#岸田文雄総理

★いま政治に求められる捨て身のスピード感

★いま政治に求められる捨て身のスピード感

   いま有権者が政治に求めているのは、周囲との調整を念入りにする政治判断より、捨て身のスピード感で動く政治決断ではないだろうか。今月24日に世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)と深い関係性が指摘されていた山際経済再生担当大臣が辞任した。旧統一教会との関係が国会で何度も追及され、さらに教団本部の総裁と一緒に映っている証拠写真を突きつけられても、山際氏は「資料がない」「記憶が定かではない」などと繰り返していた。

   今国会での目玉の施策が29兆円にも及ぶ「総合経済対策」。取りまとめ役は経済再生担当大臣、つまり山際氏だった。なぜ岸田総理は山際大臣の更迭の決断を早々に下さないのかと、批判の矛先は総理に向っていた。そして、山際氏は総合経済対策の閣議決定(28日)前になって辞することになり、決断の遅さとタイミングの悪さが如実に表れた。

   きょうの旧統一教会関連のニュースは、旧統一教会側がTBSラジオと日本テレビ、また、番組に出演した弁護士とジャーナリストに対して合わせて3300万円の賠償と謝罪放送を求め訴えを東京地裁に起こした(27日付・NHKニュースWeb版)。教団側は先月29日にも読売テレビとTBSの2社、そしてコメンテーターの弁護士3人に計6600万円の損害賠償を求める訴訟を同地裁に起こしている。

   いわゆる「スラップ訴訟」ではないか。端的に言えば、メディアや出演者の言論を萎縮させることを目的とした民事訴訟と言える。アメリカでの概念で、「Strategic Lawsuit Against Public Participation」の頭文字をとり「SLAPP(スラップ)」。直訳すれば、「市民参加を妨害するための戦略的民事訴訟」となる。

   別の見方をすれば、宗教法人法に基づく「質問権」の行使が動き始め、教団の解散命令の請求にまで至るのか注目が集まる中で、教団内部では相当な混乱が起きていることは想像に難くない。その動揺を収めるため、あえて裁判を起こして、内部の統制をはかると同時に、質問権へのけん制をもくろんでいるのではないだろうか。

   いずれにせよ旧統一教会の本質が出たようで、問題視されている霊感商法や高額寄付についての反省の色がまったくない。ニュースを見た視聴者の多くはそう感じたのではないだろうか。

(※写真は、参院代表質問に答える岸田総理=今月7日のNHK総合)

⇒27日(木)午後・金沢の天気    はれ

☆新総理初会見を視聴して記した「Good job !」メモ

☆新総理初会見を視聴して記した「Good job !」メモ

   岸田総理の就任後初めての記者会見をきのう4日午後9時からNHKが中継していたのでメモを取りながら視聴していた=写真=。そのメモを見ながら、会見内容で再度チェックする。「早すぎる」と書いたメモが、今月14日に衆院を解散し、19日公示、31日投開票との選挙日程だった。それまでメディア各社が26日公示、11月7日投開票などと予想を報じていたので、「前倒し」は意外だった。それにしても、内閣発足10日で衆院解散に突入する、とは。

   4人が立候補した自民党総裁選(9月17日告示・29日開票)はNHKや民放各社がこぞって討論会の模様を報道するなど、「メディアジャック」現象ともいえるほどに注目された。直近の政党支持率では、日経新聞の世論調査で自民47%、立憲民主8%(9月23-25日調査)、テレビ朝日の調査で自民が49%、立憲民主9%(9月18、19日調査)と自民が支持率を伸ばしている。「鉄は熱いうちに打て」との選挙ポリシーなのだろうか。

   「新たな資本主義って何だ」とメモをしたのが、経済政策での「成長と分配の好循環」の説明だった。岸田氏は総裁選の論戦で「富む者と富まざる者の格差が生まれ、コロナ禍でさらに広がった。これからは富める一部の人間だけでなく、広く多くの人の所得を引き上げること」などと述べていた。中間層の所得の引き上げを通じて、GDPの半分以上を占める個人消費の活性化につなげる経済政策との意味で受け止めていたが、そのような単純明快な話ではないらしい。新たな大臣ポストとして「新しい資本主義担当」を置き、ヤル気だ。富の再配分を目指した、たとえば富裕税の創設などが頭の中にあるのだろうか。

   関連メモで「中国の共同富裕?」とも書いている。中国の習近平総書記が所得格差の是正と称して、不動産会社やIT企業、高所得の俳優などの富裕層に警告を発し、不動産大手「中国恒大集団」などはデフォルト寸前に追いやられている。岸田氏の「成長と分配の好循環」が中国の「共同富裕」のようにならないことを願う。

   「Good job !」とメモ書きしているが、人工知能など先端科学技術の研究に大規模な投資を行うとした「科学技術立国の実現」。そして、地方からデジタルの実装を進め、都市との差を縮める「デジタル田園都市国家構想」だった。本来ならばおそらく地方都市への移住政策だろう。それをあえて移住とは言わず、「デジタル田園都市国家構想」と称したところが見事、「Good job !」だ。

   これは個人的な願いだが、日本のデジタル化を本気で推進するのであれば、選挙のデジタル投票とデジタル法定通貨をぜひ実現してほしいものだ。

⇒5日(火)午前・金沢の天気    はれ