#北陸

☆「まだ降りやまぬ」 北陸の雷雨、北朝鮮のICBM

☆「まだ降りやまぬ」 北陸の雷雨、北朝鮮のICBM

   文部省唱歌に「降っても降っても まだ降りやまぬ」という歌の一節があるが、まさこのことかもしれない。北陸は大気の状態が不安定で、いまも雷鳴が響いて強い雨が降ったり止んだりしている。午後5時までの24時間に降った雨の量は金沢市医王山で70㍉、輪島市三井と小松市で60㍉などとなっている。あすにかけてさらに激しい雨が降る見込みで、予想される1時間の降水量は多いところで加賀・能登ともに40㍉。雨は降り続く。

   さきほど気象庁は午後9時39分に「顕著な大雨に関する情報」を発表した。石川県で線状降水帯が発生し、土砂災害や洪水が発生する危険性が急激に高まっている。

   予報によると、朝鮮半島から東北地方に延びる梅雨前線が南下し、北陸地方に停滞する見込み。前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込む一方、上空5500㍍に氷点下6度以下の寒気が入り込むため、13日にかけて大気の状態が非常に不安定となる。案じるのは、5月5日に震度6強の揺れがあった能登半島の珠洲市を中心とする奥能登エリアだ。地震で地盤に割れが入っているところに大雨が続くと土砂崩れなどの二次災害が発生するのではないかと地質の専門家ではないが、そう考えてしまう。(※写真は、北陸電力公式ホームページ「雷情報」より)

   降りやまないのは雨だけではない。北朝鮮がまた日本海に向けてICBMを放った。防衛省公式サイトによると、きょう12日午前9時59分、北朝鮮の首都平壌近郊からICBM(大陸間弾道ミサイル)1発を東の方向に発射した。弾道ミサイルは74分間飛翔し、同11時13分ごろ、北海道の奥尻島の西方約250㌔の日本海のEEZ外に落下した=イメージ図、防衛省作成=。飛翔距離は約1000㌔、また最高高度は約6000㌔を超えると推定されている。

   このニュースで、北朝鮮が5月31日に「軍事衛星」を打ち上げた件を思い出した。軍事衛星「万里鏡1号」を新型ロケット「千里馬1型」に搭載し発射したが、「1段目の分離後、2段目のエンジン始動に異常があり推進力を失って朝鮮西海(黄海)に落ちた」(北朝鮮国営メディア「朝鮮中央通信」Web版)。そして、「国家宇宙開発局は衛星発射で現れた重大な欠陥を具体的に調査、解明し、可能な限り早期に2回目の発射を断行する」と述べていた。今回の発射が「2度目の断行」とどう関わっているのか。専門機関の分析を待ちたい。

⇒12日(水)夜・金沢の天気    雷雨

★北陸の冬の備え、雪吊りの心構え

★北陸の冬の備え、雪吊りの心構え

   北陸に住む者にとって、冬の備えが少なくとも2つある。まずは自家用車のノーマルタイヤからスノータイヤへの交換だ。積雪で路面がアイスバーン(凍結)状態になると交通事故のもとになる。もう一つが民家の庭木の雪吊り。北陸の雪はパウダースノーではなく、湿気を含んで重い。雪の重みで庭木の枝が折れる。金沢の兼六園では毎年11月1日に雪吊りを施し、民家では12月から始まる。

   きのう我が家の雪吊り作業を行った。素人ではできない仕事なので、造園業者に依頼している。雪吊りには木の種類や形状、枝ぶりによって実に11種もの技法がある。庭木に雪が積もりると、「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」と言って、樹木の形状によってさまざま雪害が起きる。樹木の姿を見てプロは「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」などの手法の判断をする。

   雪吊りで有名なのは「りんご吊り」=写真・上=。五葉松などの高木に施される。マツの木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄をたらして枝を吊る。パラソル状になっていることろがアートではある。「りんご吊り」の名称については、金沢では江戸時代から実のなる木の一つとしてリンゴの木があった。果実がたわわに実ると枝が折れるので、補強するため同様な手法を用いていた。

   低木に施される雪吊りが「竹又吊り」=写真・中=。ツツジの木に竹を3本、等間隔に立てて上部で結んだ縄を下げて吊る。庭職人の親方から聞いた話だ。秋ごろに庭木の枝葉を剪定してもらっているが、ベテランの職人は庭木への積雪をイメージ(意識)して、剪定を行うという話だった。このために強く刈り込みを施すこともある。ゆるく刈り込みをすると、それだけ枝が不必要に伸び、雪害の要因にもなる。庭木本来の美しい形状を保つために、常に雪のことを配慮している。

   ムクゲの木に施されている「しぼり」=写真・下=は低木の枝を全て上に集め、縄で結ぶ。大雪になると枝がボキボキと折れる。「備えあれば憂いなし」の心構えで、暖冬予報であっても雪吊りをする。雪つりは年末の恒例行事でもあり、これをやらないと気持ちのけじめがつかない。北陸に住む者の心構えではある。

⇒8日(木)夜・金沢の天気    くもり

☆「4月12日までに北陸で巨大地震」は来るのか

☆「4月12日までに北陸で巨大地震」は来るのか

   朝刊を開くと、週刊誌の広告に「4月12日までに北陸で巨大地震」とあり、気になって購入した。2007年3月25日の能登半島地震(マグニチュード6.9、震度6強)以来、地震を間近に感じるようになった。それより何より、このところ能登半島の尖端あたりを震源として再び揺れが多発している。震度1以上の揺れは去年は年間70回、ことしに入り33回観測されていて、今月8日と23日には震度4の揺れがあった。少々ドキドキしながら週刊誌『週刊ポスト』(4月15日号)のページを開いた=写真=。

   3月16日の福島県沖地震を発生7時前に予測、的中したとされる東大名誉教授、村井俊治氏が警告している。それによると、「(今月)23日午前9時23分頃に石川県能登地方で震度4の地震が発生したが、それを凌ぐ地震発生の可能性があるという」。以下、引用だ。

   「この半年、新潟県南部、富山県、石川県、岐阜県北部などで、〚異常変動』が集中しています。『隆起・沈降』では、北陸3県の広い範囲が沈降する一方、石川県の能登半島先端が隆起し、その境目にある電子基準点『輪島』や『穴水』周辺に歪みが溜まっていると考えられる」「北信越は、最新のAIによる危険度判定で東北に次ぐ全国2位で、衛星画像の解析でも地震の前兆と思われる異常が観測されている」

   村井名誉教授は測量学が専門で、国土地理院が全国約1300か所に設置した電子基準点のGPSデータを使って地表の動きを捉え、基準点の1週間ごとの上下動の「異常変動」、長期的な上下動の「隆起・沈降」、東西南北の動きの「水平方向の動き」という3つの主な指標を総合的に分析する。

   地震の専門でない者が軽々に語るべきことではないが、地図に記されている「1週間内に7㌢以上の変動を記録した電子基準点」では石川県と岐阜県にまたがる白山(2702㍍)近くで8㌢以上の上下の動きあった地点が2ヵ所記されている。白山は活火山だけに、噴火の兆しではないかと不安がよぎる。気象庁公式ホームページによると、「白山では、山頂付近のやや深部を震源とする地震が増加しています。火山活動の活発化を示す変化は認められていませんが、今後の火山活動の推移に注意してください」と記載されている。周辺の沈降と地震はどう関連しているのか。

   記事は2㌻の構成で、的確な文章で分かりやすい。ただ、一つ疑問が残ったのは、なぜ「4月12日までに」なのか説明がほしかった。具体的な数字が示されているということは根拠があるはずだ。それをあえて記事にしなかったのはなぜか。伏せたのか。むしろ気になる。

⇒30日(水)夜・金沢の天気     はれ

☆北陸に春一番、一転あすから大雪

☆北陸に春一番、一転あすから大雪

   けさ突風が吹いていた。一瞬地震かと思うような家屋の揺れも。テレビのニュースでは、なんと「春一番」だった。気象庁の公式ホームページによると、金沢の最大瞬間風速は19.2㍍だった。道を歩いている人が転倒するくらいの風の強さだ。そして、この春一番は驚くことに、全国に先駆けて北陸に吹いたようだ。気温も午前中は9度だった。しかし、気象は一変するようだ。

   日本海にある低気圧が発達しながらあす16日から17日にかけて北陸から東北付近に近づき、上空には強い寒気が流れ込む。このため、日本海側を中心に雪となり、北陸ではこの冬一番の大雪となるおそれも。17日夕方までの24時間に、北陸で60㌢から80㌢の雪が降り、その後も18日の金曜日にかけて積雪が増える。春一番が大雪に逆戻り。しかし、こうした「寒の戻り」は北陸ではよくあることだ。(※天気図は15日付・日本気象協会「tenki.jp」より)

   大雪もさることながら、むしろ警戒するのは落雷だ。気象庁の雷日数(雷を観測した日の合計)の平年値(1991-2020年)によると、全国で年間の雷日数がもっとも多いは金沢の45.1日だ。雷がとどろけば、落雷も発生する。落雷はどこに落ちるか予想がつかない。きょうも金沢に雷注意報が出ている。

   これが怖いので、自身のパソコンは常に雷ガードのコンセントを使用している。雷が直接落ちなくても、近くで落ちた場合でも「雷サージ」と呼ばれる現象が広範囲に起きる。いわゆる電気の津波だ。この雷サージがパソコンの電源ケーブルから機器内に侵入した場合、部品やデータを破壊することになる。いわゆる「雷害」からパソコンを守るためにガードコンセントは不可欠だ。このコンセントは金沢市に本社があるメーカーが製造したもの。北陸で雷害のケースと実情を研究し耐雷対策に取り組んできた企業の製品なので信頼を寄せている。

   話は春一番に戻る。加賀や能登では生暖かい春一番を「ぼんぼら風が吹く」と言ったりする。今回は生暖かさを感じなかった。三寒四温、ゆっくりと春の訪れを待つ。

⇒15日(火)夜・金沢の天気  あめ    

☆春を待つ花のいとおしさ

☆春を待つ花のいとおしさ

   北陸に大雪をもたらすJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)は気象ニュースにもよく取り上げられていて、このブログでもよく使う言葉になった。シベリアから寒気団が日本海に向かって流れてくる際に朝鮮半島北部の白頭山によって、いったん二分されるが、その風下で再び合流し、雪雲が発達しやすい収束帯(ライン)となって北陸地方などになだれ込んでくる。

   そして、最近よく関東地方に大雪をもたらすとして気象ニュースでよく使われているのが「南岸低気圧」だ。これまで日本列島南岸を発達しながら東に進んで関東地方などに雨を降らせると聞いていたが、雪も降らせている。予報では今夜から次第に雨が雪に変わり、あす14日朝までに東京都心でも2㌢から5㌢の積雪が予想されている(13日付・ウエザーニュースWeb版)。

   北陸はこのところ気温が7度まで上がり、雪解けが進んでいる。自宅近くの川も水かさが増している。冬から春にかけての季語で、桃花水(とうかすい)という言葉がある。氷や雪が解けることで増す川の水のことを言う。

   自宅庭にはロウバイとスイセンの花があったので、床の間を飾ってみた。掛け軸は桃花水からイメージして、「桃花笑春風」(とうかしゅんぷうにえむ)を選んだ。唐代の詩人・崔護の漢詩の一部「桃花依旧笑春風」が元の書である。うららかな春風に揺られて咲く桃の花は、まるで微笑んでいるようだ。無心に咲く、花の美しさよ(淡交社『茶席の禅語大辞典』より)。

    16日から17日にかけて日本海側にはマイナス40℃以下の強烈な寒気が流れ込んで、北陸など局地的に大雪となる恐れがあるという(同)。床の間をじっと眺めていると、桃花もロウバイもスイセンも春を待つ花のように見えていとおしい。

⇒13日(日)夜・金沢の天気     くもり

★晴れ間に浮かぶアートっぽい雪中の景色

★晴れ間に浮かぶアートっぽい雪中の景色

   北陸に降っていた雪もけさ午前8時過ぎには止んで青空が見えてきた。大雪は峠を越えたようだ。先ほど自宅周囲を物差しで測ると積雪は35㌢だ。きのうより8㌢かさ上げしている。晴れ間の庭の様子を撮影してみた。

   玄関で面白い文様が描かれている。玄関には横線が幾重にも入った門扉がある。日差しがその横線を雪面に映している=写真・上=。現代アートのようにも思えるが、見ようによってはシマウマが寝そべっているようにも。

   雪吊りが施されたウメの木。かなりの老木なのだが、雪吊りに支えられて枝を保っている。その下にはイチイの木が植わっている。ふだんはウメを見て、イチイの木を別々に見ている。そこに雪が被ると、一体に見える。まるで、白い衣装をまとったバレリーナが踊っているかのように錯覚した=写真・中=。

   雪中の芸術といえば、やはり雪吊りと樹木、そして雪のマッチィングではないだろうか。青空を突きさすように伸びた雪吊りの先、そして天を上るような雲のようにも見える枝葉に積もった雪=写真・下=。雪吊りで代表的な「りんご吊り」で、五葉松などの高木に施される。木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄を17本たらして枝を吊る。パラソル状になっているところが、アートのように見える。と同時に「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」といった樹木への雪害を防いでくれている。

   この時節、周囲の庭木の雪吊りを眺めながら、スコップで雪すかし(除雪)をする。玄関前の雪を側溝に落とし込む。ちょっとした運動でもある。晴れ間に雪中のアートっぽい景色を楽しみながら、35㌢の積雪と向き合う。

⇒7日(月)午前・金沢の天気     はれ

★立春寒波 ひたすら待つ「三寒四温」と「ぼんぼら風」

★立春寒波 ひたすら待つ「三寒四温」と「ぼんぼら風」

   「立春寒波」がやって来た。金沢地方気象台は北陸の上空5000㍍にマイナス36度以下の強い寒気が流れ込み、金沢などの平野部でも大雪となるおそれがあるとニュースで伝えている。きょう5日午後6時までに降る雪の量は多いところで加賀地方の平野部で20㌢、山沿いで60㌢、能登地方は平野部と山沿いともに30㌢と予想されている。発達した雪雲が同じ地域に流れ込み続けた場合は、6日にかけて警報級の大雪になる見通し、とか。発表を聞いただけで震える。

    けさ午前7時ごろの積雪は自宅周囲で5㌢ほど。これからが本番なのだろう。庭を眺めるとロウバイの黄色い花にうっすらと雪がかぶっていた=写真・上=。ロウバイは大寒から立春の時節に咲く。ロウバイの木に近づこうとすると、雪面から野鳥が1羽、驚いたように飛び立っていった。よく見えなかったが、目のふちが黒っぽく、尾羽が長めだったので、セキレイではなかったか。

   雪と花と鳥のイメージで何気なく思い出したのが、4年前、石川県立美術館(金沢市出羽町)で開催されていた伊藤若冲の特別展の『雪中雄鶏図』だった=写真・中、図録より=。竹や残菊に雪が積もる様子、そして雄のニワトリが餌を探して雪面をくちばしで突く絵は妙にリアリティと存在感があった。

   そして、この降雪で自宅周辺はまるで水墨画のような世界となった=写真・下=。金沢には古くから「一里一尺」という言葉がある。金沢地方気象台が発表する積雪量は、海側に近いところにある同気象台での観測であり、山側にある自宅周辺とでは積雪の数値が異なる。山側へ一里(4㌔)行けば、雪は一尺(30㌢)多くなる。

   今回の立春寒波はJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)と呼ばれる発達した列状の雲だ。今後雪はさらに深まるだろう。この時季、北陸人はひたすら寒さに耐えながら春の気配が日に日に高まる「三寒四温」を待つ。そして、春一番の南風が吹くと、加賀や能登では「ぼんぼら風が吹く」と言って気持ちが踊り出すくらいにうれしくなる。「ぼんぼら」は生暖かいという意味だ。そして、新型コロナウイルス感染もきのう県内は551人と猛威が止まない。三寒四温のように徐々に治まってほしいと願うばかりだ。

⇒5日(土)午後・金沢の天気      ゆき

★厳冬考察:カーボンニュートラルと腰痛

★厳冬考察:カーボンニュートラルと腰痛

        朝起きると腰や右肩に痛みを感じた。時間が経つと少しやわらいできたがまだ痛みは残る。「頑張り過ぎたかな」と。昨夕方、自宅の玄関前やガレージ前などで雪すかし(除雪)をした。雪はじっとりと湿っていて重い。その雪を空きスペースに放り投げる。「エンヤコラ」と『ヨイトマケの唄』を心で歌いながら作業を60分ほど続けた。その反動が今朝の痛みだ。  

   屋根雪も随分と積もっていたが、少しずつ解け始めている。けさ近所の家の屋根をみると、ソーラー発電のパネルが見えていた=写真・上=。きょうは曇り空だが、5日ぶりの発電ではないだろうか。再生可能エネルギーの代表のような太陽光発電だが、今季のような豪雪では用を成さない。

   そこで思ったことは、菅総理は所信表明演説(2020年10月26日)で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指します」と声高に宣言した。そうなってほしいと自身も心から願うが、現実は容易ではないだろう。厳冬になれば、太陽光発電の電力供給が滞る一方で、電力需給がひっ迫してくるからだ。

   NHKニュースWeb版(12日付)によると、きのうの電力の使用率のピークは▽中国電力管内で午後6時台に97%、▽北陸電力管内で午後7時台に97%、▽四国電力で午前9時台に97%、▽中部電力と関西電力は午前10時台に96%、など全国的にひっ迫した。北陸電力送配電公式ホームページ「北陸エリアでんき予報」をチェックすると、きょう12日の需要ピーク時使用率は96%と予想値を出している。おそらく火力発電所を最大限に稼働させるなど、電力の現場では供給の確保に必死だろう。ちなみに同社の電源構成(2019年度)は石炭火力48%、水力28%、LNG11%、FIT(固定価格買取制度で調達した太陽光・風力発電)6%などとなっている(北電公式ホームページ)。北電の志賀原発は運転停止中だ。

   2050年カーボンニュートラル宣言は発出されたものの、現実問題として、二酸化炭素を出さずにエネルギー供給するとなると、電源として水力や風力、太陽光、原子力などのエネルギーミックスの有り様が問われる。経産省は第5次エネルギー基本計画(2018年7月)で、2030年度の電源構成を火力56%(LNG27%、石炭26%、石油3%)、原子力22-20%、再生エネ22-24%とするエネルギーミックスを発表しているが、カーボンニュートラル宣言で石炭などを極力使わないとなると、原子力の比重が増すことになる。果たしてそのような単純な計算でよいのだろうか。

   午後1時ごろ、自宅前が騒々しくなってきた。道路の除雪作業をするショベルカーと雪を運ぶトラックがやってきた=写真・下=。自宅前の道路では積雪であちらこちらにわだちが出来ていて乗用車の立ち往生も起きていた。ショベルカーを写真で撮ろうと外に出たとたんに屋根雪がドドッーと落ちてきた。間一髪だった。ショベルカーが動くたびに地面にかすかな振動がしていた。その揺れで屋根雪が落ちたのか、あるいは偶然か。

   写真を撮り終え、玄関前の落雪のかたまりをスコップですくい、庭の空きスペースに放り投げる作業を始めた。落下した雪はとてつもなく重い。またまた、「エンヤコラ」と『ヨイトマケの唄』を心で歌いながら。20分ほどで終えたが、あすの朝も腰と右肩に痛みが走るかもしれない。腰と肩の痛みは冬場の日常と心得よ、と自身に言い聞かせる。

⇒12日(火)午後・金沢の天気    くもり時々あめ 

★北陸は「ホワイトロックダウン」

★北陸は「ホワイトロックダウン」

   きのう9日午後、金沢大学角間キャンパスへ自家用車で出かけた。自宅のガレージから車を出すのに雪すかし(除雪)。そして、いつもの市道と県道、国道のルートでキャンパスへ。市道と県道は除雪が行われておらず、道路にはあちこちに「わだち」ができていて、車はタテ揺れ、ときにはヨコ滑りを繰り返しながら進む。国道は融雪装置がありスムーズに進んだが、交差点ではわだちで立ち往生する車も何台かあった=写真・上=。

   大学の駐車場に車を入れたが、しんしんと雪が降っていて身震いした。キャンパスはいわゆる中山間地にあり、市内の平地より積雪が5割増しだ。積雪は35㌢ほどだったが、帰宅する夕方にはおそらく50㌢ほどになり、駐車場から車を出せなくなると直感したからだ。そこで、大学での打ち合わせを急きょ変更し、キャンパスから下った国道沿いのコーヒー店にした。

   午後1時30分に店に入った。すると、店員が「きょうは大雪のため営業時間を午後2時までとさせていただきます。あと30分ほどですがよろしいですか」と申し訳なさそうに言う。確かに、店の周囲にある全国チェーンの飲食店では「臨時休業」の貼り紙を出していた。豪雪で食材が届かないのだろう。そこで、打ち合わせを30分ほどコーヒー店で済ませ、帰宅した。

   キャンパスに残っていたスタッフとオインラインで話すと、予想通り駐車場の積雪がみるみる増えて、このままでは帰宅できなくなるのでいまから早退するとのこと。午後3時30分ごろだった。街は豪雪ロックダウン状態となった。

   一夜明けて、自宅周辺はまさに銀世界だ。積雪は70㌢ほど=写真・下=。写真下の長靴の跡は新聞配達員の足跡だ。金沢地方気象台の公式ホームページをチェックすると金沢の積雪は65㌢(10日午前8時現在)となっている。きょうは日曜日とあって、車もほとんど見かけない。まさに「ホワイトロックダウン」だ。

   福井県の北陸自動車道では、大雪の影響で福井インターチェンジから金津インターチェンジの間の上下線で、きょう午前7時現在、トラックなど車が1090台が立往生していて、福井県は陸上自衛隊に災害派遣の要請を行った(1月10日付・NHKニュースWeb版)。また、富山県の東海北陸自動車道では南砺スマートインターチェンジ付近で大型トラックが雪で動けなくなりおよそ200台の車が立往生。解消するめどは立たず、富山県はきょう午前4時に陸上自衛隊に災害派遣を要請した。陸上自衛隊は金沢駐屯地から100人を派遣し、車両のけん引のほか、食糧や燃料、それに携帯トイレなどを配付する(同)。

   物流が滞れば、次に来るのは食料不足だ。すでに、自宅近くのコンビニやスーパーでは品薄状態になっている。コロナ禍でのロックダウンと違った意味でより深刻だ。

⇒10日(日)朝・金沢の天気   ゆき  

★静かなる年末年始(8)「冬将軍と向き合う」

★静かなる年末年始(8)「冬将軍と向き合う」

   大晦日の雪景色が広がる。自宅周囲では正午過ぎに15㌢の積雪があり、きょう午後から元旦にかけてさらに「数年の一度の大雪」になるとの予報。大雪をともなった寒さが厳しい冬、まさに「冬将軍」の到来だ。

   北陸の人々は、長期予報で「ことしは暖冬」と伝えられていても、冬将軍の訪れに備えて自家用車のタイヤをスタッドレスに交換し、自宅では庭の雪吊りの備えを怠らない。たとえ期間は短くとも、冬将軍は必ずやってくるからだ。

   逆に、冬将軍が来ないと雪すかし(除雪)をしなくて楽なのだが、別の不安感もよぎる。暖冬だったある年に久しぶりに雪が降った。そのときのご近所さんとの会話だ。「ようやく降りましたね」と声がけすると、「もうちょっと降ってもらわんと心配やね」だった。北陸人にとっては降るべき時に降ってもらわないとこれからのシーズンで異常気象が起きるのではないかと不安が募るのだ。

  この季節感覚はなんだろう。北陸は四季がはっきりとしているからだと考える。日常の暮らしに季節の風景の変化があり、雪や雨の多少や温度や湿度の高低差がある。視野と肌感覚が実に敏感になっているのだろう。

  北陸人は粘り強いとか、めげないなどと評価されることがままある。「冬来たりなば春遠からじ」(イギリスの詩人シェリー『西風に寄せる歌』より)は北陸ではこの時節によく使われる言葉だ。辛いことがあっても辛抱しよう、そのうち良いことがあると心に言い聞かせながら耐え忍ぶ。季節感覚がそのような精神風土を育んでいるのかもしれない。

          ところで、民放テレビで気象ニュースを視聴していると、キー局の気象予報士が「吹雪で見通しが悪くなりますので、不要不急の外出は控えてください」といったコメントを繰り返している。新型コロナウイルスの感染を意識したようなコメントに聞こえ、違和感が残る。吹雪であっても小学生は学校に通っている。雪国で暮らす者にとっては余計なお世話と言いたくなる。言うのであれば、「スノータイヤに履き替えていない車での外出は控えてください」だろう。コメントに現場感を持たせてほしいものだ。雪国の人々は冬将軍と向き合って暮らしているのだ。

⇒31日(木)午後・金沢の天気    ゆき