☆日本の「反撃能力」と北朝鮮の「固体燃料ロケット」
日本海側に住んでいると、北朝鮮の動きが気になる。先月18日に平壌近郊から、1発のICBM級弾道ミサイルを発射し、北海道の渡島大島の西方約200㌔の日本海、EEZ内に着弾させている。飛翔距離は約1000㌔、また最高高度は約6000㌔で、弾頭の重さによっては、射程は1万5000㌔を超えてアメリカ全土に届くと推定されている。
CNNニュースWeb版日本語(16日付)によると、北朝鮮はきょう新型の固体燃料ロケットエンジンのテストに成功したと発表した。これにより金正恩総書記は将来、より迅速かつ確実にICBMを発射できるようになる可能性がある、と報じている。固体燃料ロケットは、北朝鮮がこれまでのICBM発射実験で使用した液体燃料ロケットよりも安定性に優れ、ICBMをより容易に移動させられるうえに、打ち上げにかかる時間も短縮できるとされる。
北朝鮮は2021年からの「国防5ヵ年計画」で固体燃料のICBM開発を重点目標に掲げており、金総書記は今回の実験で「優先課題実現に向けた重大問題を解決した」と強調した(16日付・産経新聞Web版)。
政府はきょうの臨時閣議で「国家安全保障戦略」など新たな防衛3文書を決定した。敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が明記され、日本の安全保障政策の大きな転換となる(NHKニュースWeb版)。「反撃能力」は「敵基地攻撃能力」とも呼ばれる。このため、国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」の改良型の開発・量産や、アメリカの巡航ミサイル「トマホーク」の取得など、防衛力の抜本的な強化策を盛り込んでいる。
先の北朝鮮のニュースと照らし合わせすると、反撃能力はどこまで効果があるのか。固体燃料ロケットの開発でICBMをより容易に移動することができるとなれば、敵基地攻撃は意味を成すのだろうか。分かりやすく言えば、移動したICBMを追尾し、発射前にたたくことはできるのだろうか。
(※写真はことし3月24日に北朝鮮が打ち上げた新型ICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版)
⇒16日(金)夜・金沢の天気 くもり
て4500億円を寄贈していた。寄贈は現金での手渡しのほかに、旧統一教会がアメリカ・ペンシルベニア州で保有していた不動産の一部を売却し、300万㌦を中国、香港経由で北朝鮮に流れている。
メディア各社は娘の同行は伝えているが、その理由についての解説がない。冒頭の憶測とは、家族を守りの盾に使おうとの意図があるのではないか、ということだ。金総書記は今月17日まで「空白期間」が30日間と、ことしに入って最も長くなっていた(18日付・NHKニュースWeb版)。
NHKニュースWeb版(18日付)は海上自衛隊の元海将のコメントを以下伝えている。「2017年にICBM級の弾道ミサイルを発射した例や最近の例から考えると、今回はICBM級のいわゆる『火星17型』の可能性が十分ある」「従来はアメリカを交渉の場に引っ張り出すためにいわゆる瀬戸際外交をしていたが、今回は交渉のためのミサイル発射ではなく挑発行為だ。最近も米韓の訓練や日米韓の合同のコメントなどに反発するような形でミサイルを撃ってきている。これに対して米韓も挑発を繰り返す形になっていて、第三者の仲裁が入っていないことが一番気になっている。南北朝鮮間の挑発行為が繰り返されると朝鮮半島の有事にもつながりかねない」
このうち、アメリカの国連大使は「意図的に緊張を高める北朝鮮の行動は責任ある国家の行動ではない」と非難した上で「2つの理事国は、北朝鮮のたび重なる決議違反を正当化するために力を注ぎ、北朝鮮を増長させた」と中国とロシアも非難した。
安保理の緊急会合が終了したタイミングを見計らってなのか、北朝鮮は弾道ミサイルを発射した。韓国の聯合ニュースWeb版日本語(5日付)によると、韓国軍合同参謀本部の情報として、北朝鮮は同日午前11時32分ごろから同59分ごろにかけて、黄海に向けて短距離弾道ミサイル(SRBM)4発を発射したと報じている。ミサイルの飛行距離は約130㌔で、高度は約20㌔、速度は約マッハ5と推定される。
同日は午前7時40分にも日本海に向けてICBMを発射。ミサイルは2段目の分離まで行われたが、その後は不正常に飛行し、日本海で消失した。日本政府は午前7時50分ごろから8時ごろにかけてJアラート(全国瞬時警報システム)を宮城県、山形県、新潟県に発した後、その後訂正するという騒ぎになった。ICBMのほか2発の弾道ミサイルも発射していた。さらにその前日の2日は、23発の弾道ミサイルを日本海や黄海に向け発射している。
アメリカ軍と韓国軍は先月31日から今月4日までの予定で、最新鋭のステルス戦闘機などおよそ240機を投入した空軍による大規模な共同訓練「ビジラントストーム(Vigilant Storm)」を行っている。北朝鮮のミサイルの乱発はこれに対するけん制だ。
記事によると、9月25日に発射した弾道ミサイルは、貯水池に設けられた水中発射施設からの発射だった=写真・上=。水中発射ということは、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)なのだろう。記事では、「設定された高度で正確な弾頭爆発の信頼性が検証された」としている。同28日の弾道ミサイル発射は韓国の飛行場への攻撃訓練で、戦術核弾頭を想定したと記載している。具体的な核攻撃目標が飛行場であり、リアルさを感じる。
ンのモニターを見ながら、想定飛行を確認する様子が映っている=写真・下=。記事では、「地上中長距離弾道ミサイル」の発射は朝鮮労働党中央軍事委員会の決定によるもので、「敵に対してより強力で明確な警告を発した」と記載している。この中距離弾道ミサイルの飛翔距離は4600㌔と推定され、距離としてはこれまでの弾道ミサイルで最長だった。この射程内には、アメリカ軍のアジア太平洋地域の戦略拠点であるグアムがすっぽりと入る。核弾頭が搭載して高いステルス性能を持つB2戦略爆撃機などが展開するアンダーセン基地がある。
去年10月19日にも半島東部の潜水艦の拠点となっている新浦(シンポ)付近から、SLBMを東方向に発射させている。このときの労働新聞(同20日付)は「조선민주주의인민공화국 국방과학원 신형잠수함발사탄도탄 시험발사 진행」(国防科学研究所が新型潜水艦発射弾道ミサイルを試験打ち上げ)の見出し=写真=で、2016年7月9日にSLBM「北極星」を初めて発射した潜水艦から再び新型SLBMの発射に成功し、国防技術の高度化や水中での作戦能力の向上に寄与したと記事を掲載している。