#北朝鮮

☆北朝鮮の弾道ミサイルとの関わり 旧統一教会の「献金の闇」

☆北朝鮮の弾道ミサイルとの関わり 旧統一教会の「献金の闇」

前回ブログの続き。信者からの献金や霊感商法で集めた膨大な額の金は韓国の世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の本部へと送金されている。それがどのように使われていたのか。2023年7月3日付「安倍事件まもなく1年 旧統一教会の『献金の闇』」で記事をまとめた。以下、再録。

これを宗教というのだろうか。宗教の名を借りた集金システムではないのか。(2023年)7月3日付の共同通信Web版によると、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の教団トップの韓鶴子総裁が6月末、教団内部の集会で「日本は第2次世界大戦の戦犯国家で、罪を犯した国だ。賠償をしないといけない」「日本の政治は滅ぶしかないだろう」と発言していたことが3日、関係者への取材や音声データで分かった。教団側は6月中旬、年間数百億円にも上るとされる日本から韓国への送金を今後は取りやめると説明していたが、トップが依然、韓国への経済的な見返りを正当化したことになる。

多額の献金は韓国の本部に集められた。それはどこに流れたのか。「文藝春秋」(2023年1月号)は「北朝鮮ミサイル開発を支える旧統一教会マネー4500億円」の見出しで報じている。旧統一教会と北朝鮮の接近を観察していたアメリカ国防総省の情報局(DIA)のリポートの一部が機密解除され、韓国在住ジャーナリストの柳錫氏が記事を書いている。旧統一教会の文鮮明教祖は1991年12月に北朝鮮を訪れ、金日成主席とトップ会談をした見返りとして4500億円を寄贈していた、と。(※写真は、北朝鮮が「極超音速ミサイル」と称する新型弾道ミサイル=日本の防衛省公式サイト資料「2019年以降に北朝鮮が発射した弾道ミサイル等」より)

さらにDIA報告書では、1994年1月にロシアから北朝鮮にミサイル発射装置が付いたままの潜水艦が売却された事例がある。売却を仲介したのが東京・杉並区にあった貿易会社だった。潜水艦を「鉄くず」と偽って申告して取引を成立させていた。韓国の国防部は2016年8月の国会報告で、北朝鮮が打ち上げたSLBM潜水艦発射型弾道ミサイルは北朝鮮に渡った「鉄くず」潜水艦が開発の元になっていたと明かした。この貿易会社の従業員は全員が旧統一教会の合同結婚式に出席した信者だった。

高額献金をめぐる旧統一教会の「深い闇」をどう断罪するのか。断罪がなければまた繰り返される。

⇒27日(木)午前・金沢の天気    はれ

★帰らぬ拉致被害者 家族は無念の想い 能登での拉致1号事件から48年

★帰らぬ拉致被害者 家族は無念の想い 能登での拉致1号事件から48年

  北朝鮮による拉致被害者の家族である有本明弘さんが亡くなったと報じられている。96歳だった。娘の恵子さんはロンドンで語学留学中だった1983年に北朝鮮に連れ去れたことが、「よど号」ハイジャック事件(1970年3月31日)の実行犯の元妻(日本人)が2002年3月に法廷で証言して明らかになった(Wikipedia「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」)。日本政府が「拉致」という言葉を使って問題としたのは、1988年3月の参院の質問で当時の国家公安委員長だった梶山静六氏が初めてだった。政府は1991年から水面下で北朝鮮に対して拉致問題を提起していたものの、当時は北朝鮮との国交正常化に重きを置いていて、拉致問題の表向きの対応は希薄だった。

  1997年2月に拉致被害者の家族による「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」が結成されると一転した。2002年9月17日、当時の小泉純一郎総理と北朝鮮の金正日国防委員長による首脳会談で、北朝鮮は長年否定してきた日本人の拉致を認めて謝罪。拉致被害者の5人が帰国した。2004年5月26日にも小泉総理が北朝鮮を訪れ首脳会談を行い、先に帰国した5人の家族が帰国することになった。

  政府は北朝鮮に拉致された被害者として17人(5人帰国)を認定しているが、さらに北朝鮮による拉致の可能性を排除できない871人に関して、引き続き捜査や調査を続けている(警察庁「拉致の可能性を排除できない事案に係る方々」)。北朝鮮による拉致事件は終わっていない。(※写真は、政府の拉致問題対策本部公式サイトより)

  「拉致1号事件」は能登半島の尖端近くで起きた。能登町宇出津の遠島山公園の下の入り江は山が海に突き出たような岬で、入り組んだリアス式海岸だ。1977年9月19日、東京都三鷹市の警備員だった久米裕さん52歳と在日朝鮮人の男37歳が宇出津の旅館に到着し、午後9時ごろに2人は宿を出た。怪しんだ旅館の経営者は警察に通報した。旅館から歩いて5分ほどの入り江で、男は外国人登録証の提示を拒否したとして、駆けつけた捜査員に逮捕された。久米さんの姿はなかった。

  しかし、当時は拉致事件としては扱われず、公にされなかった。その後、拉致は立て続けに起きた。同年10月21日に鳥取県では松本京子さんが自宅近くの編み物教室に向かったまま失踪(2号事件)。11月15日、新潟県では下校途中だった13歳の横田めぐみさんが日本海に面した町から姿を消した(3号事件)。

    拉致問題をめぐっては、2002年9月と2004年5月の日朝首脳会談で拉致被害者5人とその家族が帰国したことで、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」との主張を変えていない。有本明弘さんは長年にわたって運動を続けてきたものの恵子さんの救出には至らず、無念な想いだったに違いない。政府には覚悟を持って被害者家族の無念の想いを晴らしてほしい。

⇒18日(火)夜・金沢の天気   くもり時々ゆき

★北朝鮮のICBM発射は核実験の前触れ予告なのか

★北朝鮮のICBM発射は核実験の前触れ予告なのか

  ニュース速報が飛んできた。北朝鮮はきょう31日午前7時11分、北朝鮮内陸部から、少なくとも1発の弾道ミサイルを北東方向に向けて発射。弾道ミサイルは北海道・奥尻島の西方約200㌔の日本のEEZ(排他的経済水域)外の日本海に同8時37分ごろ落下した。飛翔距離は1000㌔、最高高度は過去最高の7000㌔を超えると推定される(31日・防衛省公式サイト、イメージ図も)。

  北朝鮮は去年12月18日にも奥尻島の方向に向けて弾道ミサイルを発射している。このときはICBM(大陸間弾道ミサイル)級のミサイルで、奥尻島の北西およそ250㌔のEEZ外の日本海に落下した。飛行距離は1000㌔ほど、最高高度は6000㌔超でおよそ73分間飛行した(2023年12月18日付・防衛省公式サイト)。今回の飛行時間は86分間(前回は73分間)の長時間だったので、今回もICBM(大陸間弾道ミサイル)級のミサイルと推測される。(※写真は、2022年3月24日に北朝鮮が打ち上げたICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版)

  では、なぜICBM級のミサイルを北朝鮮は打ち上げたのか。以下は憶測だ。軌道を高い角度で打ち上げて飛距離を抑える飛ばし方は「ロフテッド軌道」と呼ばれる。これを通常の軌道で発射すれば、搭載する弾頭の重さなどによっては飛行距離が1万5000㌔を超えてアメリカ全土が射程に入ることになる。つまり、アメリカを意識した発射だったのではないか。

  国連安保理は30日、ウクライナ侵攻を続けるロシアに北朝鮮が派兵したことを受けて緊急会合を開催した。アメリカのウッド国連次席大使は「ロシアの支援のため(北朝鮮兵士が)ウクライナに入れば、北朝鮮兵は遺体袋で帰国する」と述べ、金正恩・朝鮮労働党総書記に「無謀で危険な行為の再考」を促した。多くの理事国から北朝鮮のロシア派兵は安保理決議違反にあたるとして批判が集中するなか、北朝鮮の金星・国連大使は派兵について直接の言及は避けつつ、「アメリカと西側の危険な試みによって、ロシアの主権および安全保障上の利益が脅かされたとみなした場合、必要な措置を取る」と述べた(31日付・メディア各社の報道)。今回の北朝鮮のICBM級ミサイルの発射は、この「必要な措置を取る」との言葉を裏付けするかのような脅しに思えてならない。

  そして、このニュースで別の憶測もよぎる、北朝鮮が核実験の準備を終え、11月5日のアメリカ大統領選の前後に実験を強行する可能性があるとの韓国国防省の見解が報じられている(31日付・メディア各社の報道)。とすれば、核実験の前触れ予告にICBMを発射したのか、と。きな臭さが一気に漂い始めている。

⇒31日(木)午前・金沢の天気    くもり

★ 北朝鮮の弾道ミサイルが日本海に 脅かされる能登の漁業

★ 北朝鮮の弾道ミサイルが日本海に 脅かされる能登の漁業

  北朝鮮がまた日本海に向けて弾道ミサイルを発射した。防衛省公式サイト(30日付)によると、北朝鮮はきょう午前6時13分ごろ、複数の弾道ミサイルを内陸部から北東方向の日本海に向けて発射した。発射された弾道ミサイルのうち少なくとも1発は最高高度が100㌔、350㌔以上飛行した。

  北朝鮮は今月27日午後10時43分にも北西部沿岸地域の東倉里地区から、黄海に向けて衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射体を打ち上げた。発射から数分後に黄海上空で消失した。北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、27日の「衛星」打ち上げを含めて今年6回目となる。

  このニュースを不安に感じているのは能登半島の能登町小木漁港のイカ釣り漁業者ではないだろうか。中型イカ釣り船=写真=の7隻が来月6月にスルメイカ漁に日本海に向け出漁する予定でいる。不安に感じているというのも、小木漁港の関係者にとっては苦い過去の事例もある。

  領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。ところが、北朝鮮は条約に加盟していないし、日本と漁業協定も結んでいないことを盾に、日本海は自国の領海であると以前から主張している。1984年7月、北朝鮮が一方的に引いた「軍事境界線」の内に侵入したとして、小木漁協所属のイカ釣り漁船「第36八千代丸」を銃撃し、船長が死亡、乗組員4人を拿捕。1ヵ月後に「罰金」1951万円を払わされ4人は帰国した。

       日本海への弾道ミサイルの発射、自国の領海との主張、こうした北朝鮮の理不尽な振る舞いに脅かされているのが能登のイカ釣り漁業の現状だ。そして、日本人拉致の1号事件も1977年9月に能登町宇出津の湾で起きている。

⇒30日(木)夜・金沢の天気   はれ

☆北朝鮮のICBMの狙い アメリカ全土を射程に

☆北朝鮮のICBMの狙い アメリカ全土を射程に

   昨夜に弾道ミサイルを日本海に発射した北朝鮮がけさもICBM級の弾道ミサイルを発射した。防衛省はきょう午前8時24分ごろ、北朝鮮からICBM(大陸間弾道ミサイル)級のミサイル1発が発射され、北海道の奥尻島の北西およそ250㌔の日本のEEZ外の日本海に9時37分ごろ落下したとみられると発表した。飛行距離は1000㌔ほど、最高高度は6000㌔超でおよそ73分間飛行したと分析されている。

   北朝鮮は7月12日にもICBMを1発発射している。このときも74分間飛翔し、北海道の奥尻島の西方250㌔の日本海のEEZ外に落下。飛翔距離は1000㌔、最高高度は6000㌔を超えると推定されている。(※写真は、2022年3月24日に北朝鮮が打ち上げたICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版)

   今回の軌道は高い角度で打ち上げて飛距離を抑える、いわゆる「ロフテッド軌道」と呼ばれる。これを通常の軌道で発射すれば、搭載する弾頭の重さなどによっては飛行距離が1万5000㌔を超えてアメリカ全土が射程に入る(※図は防衛省公式サイト「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」より)。このことは当然アメリカも意識しているに違いない。

   以下は自身の憶測だ。北朝鮮はロシアと連携し、ICBMを打ち上げることでアメリカの意識をウクライナから朝鮮半島へとそらすことを画策しているのではないだろうか。ロシアとすれば、クラスター爆弾を供与するなどウクライナへのアメリカの肩入れがハードルになっている。そこで、アメリカに北朝鮮を注目させる。朝鮮戦争の再開を目論んでいるかもしれない。さらに、中国による台湾への軍事侵攻を仕掛けさせて、アメリカを巻き込ませる。そのようなシナリオをロシアが描いていても不思議ではない。

   このところ、ロシア・中国・北朝鮮の首脳外交が活発化している。プーチン大統領と習国家主席が北京で首脳会談(10月18日)、金総書記とプーチン大統領によるロシアでの首脳会談(9月13日)が開かれている。首脳会談では当然、3国間での安全保障についても語り合ったことだろうと想像して勝手にシナリオを描いた次第。

⇒18日(月)午後・金沢の天気  くもり時々あめ

★日本海を狙い撃ち JPCZ寒波と弾道ミサイル

★日本海を狙い撃ち JPCZ寒波と弾道ミサイル

   きょう金沢では初雪が降った。自宅の庭先でもうっすらと雪がつもった=写真=。午後の気温は8度、夕方は5度だった。おととい15日は22度で生暖かい空気が漂っていた。このところの寒暖差のせいか、体調が今一つさえない。熱はないが、くしゃみや鼻水が出る。あす18日にかけて北陸や北日本の日本海側を中心に、猛ふぶきや大雪など荒れた天気との予報が出ている。

   日本海を直撃する寒波が「JPCZ」(日本海寒帯気団収束帯)。この影響で日本海から活発な雪雲が断続的に流れ込み、局地的に降雪量が多くなるおそれがあると気象庁が発表している(15日付)。シベリアから寒気団が日本海に向かって流れてくる際に朝鮮半島北部の白頭山によって、いったん二分されるが、その風下で再び合流し、雪雲が発達しやすい収束帯(ライン)となって北陸地方などになだれ込んでくる。2021年1月にJPCZが若狭湾付近に停滞して大雪が降り続き、福井県の北陸自動車でおよそ1600台が2日間動けなくなったことが連日ニュースとなったことがある。今回は新潟県で70㌢、北陸で40㌢と予想されている。

   そして、防衛省は先ほど午後10時40分の速報で、「北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されました」と報じた。日経新聞Web版(17日付)によると、韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が同日午後10時38分ごろ平壌周辺から日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射したと発表した。

   北朝鮮が弾道ミサイル発射するのは9月13日以来ではないだろうか。このときも2発の弾道ミサイルが半島の西岸付近から日本海に発射され、落下した場所は日本のEEZの外側だった。それ以降、北朝鮮は人工衛星に専念し、11月22日に軍事偵察衛星「万里鏡1号」を打ち上げた。打ち上げは再び弾道ミサイルに戻ったのだろうか。

⇒17日(日)夜・金沢の天気   あめ時々ゆき

☆北朝鮮の偵察衛星めぐる日本と米韓の認識の違い

☆北朝鮮の偵察衛星めぐる日本と米韓の認識の違い

   防衛省公式サイトによると、木原防衛大臣きのう24日の記者会見で、北朝鮮が今月21日に弾道ミサイル技術を使った衛星の打ち上げについて、「米国および韓国とも連携しながら分析を進めた結果、北朝鮮が発射した何らかの物体が地球を周回していることを確認した」と述べている。打ち上げが成功したかの評価は明言を避けている。防衛省は、22日に「これまで地球の周回軌道への衛星の投入は確認されていない」と発表。第三者はだれもが衛星発射は3回目の今回も失敗したと解釈していた。

   当事者の北朝鮮は、労働新聞Web版(22日付)などが軍事偵察衛星「万里鏡1号」を搭載した新型運搬ロケット「千里馬1型」を打ち上げ、「偵察衛星の発射に成功」と報じていた=写真・上=。また、韓国軍も「衛星は軌道に進入したものと見られる」との見方を22日に示していた(同日付・NHKニュースWeb版)。

   それが、24日になって木原大臣が「何らかの物体が地球を周回している」と述べ、記者からは「ここまで時間がかかった理由」について問われた。大臣は「北朝鮮が発射した何らかの物体が地球を周回している一方、当該物体が、北朝鮮が意図したとおりの機能を果たしているかといった詳細については、引き続き慎重な分析が必要」(防衛省公式サイト)と述べている。記者の質問に対してはダイレクトに答えておらず、じつに煮え切らない。

   ロイター通信Web版日本語(25日付)によると、 北朝鮮の金正恩総書記は24日、偵察衛星が撮影した「主要な標的地域」の写真を視察した。国営の朝鮮中央通信が報じた。主要な標的地域には韓国の首都ソウルやアメリカ軍基地がある都市が含まれている。写真は公表していない。また、NHKニュースWeb版(同)によると、アメリカ宇宙軍が運営する人工衛星の追跡サイト「スペーストラック」=写真・下=は、北朝鮮の軍事偵察衛星について衛星番号を割り当てた。衛星番号はアメリカ軍が人工衛星などの物体を管理するために割りふっている。

   アメリカは衛星番号を割り振って監視しているのに、なぜ日本の防衛大臣はあやふやな表現でその場をしのいでいるのか。北朝鮮は今後さらに偵察衛星を数発打ち上げて、標的地域の監視を強化するとしている。その先にあるのは現在休戦状態にある朝鮮戦争の再開ではないのか。そのために弾道ミサイルの精度を高め、偵察衛星網を拡充しようとしている。そのとき、日本はどう対応するのか。北朝鮮をめぐる日本と米韓の認識の違いがあらためて浮かび上がった。

⇒25日(土)夜・金沢の天気    くもり

★北朝鮮が3度目の衛星発射 「成功」と賞する意義

★北朝鮮が3度目の衛星発射 「成功」と賞する意義

   それにしても考えてしまう。日付を予告していたにもかかわらず、なぜ予告を無視するのか。防衛省公式サイト(22日付)によると、北朝鮮は21日午後10時43分、北朝鮮北西部沿岸地域の東倉里(トンチャンリ)地区から、衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行した。発射された1発は複数に分離し、1つ目は午後10時50分、朝鮮半島の西約350㌔の東シナ海上の予告落下区域外に落下、2つ目は沖縄本島と宮古島との間の上空を通過し、同57分に沖ノ鳥島の南西約1200㌔の太平洋上、予告落下区域内に落下したものと推定される。地球周回軌道への衛星の投入は確認されていない。(※写真・上は、22日付の北朝鮮の労働新聞Web版より)

   北朝鮮の弾道ミサイルの発射でとくに混乱したのは沖縄県の人たちだった。自身はテレビのニュース速報を視聴していたが、ミサイルが上空を通過し、Jアラート(全国瞬時警報システム)が発令され、サイレンとともに防災無線で避難を呼びかける放送が繰り返されていた。深夜に登庁した自治体の職員が被害など備えて対応に追われる様子が映し出されていた=写真・中、テレビ朝日「報道ステーション」より=。

   北朝鮮はことし8月24日にもトンチャンリ地区から、弾道ミサイル技術を使用した偵察衛星の発射を強行したが、防衛省は地球周回軌道への衛星の投入を確認していない。ことし5月31日にも衛星を打ち上げたが、エンジン異常で墜落。3回目となる今回も衛星打ち上げは失敗したとみられる。ところが、冒頭の労働新聞は、軍事偵察衛星「万里鏡1号」を搭載した新型運搬ロケット「千里馬1型」を打ち上げ、「偵察衛星の発射に成功」と報じている。

   そもそも、弾道ミサイル技術を用いたロケットの打ち上げは国連安保理事会決議に違反していることから、日米韓は共同で中止を要求していた。冒頭の話に戻るが、北朝鮮は22日以降に人工衛星を打ち上げると海上保安庁に通告していたので、期間前に強行したことになる。今回の発射は日米韓の意表を突く作戦なのだろうか。そして、ことし3回目の発射がまた失敗となると、国民の不満が沸騰するのであえて「成功」と言いくるめているのだろうか。

   深読みする。北朝鮮の金総書記はことし9月13日(日本時間)にロシアの「ボストーチヌイ宇宙基地」を訪れ、ロケットの組み立てや発射施設などを視察した。この場での首脳会談でプーチン大統領は、衛星の開発を支援する意思を明確に示した=写真・下、同日付・BBCニュースWeb版=。支援を受けた今回の発射でなんらかの進展があったのかもしれない。それをあえて金総書記は「成功」と賞し、次なる発射へとモチベーションを高めているのかもしれない。

⇒22日(水)午前・金沢の天気   はれ

☆北朝鮮の弾道ミサイル ようやく日米韓で情報共有

☆北朝鮮の弾道ミサイル ようやく日米韓で情報共有

   この季節になると、「JPCZ」という言葉を天気予報でよく聞く。シベリアから寒気団が日本海に向かって流れてくる際に朝鮮半島北部の白頭山によって、いったん二分されるが、その風下で再び合流し、雪雲が発達しやすい収束帯(ライン)となって北陸地方などになだれ込んでくる。それをJPCZ(Japan sea Polar air mass Convergence Zone)、日本海寒帯気団収束帯と言う。JPCZを印象付けたのは2017年12月17日に降った大雪。金沢市内で積雪が30㌢に達した。

   きょうそのJPCZと同様の雲域が日本海に現れているようだ(12日付・日本気象協会「tenki.jp」)。今回は寒気レベルでは平地で降雪になることはないものの、北陸地方では断続的に雨の降り方が強まり、短時間強雨や土砂災害、落雷や竜巻などの激しい突風が起きるとの予報だ。

   北陸に住んでいると、政治的なJPCZにも敏感になる。北朝鮮が日本海に撃ち落す弾道ミサイルだ。北朝鮮はことし6月15日に2発の弾道ミサイルを挑戦半島の西岸付近から発射、能登半島の尖端の輪島市の舳倉(へぐら)島の北北西およそ250㌔、日本のEEZ内側の日本海に着弾させている。2017年3月6日にも北朝鮮は「スカッドER」とされる中距離弾道ミサイル弾道を4発を発射し、そのうちの1発を輪島市から北200㌔㍍の海上に落下させている。(※写真は、2022年3月24日に北朝鮮が打ち上げたICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版)

   この政治的なJPCZに対応する動きがようやく動き出した。共同通信Web版(12日付)によると、木原防衛大臣はきょう、韓国訪問中のアメリカのオースティン国防長官、韓国の申国防相とテレビ会談し、北朝鮮が発射する弾道ミサイル情報を3ヵ国が即時共有するシステムについて、年内の運用開始に向けた調整を加速する方針で一致した。

   ミサイル情報は日米、米韓の間では即時共有してきたが、日韓間はシステムがつながっておらず、事後的な共有にとどまっている。3ヵ国の情報共有は、ミサイルの性能や軌道の正確で迅速な把握につながる。防衛省によると、ことし8月に試験を行い、技術面では共有できることを確認している。

   日本海に発生した低気圧が急速に発達し、気圧が低下することで大荒れになる天候を「爆弾低気圧」と呼んでいる。北朝鮮の爆弾低気圧をなんとか防いでほしいと願うばかりだ。

⇒12日(日)夜・金沢の天気     あめ

☆北の偵察衛星は開発支援 ロシアへの武器供与は沈黙

☆北の偵察衛星は開発支援 ロシアへの武器供与は沈黙

   この弾道ミサイル発射は祝砲なのか・・・。北朝鮮はきょう午前11時台に2発の弾道ミサイルを半島の西岸付近から日本海に向けて発射した。防衛省公式サイトによると、11時41分に発射した弾道ミサイルは最高高度がおよそ50㌔で、約350㌔飛翔したと推測される。2発目は11時51分の発射で、最高高度がおよそ50㌔、約650㌔飛翔したと推測される。落下した場所は日本のEEZの外側だった。

   防衛省が落下箇所を記したイメージ図を見てみると、ウラジオストクのほぼ真南に位置する。発射された時間帯は、北朝鮮の金総書記が列車に乗って、ウラジオストクから約1000㌔離れたアムール州の「ボストーチヌイ宇宙基地」に向かっていた途中だ。タイミングといい、距離感といい、金総書記にロシアのプーチン大統領との首脳会談が成功裏に運ぶようにと願った祝砲のようにも思える。あるいは、ロシアと北朝鮮の同盟関係を誇示した、日米韓同盟に対する威圧行為なのか。

   では、ボストーチヌイ宇宙基地での首脳会談でどのような内容が交わされたのか。BBCはWeb版で「Vladimir Putin signals help for Kim Jong Un but quiet on weapons」の見出しで、プーチン大統領は金総書記に支援の合図をするも、武器に関しては沈黙、と伝えている。そもそも、なぜ宇宙基地が会談場所として選ばれたのか。記事によると、ロシアが北朝鮮の偵察衛星の開発を支援するかどうか、記者に尋ねられたプーチン氏は、「これが我々がボストーチヌイ宇宙基地に来た理由だ」と述べた。つまり、偵察衛星の打ち上げに2度失敗している北朝鮮に対し、プーチン氏は衛星の開発を支援する意思を明確に示した。実際に、金氏はロケットの組み立てや発射施設などを視察した。

   では、プーチン氏は金氏に何を求めたのか。金氏はロシアのウクライナ侵攻の支持を表明した。「われわれは常にプーチン大統領とロシアの指導者の決定を支持する。われわれは共に帝国主義との闘いに加わる」とロシアへの支持を改めて伝えた。ただ、会談では北朝鮮のロシアに対する武器供与の話が明らかになっていない。

   BBCは、北朝鮮はロシアに対して「応急措置」として武器を提供する可能性もある、と伝えている。この場合、北朝鮮の武器がロシアによってウクライナで使用されたことが明らかになれば、国連の北朝鮮に対する追加の制裁を引き起こす動きが出てくる。そこで、プーチン氏はあえて「quiet on weapons」だったと解説している。

⇒13日(水)夜・金沢の天気    はれ