#大前研一

☆大前研一氏が説くAI時代の「新・教育論」 金沢の私学と連携

☆大前研一氏が説くAI時代の「新・教育論」 金沢の私学と連携

  経営戦略のコンサルタントで知られる大前研一氏のメールマガジン『Aoba-BBT BUSINESS REVIEW』 を読ませてもらっていて、何度かこのブログで記事を紹介している。2024年1月19日付で、能登半島地震で水道が断たれた被災地で重宝されている「水再生装置を用いたシャワーセット」を開発したベンチャー企業「WOTA(ウォータ)」(東京)についての記事(同1月12日付)を紹介した。普通のシャワーは100㍑だと2人しか浴びられないが、同社が開発した「WOTA BOX」は100人が浴びられる。このことをテレビで知った大前氏は同社CEOに連絡した。「私が彼に電話をすると、彼はまだ能登におりましたので、私はその施設を一つ寄付するので本当に必要とするところに置いてあげてくれと伝えました」「一刻も早く、彼らの技術で困っている(世界の)多くの人々を助けてくれることを願っています」

  メールマガジンの中では理路整然と酷評するとのイメージがある大前氏だが、被災者の気持ちに寄り添ったこの記事内容に別の一面を見た思いだった。その大前氏が創業した教育関連企業「Aoba-BBT」が金沢市のミッション系スクールとして知られる北陸学院と業務提携を結ぶことになったと、地元メディア各社が報じている。大前氏は1998年に株式会社「ビジネス・ブレークスルー」を設立し、インターネットを介して学ぶオンライン大学やインターナショナルスクール、社会人向けのリスキリング(学び直し)スクールを運営。2023年10月に社名を「Aoba-BBT」として、これまでの社会人向けの実践的マネジメント教育に加え、幼児教育から高等学校課程までの国際教育を加えた。

  北陸学院は1885年に創設された石川県内で歴史ある私立学校で、幼稚園から大学までキリスト教の理念に基づく教育を一貫して行っている=写真・上=。今後、少子化が進む中で生き残り策として、国際的に通用する教育プログラム「国際バカロレア(IB)」を導入するため、グローバル人材の育成に経験豊富なAoba-BBTと業務提携を結ぶことになった。IBを通じて世界を学ぶと同時に、カリキュラムを取得すると海外の大学の入学資格になるメリットもある。

  大前氏はメールマガジン『Aoba-BBT BUSINESS REVIEW』の中で、「新・教育論」と題して述べている=写真・下=。日本の学習指導要領は10年ごとの改変だが、フィンランドなど北欧は3ヵ月ごとに改変している。世界はAI時代になりテンポが速くなっているのに日本の教育はこれでいいのか、と。さらに、偏差値に生徒たちが縛られ、それが自分の人生のように思い込んでしまっていることも多い。21世紀に求められる教育は、AIには再現できない構想力と質問力、そして多様な環境に柔軟に対応するためのリーダーシップだ、と。北陸学院の新たな教育プログラムに大前氏の「新・教育論」のコンセプトが活かされることを期待したい。

⇒26日(水)夜・金沢の天気     くもり

★能登半島地震 水再生の技術を被災地で活かす

★能登半島地震 水再生の技術を被災地で活かす

   生活インフラは徐々にではあるものの回復している。停電は10日前の9日午後で1万8000戸だったが、きょう午後現在で7420戸となり、6割ほどが復旧した。問題は断水だ。9日午後に5万9000戸だったが、きょう午後現在でも4万9990戸で断水が続いている。中でも輪島市、珠洲市、七尾市、能登町、穴水町、志賀町の6市町はほぼ全域となっている(石川県庁生活環境部まとめ)。 

   そのような状況の中で、飲料水は配給されるペットボトルなどで確保できたとしても、風呂も入れず、シャワーも浴びていないという被災者も相当いる。そんな中で、被災地で「水再生装置を用いたシャワーセット」が活躍しているようだ。以下、経営戦略のコンサルタントで知られる大前研一氏のメールマガジン(12日付)で掲載された記事の引用。

   シャワーセットを被災地に提供しているのはベンチャー企業「WOTA(ウォータ)」(本社:東京都中央区)。すでに、七尾市の避難所で断水状況下でシャワー浴ができるポータブル水再生システム「WOTA BOX(ウォータボックス)」を設置している。可搬型の製品で、大きさは家庭用エアコンの室外機程度。RO(逆浸透)膜をはじめとする数種類のフィルターによる濾過、塩素殺菌、そして紫外線照射による殺菌で排水の98%を飲用レベルまで再生させる装置。上下水道管をつながなくても、装置の中で再生された清潔な水を繰り返し使うことができる仕組みだ。

   これにより、シャワーは100㍑だと2人しか浴びられないが、「WOTA BOX」だと100人が浴びられる。大前氏は記事の中でCEOの前田瑶介氏について、「水のないところで水を作る『小さな水再生システム』を開発・実現し、アフリカなど水に困る地域を救っている非常に志の高い人物」と評している。(※写真は、被災地に到着した「WOTA BOX」=前田瑶介氏の9日付「X」より)

   大前氏は被災地の様子をテレビで視聴していて、久しりぶりにシャワ-を浴びたと喜んでいる被災者のバックに「WOTA」と書かれ施設があったので、さっそく前田氏と電話で連絡を取ったようだ。「今朝、私が彼に電話をすると、彼はまだ能登におりましたので、私はその施設を一つ寄付するので本当に必要とするところに置いてあげてくれと伝えました」「彼は自分たちの技術が日本で生かされるとは、想像していなかったことでしょう。彼は今も、現地の非常に不便な環境での立ち上げを手伝っていると思います。一刻も早く、彼らの技術で困っている多くの人々を助けてくれることを願っています」

   自らの活かせる技術を被災地で役立てようと懸命になっている人物の様子が大前氏の記事から伝わってきたので紹介した。

⇒19日(金)夜・金沢の天気    くもり