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☆両陛下、12日再び能登に 被災地に丁寧な足運び

☆両陛下、12日再び能登に 被災地に丁寧な足運び

  先月22日に天皇、皇后両陛下が能登半島地震で被災した人々を見舞うため輪島市と珠洲市の避難所を訪れた。その様子をテレビを視聴していた。午前中に能登空港に到着し、両陛下は黒のタートルネック姿だった。そして、現地に負担をかけないようにと、昼食は東京から持参された。240棟が焼け、多くの犠牲者が出た輪島の朝市通りでは両陛下が黙礼をされた=写真、宮内庁公式サイト・4月2日付「被災地お見舞い」より=。避難所を訪れ、膝をついて被災者と対話する丁寧な所作に、被災者に寄り添う気持ちが感じられた。その両陛下はあさって12日に再び能登の被災地を見舞いに訪れると、メディア各社が伝えている。

  当日は午前中に羽田発の特別機で能登空港に。自衛隊のヘリコプターで穴水町に向かい被災者を見舞うほか、災害対応に当たる関係者をねぎらう。その後、ヘリで能登町に移り、津波の被害が大きかった地域など訪れ、被災者と面会する。夜に帰京する。穴水町では20人、能登町では8人が震災で亡くなっていて、被害が大きかった奥能登4市町をすべて見舞われることになる。被災者と対面する所作だけでなく、被災地域にまんべんなく足を運ばれる丁寧さには敬服する。

  一方で腑に落ちない国の動きもある。きょうの新聞メディアの記事によると、財務省は9日、税制制度等審議会(財務大臣の諮問機関)の分科会を開き、能登半島地震の被災地の復旧・復興は「将来の需要減少や維持管理コストも念頭に置き、住民の意向を踏まえ、十分な検討が必要だ」と訴えた。「被災地の多くが人口減少局面にある」ことなどを理由に挙げた。復興が本格化する中、無駄な財政支出は避けたいという立場を明確にした(10日付・北陸中日新聞の記事を要約)。

  うがった見方をすれば、そもそも能登は人口減が続いていて人がいなくなる地域なので、そんなところに無駄な財政を注ぎ込むことはない。と言っているようにも読める。記事では、分科会終了後に会長代理の増田寛也氏(日本郵政社長)が「家の片付けが進んでない地域に将来の議論をしようと言っても難しい」と指摘した、という。

  この指摘は言い得て妙な感じもするが、中央の権力者の発想ではないだろうか。地域行政が怠慢だと指摘して、そんな能登に財政を投下する価値はない、と言っているのか。地方消滅論を訴えた増田氏だけに、「消えるべき地域はさっさと消えろ」とでも言っているのか。増田氏をはじめ税制制度等審議会の分科会メンバーには一度、能登に足を運んでほしいものだ。       

⇒10日(水)午後・金沢の天気   はれ   

★天皇が参列するイギリスの国葬、しない日本の国葬

★天皇が参列するイギリスの国葬、しない日本の国葬

   前回のブログの続き。イギリスの君主として歴代最長となる70年にわたって在位してきたエリザベス女王が96歳で亡くなった。女王の国葬は2週間以内にウェストミンスター寺院で執り行われる予定(9日付・BBCニュースWeb版)。

   NHKニュースWeb版(10日付)によると、エリザベス女王の国葬には天皇陛下が参列される方向で政府と宮内庁の間で調整が進められている。皇室とイギリスの王室は、昭和28年(1953年)に上皇がエリザベス女王の戴冠式に昭和天皇の名代として出席するなど、古くから親密な関係にある。天皇陛下は2019年5月に即位後、2020年にエリザベス女王からイギリスに招待されていたが、新型コロナウイルスの影響で延期となっていた。こうした経緯など踏まえてイギリスでの国葬に参列する調整が進められている、という。

   エリザベス女王の国葬には、天皇陛下が参列する。そして、安倍元総理の国葬(今月27日)には、秋篠宮夫妻ら皇族の参列を宮内庁が調整していると報じられている(8月29日付・毎日新聞Web版)。葬儀委員長を務める岸田総理から宮内庁に「皇族各殿下」の国葬への参列依頼が文書で出されていた。「皇族各殿下」には天皇、皇后両陛下と上皇ご夫妻は含まれない。両陛下と上皇ご夫妻は使者を派遣するとみられる。1967年の吉田元総理の国葬には、当時は皇太子夫妻だった上皇ご夫妻が参列し、昭和天皇ご夫妻は使者を派遣した。2020年の中曽根元総理の内閣・自民党合同葬には秋篠宮夫妻が参列し、両陛下と上皇ご夫妻は使者を派遣している(同)。

   上記の記事を読んでの印象だが、日本の国葬には天皇、皇后両陛下はこれからも参列しないだろう。国葬に関して取り決めた法律がない、また、国葬に値する人物の基準もないので当然と言えば、当然だろう。議論を呼ぶような国葬にあえて両陛下が参列するはずもない。岸田総理は国会の閉会中審査(今月8日)で「憲政史上最長(通算8年8ヵ月)の政権を担った」「暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」などと国葬を実施する理由を繰り返し述べていたが、政権の単なる理屈にすぎない。

   国葬は国民がこぞって賛同するような価値基準がない限り難しい。内閣府設置法という法律の枠組みの中で「国の儀式」が出来るから国葬を行うというのでは、今後さらに有権者の反発を招くのではないか。

(※写真は、2020年10月17日に都内のホテルで営まれた中曽根元総理の「内閣・自民党合同葬」=総理官邸公式サイトより)

⇒10日(土)夜・金沢の天気   はれ

★2021 バズった人、コト~その2

★2021 バズった人、コト~その2

       この一年でもっともバズった「人、コト」と言えば秋篠宮家の眞子さんの結婚問題ではないだろうか。眞子さんは10月26日に婚姻届を出し、同日午後2時から「小室眞子」として圭氏ともに記者会見に臨んだ。その様子をテレビで視聴していたが、二人が結婚の気持ちを述べた後、質疑応答の時間はなく会見は10分余りで終わった。メディア各社の報道によると、当初は二人が記者側が事前に提出した質問と関連質問を受ける予定だったが、前日になって急きょ、質疑応答には口頭で答えないことに変更に。事前質問は文書回答となった。これでは記者会見の意義がない。(※写真は、10月26日のNHK総合の記者会見の中継番組より)

    ~宮内庁が「誹謗中傷」と言い、国民が納税者意識をぶつけた結婚問題~ 

   宮内庁の説明では、文書回答とする理由について、事前質問の中に誤った情報が事実であるかのような印象を与えかねないものが含まれていることに眞子さんが強い衝撃を受け、強い不安を感じたため、医師とも相談して文書回答にすることを決めた。また、眞子さんは一時、会見を取りやめることも考えたが、ギリギリまで悩み、直接話したいという強い気持ちから、会見に臨んだという(10月26日付・NHKニュースWeb版)。宮内庁の説明に、メディアに対する恩着せがましさというものを感じた。それだったら、宮内庁は記者会見の中止を眞子さんに進言すべきではなかったのか。   

   二人の結婚の正式発表は、宮内庁が10月1日に会見で行っていた。そのとき、「眞子さまは、ご自身やご家族、それに小室さんとその家族への誹謗中傷と感じられる出来事が続いたことで、『複雑性PTSD』(=複雑性心的外傷後ストレス障害)と診断される状態になられている」と説明した。会見には医師も同席し、「結婚について周囲が温かく見守ることで回復が進むものと考えられる」などと述べた(10月2日付・同)。自身の認識不足かもしれいなが、このとき「誹謗中傷」という言葉を宮内庁が初めて使ったのではないだろうか。

   宮内庁はこの言葉を持ち出すタイミングを見計らっていた。と言うのも、9月16日に法務省は法制審議会に刑法の「侮辱罪」に懲役刑を導入する刑法改正を諮問している。現行「30日未満の拘留か1万円未満の科料」の法定刑を、「1年以下の懲役・禁固音または30万円以下の罰金」とする。厳罰化にともない、公訴時効も現行の1年から3年に延長する。公然と人を侮辱した行為に適用される侮辱罪の厳罰化が動き出していた。

   とくに、ネット上の誹謗中傷での対策が求められていて、法務省はことし4月、匿名の投稿者を迅速に特定できるように改正プロバイダー責任制限法を成立させ、裁判所が被害者からの申し立てを受けて、SNSなどプラットフォーム事業者に投稿者の氏名や住所などの情報開示を命じることができるようにするなど、侮辱罪の厳罰化について着々と準備を進めていた。法務省が厳罰化に乗り出したきっかけは、リアリティ番組『テラスハウス』(2020年5月19日放送)に出演していた女子プロレスラーがSNSの誹謗中傷を苦に自死した事件(同5月23日)だったといわれている。

   宮内庁は法務省の動きと連動して、眞子さんのPTSDの原因を誹謗中傷によるものとすることによって、SNSなどの批判意見を封じ込めようとした。眞子さんの結婚問題に異議や批判意見を唱える国民の声を「誹謗中傷」とみなして、宮内庁が「黙れ、訴えるぞ」と言っているようなものだ。これを機に、国民の皇室に対する目線や想いは複雑化し、そして先鋭化した。

   憲法第88条では「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない」と定めている。令和3年度の皇族費の総額は2億6900万円(宮内庁公式ホームページより)だ。国民の皇室に対する気持ちが複雑化すると、国民の間では納税者意識が頭をもたげてきた。「皇室は血税で賄われている。だったら国民の声を素直に聞くべき」といったSNSなどでの書き込みが目立つようになった。

   きのう22日、皇位継承のあり方などを議論してきた政府の有識者会議が最終的な報告書をまとめた。皇位継承の議論は機が熟していないとしたうえで、皇族数を確保する方策として▽女性皇族が結婚後も皇室に残る案と▽旧皇族の男系男子を養子に迎える案の2つが盛り込まれた(12月22日付・同)。おそらく、国民の皇室への意識はますます複雑化し、そしてかけ離れていく。皇位継承のあり方よりも、皇室そもののあり方や存続について議論すべき時が来ているのではないか。眞子さんの結婚問題の波紋は大きい。

⇒23日(木)夜・金沢の天気      こさめ

★NYでの新婚生活は明るく自由で平和なのか

★NYでの新婚生活は明るく自由で平和なのか

   秋篠宮家の眞子さまの結婚問題が大きく動いた。NHKニュースWeb版(2日付)によると、宮内庁はきのう1日に記者会見を行い、眞子さまは今月26日に婚姻届を提出し、その後、小室圭氏とともに記者会見に臨む予定と発表した。この日は大安にあたる。また、結婚にあたって、女性皇族の結婚に伴う儀式をすべて行わないことや、皇室を離れる際に支給される「一時金」の受け取りを辞退されることなども明らかにした。眞子さまは、結婚に当たり、両陛下や上皇ご夫妻を訪ねてお別れのあいさつをされる。

   さらに、宮内庁の会見で明らかにされたことは、「眞子さまは、ご自身やご家族、それに小室さんとその家族への誹謗中傷と感じられる出来事が続いたことで、『複雑性PTSD』(=複雑性心的外傷後ストレス障害)と診断される状態になられている」(2日付・NHKニュースWeb版)。宮内庁の会見には、医師も同席し、「結婚について周囲が温かく見守ることで回復が進むものと考えられる」などと述べた。

   この会見内容を読んでの率直な感想だ。お二人の婚姻手続きから記者会見の設定まで、宮内庁は一応すべての段取りを終え、ようやく発表にこぎつけた。きのうは金曜日だったので、記者発表の日程としてはぎりぎりセーフだろう。そして、「PTSD」を公表して、周囲が温かく見守ってほしいと医師に語らせた。この周囲とは「国民」のことと解釈する。さらに、宮内庁はPTSDの原因を誹謗中傷によるものとしている。SNSなどの誹謗中傷による侮辱罪を厳罰化する法整備が進められているので、宮内庁は「黙れ、訴えるぞ」と言っているようにも聞こえる。

   結婚後にニューヨークで暮らすことも報じられているが、アメリカのメディアは今回の結婚をどう報道しているのか。ニューヨークに本社がある「The Wall Street Journal」Web版(1日付)は「Japan’s Princess Mako to Marry as Palace Blames Media for Her PTSD」と、PTSDをあえて見出しに入れて報じている=写真=。同じくニューヨークに本社がある「Bloomberg」Web版(同)は「Japanese Princess Giving Up $1.4 Million to Wed Fordham Grad」と140万㌦の持参金をあきらめたとの見出しで報道している。その理由として、弁護士志望の小室氏の家族の背景に関する厳しい世論などに配慮したものと報じている。アメリカメディアは、基本的人権の問題であるので他人が干渉すべきではないとの論調が主流だ。

   一つ案じることがある。それは、「Japan’s Princess」へのアメリカの国民感情だ。異なる民族の集合体でもあり、実に多様で複雑だ。中には、第二次世界大戦と天皇について語り、日本はいまだに十分な謝罪も償いもしていないと声高に主張する東南アジア系市民もいるだろう。韓国系市民団体などは慰安婦像の設置や、ハーバード大学教授の学術論文を批判、日本製品の不買運動など活発な運動を展開している。あるいは逆に、「Japan’s Princess」を政治的に活用しようという動きも出て来るかもしれない。これまでよく引き合いに出されるイギリスのヘンリー王子とメーガン夫人の王室離脱騒動とは違った次元だ。自由で明るい、平和な暮らしだけがニューヨークにあるわけではない。

⇒2日(土)午前・金沢の天気    はれ時々くもり

★皇室の一時金制度そのものが問われている

★皇室の一時金制度そのものが問われている

   はやり宮内庁は大きな勘違いをしている。なぜ皇室経済会議を開催しないのか。NHKニュースWeb版(25日付)はこう伝えている。皇族が結婚などによって皇室を離れる場合、品位を保つことを目的に「一時金」が支給されることが皇室経済法で定められていて、眞子さまのような「内親王」の場合、1億5250万円が上限となっている。これについて眞子さまは、小室さんの母親の金銭トラブルに対する批判的な世論などを踏まえ、受け取りを辞退される意向を示されていて、宮内庁が、政府や内閣法制局とも連絡を取りながら対応を検討してきた。その結果、宮内庁として眞子さまへの一時金は支給しない方向となり、眞子さまの結婚の日程などとあわせ、来月上旬にも発表できるよう調整を進めている。これによって、総理大臣が議長となって一時金の支給額を決定する「皇室経済会議」は開かれない見通し。

   憲法第88条では「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない」と定めている。皇籍離脱の一時金は皇族費であり、皇室経済法第6条に基づき、皇室経済会議を開く必要がある。本来は一時金の金額の認定などする場ではあるが、「受け取らない」場合であっても、その理由について了承を得る必要がある。会議メンバーは総理大臣、衆参正副議長、財務大臣、宮内庁長官、会計検査院長の8人だ。

   今回の一時金支給の辞退は皇室の歴史においても異例だ。NHKニュースWeb版はこう伝えている。一時金をめぐっては、昭和22年に11宮家の51人が皇籍を離脱した際、軍に所属していた男性皇族11人に支給されなかった例があるが、戦後、結婚によって皇室を離れた女性皇族に支給されなかった例はない。皇室経済会議は眞子さまが辞退したので、「あ、そうですか」と会議を開かない理由が納得いかない。なぜ、辞退されたのか問うてほしい。その上で、「皇室を離れる場合、品位を保つことを目的」としている一時金の意義を論議すべだ。皇室にとって必要のない、あるいは形骸化している制度であれば、この際、一時金制度を廃止すべきだろう。皇室経済会議を開いてその議論をなぜしないのか。

   ましてや、冒頭の記事で眞子さまの辞退の理由は「小室さんの母親の金銭トラブルに対する批判的な世論などを踏まえ」とされている。小室圭氏の母親の疑惑は厚生労働省や司法が判断する別次元の話だ。この件を、一時金で配慮するという眞子さまの感覚そのものがずれている。あるいは、一時金を辞退するので、小室の母親の疑惑はなかったことにしてほしいとのお気持ち、あるいは国民に向けたメッセージであるならば、それは論外ではないだろうか。

   2017年9月の婚約内定会見から4年、国民の信頼の失墜を招いた責任は宮内庁にあるだろう。その役割はもう終わった。全国に700ある天皇家にまつわる陵墓を守るのが宮内庁の大きな役目の一つとされる。それに専念すればよいのではないか。

(※写真は、「小室圭さん母 『年金詐取』計画 口止めメール」疑惑を報じた週刊文春=2021年4月29日号)

⇒25日(土)夜・金沢の天気    あめ  

☆皇室は国内最後の養蚕家になるのか

☆皇室は国内最後の養蚕家になるのか

   前回のブログの続き。「人呼んで上滑り長官」ではないのか。報道によると、宮内庁の西村長官は、24日の定例の記者会見で、「オリンピックをめぐる情勢につきまして、天皇陛下は現下の新型コロナウイルス感染症の感染状況を、大変ご心配されておられます」と述べた。そのうえで、「国民の間で不安の声があるなかで、ご自身が名誉総裁をおつとめになるオリンピック・パラリンピックの開催が感染拡大につながらないかご懸念されている、ご心配であると拝察をいたします」と話した(6月24日付・NHKニュースWeb版)。

   これについて菅総理は、官邸で記者団に対し「長官ご本人の見解を述べたと理解をしている」と話した(6月25日付・同)。西村長官が陛下の気持ちを案じて述べたコメントなのか、あるいは長官本人の見解なのか、正直どちらでもよい。陛下がオリンピック・パラリンピックを案じられる気持ちは、国民も理解できる。それもさることながら、長官がもう一つコメントすべきは、皇室の威厳にかかわる問題として浮上している、眞子さまの婚約内定問題についてだろう。長官は陛下の今のお気持ちをなぜ述べなかったのか。

   オリ・パラより難題で、宮内庁長官といえどもコメントできないのは理解できる。皇室がお二人の結婚に反対していると発言すれば、国際世論が沸騰する。相思相愛のお二人の結婚を許さない日本の皇室は前近代的だ、旧態依然とした日本の姿をさらす出来事だ、と。問題は婚約内定中の小室圭氏側にあったとしても、この批判は日本にとって不名誉なことになる。逆に、結婚を認めれば国民の皇室への求心力がガタ落ちすることは想像に難くない。

   冒頭の「人呼んで上滑り長官」は、4月8日に小室氏が母親の金銭トラブルに関して説明した28㌻文書について、西村氏が同日の記者会見で「非常に丁寧に説明されている印象だ」と述べていたが、その4日後に小室氏側が解決金を渡す意向があると方針転換したことで、長官発言は軽々しいとSNSなどで批判されたことを指す。

   話は変わるが、宮内庁の公式ホームページをチェックしていて、「給桑(きゅうそう)」という言葉が目に留まった。蚕(かいこ)に桑(くわ)を与えること。大きく育った蚕に、枝付きの桑を与えることを「条桑育(じょうそういく)」と説明している。5月25日に皇后が皇居内の紅葉山御養蚕所で給桑をほどこされる様子を掲載している=写真=。この画像を見て、皇室は相当長い歴史と技術を有する養蚕家でもあるのだと気付かされた。

   日本文化のシンボルの一つは和装、その素材は絹織物だ。蚕が産み出す繭(まゆ)から生糸をつくり、生糸を繊維に加工して絹織物をつくる。ところが、農水省の公式ホームページに掲載されている「新蚕業プロジェクト」によると、平成元年度(1989)に養蚕農家は全国で5万7230戸だったが、同30年度には293戸と激減している。さらに、養蚕農家の主たる従事者は現在も70歳以上が6割を占める。絶滅が危惧される業種なのだ。世界では中国が圧倒的なシェアを占め、インド、ウズベキスタンと続く(JETRO公式ホームページ「ビジネス短信」)。ひょっとして、10年後、20年後には皇室が国内最後の養蚕家になるのか。

⇒26日(土)夜・金沢の天気      くもり時々あめ