#安全保障環境

★「ラーメンをすすって感じる物価高」参院選始まる

★「ラーメンをすすって感じる物価高」参院選始まる

   よく利用する主要地方「のと登里山海道」沿いの道の駅「高松」で先日、「あぶり豚のと塩麺」を食べた。能登の塩を使ったラーメンで、能登豚のあぶりチャーシューや海藻が入っていてお気に入りのメニューだ。自販機で食券を買い求めると、950円だった。2ヵ月前にも食べたが、それまでは880円だった。70円、率にして8%ほどの値上げ。麺の原料は小麦なのでその価格高騰の影響なのだろう。物価高を間近に感じた。

   参院選挙がきのう公示され、7月10日の投開票に向けて18日間の選挙戦の火ぶたを切った。その争点はどこにあるのか。先述した物価高への対策は選挙の論点になるだろう。ロシアによるウクライナへの侵攻で小麦だけでなく、ガソリンなど燃料の価格上昇が全体の物価を押し上げている。価格高とどう向き合うのか。それぞれの候補者は具体策を述べてほしい。

   2つ目が日本海側などの安全保障環境だ。報道によると、中国軍とロシア軍の爆撃機4機が日本海や東シナ海などで長距離にわたって共同飛行(5月24日)。そして、ロシアの駆逐艦5隻が日本海など列島を周回し、中国の駆逐艦3隻も日本列島に沿う形で航行するなど不気味な動きを繰り返している。北朝鮮のICBMの連続発射、さらに核実験と新たな核兵器開発も懸念される。隣国のこうしたハラスメンにどう対抗していくのか。外交政策を聞きたい。

   3つ目は少子化対策。総務省が発表した2021年の人口統計は過去最高の64万4000人の減少だった。EV大手テスラの経営者イーロン・マスク氏がツイッターで「Japan will eventually cease to exist.」(5月8日付)と書き込んで物議を醸した。出生率が死亡率を超える変化がない限り、日本はいずれ消滅する。世界の著名人も注視する日本の少子化現象、いよいよ「少子化は国難」との位置付けで対策を打つべきだが、はたして「こども家庭庁」の新設で済む話なのだろうか。

   きょう自宅近くにある金沢市総合体育館の前を車で通ると、立候補者ポスター掲示板にそれぞれのポスターが貼られていた=写真=。石川選挙区(改選定数1)には6人が立候補しているのに5枚しか貼ってない(午前10時現在)。まだ貼っていない候補者には、「この国難の参院選、なんと心得るのか、真剣にやれ」と言いたいのだが、落下傘候補のようだ。むしろ、このような選挙制度でよいのかと問いたい。

   紙面を読むと、立憲民主党の候補者の応援演説に来た地元選出の衆院議員が「岸田インフレ、黒田円安を抑えていこう」と呼び掛けたと掲載されているが、当てこすりのような言い回しだ。ならば、物価高と円安の対策について立憲民主党の具体案を提起してほしい。

⇒23日(木)夜・金沢の天気    はれ

★総理がNATO首脳会談に出席する意義は何なのか

★総理がNATO首脳会談に出席する意義は何なのか

   きのう午後6時からNHKが中継で放送していた岸田総理の記者会見を視聴していた=写真=。淡々と語るその様子は分かりやすい説明で、「有事の価格高騰」に備えて、岸田氏が自らが本部長となり政府内に「物価・賃金・生活総合対策本部」を立ち上げるとの方針は、このところの物価上昇や景気動向に対応する迅速な対応だと思う。

   ただ、納得がいかない点もあった。その一つは、新型コロナウイルスの感染症対策の司令塔機能を強化するため「内閣感染症危機管理庁」を設置するとの表明。さらに、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、アメリカのCDC(疾病対策センター)に相当する「日本版CDC」を創設すると説明した。正直言えば、「いまさら遅い。現状でよい。研究所とセンターに混乱をもたらすだけ」。そう思ったの自身だけだろうか。

   もう一つ、少子化対策として「こども家庭庁」の設置法が成立し、300人規模の準備室を立ち上げる方針を示した。そして、出産費用を助成するため、現在は原則42万円が支給される「出産育児一時金」を「私の判断で大幅に増額する」と述べた。これは聞こえはよいが、現状の42万円はほとんどは「出産一時金」であり、病院に吸い取られている。岸田氏が増額した分は病院に「献上」することになりはしないか。むしろ、「出産」は保険適応、「育児」は幼稚園・保育園の経費無償化などと分けて支援した方が説得力がある。そのためのこども家庭庁ではないだろうか。

   さらに会見では、記者からの質問に岸田氏が戸惑う場面もあった。ジャパン・タイムズの記者が「今回の参院選をひと言で表現すれば、なんという選挙ですか」「勝敗ラインは」と尋ねた。勝敗ラインについては「与党で過半数」とすんなり言葉として出てきた。ところが、選挙(22日公示、7月10日投開票)の日程は迫っているものの、総理の口からは選挙をひと言で表現する言葉がなかなか出てこない。争点として有権者に何を訴えたいのか。結局、明言は避けたカタチとなった。

   道筋はすでにできているはずだ。岸田氏は会見で、6月下旬にドイツで開かれるG7サミットに出席し、その後、スペインで開かれるNATOの首脳会議に日本の総理として初めて出席する旨を明らかにした。ならば、この会議に出席して何を訴えるのか、その意義を語るべきではないのか。ロシアのウクライナ侵攻が象徴するように世界の、そして日本の安全保障環境も大きく変わってきた。参院選を機に、リアリティのある「アンポ」について国民と語るべきではないだろうか。

⇒16日(木)午後・金沢の天気     はれ