#宝島社

★自虐ネタ、団塊応援・・・新年の広告メッセージが面白い

★自虐ネタ、団塊応援・・・新年の広告メッセージが面白い

   年始の新聞広告は例年のごとく派手さが目立った。笑えるもの、考えさせるもの、目立つものの何が言いたいのか分からないと思ってしまうものなどさまざま。いくつか紹介すると。

   この広告は毎年見ているが、関西漫才のように自虐的で笑える。入試願書の受付開始日と合わせた近畿大学の広告(3日付)『上品な大学、ランク外。』=写真・上の左=。同大は「THE世界大学ランキング2023」で日本の私立総合大学の中で慶応大学と並ぶ1位にランクされたものの、「進学ブランド力調査2022」(調査・リクルート進学総研)での「上品な大学ランキング」ではトップ10から外れている。それでも、「めっちゃうれしいやん!」「お上品限定に見えないなら、むしろ本望!」と。

   他の大学ランキングでは「エネルギッシュである」「チャレンジ精神がある」「コミュニケーション能力が高い」がぞれぞれ1位(※日経BPコンサルティング「大学ブランド・イメージ調査2021-2022」)なのだとPRしている。研究資金を自ら稼ぎながら挑戦し続けて成功させたクロマグロの完全養殖をその事例に挙げている。ちなみにバックに映っている学生は近大生200人の顔写真をAIに学習させて合成した近大生の特徴のある顔のようだ。データとAIを駆使し、良い意味で「くどい」文章回しは見事だ。

   日経新聞(3日付)をコンビニに買いに行った。すると、紙面の一面には「日本経済新聞」と題字はあるものの、赤や青、緑、黄色の斑点が散らばっている=写真・上の右=。よく見ると「本日は特別紙面でお届けします。通常紙面は2枚目からになります」と小さく記してある。ルイ・ヴィトンの広告にくるまれた朝刊なのだ。紙面をめくると、これもルイ・ヴィトン広告。「Yayoi Kusama」とあったので草間彌生をネット検索すると、ルイ・ヴィトンと草間彌生がコラボレーションで作品を展示する、機関限定のポップアップストアを今月2日に東京・原宿でオープンしていて、そのPR広告のようだ。場所は明治神宮の近くなので、初詣客でにぎわっているのではないだろうか。

   5日付の宝島社の見開きの全面広告も深い味わいがある。『団塊は最後までヒールが似合う。』=写真・中=。黒いタイツにハイヒールを履いた中尾ミエが真ん中に鎮座する。第一次ベビーブームと呼ばれた戦後の1947年から49年に生まれた世代は「団塊の世代」とも称される。この世代が後期高齢者になっている。キャッチコピーの「ヒール」は「悪役」の意味。団塊の世代は個性派が多く、日本の学生運動を主導した世代でもある。宝島社は「団塊よ、どうか死ぬまで突っぱって生き切ってくれ。他の世代を挑発し続けてくれ」とメッセージを送っている。共感する。

   意味がよく理解できなかったのが、トヨタイムズの見開きの全面広告(1日付)=写真・下=だった。トヨタ自動車がネットやCMなどを通じて独自発信するメディアだ。キャッチコピーが「なぜトヨタは24時間耐久レースに挑み続けるのか?」「いつまでハイブリッドをつくり続けるんだ・・・と言われる今、新型プリウス投入の意味」など、見栄えは強烈だが、言葉の深みや面白さというものが今一つ伝わってこない。せめて、ソニー・ホンダが開発しているEVに対抗意識を燃やしてほしかった。

⇒6日(金)夜・金沢の天気   くもり

★訴求力のある企業メッセージ

★訴求力のある企業メッセージ

   高校時代からの友人が「この上なく訴求力のある、すごい意見広告」とメールで送ってくれたのが、きのう24日付の読売新聞で掲載された、出版会社「宝島社」の見開きの全面広告の画像だった=写真・上=。確かに、インパクトのあるメッセージだ。「世界を敵にまわして、生き残ったヤツはいない。」

   図柄は麦畑の上は青空なので、ウクライナの国旗をイメージしている。ということは、ウクライナ侵攻で世界から非難を浴びているロシアのプーチン大統領に向けたメッセージと読める。人類は、いつまで同じ過ちを繰り返すのか、早期の戦争終結を訴えている。国連軍縮週間(10月24-30日)に合わせたメッセージ広告でもある。

   宝島社の見開き広告はこのほかにも印象深いものがある。2021年5月21日付は、「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される。」=写真・中=。戦時下の子どもたちの竹槍訓練の写真の真ん中に赤いウイルスがある。見ようによっては、国旗の日の丸の部分がウイルスになっている。

   キャッチコピーの下にある趣旨説明には、「この一年は、いったい何だったのか。いつまで自粛をすればいいのか。我慢大会は、もう終わりにして欲しい。ごちゃごちゃ言い訳するな。無理を強いるだけで、なにひとつ変わらないではないか」と、当時の菅政権への強烈な批判だった。

   2019年1月7日付は「敵は、嘘。」(読売新聞)と「嘘つきは、戦争の始まり。」(朝日新聞)の2パターンあった=写真・下=。
   「敵は、嘘。」はデザインがイタリア・ローマにある石彫刻『真実の口』だ。嘘つきが手を口に入れると手が抜けなくなるという伝説がある。「いい年した大人が嘘をつき、謝罪して、居直って恥ずかしくないのか。この負の連鎖はきっと私たちをとんでもない場所へ連れてゆく。嘘に慣れるな、嘘を止めろ、今年、嘘をやっつけろ。」と解説があった。当時国会で追及されていた森友・加計問題のことを指していた。

   そして、「嘘つきは、戦争の始まり。」のデザインは湾岸戦争(1991年)のとき世界に広がった、重油にまみれた水鳥の画像だった。当時は、イラクのサダム・フセインがわざと油田の油を海に放出し、環境破壊で海の生物が犠牲になっていると報じられていた。この広告の掲載のときは、アメリカ大統領のトランプ氏が2017年の就任時からメディアに対して「フェイクニュース」を連発していた。為政者こそ軽々しく嘘をつくな、というメッセージだった。

   企業広告とは言え、読者の目線で気持ちを代弁するメッセージの数々に喝采を送りたい。

⇒25日(火)夜・金沢の天気    くもり

☆広告メッセージの凄み 「政治に殺される」

☆広告メッセージの凄み 「政治に殺される」

   きのう朝8時39分に友人からメールが届いた。「おはようございます。今日の読売新聞です」と書かれ、画像が貼り付けられていた。「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される。」。出版社の宝島社の全30段(左右両面)の全面広告だ=写真・上=。図柄をよく見ると、戦時下の子どもたちの竹槍訓練の写真の真ん中に赤いウイルスがある。見ようによっては、国旗の日の丸の部分がウイルスになっている。

   キャッチコピーの下に趣旨が述べられている。「私たちは騙されている。この一年は、いったい何だったのか。いつまで自粛をすればいいのか。我慢大会は、もう終わりにして欲しい。ごちゃごちゃ言い訳するな。無理を強いるだけで、なにひとつ変わらないではないか。今こそ、怒りの声をあげるべきだ。」と。

   実は4日前の今月7日にメールを送ってくれた友人たち3人で昼食を伴にした折に、まさに、キャッチコピーや趣旨文と同様のフレーズが次々と出て、話が盛り上がった。「いまだにワクチンも接種できない。日本はまるで敗戦国だ」と。

   この広告は、読売のほかに朝日、日経の朝刊にも掲載されていた。宝島社はこれまでも全面広告を出している。印象深いのが、2019年1月7日付だった。「敵は、嘘。」(読売新聞)と「嘘つきは、戦争の始まり。」(朝日新聞)の2パターンあった=写真・下=。

   「敵は、嘘。」はデザインがイタリア・ローマにある石彫刻『真実の口』だった。嘘つきが手を口に入れると手が抜けなくなるという伝説がある。「いい年した大人が嘘をつき、謝罪して、居直って恥ずかしくないのか。この負の連鎖はきっと私たちをとんでもない場所へ連れてゆく。嘘に慣れるな、嘘を止めろ、今年、嘘をやっつけろ。」と。当時国会で追及されていた森友・加計問題のことを指していた。

   そして、「嘘つきは、戦争の始まり。」のデザインは湾岸戦争(1991年)のとき世界に広がった、重油にまみれた水鳥の画像だった。当時は、イラクのサダム・フセインがわざと油田の油を海に放出し、環境破壊で海の生物が犠牲になっていると報じられていた。また、イラクがアメリカ海兵隊部隊の沿岸上陸を阻むためのものであるとの報道や、多国籍軍によるイラクの爆撃により原油の流出が生じたなど、その真偽は定かではない。この広告の掲載のときは、アメリカ大統領のトランプ氏が2017年の就任時からメディアに対して「フェイクニュース」を連発していた。為政者こそ軽々しく嘘をつくな、というメッセージだった。

   今回の広告は、コロナ禍で後手後手になっている為政者をダイレクトに突き刺す広告である。企業広告とは言え、国民の気持ちを代弁するメッセージの数々に喝采を送りたい。

⇒12日(水)夜・金沢の天気      はれ