#地震

☆地震と漂着船 漂う不気味さ

☆地震と漂着船 漂う不気味さ

   きょう新年の初詣に白山比咩神社(白山市)に行ってきた。「ことし1年、無事でありますように」と祈った。このところ地震と漂着ごみの不気味な動きが続いている。5日前の大晦日の午後2時時52分ごろ、能登半島の尖端を震源とする震度3、マグニチュード4.2の揺れがあった。金沢地方気象台によると、2021年1月から12月までの1年間で震度1以上の地震が70回以上も発生している。9月16日には震度5弱の地震もあった。不気味だったのは、9月29日に能登半島沖が震源なのに太平洋側が揺れた「異常震域」の地震があった。震源の深さは400㌔、マグニチュード6.1の地震に、北海道、青森、岩手、福島、茨城、埼玉の1道5県の太平洋側で震度3の揺れを観測した。

   これは人為的な原因によって誘発される「誘発地震」か、と考え込んでしまった。というのも、北朝鮮が同じ9月の15日正午過ぎに弾道ミサイル2発を発射、その1発が能登半島沖の舳倉島の北約300㌔のEEZに落下した(同月15日・防衛大臣臨時会見「北朝鮮による弾道ミサイル発射事案」)。この落下地点と29日の震源が近かった。不気味だ。

   そして、寒風吹きすさぶ冬の日本海から漂着船が流れ着いている。きょう4日午前8時30分ごろ、珠洲市真浦町の海岸で、船体の全長が50㍍ほどある鉄製の船が海岸に流れ着いていると住民から海上保安庁に連絡があった。船体にはロシア語が書かれている。能登海上保安署では、ロシアで射撃訓練の際に「標的船」として使われる船に似ているという(4日付・朝日新聞ニュースWeb版)。では、ロシアは日本海でなぜ、どのような理由で射撃訓練をしたのか。これも不気味だ。

   このほかにも、先月だけでも輪島市、かほく市、珠洲市、志賀町の海岸に木造船や船の一部が相次いで漂着している。ハングルで数字や文字が書かれていて、北朝鮮の木造船の可能性があると報じられている。不審な人物や遺留品などはいまのところ見つかってはいない。

   能登半島の沖合には北朝鮮の木造船がよく流れて来る。大陸側に沿って南下するリマン海流が、朝鮮半島の沖で対馬海流と合流し日本の沿岸に流れてくる。ロシアや北朝鮮の沖合で難破した船や、海に廃棄された産業や生活ごみなどが漂着する。日本海に突き出た能登半島は近隣国の漂着ごみのたまり場の一つなのだ。

⇒4日(火)夜・金沢の天気     あめ

★能登沖での異常震域と弾道ミサイルで読めること

★能登沖での異常震域と弾道ミサイルで読めること

   日本海側が震源なのに太平洋側が揺れる「異常震域」という言葉を初めて知った。きのう29日午後5時37分ごろ、能登半島の沖の日本海中部で震源の深さは400㌔、マグニチュード6.1の地震があった。この地震で、北海道、青森、岩手、福島、茨城、埼玉の1道5県の太平洋側で震度3の揺れを観測した=写真・上=。今回の地震は大陸のユーラシアプレートに沈み込む海洋の太平洋プレートの内部深くで起きたとみられている。震源が深かったため、近くよりも遠くが大きく揺れる現象のようだ(29日付・朝日新聞Web版)。

   それにしても、日本海側に住む一人として不気味に思うのは、今回の地震の位置と弾道ミサイルの落下地点の関係性だ。北朝鮮が今月15日正午過ぎに弾道ミサイル2発を発射、能登半島沖の舳倉島の北約300㌔のEEZに落下している(15日午後9時・防衛大臣臨時会見「北朝鮮による弾道ミサイル発射事案」)。防衛省公式ホームページには会見での落下地点の地図などは掲載されていない。

   メディア各社がその位置をイメージ(予想図)として掲載している。毎日新聞Web版(15日付)で掲載されたものと比較すると=写真・下=、震源地と弾道ミサイルの落下地点は近いと感じる。弾道ミサイルと地震の関係性はないのだろうか。ふと、そのようなことを考えてしまう。

   人為的な原因によって誘発される地震を「誘発地震」と言ったりする。北朝鮮が2017年9月3日に行った核実験の影響で、核実験場付近で同月23日に2回、10月13日に1回、12月2日に1回、マグニチュード5.6などの地震が観測されている(Wikipedia「人工地震」など)。

   このところ北朝鮮のミサイル発射は頻繁だ。今月11・12日の長距離巡航ミサイル、15日の移動式ミサイル、28日の極超音速ミサイルと続いている。政府は北朝鮮が発射したミサイルが日本の領土・領海に落下する、あるいは通過する可能性がある場合、Jアラート(全国瞬時警報システム)を鳴らして国民に避難など注意を呼びかける。ただ、EEZ内に落下する可能性がある場合にはJアラートは鳴らない (内閣官房国民保護ポータルサイト)。あさから憂鬱な話になってしまった。

⇒30日(木)午前・金沢の天気   くもり

★能登の地震、地球は動く

★能登の地震、地球は動く

   きのうの地震は金沢でも揺れを感じた。16日午後6時42分ごろ、能登半島の尖端を震源とする強い地震があった=写真・上=。気象庁によると、震源の深さは13㌔で地震の規模を示すマグニチュードは5.1と推定されている。震源近くの珠洲市では震度5弱を、隣接の能登町では震度4を。このほか震度3の揺れは輪島市や新潟県、長野県でも観測された。金沢は震度2だった。きょうのテレビニュースによると、人的な被害は出ていない。また、珠洲市で開催されている奥能登国際芸術祭の展示作品などへの影響はいまのところないようだ。

   ことしに入って能登半島を震源とした震度1以上の揺れはきのう夕方を含めて36回(震度3以上は7回)発生している。2020年は11回(同2回)、2019年は9回(同1回)、2018年は3回(同0回)だったので、地震活動が活発化していることが分かる(tenki.jp「石川県能登地方を震源とする地震情報」)。

   能登半島の地震と言えば、2007年3月25日午前9時41分の能登半島地震を思い出す。輪島市などで震度6強、マグニチュードは6.9だった。本震の後、震度5弱の余震も続いた。被害は死者1人、負傷者356人、全壊家屋686棟、半壊家屋1740棟、一部損壊家屋2万6958棟に及んだ(Wikipedia「能登半島地震」)。震災の翌日、学生たちといっしょに復旧のボランティアに被災地に入ろうとしたが、余震があり危険として現地の対策本部から待ったがかかり、3日後に被災地に入ったことを覚えている。。

   能登半島地震について、北陸地方の地震活動に詳しい地震学者の尾池和夫氏(2007年当時・京都大学総長)は「ユーラシアプレート内部で発生したと考えられるが、あまり大きな地震の起きない珍しい場所での地震だ」と話し、そのうえで「ユーラシアプレートに乗っている西日本全体の地震活動が活発化している。今回の地震で、このプレート東端の能登半島沖まで、大きな地震が進行してきたことが明らかになった」と述べていた(2007年3月25日付・読売新聞Web版)。

   学生時代に読んだ小松左京のSF小説『日本沈没』では、ユーラシアプレートに乗っている能登半島など日本列島は太平洋プレートに押され沈没するが、最後に沈むのが能登半島という設定だったと記憶している。そんな印象から、能登は地震の少ない地域だと思っていたのだが。やはり地殻変動が起きているのか。地球は動く。

⇒17日(金)午後・金沢の天気  くもり時々あめ  

☆「地震、カミナリ、火事」金沢の災害

☆「地震、カミナリ、火事」金沢の災害

    世の中で怖いものの例えとして、「地震、雷、火事、親父」がある。最近は「親父」は怖くなくなり、代わって台風が入る。「地震、雷、火事、台風」だ。一番怖いのは筆頭の「地震」だ。いつ、どこで強い揺れに襲ってくるか分からない。政府の地震調査委員会は、全国の活断層や海溝型の地震に関する最新の研究成果などに基づき、今後30年以内に震度6弱以上の激しい揺れに襲われる確率などを推計した「全国地震動予測地図」の2020年版を公表した(3月26日)。防災科学技術研究所の公式ホームページ「地震ハザードステーション」に掲載されている。以下引用する。

   地震は世界中どこでも起こっているわけではなく、地震が多発する地域とそうでない地域がある。1977年1月から2012年12月までに世界で発生したマグニチュード5以上の地震統計によると、日本の面積は世界の1%未満であるにもかかわらず、世界の地震の約1割は日本の周辺で起きている。つまり、日本は地球規模で見ても地震による危険度が非常に高い。

   2020年版=写真=を見ると、今後、南海トラフや千島海溝沿いでの巨大地震の発生が懸念されている。また、房総沖の巨大地震や、首都直下地震など確率が高い地域が赤紫色で塗られている。自身が住む金沢市も「森本・富樫断層帯」があり、今後30年以内に震度6弱以上の激しい揺れの確率は2%から8%と高レベルだ。長さ26㌔のこの断層帯は市内の中心地を走っている。中心地を走っているというのは、1799年(寛政11)6月29日の金沢地震が起き、断層で崩れたくぼ地などを道路として金沢の街が形成された。再度地震が起きれば市街地を揺れが直撃することになる。

   金沢は「加賀百万石」の優雅な伝統と文化の雰囲気が漂う街と思われている。一方で、江戸時代からの防災の街でもある。加賀鳶(とび)に代表される、伝統的な自主防災組織が金沢にある。また、市内には「広見(ひろみ)」と呼ばれる街中の空間が何ヵ所かある。ここは、江戸時代から火災の延焼を防ぐため火除け地としての役割があったとされる。また、城下町独特の細い路地がある町内会では、「火災のときは家財道具を持ち出すな」というルールが伝えられている。

   なぜそこまで、と考える向きもあるだろう。気象庁の雷日数(雷を観測した日の合計)の平年値(1981~2010年)によると、全国で年間の雷日数がもっとも多いは金沢の42.4日だ。雷がとどろけば、落雷も発生する。1602年(慶長7)に金沢城の天守閣が落雷による火災で焼失している。石川県の消防防災年報によると、県内の落雷による火災発生件数は年4、5件だが、多い年(2002年)で12件も発生している。1月や2月の冬場に集中する。雷が人々の恐怖心を煽るのはその音だけではなく、落雷はどこに落ちるか予想がつかないという点だ。

   寛政の金沢地震から220年余り、震災はいつ起きるか分からない。雷鳴も激しくとどろく。自身のパソコンは常に雷サージ(電気の津波)を防ぐコンセントを使用している。実は怖い街なのだ。

⇒27日(土)夜・金沢の天気        くもり

 

☆「3・11」とクライストチャーチ

☆「3・11」とクライストチャーチ

    2006年8月に家族でニュージランドのクライストチャーチを訪れ、ここを拠点に3泊4日の旅を楽しんだ。19世紀半ばに4隻の船でイギリス人800人がこの島にやってきて、いまでは南島最大の35万人都市をつくり上げたとガイドから説明を受けた。すさまじい人口増の背景には歴史があった。ニュージーランドへの移民が始まって間もなく、サザン・アルプスの各地で金鉱脈が発見され、1860年代からゴールドラッシュが沸き起こる。これで、ヨーロッパやアジアからも人が押し寄せた。さらに、1870年代からはヨーロッパでウール(羊毛)の人気が高まり、ニュージーランドはその原料の主力供給基地へと実力をつけていった。

   このサクセスストーリーを背景に、街は活気にあふれた。1864年から40年かけて、街の中心部にイギリスのゴシック様式による大聖堂が建設された。クライストチャーチ大聖堂=2006年8月撮影=だ。見学でガイドからこの大聖堂は大きな地震に3度も見舞われながら40年の歳月を費やし1905年に完成したと説明を受けたのを覚えている。その大聖堂が2011年2月22日にクライストチャーチ近郊で発生した大地震で、シンボル的存在だった塔は崩れ落ちた。そして、「ガーデンシティ(庭園の街)」と称されるまでに美しい街にがれきがあふれ、ビルの倒壊で日本人28人を含む185人が亡くなった。思い出のある街だけに、震災のニュースはショックだった。そして、17日後の3月11日に東日本大震災(マグニチュード9.0)が起きた。

   ニュージーランドの研究機関「GNSサイエンス」のホームページで、ガイドから聞いた大聖堂を造営する40年間で起きた3度の大震災を調べると、南島のクライストチャーチがある南島の北側では1868年10月19日にマグニチュード7.5、1888年9月1日に同7.3、1893年2月12日に同6.9の大きな地震が起きている。同じころ、日本でも濃尾地震(マグニチュード8.0、1891年10月28日)や明治三陸地震(同8.2、1896年6月15日)など大地震が8回も起きている。

   今月5日、ニュージーランド北島のマディック諸島付近でマグニチュード8.1の地震が発生した。先月2月13日、福島県沖で同7.3、震度6強の揺れがあった。日本とニュージーランドは同じで環太平洋火山帯(Ring of Fire)の真上にあるため地震が比較的多い国だといわれる。両国での地震に連動するような関連性があるのか、ないのか。

   GNSサイエンスによると両国の地震学者が研究を進めているとの記事「Japanese plate boundary findings have relevance to NZ」(2017年6月20日付)がある。この中で、「The Nankai Trough results are important for understanding the risk of large earthquakes and tsunamis generated at offshore plate boundary zones worldwide」(意訳:南海トラフの結果は、世界中の沖合プレート境界帯で発生する大地震と津波のリスクを理解するために重要である)。ボーリング調査や海底の震度センサーなど機器のデータを共有することで、地震学者によるネットワークの強化に期待を寄せる記事で、日本とニュージーランドで起きる地震の連動性については研究が始まったばかりのようだ。

   クライストチャーチ大聖堂はまだ再建途上だ。完成したあかつきにはぜひ訪れてみたいと思う。震災からの復興の意志を貫く人々を称えるために。

⇒10日(木)夜・金沢の天気     くもり

★「オリンピックは参加することに意義」 ありやなしや

★「オリンピックは参加することに意義」 ありやなしや

   昨夜遅く、福島と宮城の両県で震度6強の激しい揺れがあった。日本海側の能登半島でも、半島尖端にある珠洲市で震度3を観測したほか、七尾市・輪島市・羽咋市などで震度2だった。金沢も震度1だったが、気づかなかった。気象庁の公式ホ-ムページでチェックすると、日本海側だけでなく、北海道まで広範囲に揺れている=写真、13日午後11時44分発表=。

   多くの国民は「オリンピックは大丈夫なのか」と案じているのではないだろうか。新型コロナウイルスによるパンデミック、そして、オリンピック組織委員会会長(12日辞任)の森喜朗氏の女性蔑視と取れる発言が国内外で問題になっていて、さらに東日本を揺さぶる地震だ。そして、福島市では7月21日、22日、28日に野球・ソフトボール競技が開催されることが決まっている。各国の代表選手も大丈夫かと気にしているのではないだろうか。

   話は変わる。イギリスのBBCニュースWeb版日本語(2月12日付)によると、中国の放送規制当局は、BBCワールドニュース(国際ニュース放送)の放送を中国国内で禁止すると発表した。中国はこれまで、新型コロナウイルスや少数民族ウイグル族への迫害をめぐるBBCの報道を批判してきた。中国の放送規制当局・国家広播電視総局は、BBCワールドニュースの中国報道について、「ニュースは真実かつ公平でなくてはならない」などとする中国の放送ガイドラインに「著しく違反した」と述べた。その上で、BBCの次年度の放送免許の更新申請を受け付けないとした。

   上記のニュースには伏線がある。同じくBBCニュースWeb版日本語の今月5日付。イギリス通信業界の独立監視機関、放送通信庁(Ofcom)は、中国の国営テレビ「中国環球電視台(CGTN)」のイギリス国内での放送免許を取り消した。CGTNのライセンスを保有するスター・チャイナ・メディア・リミテッド(SCML)が、英語の衛星ニュース・チャンネルについて「編集責任」を持たないことが、Ofcomのルールに違反したためとしている。

   さらに、同日付でBBCは中国での人権問題を報じている。新疆ウイグル自治区の収容施設に入れられたウイグル族の女性らが、組織的なレイプ被害を受けたとBBCに証言した。この報道を受け、アメリカとイギリスの政府は「深く憂慮している」と懸念を表明した。新疆ウイグル自治区の収容施設では、ウイグル族などの少数民族100万人以上が拘束されていると推測されている。

   米英と中国で「メディア戦争」が勃発しているのだ。バイデン政権も、国務省の報道官が先日、中国がウイグル人に対して「ジェノサイド(大量虐殺)」を行っていると認め、この点においては前のトランプ政権と現政権の見解は一致していると改めて述べた(2月5日付・AFP通信Web版日本語)。

   この一連のニュースで連想するのは、旧ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議し、アメリカや日本など50ヵ国が1980年のモスクワオリンピックをボイコットした一件だ。すでに、開幕まであと1年と迫った2022年北京冬季五輪も似たような状況に展開しつつある。世界の180以上の人権団体が署名して、人道上の理由からボイコットを呼びかける書簡を発表した。書簡は「チベット、ウイグル、南モンゴル、香港、台湾、中国民主、人権運動団体連合」の名で発表された(2月5日付・CNNニュースWeb版日本語 )。オリンピックをめぐる争いの火ダネになりそうな気配だ。

           有名な言葉、「オリンピックは参加することに意義ある」(元IOC会長・クーベルタン)はもう過去の話なのかもしれない。

⇒14日(日)夜・金沢の天気    はれ

★災害にめげない人間力

★災害にめげない人間力

  きょうも揺れを感じた。午前9時10分、ゆったりした揺れで、金沢は震度1だった。隣県の福井県坂井市では震度5弱、震源の深さは10㌔でマグニチュードは5.0だった。この地震でこれまでに坂井市と福井市で合わせて11人が転倒するなどしてケガをしている(9月4日付・NHKニュースWeb版)。

   北陸ではつい2日前、2日午前2時50分に石川県と富山県の県境の富山側で震源地とするマグニチュード4.6の揺れがあった。震度3の揺れは金沢市ほか、石川県の白山市や加賀市、そして福井県の坂井市などだった。坂井市では2日の震度3、そしてきょうの震度5弱と続けてとなる。気象庁は午前10時20分から記者会見を開き、「揺れの強かった地域では落石や崖崩れなどが起こりやすくなっている可能性があるので、今後の地震活動に注意が必要だ。今後1週間ほどは最大震度5弱程度の地震に注意し、特に今後2、3日程度は規模の大きな地震が発生することがあり注意してほしい」と呼びかけた(同)。(※写真・上は、日本気象協会 tenki.jp公式ホームページより)

   坂井市を震源とする大きな地震が戦後間もなくの1948年6月28日にも起きている。福井地震だ。マグニチュード7.1で、当時の震度階級としては最大の震度6、隣接の福井市がこの烈震に見舞われた。震度7(激震)が新設されたのは翌年の1949年だった。福井市は終戦直前の1954年(昭和20年)7月19日にアメリカ軍による深夜の空襲で受けていた。戦後復興が始まり、これからというときの震災だった。さらに震災の1ヵ月後に水害にも襲われた。

   福井市は震災から16年後の1964年6月28日に「不死鳥のねがい」という市民憲章を制定した。戦災、震災、水害という災禍の経験をバネにして不死鳥の如く蘇ろうと市民の意識を高める憲章だった。フェニックスをデザインした憲章のロゴは市民の誇りでもある=写真・下=。そして、思うことは「福井県の幸福度が高いこと」だ。一般財団法人日本総合研究所の「全47都道府県幸福度ランキング」で2020年度含め4回1位の座を占めている。隣県の目線では、福井の県民性は勤勉で働き者と映る。また、出身都道府県別の社長数を各都道府県の人口で割って100を掛けた「社長輩出率」が、福井県は1.37%と38年連続で全国トップだった(3月3日付・日経新聞Web版)。

   福井の人たちと話していると、「そやの~お~」と相手を丸め込む言葉のチカラを感じる。おそらく歴史で培ったであろう、災害にめげない人間力ではないだろうか。

⇒4日(金)夜・金沢の天気     くもり

★深夜の寝込みを襲った「震度3」

★深夜の寝込みを襲った「震度3」

   おそらく金沢に住む多くの人は今朝、寝不足ではないだろうか。午前2時50分ごろ、寝ていると下から突き上げるような揺れを感じて飛び起きた。テレビにスイッチを入れると地震速報が流れた。「金沢で震度3」だった。震源地は石川県と富山県の県境の富山側で震源地は深さ10㌔、マグニチュードは4.6と。その震度3の揺れは石川県の白山市や加賀市、そして福井県の坂井市にまで及んでいた。その後、本震が来るのではないかとしばらく身構えていたが、再び眠りに就いた。そのため、寝不足状態でブログを書いている。

    金沢での震度3の揺れは今年に入って2度目だ。3月13日、これも真夜中の午前2時18分だった。能登半島の輪島市で震度5強、穴水町で震度5弱、金沢市は震度3だった。マグニチュード5.5で、震源地はあの震度6強を記録した2007年3月25日の能登半島地震のときと同じ場所、輪島市門前町沖だ。今年入って2度も深夜の寝込みを襲った地震、不気味だ。  

   不気味と言えば、新型コロナウイルスの感染拡大が金沢市などで続いている。きのう1日、新たに男女27人の感染が確認された(県発表)。一日の人数としてはこれまでで最も多い。そして、また、医療機関がクラスターとなった。兼六園と道路を挟んだ隣にあり、土塀に囲まれた有名な総合病院「金沢医療センター」。ここで、入院患者と看護師ら16人の感染が確認され、前日の4人と合わせて20人となった。

   この病院では、はやくから感染対策を徹底していて、出入り口は正面玄関のみとし、その正面玄関でサーモグラフィーによる発熱者のチェックを行っている。マスク着用も徹底され、忘れてきた人向けに自動販売機も設置している。その病院が感染クラスターになるとは、病院側のショックも大きいのではないか。

   寝不足の上に、きょうも最高気温が35度以上になる猛暑日になると予報が出ている。猛暑はこのところずっと続いている。台風9号が東シナ海を北に進んで起きるフェーン現象のようだ。マスクをして外出すると熱中症が気になる。地震、コロナ禍、猛暑と熱中症、なんとうっとうしい夏だ。 (※写真は日本気象協会 tenki.jp公式ホームページより)

⇒2日(水)朝・金沢の天気     はれ

★「ブラックスワン」の悪夢は尽きぬ

★「ブラックスワン」の悪夢は尽きぬ

   「ブラックスワン(black swan)」という言葉が金融業界の用語にある。確率論や従来の知識や経験からは予測できない極端な事象が発生し、それが人々に多大な影響を与えることを指す(SMBC日興証券公式ホ-ムページ)。この言葉を最近知って、日常生活や日本にとってブラックスワンとは何かと考えるようになった。

   日本海側に住んでいるとどうしても考えてしまうのが、北朝鮮をめぐる情勢だ。南北首脳会談の「板門店宣言」で建設された北南連絡事務所が今月16日に爆破され、世界に衝撃が走った。アメリカと北朝鮮の首脳会談もこれまで3回開かれたが、成果は得られなかった。こうなると、トランプ大統領が2017年の9月の国連総会の演説で金正恩党委員長を「ロケットマン」と呼んだあのころに戻るのではないか、との危惧する。

   そうなると北朝鮮への斬首作戦が現実味を帯びる。斬首作戦は金委員長へのピンポイント攻撃のこと。アメリカによる斬首作戦で知られるのがオバマ政権下で実行された、オサマ・ビン・ラディンに対して行った2011年5月2日のバキスタンでの攻撃だ。もし斬首作戦が現実になれば、大量の北朝鮮の難民が船に乗ってやってくるだろう。ガソリンが切れたり、エンジンが止まった船の一部はリマン海流に乗って能登半島などに漂着する。無事漂着したとして大量の難民をどう受け入れるのか、武装難民だっているだろう。まさにブラックスワンだ。

   ブラックスワンを招くのは異常気象かもしれない。6月に入ってから、日本各地で集中豪雨による洪水が発生している。中国でも長江上流で大規模な水害が発生し、中流域の湖北省宜昌市にある世界最大の水力発電ダム「三峡ダム」が決壊する恐れが出ている、と指摘する専門家もいる(6月29日付・ニューズウイーク日本語版)。想像を絶する被害だろう。

   現実となったブラックスワンは新型コロナウイルスの災禍だろう。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のコロナ・ダッシュボード(一覧表)の29日の最新版によると、感染者は1017万人、死者は50万人を超えた。ことし1月に全世界でいちはやく感染者情報を公開した同大学だが、これほどのパンデミックになると予想していただろうか。日本でも先月25日に緊急事態宣言が全面解除されたにもかかわらず、きょう東京都では58人の感染が確認され、これで4日連続で50人超えだ。コロナ二波が始まっているのではないか。

   新型コロナウイルスによる感染も怖いが、最近、日本列島の各地で頻発している地震も、大地震の予兆ではないかと不安心理に陥る。今月25日にも千葉県北東部で震度5弱であったほか、九州や中部、関東、東北、北海道で震度3から4の揺れが続いている(気象庁公式ホームページ「地震速報」)。身の回りでも3月13日に能登半島の輪島で震度5強、金沢で震度3の揺れがあった。神経が少々過敏になっているのかもしれない。

⇒29日(月)夜・金沢の天気     くもり

★コロナとナマズ 見えざる敵

★コロナとナマズ 見えざる敵

   手元のマスクが残りわずかになり、きのう金沢市内のドラッグストアを4軒回ったがどこも品切れだった。たまたま、文房具店に入ると、「ファッションマスク 1人5枚まで」とチラシが貼ってあった。ファッションマスクの意味を理解せず、5枚購入した。1枚162円。ネットで検索しても、ファッションマスクの意味がよく理解できない。商品の袋には飛沫予防、ポリウレタン素材で伸縮性があり耳が痛くなりにくいなどの説明書きがある。マスクとしての機能より、おしゃれ感覚で使う身につけるマスクという意味だろうか。

           新型コロナウイルスによる感染も怖いが、最近、日本列島の各地で頻発している地震も、大地震の予兆ではないかと不安心理に陥る。この一週間(今月20-26日)だけでも長野など中部、関東、東北、北海道で震度3から4の揺れが13回あった(気象庁公式ホームページ「地震速報」)。3月13日未明に能登半島の輪島で震度5強、金沢で震度3と身近に揺れがあり、神経が少々過敏になっているのかもしれない。

   ネット上で見つけた論文だが、「地震の前兆の可能性がある自然現象」(東北大学東北アジア研究センターの石渡明氏、2011年6月作成)の中で「ナマズなどの生態異常」という項目が目を引いた。以下一部引用する。

   「・・・1923年の関東大地震の前日に湘南の鵠沼海岸の池で、投げ網を用いて30 ㌢大のナマズをバケツ3杯分ほど漁獲した人がいた。ナマズは昼間は池の底に潜んでいるはずなのに、泳ぎ回っていて容易に捕獲されたことは、地震の前兆の何らかの刺激による異常行動かもしれない。関東大地震の直前に、向島の料亭において、池の水面から頻繁に小魚が跳び上がるのを見て、店の者に何という魚か聞いたところ、ナマズの幼魚で2~3日前からこのように跳ね上がっていて不思議なことだと答えたという。・・・」

   マナズと地震の関係性を最初に唱えたのは豊臣秀吉とされる。寒川旭著『秀吉を襲った大震災~地震考古学で戦国史を読む~』 (平凡社新書) に詳しい。1586年の天正地震。このとき秀吉は琵琶湖に面する坂本城にいた。湖のナマズが騒ぐと地震が起きるとの土地の人たちの話を聞いた秀吉は「鯰(ナマズ)は地震」と頭にインプットしてしまった。その後、伏見城を建造する折、家臣たちに地震対策をしっかりせよとの意味を込めた、「ふしん(普請)なまつ(鯰)大事にて候・・」と書簡をしたためている。この「なまつ大事にて候」の一文は時と所を超えて安政の江戸に伝わる。地震に怯える江戸の民衆は、震災情報を求めて瓦版や、鯰を諫(いさ)める錦絵=写真=を競って買い求めた。

   論文「地震の前兆の可能性がある自然現象」の中でナマズがバケツ3杯も獲れたとの話は、マナズと地震の口頭伝承がある江戸=東京であるがゆえに記録された日常の異変かもしれない。拡大解釈すれば、秀吉の「なまつ大事にて候」は人々に日常における危機意識を植えつけてくれた言葉と言えないだろうか。予兆を早めに察知する心構えや機転、情報共有をスムーズに伝播する知恵でもある。

   ところが現代人はメディアの発達によって、情報があれば危機意識を持つことは無用と思い込むようになったのではないだろうか。防災用語に「正常化の偏見」や「正常性バイアス」という言葉がある。目の前に危険が迫ってくるまで、その危険を認めようとしない人間の心理傾向、あるいは危険を無視する心理のことを指す。コロナ禍の緊急事態宣言の下でも、休業要請を無視するパチンコ店、そこに列をなす客。見えない敵への危機意識のなさは決して他人事ではない。自戒を込めての話だ。

⇒27日(月)午後・金沢の天気    はれ