#太陽光発電

☆カーボンニュートラルな能登の光景

☆カーボンニュートラルな能登の光景

   能登半島で見る印象的な風景は、山の峰に並ぶ風力発電、山裾や田んぼ、畑の一角に広がる太陽光発電ではないだろうか。脱炭素の世界的な潮流を受け、日本も2030年に温室効果ガスの46%削減、2050年までのカーボンニュートラルの実現を表明している(2021年4月・気候サミット)。日本が排出する二酸化炭素の4割が電力関連で、再生可能エネルギーに置き換える動きが全国的に活発だ。

   能登半島全体では74基、うち半島尖端の珠洲市には30基の大型風車がある。経営主体は日本風力開発株式会社(東京)、2007年から順次稼働している。発電規模が45MW(㍋㍗)にもなる国内でも有数の風力発電地域だ。発電所を管理する会社のスタッフの案内で現地を訪れたことがある。ブレイド(羽根)の長さは34㍍で、1500KW(㌔㍗)の発電ができる。風速3㍍でブレイドが回りはじめ、風速13㍍/秒で最高出力1500KWが出る。風速が25㍍/秒を超えると自動停止する仕組みなっている。羽根が風に向かうのをアップウインドー、その反対をダウンウインドーと呼ぶ。1500KWの風車1基の発電量は年間300万KW。これは一般家庭の1千世帯で使用する電力使用量に相当という。(※写真・上は能登半島の先端・珠洲市の山地にある風力発電)

   なぜ能登半島に立地したのか。「風力発電で重要なのは風況」と現地のスタッフが説明してくれた。中でも一番の要素は平均風速が大きいことで、6㍍/秒を超えることがの目安になる。能登半島の沿岸部、特に北側と西側は年間の平均風速が6㍍/秒を超え、一部には平均8㍍/秒の強風が吹く場所もあり、風力発電には最適の立地条件なのだ。いいことづくめではない。能登で怖いのは冬の雷。「ギリシアなどと並んで能登の雷は手ごわいと国際的にも有名ですよ」と。そのため、ブレイドの材質は鉄製ではなく、FRP(繊維強化プラスチック)にしているが、それでも落雷のリスクはあるという。

   バイオマス発電所もある。珠洲市に隣接する輪島市の山中にある。発電所を運営するのは株式会社「輪島バイオマス発電所」。スギやアテ(能登ヒバ)が植林された里山に囲まれている。木質バイオマス発電は、間伐材などの木材を熱分解してできる水素などのガスでタービンエンジンを駆動させる。石炭など化石燃料を使った火力発電より二酸化炭素の排出量が少ない。もともと二酸化炭素を吸湿して樹木は成長するのでカーボンニュートラルだ。発電量は2000KWで24時間稼働するので年間発電量は1万6000MW、これは一般家庭の2500世帯分に相当する。エンジンを駆動させるために必要な木材は一日66㌧、年間2万4千㌧の間伐材が必要となる。(※写真・中は輪島市三井町にある輪島バイオマス発電所の施設)

   創業者から会社設立に至った経緯をうかがったことがある。「能登の里山を再生するために、間伐材をどうしたら有効利用できるかを考えていたら、バイオマス発電が浮かんだ。そこから夢も膨らみ、地産地消のエネルギーで地域の活性化に貢献したいと思い、会社をつくったのです」。森林維持には欠かせない間材で生じた木材のうち丸太材やパルブ材などに利用されるのは70%程度に過ぎない。残りの端材や曲がり杉は、利用されずに林地残材という形で山の中にそのまま残されているのが現状。これではもったいない。カスケード利用(多段的利用)しない手はない(同社公式サイト)。里山のもったいない精神から発想された再エネなのだ。

   能登半島では農地のほかに山間部でも大規模なメガソーラー(1000kW)が相次いで稼働している。耕作放棄地など活用したのだろう。気になることもある。川沿いの平野部に設置されている太陽光パネルだ。これが、集中豪雨による冠水や水没で損壊したり、設備が流されるということにはならないだろうか。太陽光パネルは実は危険だ。損傷し放置された太陽光パネルに日が当たると発電し、感電や火災につながる可能性がある。(※写真・下は珠洲市にあるソーラー発電施設)

   きょうの新聞各紙は、環境省は使用済みの太陽光パネルのリサイクルを義務化する検討に入ったと伝えている。太陽光パネルの寿命は長くて30年だ。普及が進んでいる能登地区の近未来の課題でもある。

⇒29日(日)夜・金沢の天気    はれ

★厳冬考察:カーボンニュートラルと腰痛

★厳冬考察:カーボンニュートラルと腰痛

        朝起きると腰や右肩に痛みを感じた。時間が経つと少しやわらいできたがまだ痛みは残る。「頑張り過ぎたかな」と。昨夕方、自宅の玄関前やガレージ前などで雪すかし(除雪)をした。雪はじっとりと湿っていて重い。その雪を空きスペースに放り投げる。「エンヤコラ」と『ヨイトマケの唄』を心で歌いながら作業を60分ほど続けた。その反動が今朝の痛みだ。  

   屋根雪も随分と積もっていたが、少しずつ解け始めている。けさ近所の家の屋根をみると、ソーラー発電のパネルが見えていた=写真・上=。きょうは曇り空だが、5日ぶりの発電ではないだろうか。再生可能エネルギーの代表のような太陽光発電だが、今季のような豪雪では用を成さない。

   そこで思ったことは、菅総理は所信表明演説(2020年10月26日)で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指します」と声高に宣言した。そうなってほしいと自身も心から願うが、現実は容易ではないだろう。厳冬になれば、太陽光発電の電力供給が滞る一方で、電力需給がひっ迫してくるからだ。

   NHKニュースWeb版(12日付)によると、きのうの電力の使用率のピークは▽中国電力管内で午後6時台に97%、▽北陸電力管内で午後7時台に97%、▽四国電力で午前9時台に97%、▽中部電力と関西電力は午前10時台に96%、など全国的にひっ迫した。北陸電力送配電公式ホームページ「北陸エリアでんき予報」をチェックすると、きょう12日の需要ピーク時使用率は96%と予想値を出している。おそらく火力発電所を最大限に稼働させるなど、電力の現場では供給の確保に必死だろう。ちなみに同社の電源構成(2019年度)は石炭火力48%、水力28%、LNG11%、FIT(固定価格買取制度で調達した太陽光・風力発電)6%などとなっている(北電公式ホームページ)。北電の志賀原発は運転停止中だ。

   2050年カーボンニュートラル宣言は発出されたものの、現実問題として、二酸化炭素を出さずにエネルギー供給するとなると、電源として水力や風力、太陽光、原子力などのエネルギーミックスの有り様が問われる。経産省は第5次エネルギー基本計画(2018年7月)で、2030年度の電源構成を火力56%(LNG27%、石炭26%、石油3%)、原子力22-20%、再生エネ22-24%とするエネルギーミックスを発表しているが、カーボンニュートラル宣言で石炭などを極力使わないとなると、原子力の比重が増すことになる。果たしてそのような単純な計算でよいのだろうか。

   午後1時ごろ、自宅前が騒々しくなってきた。道路の除雪作業をするショベルカーと雪を運ぶトラックがやってきた=写真・下=。自宅前の道路では積雪であちらこちらにわだちが出来ていて乗用車の立ち往生も起きていた。ショベルカーを写真で撮ろうと外に出たとたんに屋根雪がドドッーと落ちてきた。間一髪だった。ショベルカーが動くたびに地面にかすかな振動がしていた。その揺れで屋根雪が落ちたのか、あるいは偶然か。

   写真を撮り終え、玄関前の落雪のかたまりをスコップですくい、庭の空きスペースに放り投げる作業を始めた。落下した雪はとてつもなく重い。またまた、「エンヤコラ」と『ヨイトマケの唄』を心で歌いながら。20分ほどで終えたが、あすの朝も腰と右肩に痛みが走るかもしれない。腰と肩の痛みは冬場の日常と心得よ、と自身に言い聞かせる。

⇒12日(火)午後・金沢の天気    くもり時々あめ