#北朝鮮

☆株価が投影する北の動き

☆株価が投影する北の動き

            きょう(8日)の東京株式市場は日経平均で前日比504円高の2万179円となり大幅に上昇した。新型コロナウイルスでロックウダン状態からアメリカやヨーロッパの一部で経済活動が再開され、国内でもウイルスの感染者が減少傾向となり、緊張状態からひと息ついた、ということだろうか。

   コロナ禍とは別に、北朝鮮の動きにも株価は敏感に反応する。危篤説や死亡説まで出ていた金正恩委員長が20日ぶりに姿を見せた今月2日は、日本は大型連休の真っ最中、しかも土曜日だったので株式市場は休みだった。今回の金氏の顔見世が日本の株価にどう反映したのか、東京市場の流れを追ってみる。

   銘柄はこのブログでも何度か取り上げた石川製作所(石川県白山市)だ。北朝鮮の動きと連動する株価で知られる。同社は段ボール印刷機、繊維機械を生産しているが、追尾型の機雷も製造する防衛産業でもある。キナ臭さが漂うと石川製作所の株価に注目が集まる。2017年9月、アメリカのトランプ大統領が国連総会の演説で金委員長を「ロケットマン」と呼び、双方の言葉の応酬が過熱した。石川製作所の株価は急上昇し、それまで1000円に満たなかったものが10月には4205円の最高値を記録している。

   その石川製作所の最近株価の動向だ=写真、日経チャート=。金委員長が4月12日の最高人民会議を欠席し、祖父・金日成主席の誕生日である15日に安置所がある太陽宮殿への参拝がなかったことが報道され、株価1250円が値上がりする。CNNが危篤説を報道(21日)で1584円、その後元山(ウォンサン)の別荘に停車している特別列車の衛星画像の公開(29日)で1705円。死亡説まで取り沙汰されたころは1710円だった。

   金委員長が姿を見せた2日は土曜日。きのう(7日)5連休明けの東京市場で石川製作所は152円安の1553円、8.9%も下げた。そしてきょうも50円の連日の下げとなった。ただ、印象として下げ止まり感がある。本来なら騒動が起きる前の1200円台に戻るのかと。やはり、金委員長の姿見せの後がキナ臭い。3日朝に韓国と北朝鮮の間の非武装地帯(DMZ)の韓国軍の監視所に対し、北が数発の銃弾を発射したことが報道された(3日付・共同通信Web版)。6日には北の新浦(シンポ)にある造船所で潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を装備する動きがあることが韓国の国会で報告された(6日付・同)。

   このような不穏な動きがある中で、一気に石川製作所の株価が下がるとは思えない。株価は世界情勢を正直に反映する。コロナ禍しかり、北朝鮮しかり。自身は石川製作所の株を有してはいない、単なる株価ウオッチャーだ。

⇒8日(金)夜・金沢の天気   はれ

☆金正恩氏「ナゾの20日間」を解く

☆金正恩氏「ナゾの20日間」を解く

   北朝鮮の金正恩党委員長の健康状態がニュースになった。4月12日の最高人民会議を欠席し、祖父・金日成主席の誕生日である15日に安置所がある太陽宮殿への参拝がなかったことから一気に騒がしく動静が報じられるようになった。CNNが危篤説を報道(21日)、その後元山(ウォンサン)の別荘に停車している特別列車の衛星画像が公開された(29日)。死亡説まで取り沙汰された。5月2日に20日ぶりに金委員長の動静が国営メディアが伝えられ、一応騒ぎは収まった

   きょう(4日)韓国の朝鮮日報Web版が金委員長の健康状態に関するニュースを写真付きで報じている。記事の主見出しは「전문의 “오른손목 흉터, 주삿바늘 가능성” 靑 “수술도 시술도 안받았다”」(専門医「右手首のあざは注射跡か」、青瓦台「手術も施術も受けていない」)=写真=。注目したのこの写真で、左の写真の右手首に丸い褐色のあざがある。右の写真の4月11日に労働党政治局会議での金氏の手首にはあざはない。記事では、心臓専門医の「動脈を通じた心血管造影術を行った可能性が80%程度ある」のコメントを紹介している。

   この写真を見て、ひょっとして褐色のあざは「経皮的冠動脈ステント留置術」、簡単に言うとカテーテル手術の痕ではないのか、と察した。さらによく見ると、褐色のあざのまわりに赤みがある。これは血止めバンドの痕ではないか。あくまで自分自身の経験から憶測しての話だ。

   自身もかつて人間ドックで心臓の右の冠動脈が狭くなっていて、狭心症が疑われた。長い階段を上ったり、急ぎ足で歩くと胸苦しさを感じていた。このため2018年3月にカテーテル検査を受け、「労作性狭心症」と診断された。心臓の仕事量が増えると、それに見合う酸素量が心筋に運ばれず、虚血が起こり胸痛に襲われるという症状だった。4月にカテーテル手術をした。右手首の血管から バルーンカテーテルを入れて冠動脈に挿入し、その先端にあるバルーン(風船)を膨らませ、狭くなった冠動脈を元の血管の太さに戻す。さらにステント(直径3㍉×長さ18㍉、筒状の金属網)をその箇所に留め置いてカテーテルを抜き取る手術だった。体を開くバイパス手術だと入院から退院まで24日かかると言われているが、カテーテル手術だと検査と手術で正味7日だった。

   自らが体験した検査と手術の日程を金委員長の謎の空白期間(20日間)にパズルのように組み込んでみる。4月11日の労働党政治局会議の後、胸苦しさが襲ってきた。翌日12日は最高人民会議を欠席し、平壌市内の病院で冠動脈CT(心臓CT)の検査を受けた。すると、冠動脈の狭窄や閉塞など心臓疾患が進行していることが分かった。さらに詳しく調べるため、13日に造影剤など使って患部のカテーテル検査が行われ、狭心症と診断された。バイパス手術かカテーテル手術かを主治医と相談し、痛みが比較的柔らかいカテーテル手術を選んだ。ところが、北にはカテーテル手術で十分な経験を積んだ医療チームがいない。そこで、金委員長は15日に電話で中国の習近平主席に太陽節の祝電のお礼とあわせて、医療チーム派遣の依頼をした。中国の医療チームが平壌に到着したのは23日だった。25日に手術が無事に行われた。しばらく静養するため26日に医療施設もある元山の別荘に特別列車で出向いた。

   手術後、中国の医師から右手首の血止めバンドは1週間は装着してくださいと念を押された。公の場に出ると右手を振って挨拶をするが、そのときに血止めバンドが見えると、人民はあれは何だと大騒ぎになる。そこでバンドを外すまでは公の場に出ないことにした。そして20日ぶり、5月1日に順川(スンチョン)にあるリン酸肥料工場の完成式で顔見世をすることができた。そのとき、右手を振り手術痕がさりげなく見えた。あくまで空想の話である。

⇒4日(みどりの日)夜・金沢の天気   くもり