#北朝鮮

★「戦争準備」なのか 北朝鮮が誇示する弾道ミサイル

★「戦争準備」なのか 北朝鮮が誇示する弾道ミサイル

   まるで開戦前夜の状況だ。韓国の聯合ニュースWeb版日本語(14日付)は、北朝鮮が今朝、朝鮮半島の東の海上に向けて弾道ミサイルを発射したとの韓国軍合同参謀本部の発表を伝えている。それによると、午前7時41分ごろから同51分ごろにかけ、北朝鮮南西部の黄海南道・長淵付近から日本海へ短距離弾道ミサイル(SRBM)2発を発射した。12日から米韓による大規模合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」が始まっており、開始前日の12日にも新浦沖で初めて潜水艦から巡航ミサイル2発を発射するなど挑発が続いている。 

   防衛省公式サイト「北朝鮮が保有・開発してきた弾道ミサイル等」によると、SRBMの飛翔距離は400㌔から600㌔とされる。

   北朝鮮の弾道ミサイル発射は去年と同様、今年に入っても頻繁になっている。今月9日にも平壌近郊の南浦周辺から近距離弾道ミサイルを6発発射し、翌日には同時発射した6発のミサイルの写真を機関紙などで「火力襲撃訓練」と発表している=写真、3月10日付・朝鮮中央通信Web版より=。2月は3回。18日に平壌近くの空港からICBM「火星15型」を発射し、北海道の渡島大島沖200㌔のEEZに着弾させている。20日にも「超大型ロケット砲」と呼ぶ短距離弾道ミサイル2発を、23日には戦略巡航ミサイル4発をそれぞれ発射。ことし元日に超大型ロケット砲を1発を発射している。

    北朝鮮は金正恩総書記は今月11日の党中央軍事委員会の会議で「戦争抑止力を攻勢的に活用するための重大な実践的措置」を決定している。今回の米韓合同軍事演習を「戦争準備」と見なし、さらなる武力誇示を展開することも予想される(聯合ニュースWeb版日本語)。

⇒14日(火)午後・金沢の天気     はれ

☆喜怒哀楽なニュース マスク、侍ジャパン、またミサイル

☆喜怒哀楽なニュース マスク、侍ジャパン、またミサイル

   今回のミサイル発射訓練は、米韓両軍がきょう13日から実施する大規模合同演習「フリーダムシールド(自由の盾)」に対する牽制でもある。そもそも、北朝鮮が潜水艦から巡航ミサイルを発射するに至ったのか。旧統一教会と北朝鮮の接近を観察していたアメリカ国防総省情報局(DIA)のリポートの一部が機密解除され、韓国在住ジャーナリストの柳錫氏が「文藝春秋」(2023年1月号)で記事を書いている。(※写真・下は、2016年に北朝鮮が打ち上げたSLBM「北極星」=防衛省「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」より)

★「チークナイフ」こだわるアメリの執念

★「チークナイフ」こだわるアメリの執念

   北朝鮮による弾道ミサイルの発射など挑発が相次ぐ中、米韓両軍は特殊作戦を展開しているようだ。韓国の朝鮮日報Web版日本語(3月1日付)によると、2月28日の米韓合同訓練では特殊部隊を動員した「チークナイフ(Teak Knife)」、別名「斬首作戦」と呼ばれる北朝鮮の指導部を狙った訓練が行われた。この訓練は1990年代以降で毎年実施されているが、尹錫悦政権の発足後の去年9月に続き今回と、わずか半年で2回訓練を実施し公開している。挑発の頻度を高める北朝鮮に向けた警告メッセージなのだろう。

   アメリカ軍はこれまで単独で2回、斬首作戦を実行している。2001年9月11日にニューヨ-ク・マンハッタンなどで起きた同時多発テロを仕掛けた国際テロ組織アルカイダの首謀者オサマ・ビン・ラディンに対して、2011年5月1日、パキスタンのイスラマバードから60㌔ほど離れた潜伏先をステルスヘリコプターなどで奇襲し殺害。2022年7月30日にもう一人の首謀者とされていたアイマン・アル・ザワヒリを潜伏先のアフガニスタンのカブール近郊のダウンタウンで、無人攻撃機に搭載した2発のヘルファイアミサイル(空からの対戦車ミサイル)で攻撃し殺害している。

   これで、アメリカによる対テロ戦争は終わったのか。「9・11」翌年の2002年の一般教書演説で当時のブッシュ大統領が述べた「悪の枢軸」。それ以前からイランやイラク、北朝鮮などを「テロ支援国家」や「ならずもの国家(rogue state)」などと称して敵視を続けている。

   アメリカが北朝鮮を悪の枢軸」に位置付けるのは、朝鮮戦争(1950年6月-53年7月)に由来する。北朝鮮が、国境線といわれた38度線を南下し、韓国に侵攻した。これにアメリカなど国連軍は反撃したが、アメリカ軍は3万6000人にもおよぶ多大な犠牲を払った。しかも、朝鮮戦争は終戦ではなく、現在も休戦状態にあり、一触即発の状況に変わりない。朝鮮戦争にどう決着をつけるか、アメリカにとって、冒頭のチークナイフはその選択肢の一つなのだろう。(※写真は「The White House」公式ホームページより)

⇒2日(木)夜・金沢の天気     くもり

★また2発 北朝鮮「狂信者に代価を支払わせる」

★また2発 北朝鮮「狂信者に代価を支払わせる」

   北朝鮮がきょうも弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。防衛省公式サイト(20日付)によると、午前6時59分ごろに弾道ミサイル1発を発射した。最高高度は約100㌔で、400㌔ほど飛翔。さらに、午前7時10分ごろにも1発を発射した。最高高度は約50㌔で、350㌔ほど飛翔した。いずれも日本海のEEZの外側に落下した=図は防衛省公式サイトより=。

   そして異例のこともあった。韓国の中央日報Web版(同)よると、きょう発射の2時間後の午前9時に、北朝鮮の朝鮮中央テレビの放送で、アナウンサーが「20日朝7時、放射砲射撃訓練を行った」とミサイル発射を速報した。 さらに正午には、今回発射したミサイルの写真も公開。ミサイル発射の直後に写真などを公表するのは異例だ。

   また、北朝鮮の朝鮮中央通信(20日付)は、戦術核を搭載可能な「600㍉放射砲」2発を発射する訓練を行ったと発表した。北朝鮮は新年早々に弾道ミサイル1発を発射。前日の12月31日にも弾道ミサイル3発を日本海に向け発射している。国営メディアは、いずれも「超大型ロケット砲」だったと伝えた。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(1月1日付・Web版)によると、党中央委員会総会で、金正恩総書記は演説し、戦術核兵器を大量生産する必要性を述べ、「核弾頭の保有量を幾何級数的に増やす」と方針を示した。

   そして、北朝鮮は今月18日にICBM「火星15」を北海道の西200㌔のEEZ内に落下させた。これに対抗し、アメリカと韓国は19日、戦略爆撃機やステスル戦闘機による合同空中訓練を実施した。

   さらに北朝鮮は反発。金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は20日、朝鮮中央通信を通じて発表した談話で「最近、朝鮮半島でアメリカ軍の戦略的な打撃手段の動きが活発になっている」と指摘。「わが国の安全に直接・間接的な懸念があると判断される時には相応の対応に乗り出す」と警告した。また「情勢を激化させる狂信者にその代価を支払わせる意志に変わりがないことを今一度確言する」と威嚇した(20日付・韓国聯合ニュースWeb版日本語)。米韓と北朝鮮の威嚇争いは、とめどなくエスカレートしている。

⇒20日(月)夜・金沢の天気     くもり時々あめ

☆朝鮮半島の争乱は対岸の火事なのか

☆朝鮮半島の争乱は対岸の火事なのか

   前回ブログの続き。共同通信Web版(19日付)によると、北朝鮮メディアは19日、新設組織とみられる「ミサイル総局」傘下の大陸間弾道ミサイル(ICBM)運用部隊が18日午後にICBM「火星15」の抜き打ちの発射訓練を首都平壌の平壌国際空港で実施したと伝えた。この訓練で「われわれの強力な物理的核抑止力の信頼性」を証明したとしている。金正恩党総書記は訓練に立ち会わなかった。この記事から読み取れることは、アメリカに対してICBMは実戦配備済みだと強調したかったのだろう。

   その狙いは、アメリカと韓国が来月実施する合同軍事訓練に対する威嚇にあるようだ。共同通信Web版(17日付)によると、韓国国防省は17日、北朝鮮の核・ミサイルの脅威への対応を目的とした、米韓合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」を3月中旬に11日間連続で実施し、期間中に大規模な野外機動訓練も行うと発表した。また、韓国ハンギョレ新聞Web版日本語(19日付)は、演習はコンピューターシミュレーションを通じて北朝鮮の核実験と軍事的挑発を想定して合同防衛態勢を点検するものだが、両国は演習期間中に師団級の合同上陸訓練と20余りの米韓連合の野外機動訓練なども行う、と報じている。

   米韓の合同演習に対し北朝鮮外務省は17日に「持続的で前例のない強力な対応に直面することになる」と警告する報道官談話を出していた(18日付・朝日新聞Web版)。この談話の延長線上にきのうのICBM発射があったのだ。このまま朝鮮半島の緊張がさらに激化するとどうなるのか。

   以下、憶測だ。アメリカは北朝鮮を「テロ支援国家」や「ならずもの国家(rogue state)」と敵対視している。去年の米韓の合同軍事演習では野外機動訓練(8月)が4年ぶりに再開されるなど実に念入りだった。9月と10月には米原子力空母「ロナルド・レーガン」などが参加した海上機動訓練、11月にはステルス戦闘機と称されるアメリカの戦略爆撃機「B1B」が朝鮮半島周辺の上空で空中訓練を実施した。朝鮮戦争では休戦協定(1953年7月)が結ばれたものの、現在も戦争状態が継続している。米韓が攻撃とみなせば戦争は再開される。このとき、実施されるのが金総書記に対する斬首(ピンポイント)作戦だろう。

   ただ、戦争となれば対岸の火事ではない。斬首作戦が成功したとしても北朝鮮国内は騒乱状態になり大量の難民が船に乗って逃げ出すだろう。ガソリンが切れたり、エンジンが止まった船の一部はリマン海流、そして対馬暖流に乗って能登半島などに漂着する。無事漂着したとして大量の難民をどう受け入れるのか、武装難民だっているだろう。その影響は計り知れない。日本海側に住むがゆえの胸騒ぎではある。

⇒19日(日)夕・金沢の天気     あめ

★アメリカに狙い定めたか 繰り返される北朝鮮のICBM

★アメリカに狙い定めたか 繰り返される北朝鮮のICBM

   きょう夕方、北朝鮮がICBMを発射した。防衛省公式サイト(18日付)によると、北朝鮮は午後5時時21分ごろ、平壌近郊から、1発のICBM級弾道ミサイルを東方向に発射した。弾道ミサイルは66分飛翔し、午後6時27分ごろに北海道の渡島大島の西方約200㌔の日本海のEEZ内に落下した。飛翔距離は約900㌔、最高高度は約5700㌔と推定される。

   北朝鮮がICBMを発射したのは、去年11月18日以来で、今回が11回目となる。ミサイル技術は進化していて、最高高度が5700㌔、飛行距離が900㌔なので、角度をつけて高く打ち上げる、いわゆる「ロフテッド軌道」と呼ばれる発射方式だ。この日、記者の質問に答えた浜田防衛大臣は「飛翔軌道に基づいて計算すると、弾頭重量などによっては1万4000㌔を超える射程となりうるとみられ、その場合、アメリカ全土が射程に含まれる」との見方を示した(18日付・朝日新聞Web版)。(※図は防衛省公式サイト「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」より)   

   これまで「瀬戸際外交」と呼ばれたアメリカを交渉の場に引き出すためのミサイル発射を、北朝鮮は完全に方針転換した。日米韓への挑発行為に狙いを定め、エスカレートさせている。金正恩総書記は2021年1月の朝鮮労働党大会で、アメリカを「最大の主敵」「戦争モンスター」と呼び、そして、去年1月の朝鮮労働党政治局会議で「アメリカ帝国主義との長期的な対決に徹底して準備しなければならない」とする方針を打ち出し、2018年に中止を表明していたICBMの発射実験や核実験について見直しを表明していた。去年6月、IAEA(国際原子力機関)は北朝鮮の豊渓里(プンゲリ)にある核実験場の坑道の1つが再び開かれたことを確認している。   

   以下、憶測だ。北朝鮮とすれば、ICBMの発射実験を繰り返すと同時に、それに搭載する小型核弾頭が完成すれば、核・ミサイルによる打撃能力は完成形に近づく。最高権力者としては、核実験を一刻も早く実施したいのではないか。台湾有事に加え、朝鮮半島の有事も深刻度を増しているように思えてならない。

(※写真は去年3月24日に北朝鮮が打ち上げた新型ICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版)

⇒18日(土)夜・金沢の天気   くもり

☆豆を投げつけたい「ミサイルの鬼」「偽旗の鬼」

☆豆を投げつけたい「ミサイルの鬼」「偽旗の鬼」

   きょう2月3日は「節分」。季節を分けるとの意味があり、あす4日の「立春」の前触れだと小さいころに教わった。伝統行事として、冬をしのぎ暖かな春の訪れを前に、邪気を払う「節分豆まき」が行われる。「鬼は外、福は内」と。

   「鬼は外」と叫びたいのは、頻繁に日本海に向けて弾道ミサイルを発射する北朝鮮だ。新年早々のことし元日にも弾道ミサイルを発射し、朝鮮半島東側の日本のEEZ外に落下させている。去年は37回、計70発を日本海に向け発射。2017年3月6日に能登半島の輪島市の北200㌔、去年11月18日に北海道・渡島大島の西約200㌔のEEZ内に着弾させている。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(ことし1月1日付・Web版)によると、党中央委員会総会で、金正恩総書記は演説し、戦術核兵器を大量生産する必要性を述べ、「核弾頭の保有量を幾何級数的に増やす」と方針を示している。

   ロシアのプーチン大統領がウクライナのゼレンスキー政権を「ネオナチ」と称して偽旗を掲げて去年2月24日に侵攻を始めてまもなく1年になる。その後の4月4日、ロシアのセルゲイ・ミロノフ下院副議長がロシアのオンラインメディアで「どんな国でも、隣国に対して権利を主張することはできる」「多くの専門家によると、ロシアは北海道に対してあらゆる権利を持っている」と述べた。同じ4月20日、ロシアは北部アルハンゲリスク州にあるプレセツク宇宙基地の発射場から新型のICBM「サルマト」を発射し、およそ5700㌔東のカムチャツカ半島にあるクーラ試験場の目標に命中させている。プーチン大統領が「北海道の権利の奪還」という偽旗を掲げて動き、プレセツク宇宙基地の発射場に再びICBMを構え、日本に向けた場合、反撃能力は可能なのだろうか。

   豆を投げてみたい「鬼」がいる。ドイツやオーストリアなどヨーロッパの一部の地域で伝承されている、「クランプス(Krampus)」。頭に角が生え、毛むくじゃらの姿は荒々しい山羊と悪魔を組み合わせたとされ、日本の伝承行事「ナマハゲ」や「アマメハギ」の鬼面より迫力と威圧感がある。家庭を回って、親の言うことを聞かない悪い子に警告して罰を与えると信じられている。欧州の子どもたちに豆を持たせて、「鬼は外」とクランプスに投げつけてはどうか。(※写真は、ドイツ・ミュヘン市の公式ホームページ「Krampus Run around the Munich Christmas Market」より)

⇒3日(金)午後・金沢の天気   くもり

★2023卯年・飛躍の年に ~外交~

★2023卯年・飛躍の年に ~外交~

   北朝鮮がきのう新年早々に弾道ミサイルを発射した。防衛省公式サイト(1日付)によると、1日午前2時50分、最高高度はおよそ100㌔、飛行距離は350㌔で、朝鮮半島東側の日本のEEZ外に落下したと推定される。北朝鮮は前日の31日も弾道ミサイル3発を発射、去年は37回、計70発を日本海に向け発射している。また、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(1日付・Web版)によると、党中央委員会総会で、金正恩総書記は演説し、戦術核兵器を大量生産する必要性を述べ、「核弾頭の保有量を幾何級数的に増やす」と方針を示した。

   ~厄介な隣国にどう対応 岸田内閣の起死回生の一発は~

   脅威を振りかざすのは北朝鮮だけではない。中国も沖縄県の尖閣諸島周辺の領海のすぐ外側にある「接続水域」をうろうろしている。先月29日午前9時現在、中国海警局の船4隻が接続水域を航行しているのが確認されている。中国当局の船が接続水域を航行した日数は去年は334日と、2012年9月11日に日本政府が尖閣諸島を国有化して以降、最も多くなった。

   そして、ウクライナ侵攻を続けるロシアも隣国だ。そもそも、中国とロシアがなぜ国連安保理の常任理事国なのか。中国の場合。もともと常任理事国は第2次世界大戦の戦勝国である国民党の中華民国だった。それが中国共産党に追われ台湾に逃れる。アメリカのニクソン大統領の中華人民共和国への訪問が公表され、国際社会がにわかに動いた。1971年10月のいわゆる「アルバニア決議」によって、国連における中国代表権は中華人民共和国にあると可決され、中華民国は常任理事国の座から外され、国連を脱退することになる。代わって中国が国連に加盟し、台湾の常任理事国を引き継ぐことになった。常任理事国として相応しいとする正当性はどこにあったのだろうか。

   ロシアも同じだ。戦勝国であるソビエトが崩壊した。それを、ロシアが常任理事国として拒否権を持ったまま引き継いでいる。それが、ウクライナ侵攻という行為があっても国連安保理は機能不全、という現実問題を生み出している。

   話は変わる。岸田総理はことしとても忙しそうだ。G7の議長国を務め、5月には広島市でサミットを開催する。サミットでは当然、ウクライナ情勢をはじめ、唯一の戦争被爆国として「核兵器のない世界」の実現に向けたメッセージを発信することになるだろう。

   ただ、最新の世論調査はじつにさえない。共同通信社の調査(12月17、18日)で、内閣支持率は33.1%と発足以来最低だった。「危険水域」とされる20%台まであとわずかだ。得意の外交で起死回生の一発を放つことができるのか、どうか。

(※写真は、広島県庁公式サイトに掲載されているG7サミット開催をPRする湯崎知事=左=ら)

⇒2日(月)夜・金沢の天気     あめ

★目の当たりの『戦』この一年 ~その4~

★目の当たりの『戦』この一年 ~その4~

   北朝鮮は本気、やる気なのだろう。その実戦配備に向けた発射実験だ。防衛省は、北朝鮮がきょう31日午前8時1分と14分、15分に、平壌近郊から北東方向の日本海に向けて計3発の弾道ミサイルを発射、ミサイルはそれぞれ最高高度100㌔程度で、約350㌔飛翔したと推測されると発表した(31日付・同公式サイト)。日本のEEZ外に落下したと推測される。北朝鮮による弾道ミサイルの発射は今年だけで37回、計70発となり、異例の頻度だ。

   ~北朝鮮が実『戦』配備へ 移動可能、すぐ発射の弾道ミサイル~  

   冒頭で「実戦配備」と述べたのは、隣国への脅しの打ち上げではなく、弾道ミサイルの性能向上のための発射実験を繰り返している。今月15日に金正恩総書記の立ち会いのもと大出力の固体燃料エンジンの燃焼実験に初めて成功したと発表している(12月月16日付・労働新聞Web版)。固体燃料ロケットは、北朝鮮がこれまでのICBM発射実験で使用した液体燃料ロケットよりも安定性に優れ、ICBMをより容易に移動することが可能で、打ち上げにかかる時間も短縮できるとされる。北朝鮮は2021年からの「国防5ヵ年計画」で固体燃料のICBM開発を重点目標に掲げており、労働新聞の記事では、「最短期間内に別の新しいタイプの戦略兵器が出現することを見越して彼らを温かく励ました」と論評している。

   さっそく、北朝鮮は固体燃料エンジンのロケット化を進めているようだ。今月23日に日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射。その前の今月18日に偵察衛星開発のための実験と主張し、中距離弾道ミサイル2発を日本海に向けて発射している。そして今回と併せ、矢継ぎ早に3回の固体燃料ロケットの実践訓練ではないだろうか。あくまでも推測である。(※写真は、今月18日、北朝鮮が 発射した中距離弾道ミサイル。最高高度は550㌔程度で、500㌔程度飛翔したと推定されている=19日付・労働新聞Web版)

   日本政府は今月16日の閣議で「国家安全保障戦略」など新たな防衛3文書を決定した。敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が明記され、日本の安全保障政策の大きな転換となる。「反撃能力」は「敵基地攻撃能力」とも呼ばれる。このため、国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」の改良型の開発・量産や、アメリカの巡航ミサイル「トマホーク」の取得など、防衛力の抜本的な強化策を盛り込んでいる。

   先の北朝鮮の動きと照らし合わせすると、反撃能力はどこまで効果があるのか。固体燃料ロケットの開発でICBMをより容易に移動することができるとなれば、敵基地攻撃は意味を成すのだろうか。分かりやすく言えば、移動したICBMを追尾し、発射前にたたくことはできるのだろうか。北朝鮮の実戦配備に向けた動きは2023年もさらに強まるだろう。日本海側に住む一人としての懸念である。

⇒31日(土)午後・金沢の天気    くもり時々あめ

☆北朝鮮また弾道ミサイル 「反撃能力」への反発なのか

☆北朝鮮また弾道ミサイル 「反撃能力」への反発なのか

   北朝鮮がまた弾道ミサイルを発射した。防衛省公式サイトによると、北朝鮮はきょう18日午前11時11分と52分の2回、朝鮮半島西岸から日本海に向けて弾道ミサイルをそれぞれ1発発射した。2発とも最高高度は550㌔程度で、500㌔程度飛翔し、日本のEEZ外に落下したと推測される。弾道ミサイルの発射は11月18日にICBMを1発を発射して以来で、ミサイル発射はことし35回目となる。

   日本海側に住む者として、北朝鮮の弾頭ミサイルの発射に注視している。そこで思うことは、35回という頻度もさることながら、着実に弾道ミサイルの性能を高めているということだ。先月18日のICBM「火星17型」の発射では、北朝鮮の国営メディア「朝鮮中央テレビ」「労働新聞」は金正恩総書記の「世界最強の戦略兵器としての威力ある性能が検証された」と成果を誇示するコメントを出した。同時に、白の防寒ジャケットに身を包んだ娘が金総書記と手をつないで兵器の前を歩く姿も掲載した。(※写真は11月19日付・CNNニュースWeb版日本語より)

   また、今月15日に金総書記の立ち会いのもと大出力の固体燃料エンジンの燃焼実験に初めて成功したと発表している。固体燃料ロケットは、北朝鮮がこれまでのICBM発射実験で使用した液体燃料ロケットよりも安定性に優れ、ICBMをより容易に移動することが可能で、打ち上げにかかる時間も短縮できるとされる。北朝鮮は2021年からの「国防5ヵ年計画」で固体燃料のICBM開発を重点目標に掲げており、金総書記は今回の実験で「優先課題実現に向けた重大問題を解決した」と強調した(今月16日付・産経新聞Web版)。

   きょうの発射の目的は何だったのか。共同通信Web版によると、韓国メディアは、「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有などを明記した日本の安全保障関連3文書改定に対して北朝鮮が反発した可能性があると伝えているようだ。北朝鮮の国営メディアはあすどう伝えるのか。反撃能力に対する反発なのか、あるいは固体燃料ロケットの実用化に向けた試射なのか。

⇒18日(日)夜・金沢の天気   ゆき