#弾道ミサイル

☆北朝鮮のICBMの狙い アメリカ全土を射程に

☆北朝鮮のICBMの狙い アメリカ全土を射程に

   昨夜に弾道ミサイルを日本海に発射した北朝鮮がけさもICBM級の弾道ミサイルを発射した。防衛省はきょう午前8時24分ごろ、北朝鮮からICBM(大陸間弾道ミサイル)級のミサイル1発が発射され、北海道の奥尻島の北西およそ250㌔の日本のEEZ外の日本海に9時37分ごろ落下したとみられると発表した。飛行距離は1000㌔ほど、最高高度は6000㌔超でおよそ73分間飛行したと分析されている。

   北朝鮮は7月12日にもICBMを1発発射している。このときも74分間飛翔し、北海道の奥尻島の西方250㌔の日本海のEEZ外に落下。飛翔距離は1000㌔、最高高度は6000㌔を超えると推定されている。(※写真は、2022年3月24日に北朝鮮が打ち上げたICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版)

   今回の軌道は高い角度で打ち上げて飛距離を抑える、いわゆる「ロフテッド軌道」と呼ばれる。これを通常の軌道で発射すれば、搭載する弾頭の重さなどによっては飛行距離が1万5000㌔を超えてアメリカ全土が射程に入る(※図は防衛省公式サイト「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」より)。このことは当然アメリカも意識しているに違いない。

   以下は自身の憶測だ。北朝鮮はロシアと連携し、ICBMを打ち上げることでアメリカの意識をウクライナから朝鮮半島へとそらすことを画策しているのではないだろうか。ロシアとすれば、クラスター爆弾を供与するなどウクライナへのアメリカの肩入れがハードルになっている。そこで、アメリカに北朝鮮を注目させる。朝鮮戦争の再開を目論んでいるかもしれない。さらに、中国による台湾への軍事侵攻を仕掛けさせて、アメリカを巻き込ませる。そのようなシナリオをロシアが描いていても不思議ではない。

   このところ、ロシア・中国・北朝鮮の首脳外交が活発化している。プーチン大統領と習国家主席が北京で首脳会談(10月18日)、金総書記とプーチン大統領によるロシアでの首脳会談(9月13日)が開かれている。首脳会談では当然、3国間での安全保障についても語り合ったことだろうと想像して勝手にシナリオを描いた次第。

⇒18日(月)午後・金沢の天気  くもり時々あめ

★日本海を狙い撃ち JPCZ寒波と弾道ミサイル

★日本海を狙い撃ち JPCZ寒波と弾道ミサイル

   きょう金沢では初雪が降った。自宅の庭先でもうっすらと雪がつもった=写真=。午後の気温は8度、夕方は5度だった。おととい15日は22度で生暖かい空気が漂っていた。このところの寒暖差のせいか、体調が今一つさえない。熱はないが、くしゃみや鼻水が出る。あす18日にかけて北陸や北日本の日本海側を中心に、猛ふぶきや大雪など荒れた天気との予報が出ている。

   日本海を直撃する寒波が「JPCZ」(日本海寒帯気団収束帯)。この影響で日本海から活発な雪雲が断続的に流れ込み、局地的に降雪量が多くなるおそれがあると気象庁が発表している(15日付)。シベリアから寒気団が日本海に向かって流れてくる際に朝鮮半島北部の白頭山によって、いったん二分されるが、その風下で再び合流し、雪雲が発達しやすい収束帯(ライン)となって北陸地方などになだれ込んでくる。2021年1月にJPCZが若狭湾付近に停滞して大雪が降り続き、福井県の北陸自動車でおよそ1600台が2日間動けなくなったことが連日ニュースとなったことがある。今回は新潟県で70㌢、北陸で40㌢と予想されている。

   そして、防衛省は先ほど午後10時40分の速報で、「北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されました」と報じた。日経新聞Web版(17日付)によると、韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が同日午後10時38分ごろ平壌周辺から日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射したと発表した。

   北朝鮮が弾道ミサイル発射するのは9月13日以来ではないだろうか。このときも2発の弾道ミサイルが半島の西岸付近から日本海に発射され、落下した場所は日本のEEZの外側だった。それ以降、北朝鮮は人工衛星に専念し、11月22日に軍事偵察衛星「万里鏡1号」を打ち上げた。打ち上げは再び弾道ミサイルに戻ったのだろうか。

⇒17日(日)夜・金沢の天気   あめ時々ゆき

★北朝鮮が3度目の衛星発射 「成功」と賞する意義

★北朝鮮が3度目の衛星発射 「成功」と賞する意義

   それにしても考えてしまう。日付を予告していたにもかかわらず、なぜ予告を無視するのか。防衛省公式サイト(22日付)によると、北朝鮮は21日午後10時43分、北朝鮮北西部沿岸地域の東倉里(トンチャンリ)地区から、衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行した。発射された1発は複数に分離し、1つ目は午後10時50分、朝鮮半島の西約350㌔の東シナ海上の予告落下区域外に落下、2つ目は沖縄本島と宮古島との間の上空を通過し、同57分に沖ノ鳥島の南西約1200㌔の太平洋上、予告落下区域内に落下したものと推定される。地球周回軌道への衛星の投入は確認されていない。(※写真・上は、22日付の北朝鮮の労働新聞Web版より)

   北朝鮮の弾道ミサイルの発射でとくに混乱したのは沖縄県の人たちだった。自身はテレビのニュース速報を視聴していたが、ミサイルが上空を通過し、Jアラート(全国瞬時警報システム)が発令され、サイレンとともに防災無線で避難を呼びかける放送が繰り返されていた。深夜に登庁した自治体の職員が被害など備えて対応に追われる様子が映し出されていた=写真・中、テレビ朝日「報道ステーション」より=。

   北朝鮮はことし8月24日にもトンチャンリ地区から、弾道ミサイル技術を使用した偵察衛星の発射を強行したが、防衛省は地球周回軌道への衛星の投入を確認していない。ことし5月31日にも衛星を打ち上げたが、エンジン異常で墜落。3回目となる今回も衛星打ち上げは失敗したとみられる。ところが、冒頭の労働新聞は、軍事偵察衛星「万里鏡1号」を搭載した新型運搬ロケット「千里馬1型」を打ち上げ、「偵察衛星の発射に成功」と報じている。

   そもそも、弾道ミサイル技術を用いたロケットの打ち上げは国連安保理事会決議に違反していることから、日米韓は共同で中止を要求していた。冒頭の話に戻るが、北朝鮮は22日以降に人工衛星を打ち上げると海上保安庁に通告していたので、期間前に強行したことになる。今回の発射は日米韓の意表を突く作戦なのだろうか。そして、ことし3回目の発射がまた失敗となると、国民の不満が沸騰するのであえて「成功」と言いくるめているのだろうか。

   深読みする。北朝鮮の金総書記はことし9月13日(日本時間)にロシアの「ボストーチヌイ宇宙基地」を訪れ、ロケットの組み立てや発射施設などを視察した。この場での首脳会談でプーチン大統領は、衛星の開発を支援する意思を明確に示した=写真・下、同日付・BBCニュースWeb版=。支援を受けた今回の発射でなんらかの進展があったのかもしれない。それをあえて金総書記は「成功」と賞し、次なる発射へとモチベーションを高めているのかもしれない。

⇒22日(水)午前・金沢の天気   はれ

☆北朝鮮の弾道ミサイル ようやく日米韓で情報共有

☆北朝鮮の弾道ミサイル ようやく日米韓で情報共有

   この季節になると、「JPCZ」という言葉を天気予報でよく聞く。シベリアから寒気団が日本海に向かって流れてくる際に朝鮮半島北部の白頭山によって、いったん二分されるが、その風下で再び合流し、雪雲が発達しやすい収束帯(ライン)となって北陸地方などになだれ込んでくる。それをJPCZ(Japan sea Polar air mass Convergence Zone)、日本海寒帯気団収束帯と言う。JPCZを印象付けたのは2017年12月17日に降った大雪。金沢市内で積雪が30㌢に達した。

   きょうそのJPCZと同様の雲域が日本海に現れているようだ(12日付・日本気象協会「tenki.jp」)。今回は寒気レベルでは平地で降雪になることはないものの、北陸地方では断続的に雨の降り方が強まり、短時間強雨や土砂災害、落雷や竜巻などの激しい突風が起きるとの予報だ。

   北陸に住んでいると、政治的なJPCZにも敏感になる。北朝鮮が日本海に撃ち落す弾道ミサイルだ。北朝鮮はことし6月15日に2発の弾道ミサイルを挑戦半島の西岸付近から発射、能登半島の尖端の輪島市の舳倉(へぐら)島の北北西およそ250㌔、日本のEEZ内側の日本海に着弾させている。2017年3月6日にも北朝鮮は「スカッドER」とされる中距離弾道ミサイル弾道を4発を発射し、そのうちの1発を輪島市から北200㌔㍍の海上に落下させている。(※写真は、2022年3月24日に北朝鮮が打ち上げたICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版)

   この政治的なJPCZに対応する動きがようやく動き出した。共同通信Web版(12日付)によると、木原防衛大臣はきょう、韓国訪問中のアメリカのオースティン国防長官、韓国の申国防相とテレビ会談し、北朝鮮が発射する弾道ミサイル情報を3ヵ国が即時共有するシステムについて、年内の運用開始に向けた調整を加速する方針で一致した。

   ミサイル情報は日米、米韓の間では即時共有してきたが、日韓間はシステムがつながっておらず、事後的な共有にとどまっている。3ヵ国の情報共有は、ミサイルの性能や軌道の正確で迅速な把握につながる。防衛省によると、ことし8月に試験を行い、技術面では共有できることを確認している。

   日本海に発生した低気圧が急速に発達し、気圧が低下することで大荒れになる天候を「爆弾低気圧」と呼んでいる。北朝鮮の爆弾低気圧をなんとか防いでほしいと願うばかりだ。

⇒12日(日)夜・金沢の天気     あめ

☆核攻撃をシュミレーション 北朝鮮また弾道ミサイル

☆核攻撃をシュミレーション 北朝鮮また弾道ミサイル

          北朝鮮が深夜にまた弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。防衛省公式サイト(31日付)によると、発射は30日午後11時38分と同午後11時46分の2回。1回目は最高高度およそ50㌔で、350㌔ほど飛翔した。2回目も最高高度およそ50㌔で、400㌔ほど飛翔した。2発とも北朝鮮西岸付近から発射され、落下したのはいずれも朝鮮半島東岸の日本海で、日本のEEZ外だった=イメージ図、防衛省作成=。

   北朝鮮は1週間前の今月24日午前3時51分、北朝鮮北西部沿岸地域から、弾道ミサイル技術を使用した衛星を発射している。発射された1発は複数に分離し、午前4時ごろまでに日本のEEZ外にあたる朝鮮半島の西300㌔ほどの黄海、南西およそ350㌔の東シナ海、フィリピンの東600㌔程度の太平洋にそれぞれ落下した。衛星の打ち上げを試みたものの、地球周回軌道への衛星の投入は確認されておらず、打ち上げは失敗したとみられる。

   北朝鮮は失敗を繰り返しながら弾道ミサイル技術を進化させ、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発にこぎつけている。そして、ミサイルよりさらに高コストの衛星の打ち上げにも挑んでいる。では、今回の深夜2発はどのような意図で打ち上げたのか。読売新聞Web版(31日付)によると、北朝鮮の朝鮮中央通信は、北朝鮮軍が30日夜、平壌の飛行場から北東に向け、弾道ミサイル2発を発射する「戦術核打撃訓練」を実施したと報じている。

   「戦術核打撃訓練」とはどのような訓練なのか。BBCニュースWeb版(31日付)は「North Korea says it simulated nuclear strike on South」(意訳:北朝鮮、韓国への核攻撃をシミュレーションしたと発表)の見出しで今回の発射を伝えている=写真・下=。北朝鮮の発射は、韓国軍とアメリカ軍による11日間の合同軍事演習の最終日の前日に行われた。北朝鮮はこれまで「合同訓練は戦争のリハーサル」として非難してきたが、最近では軍事行動によって明確なメッセージを送っている。「戦術核打撃訓練」は韓国軍の主要な司令部と飛行場を戦術核で攻撃する作戦のシュミレーションと分析されている。

   確かに、防衛省が作成した落下地点のイメージ図をそのまま南に向けるとソウルなどの拠点がすっぽりと入る。さらにメディアによると、今回発射された2発の弾道ミサイルは目標とした島の上空400㍍で空中爆発をさせている。これは、核弾頭の空中起爆を想定した訓練だったと、朝鮮中央通信を引用して伝えている(31日付・日経新聞Web版)。

   となれば、核兵器の開発を急ぐ北朝鮮の7回目の核実験はいつあるのか、いつ起きても不思議ではない情勢になってきた。   

⇒31日(木)午前・金沢の天気  はれ時々くもり

☆いよいよヤル気か 北朝鮮がまた日本海に弾道ミサイル

☆いよいよヤル気か 北朝鮮がまた日本海に弾道ミサイル

   また北朝鮮が弾道ミサイルを発射した。今月に入り弾道ミサイルや巡航ミサイルの発射の頻度高めている。防衛省公式サイトによると、北朝鮮は深夜の24日午後11時54分と59分に北朝鮮内陸部から、計2発の弾道ミサイルを東方向の日本海に向けて発射した。日本のEEZ外に落下した。1発目は最高高度100㌔で、350㌔飛翔、2発目は最高高度100㌔で、400㌔飛翔したと推定される=図、防衛省公式サイトより=。

   今月だけでも4回目だ。今月22日午前4時ごろに朝鮮半島西側の黄海に向けて数発の巡航ミサイルを発射している。19日午前3時台には日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射、EEZ外に落下。12日にはICBM(大陸間弾道ミサイル)1発を発射している。弾道ミサイルは74分間飛翔し、北海道の奥尻島の西方250㌔の日本海のEEZ外に落下。飛翔距離は1000㌔、最高高度は6000㌔を超えると推定されている。弾道ミサイルや、弾道ミサイル技術を用いたものの発射はことし14回目だ。

   なぜこれほどまで頻繁に北朝鮮はミサイルを発射するのか。メディア各社の報道から読み解くと、一つには戦意高揚があるのかもしれない。北朝鮮は、朝鮮戦争の休戦協定(1953年7月27日)の日を「戦勝節」と位置付けていて、ことしは70年の節目に当たる。二つめは、アメリカ軍の動きに過敏になっていることがある。きのう24日、アメリカの原子力潜水艦「アナポリス」が済州島に入港している。また、今月18日から21日まで、核兵器を搭載可能なアメリカの戦略原子力潜水艦「ケンタッキー」が南東部の釜山に寄港していた。北朝鮮とすれば、こうした米韓の軍事的な連携に神経を尖らせているだろう。

   三つめは自身の憶測だが、ロシアとの連携であえて軍事行動に出て、アメリカの意識をウクライナから朝鮮半島へとそらすことを想定しているのではないだろうか。ロシアとすれば、クラスター爆弾を供与するなどウクライナへのアメリカの肩入れがハードルになっている。そこで、朝鮮半島での紛争を北朝鮮に仕掛けさせてアメリカをここに注目させる。さらに、中国による台湾への軍事侵攻を仕掛けさせて、アメリカを巻き込む。そのようなシナリオではないだろうか。まったくの憶測である。

   このところ、ロシアの安全保障担当と中国外交担当トップが南アフリカで会議を行ったり、中国共産党幹部が北朝鮮を訪問するなど、ロシア・中国・北朝鮮の外交が妙に活発化しているような印象から、上記のシナリオを勝手に詮索してみた。

⇒25日(火)夜・金沢の天気   はれ

☆また北朝鮮の弾道ミサイル 日本海側に緊張走る

☆また北朝鮮の弾道ミサイル 日本海側に緊張走る

   北朝鮮がまた弾道ミサイルを発射した。防衛省公式サイト(19日付)によると、北朝鮮は午前3時29分に1発目を発射、最高高度50㌔で550㌔を飛翔した。2発目は午前3時45分に発射、最高高度50㌔で600㌔を飛翔した。いずれも朝鮮半島東の日本のEEZ外に落下した=図、防衛省公式サイトより=。ミサイルはいずれも変則的な軌道で飛行した可能性がある。午前4時46分から浜田防衛大臣は臨時会見を行い、「我々としてはこれ容認することはできない。外務省を通じて北朝鮮に対して抗議を行う」と述べた。

   北朝鮮は今月12日にもICBM(大陸間弾道ミサイル)1発を発射した。弾道ミサイルは74分間飛翔し、北海道の奥尻島の西方約250㌔の日本海のEEZ外に落下した。飛翔距離は1000㌔、最高高度は6000㌔を超えると推定されている。北朝鮮が弾道ミサイルや、弾道ミサイル技術を用いたものを発射したのはことし13回目だ。

   「弾道ミサイル」は発射から10分ほどで日本国内へ到達する。国内に落下する可能性がある場合には、緊急情報を瞬時に伝える「Jアラート」が国から伝えられ、防災行政無線や緊急速報メールなどで緊急情報として伝えられる。

   ネットによると、きょう富山市では弾道ミサイルの落下に備えた住民避難訓練が行われた。防災行政無線で「ミサイルが発射されたものとみられます、建物の中、または地下に避難してください」と放送。住民らは近くの地下歩道などに駆け込んだ。国と県、市が共同で行っているこの訓練は今年度で36回実施される予定。昨年の12回に比べ3倍に増えている(19日付・北日本新聞Web版)。(※写真は、きょうの北朝鮮の弾道ミサイル発射を伝える地元紙の夕刊)

   自身も「Jアラート」避難訓練に参加したことがある。2017年8月30日に能登半島の輪島市で実施された。この年の3月6日、北朝鮮は弾道ミサイルを4発発射、うち1発が輪島市の北200㌔の海上に落下した。このため、避難訓練は実にリアリティがあった。午前9時に防災行政無線の屋外スピーカーから「これは防災訓練です」と前置きして、Jアラートの鈍い警報音が流れた。その後「ミサイルが発射された模様です」「ただちに頑丈な建物や地下に避難してください」とアナウンスが流れた。防災行政無線による避難の呼びかけは10分間ほど続いた。

   日本海側に住む者にとっては北朝鮮の弾道ミサイルは脅威そのものだ。

⇒19日(水)夜・金沢の天気    あめ

☆「海女の島」舳倉 その歴史とアワビの価値

☆「海女の島」舳倉 その歴史とアワビの価値

   前回ブログで能登半島の輪島市から49㌔沖にある舳倉島(へぐらじま)の北北西250㌔に北朝鮮の弾道ミサイル2発が落下したことについて述べた。その続き。ミサイル落下をニュースで知って一番驚いたのは、舳倉島の海女さんたちではないだろうか。周囲5㌔ほどの小さな島ではあるもの、アワビが採れる島で「海女の島」として知られる。

   舳倉島にはアワビの長い歴史がある。万葉の歌人・大伴家持が越中国司として748年、能登を巡行している。島に渡ってはいないが、輪島で詠んだ歌がある。「沖つ島 い行き渡りて潜くちふ あわび珠もが包みて遣やらむ」。沖にある舳倉島に渡って潜り、アワビの真珠を都の妻に送ってやりたい、との意味だろう。この和歌から分かることは、少なくとも1270年余り前の昔からこの島ではアワビ漁が連綿と続いるということだ。

   輪島市や舳倉島を拠点に現在でも200人ほどの海女さんたちがいる。ウエットスーツ、水中眼鏡、足ひれを着用して、素潜り。アワビ漁の解禁は来月1日からなので、いまの時期は体調の整えなどで緊張するころだ。島から250㌔離れたところでのミサイル落下とは言え、緊張はさらに高まっただろう。

   今から38年も前の話になるが、新聞記者時代に舳倉の海女さんたちを年間を通して取材したことがある。深く潜る海女さんたちは「ジョウアマ」あるいは「オオアマ」と呼ばれていた。18㍍の水深を重りを身に付けて潜る。これだけ深く潜ると自力で浮上できない。そこで、海女さんの夫が船上で、命綱から引きの合図があるのを待って、海女の命綱を引き上げる。こうして夫婦2人でアワビ漁をすることを「夫婦船(めおとぶね)」と呼んでいた。信頼できる夫婦関係だからできる漁なのだ。

   海女さんから怖い話も聞いた。アワビが大好物なのは人間だけではない。ウミガメも好物なのだ。海女さんが採ったアワビをめがけてウミガメが食らいついてくることがある。そんなときは、アワビを捨てて逃げるのだそうだ。アワビが分厚い殻で岩にへばりつくのも、大敵ウミガメから身を守ることだったのだとこのとき知った。

   舳倉島でのルポルタージュは新聞で連載(分担執筆)され、その後『能登 舳倉の海びと』(北國新聞社)のタイトルで出版された。記者時代の思い出の地でもあるこの島や周囲に弾道ミサイルを落とさせてなるものか。そのような想いを込めている。

⇒17日(土)夜・金沢の天気    はれ

★北朝鮮の弾道ミサイル またEEZ内に落下

★北朝鮮の弾道ミサイル またEEZ内に落下

☆拉致問題めぐる日朝首脳会談が実現したとして・・・

☆拉致問題めぐる日朝首脳会談が実現したとして・・・

   このところ気になるニュースを。岸田総理は今月27日に開かれた「拉致被害者の即時帰国を求める国民大集会」で、「現在の状況が長引けば長引くほど、日朝間の実りある関係を樹立することは、困難になってしまいかねない。日朝間の懸案を解決し、共に新しい時代を切り開いていく観点から私の決意をあらゆる機会を逃さず伝え続けるとともに、首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」(27日付・NHKニュースWeb版)と述べ、条件を付けずに会う意思を明らかにした。

   この報道を受けて、北朝鮮外務省のパク・サンギル副首相は「もし日本が過去にとらわれず、変化した国際的な流れと時代にふさわしく、お互いをありのままに認める大国的な姿勢で新たな決断を下し、関係改善の道を模索しようとするのであれば、朝日両国が会えない理由はないというのが共和国政府の立場だ」と談話を発表した(29日付・韓国中央日報Web版)。

    冒頭の「このところ気になる」と述べたのは、万が一、日朝の首脳会談が実現した場合、どうなるのだろうか。韓国の尹錫悦大統領は日米韓の連携強化と北朝鮮への対抗姿勢を軸に外交を展開している。北朝鮮とすれは、その中で拉致問題を重視する日本に揺さぶりをかけ、日米韓の連携に亀裂を入れる意味で、「両国が会えない理由はない」と述べたのではないだろうか。首脳会談が実現した場合に、北朝鮮側が「日本がすべての制裁を解除すれば拉致した日本人を即刻帰国させる」と述べた場合、日本側はどう対処するのか。これに日本側が応じれば、間違いなく日米韓の同盟に亀裂が入る。そして、日本の国内世論も割れるだろう。

   拉致被害者の家族会は今年の新しい活動方針に「親世代が存命のうちに被害者全員の帰国が実現するなら、政府が北朝鮮に人道支援を行うことに反対しない」と明記した。家族会が北朝鮮への「支援」に踏み込んだのは初めてのことだ。拉致問題から46年がたち、今も健在な親は横田めぐみさんの母親の早紀江さん87歳と、有本恵子さんの父親の明弘さん94歳の2人となり、家族会として焦燥感があるのかもしれない。

   国論を割るような交渉を進めるべきではない。このような北朝鮮側の条件を拒否すべきだろう。そこで、日本側から条件を付ければよい。「弾道ミサイルの発射を即時停止するれば制裁解除は可能だ」と。ここから改めて交渉が始まるのではないだろうか。もちろん、仮定の話だ。

⇒1日(木)夜・金沢の天気   あめ