、だ円などの針路で潜航したまま600㌔進み、27日午前、ハムギョン北道の沖で弾頭を起爆させた。

   共同通信Web版(28日付)によると、ロシア国防省は28日、ロシア太平洋艦隊の小型艦が日本海に面する極東ウラジオストク沖の湾内で、巡航ミサイルを発射する演習を実施したと発表した。2発のミサイルが100㌔先の目標に命中した。発射はソ連時代に開発された対艦巡航ミサイル「モスキート」。国防省は通信アプリでミサイルが発射される映像も公開した。

   読売新聞Web版(29日付)によると、アメリカと韓国の両軍は29日、大規模な上陸訓練「双竜訓練」の模様を韓国南東部・浦項の海岸で報道陣に公開した。訓練は朝鮮半島有事を想定したもので、海軍と海兵隊を中心に来月3日まで行われる。今年の訓練は、規模をこれまでの「旅団」級から「師団」級に拡大し、1万2000人が参加。アメリカ軍の強襲揚陸艦マキン・アイランドを含む30隻や最新鋭のステルス戦闘機F35Bなど航空戦力70機、軍用車両約50台が動員されている。イギリスの海兵隊員40人も参加している。核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮を強くけん制する狙いがある。

           共同通信Web版(30日付)によると、中国海軍のミサイル駆逐艦2隻と補給艦1隻の計3隻が29日に対馬海峡を相次いで通過し、東シナ海から日本海へ北上した。防衛省の発表。日米韓は近く共同訓練する見通しで、防衛省は中国艦の動向を注視している。

   記事を読むだけで、再び朝鮮戦争が勃発するのではないか、ロシアが偽旗を掲げて極東侵攻を始めるのか、などとつい想像を膨らませてしまう。別に根拠があるわけではない。日本海側に住む一人の憂いである。

⇒30日(木)夜・金沢の天気    はれ

★日本海に恐怖の渦 北朝鮮が空中、水中に核の仕掛け

★日本海に恐怖の渦 北朝鮮が空中、水中に核の仕掛け

   北朝鮮はきょう27日、2発の短距離弾道ミサイル(SRBM)を日本海に向けて発射した。防衛省公式サイトによると、北朝鮮西岸付近から午前7時47分ごろに弾道ミサイル1発が発射され、最高高度およそ50㌔で、350㌔飛翔した。さらに10分後の午前7時57分ごろにも1発を発射。これも最高高度およそ50㌔で、350㌔飛翔した。日本のEEZ外側に落下したと推測される。2発の弾道ミサイルは変則軌道で飛翔した可能性もある。

   アメリカと韓国による合同の海上訓練がきょう済州島沖の公海上で行われ、アメリカ軍の原子力空母「ニミッツ」などが参加している。「ニミッツ」はあす28日、釜山に入港する予定という。北朝鮮は米韓の合同訓練に反発したものと見られる。

   北朝鮮のミサイル発射は今月だけでも今回で7回目だ。22日に戦略巡航ミサイルを4発、19日に短距離弾道ミサイルを1発、16日にICBMを1発、14日に短距離弾道ミサイルを2発、12日に潜水艦から戦略巡航ミサイルを2発、9日に短距離弾道ミサイルを6発をそれぞれ発射している。(※写真は、今月9日に北朝鮮が発射した近距離弾道ミサイル=10日付・朝鮮中央通信Web版より)

   北朝鮮の脅威はミサイルだけではない。ロイター通信Web版日本語(今月24日付)によると、北朝鮮の国営メディア「朝鮮中央通信」の報道として、金正恩総書記の指揮下で、核兵器が搭載可能な水中攻撃ドローン(無人艇)の実験を実施した。「ヘイル(津波)」と名付けられた新型の水中ドローンは59時間以上にわたり水深80㍍から150㍍の水中を巡航し、23日に東岸沖で核を搭載しない弾頭を爆発させたという。

   この核無人水中攻撃艇は敵の海域で奇襲攻撃を仕掛け、水中爆発で大規模な放射能の巨大な津波を起こして艦船や主要な作戦港を破壊することを目的としている。この北朝鮮の新たな兵器について、韓国軍当局者は、北朝鮮の主張を分析中だと説明。アメリカ政府関係者は匿名を条件に、核実験の兆候はないと述べた。アナリストは、水中兵器が配備可能かどうかには懐疑的だが、北朝鮮はアメリカと韓国に対し、ますます多様化する核の脅威を誇示していると分析している(ロイター通信Web版日本語)。

   空中だけでなく海中でも核攻撃能力を持つと挑発する北朝鮮、海上戦力が脆弱とされる北朝鮮に対して原子力空母を繰り出す米韓合同訓練、日本海に恐怖の渦が巻く。

⇒27日(月)夜・金沢の天気    はれ

☆資金源は盗んだ仮想通貨 北朝鮮が弾道ミサイルを頻発

☆資金源は盗んだ仮想通貨 北朝鮮が弾道ミサイルを頻発

   防衛省公式サイトによると、北朝鮮は19日午前11時5分ごろ、北朝鮮西岸付近から弾道ミサイル1発を東の日本海方向に発射した。弾道ミサイルは変則的な軌道で飛行し、最高高度は約50㌔、飛行距離は約800㌔、日本のEEZ外側に落下したと推測される=図、防衛省資料=。北朝鮮は今月16日にもICBMを1発を発射していて、ミサイルの発射は戦略巡航ミサイルを含めるとことし9回目となる。

   韓国の聯合ニュースWeb版は韓国軍合同参謀本部の発表として、発射したミサイルは短距離弾道ミサイル(SRBM)と伝えている。今回の発射は、米韓両軍が今月13日から実施中の合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」に対する反発とみられる。

   北朝鮮が頻発させる弾道ミサイルに関連するニュース。共同通信Web版(18日付)によると、2022年に北朝鮮関連ハッカーがサイバー攻撃によって盗んだ暗号資産(仮想通貨)は約16億5千万㌦(2200億円)相当に上るとみられることが、アメリカの仮想通貨分析企業「チェイナリシス」の調査により分かった。北朝鮮が1年で盗んだ仮想通貨としては被害額は過去最大。21年は約4億2千万㌦だった。盗んだ仮想通貨は核兵器やミサイル開発の資金源にしているとみられる。

   明らかに国際的な窃盗罪だ。ならば、ICC(国際刑事裁判所)はどう動くのか。ICCは17日、ロシアのプーチン大統領とマリヤ・リボワベロワ大統領全権代表について、ロシアが占領したウクライナ地域の児童養護施設などから少なくとも何百人もの子どもをロシアに連れ去ったとして、戦争犯罪の疑いで逮捕状を出したことを明らかにした(18日付・NHKニュースWeb版)。次は窃盗罪で北朝鮮に逮捕状ではないか。

⇒19日(日)夜・金沢の天気    はれ

★「チークナイフ」こだわるアメリの執念

★「チークナイフ」こだわるアメリの執念

   北朝鮮による弾道ミサイルの発射など挑発が相次ぐ中、米韓両軍は特殊作戦を展開しているようだ。韓国の朝鮮日報Web版日本語(3月1日付)によると、2月28日の米韓合同訓練では特殊部隊を動員した「チークナイフ(Teak Knife)」、別名「斬首作戦」と呼ばれる北朝鮮の指導部を狙った訓練が行われた。この訓練は1990年代以降で毎年実施されているが、尹錫悦政権の発足後の去年9月に続き今回と、わずか半年で2回訓練を実施し公開している。挑発の頻度を高める北朝鮮に向けた警告メッセージなのだろう。

   アメリカ軍はこれまで単独で2回、斬首作戦を実行している。2001年9月11日にニューヨ-ク・マンハッタンなどで起きた同時多発テロを仕掛けた国際テロ組織アルカイダの首謀者オサマ・ビン・ラディンに対して、2011年5月1日、パキスタンのイスラマバードから60㌔ほど離れた潜伏先をステルスヘリコプターなどで奇襲し殺害。2022年7月30日にもう一人の首謀者とされていたアイマン・アル・ザワヒリを潜伏先のアフガニスタンのカブール近郊のダウンタウンで、無人攻撃機に搭載した2発のヘルファイアミサイル(空からの対戦車ミサイル)で攻撃し殺害している。

   これで、アメリカによる対テロ戦争は終わったのか。「9・11」翌年の2002年の一般教書演説で当時のブッシュ大統領が述べた「悪の枢軸」。それ以前からイランやイラク、北朝鮮などを「テロ支援国家」や「ならずもの国家(rogue state)」などと称して敵視を続けている。

   アメリカが北朝鮮を悪の枢軸」に位置付けるのは、朝鮮戦争(1950年6月-53年7月)に由来する。北朝鮮が、国境線といわれた38度線を南下し、韓国に侵攻した。これにアメリカなど国連軍は反撃したが、アメリカ軍は3万6000人にもおよぶ多大な犠牲を払った。しかも、朝鮮戦争は終戦ではなく、現在も休戦状態にあり、一触即発の状況に変わりない。朝鮮戦争にどう決着をつけるか、アメリカにとって、冒頭のチークナイフはその選択肢の一つなのだろう。(※写真は「The White House」公式ホームページより)

⇒2日(木)夜・金沢の天気     くもり

★また2発 北朝鮮「狂信者に代価を支払わせる」

★また2発 北朝鮮「狂信者に代価を支払わせる」

   北朝鮮がきょうも弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。防衛省公式サイト(20日付)によると、午前6時59分ごろに弾道ミサイル1発を発射した。最高高度は約100㌔で、400㌔ほど飛翔。さらに、午前7時10分ごろにも1発を発射した。最高高度は約50㌔で、350㌔ほど飛翔した。いずれも日本海のEEZの外側に落下した=図は防衛省公式サイトより=。

   そして異例のこともあった。韓国の中央日報Web版(同)よると、きょう発射の2時間後の午前9時に、北朝鮮の朝鮮中央テレビの放送で、アナウンサーが「20日朝7時、放射砲射撃訓練を行った」とミサイル発射を速報した。 さらに正午には、今回発射したミサイルの写真も公開。ミサイル発射の直後に写真などを公表するのは異例だ。

   また、北朝鮮の朝鮮中央通信(20日付)は、戦術核を搭載可能な「600㍉放射砲」2発を発射する訓練を行ったと発表した。北朝鮮は新年早々に弾道ミサイル1発を発射。前日の12月31日にも弾道ミサイル3発を日本海に向け発射している。国営メディアは、いずれも「超大型ロケット砲」だったと伝えた。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(1月1日付・Web版)によると、党中央委員会総会で、金正恩総書記は演説し、戦術核兵器を大量生産する必要性を述べ、「核弾頭の保有量を幾何級数的に増やす」と方針を示した。

   そして、北朝鮮は今月18日にICBM「火星15」を北海道の西200㌔のEEZ内に落下させた。これに対抗し、アメリカと韓国は19日、戦略爆撃機やステスル戦闘機による合同空中訓練を実施した。

   さらに北朝鮮は反発。金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は20日、朝鮮中央通信を通じて発表した談話で「最近、朝鮮半島でアメリカ軍の戦略的な打撃手段の動きが活発になっている」と指摘。「わが国の安全に直接・間接的な懸念があると判断される時には相応の対応に乗り出す」と警告した。また「情勢を激化させる狂信者にその代価を支払わせる意志に変わりがないことを今一度確言する」と威嚇した(20日付・韓国聯合ニュースWeb版日本語)。米韓と北朝鮮の威嚇争いは、とめどなくエスカレートしている。

⇒20日(月)夜・金沢の天気     くもり時々あめ

☆豆を投げつけたい「ミサイルの鬼」「偽旗の鬼」

☆豆を投げつけたい「ミサイルの鬼」「偽旗の鬼」

   きょう2月3日は「節分」。季節を分けるとの意味があり、あす4日の「立春」の前触れだと小さいころに教わった。伝統行事として、冬をしのぎ暖かな春の訪れを前に、邪気を払う「節分豆まき」が行われる。「鬼は外、福は内」と。

   「鬼は外」と叫びたいのは、頻繁に日本海に向けて弾道ミサイルを発射する北朝鮮だ。新年早々のことし元日にも弾道ミサイルを発射し、朝鮮半島東側の日本のEEZ外に落下させている。去年は37回、計70発を日本海に向け発射。2017年3月6日に能登半島の輪島市の北200㌔、去年11月18日に北海道・渡島大島の西約200㌔のEEZ内に着弾させている。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(ことし1月1日付・Web版)によると、党中央委員会総会で、金正恩総書記は演説し、戦術核兵器を大量生産する必要性を述べ、「核弾頭の保有量を幾何級数的に増やす」と方針を示している。

   ロシアのプーチン大統領がウクライナのゼレンスキー政権を「ネオナチ」と称して偽旗を掲げて去年2月24日に侵攻を始めてまもなく1年になる。その後の4月4日、ロシアのセルゲイ・ミロノフ下院副議長がロシアのオンラインメディアで「どんな国でも、隣国に対して権利を主張することはできる」「多くの専門家によると、ロシアは北海道に対してあらゆる権利を持っている」と述べた。同じ4月20日、ロシアは北部アルハンゲリスク州にあるプレセツク宇宙基地の発射場から新型のICBM「サルマト」を発射し、およそ5700㌔東のカムチャツカ半島にあるクーラ試験場の目標に命中させている。プーチン大統領が「北海道の権利の奪還」という偽旗を掲げて動き、プレセツク宇宙基地の発射場に再びICBMを構え、日本に向けた場合、反撃能力は可能なのだろうか。

   豆を投げてみたい「鬼」がいる。ドイツやオーストリアなどヨーロッパの一部の地域で伝承されている、「クランプス(Krampus)」。頭に角が生え、毛むくじゃらの姿は荒々しい山羊と悪魔を組み合わせたとされ、日本の伝承行事「ナマハゲ」や「アマメハギ」の鬼面より迫力と威圧感がある。家庭を回って、親の言うことを聞かない悪い子に警告して罰を与えると信じられている。欧州の子どもたちに豆を持たせて、「鬼は外」とクランプスに投げつけてはどうか。(※写真は、ドイツ・ミュヘン市の公式ホームページ「Krampus Run around the Munich Christmas Market」より)

⇒3日(金)午後・金沢の天気   くもり

★2023卯年・飛躍の年に ~外交~

★2023卯年・飛躍の年に ~外交~

   北朝鮮がきのう新年早々に弾道ミサイルを発射した。防衛省公式サイト(1日付)によると、1日午前2時50分、最高高度はおよそ100㌔、飛行距離は350㌔で、朝鮮半島東側の日本のEEZ外に落下したと推定される。北朝鮮は前日の31日も弾道ミサイル3発を発射、去年は37回、計70発を日本海に向け発射している。また、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(1日付・Web版)によると、党中央委員会総会で、金正恩総書記は演説し、戦術核兵器を大量生産する必要性を述べ、「核弾頭の保有量を幾何級数的に増やす」と方針を示した。

   ~厄介な隣国にどう対応 岸田内閣の起死回生の一発は~

   脅威を振りかざすのは北朝鮮だけではない。中国も沖縄県の尖閣諸島周辺の領海のすぐ外側にある「接続水域」をうろうろしている。先月29日午前9時現在、中国海警局の船4隻が接続水域を航行しているのが確認されている。中国当局の船が接続水域を航行した日数は去年は334日と、2012年9月11日に日本政府が尖閣諸島を国有化して以降、最も多くなった。

   そして、ウクライナ侵攻を続けるロシアも隣国だ。そもそも、中国とロシアがなぜ国連安保理の常任理事国なのか。中国の場合。もともと常任理事国は第2次世界大戦の戦勝国である国民党の中華民国だった。それが中国共産党に追われ台湾に逃れる。アメリカのニクソン大統領の中華人民共和国への訪問が公表され、国際社会がにわかに動いた。1971年10月のいわゆる「アルバニア決議」によって、国連における中国代表権は中華人民共和国にあると可決され、中華民国は常任理事国の座から外され、国連を脱退することになる。代わって中国が国連に加盟し、台湾の常任理事国を引き継ぐことになった。常任理事国として相応しいとする正当性はどこにあったのだろうか。

   ロシアも同じだ。戦勝国であるソビエトが崩壊した。それを、ロシアが常任理事国として拒否権を持ったまま引き継いでいる。それが、ウクライナ侵攻という行為があっても国連安保理は機能不全、という現実問題を生み出している。

   話は変わる。岸田総理はことしとても忙しそうだ。G7の議長国を務め、5月には広島市でサミットを開催する。サミットでは当然、ウクライナ情勢をはじめ、唯一の戦争被爆国として「核兵器のない世界」の実現に向けたメッセージを発信することになるだろう。

   ただ、最新の世論調査はじつにさえない。共同通信社の調査(12月17、18日)で、内閣支持率は33.1%と発足以来最低だった。「危険水域」とされる20%台まであとわずかだ。得意の外交で起死回生の一発を放つことができるのか、どうか。

(※写真は、広島県庁公式サイトに掲載されているG7サミット開催をPRする湯崎知事=左=ら)

⇒2日(月)夜・金沢の天気     あめ