#内閣支持率

☆メディアの世論調査は持続可能か

☆メディアの世論調査は持続可能か

    テレビと新聞に目を通してチェックする記事の一つが世論調査だ。各社が毎月調査して記事にするので、世論の流れが数字で読むことができる。とくに内閣支持率は政治に絡む失策やスキャンダル、不正といった内閣そのものを揺るがす、いわゆる「政局」と連動するので目が離せない。内閣支持率の20%台は政権の危険水域、20%以下はデッドゾーンとされ、こうした数字が見え始めると、「そろそろ選挙か」と胸騒ぎがしてくる。

   この世論調査の危機的状況がきのう公表された、FNN(フジニュースネットワーク)と産経新聞社が行っている合同世論調査のデータの不正入力問題で浮かび上がってきた。産経新聞公式ホームページは「お知らせ」(19日付)として、「FNN・産経新聞 合同世論調査」における一部データの不正入力について、とリリースしている。それによると、データの不正入力を行っていたのは、調査業務委託先の会社(東京)が業務の一部を再委託していた京都の会社のコールセンターの現場責任者だった。

   合同世論調査では電話による質問で回答を集計する形で行っているが、現場責任者は実際には電話をせずに架空の回答を入力していた。2019年5月調査分からことし5 月分まで計14回にわたる。1回調査で約1000 サンプルの有効回答を得るが、そのうち毎回100サンプル以上、14 回であわせて約2500 サンプルの不正が見つかった。このため、フジと産経はそれぞれ、14回の世論調査を報じた記事やニュースをすべて取り消すとしている(同リリース)。

   フジは「今回、委託先からの不正なデータをチェックできず、誤った情報を放送してしまった責任を痛感しております。今後、継続して調査・検証を行い、その結果に沿って、然るべき処置を行ってまいります 」、産経は「報道機関の重要な役割である世論調査の報道で、読者の皆さまに誤った情報をお届けしたことを深くおわび申し上げます」とそれぞれコメントしている(同)。

   全調査件数のうち2500サンプル、およそ17%に不正データが盛り込まれていたことが明らかになった。ではどのような経緯で発覚したのか。その点はリリースで公表されていない。想像するに内部告発ではないだろうか。コールセンターで働くのは多くは女性たちである。相当にストレスがたまる現場だと察する。そのような労働環境から出てきた問題ではないだろうか。

   自分自身もメディアに在職していたころ、アルバイトを雇って選挙の世論調査をしたことがある。電話調査の場合、途中で切られたり、逆に質問されたり、罵倒されたりで有効回答は3分の1ほどだった。その点、対面調査となる投票場での出口調査はほぼ100%だった。最近とくに、一般家庭ではオレオレ詐欺などがあり、電話が鳴ると警戒心が先立つのではないだろうか。そう考えると、電話調査そのものが回収効率の悪い、ストレスをためる旧態依然とした作業に思えてならない。

   世論調査を自動化すればよいではないかとの声も出そうだが、自動音声化(オートコール)の電話アンケ-トに自らの年齢や意見を述べる気持ちになるだろうか。メディアへの不信感や抵抗感が増すだけである。そう考えると、今回発覚した問題はフジ・産経にとどまる話ではない。電話による世論調査という手法そのものが陥っている構造的な問題ではないだろうか。ネットによる調査は低コストだが信ぴょう性に、戸別訪問は信ぴょう性は高いがコストに、郵便は信ぴょう性もコストもよいが、回収に時間的なロスなどそれぞれ課題がある。

   果たしてメディアの世論調査は継続可能なのだろうか。

⇒20日(土)午前・金沢の天気  くもり

★アベノマスクと内閣支持率

★アベノマスクと内閣支持率

   テレビ・新聞のメディア各社が調査発表する内閣支持率、その読みどころを探ってみる。きょう31日付の共同通信社Web版によると、全国緊急電話世論調査(今月29-31日)で安倍内閣の支持率が39.4%となり、前回調査(5月8-10日)から2.3ポイント減となった。不支持率は45.5%。支持率40%割れは2018年5月の38.9%以来と報じている。

   NHKが今月19日に報じた電話による世論調査(15-17日)では安倍内閣の支持率は前回調査より2ポイント下がり37%だった。不支持率は7ポイント上がって45%だった。「支持しない」が「支持する」を上回ったのは、2018年6月の調査以来となる。もう一つ、読売新聞と日本テレビ系列による電話調査(今月8-10日)では安倍内閣の支持率は42%、不支持率は48%で、それぞれ前月に比べほぼ横ばいだった。

   3つの世論調査の傾向を読むと、トレンドはすでに支持率40%割れだ。支持率がここまで下がったのは「2018年5月」「2018年6月」以来と。森友学園への国有地売却や財務省の文書の改ざんをめぐる問題が沸騰していた時期だ。

   当の安倍総理はこの数字をどう読んでいるのだろうか。メディア業界でよくささやかれるのは、内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」と。第一次安倍改造内閣の退陣(2007年9月)の直前の読売新聞の内閣支持率は29.0%(2007年9月調査)だった。その後の福田内閣は28.3%(2008年9月退陣)、麻生内閣は18.6%(2009年9月退陣)と、自民党内閣は支持率が20%台以下に落ち込んだときが身の引きどきだった。民主党政権が安倍内閣にバトンタッチした2012年12月の野田内閣の支持率は19.0%だった(数字はいずれも読売新聞の世論調査)。

   今後、コロナ禍が安倍内閣にもっとも影響を及ぼすのは「アベノマスク」でないかと憶測している。4月7日に配布を閣議決定し、あすから6月だというのに、我が家にも国家支給のマスク2枚がまだ届いていない。政府目標は確か月内配布だったはずだ。厚労省公式ホームページによると、27日現在の配達率は25%だ。マスク支給予算は466億円。緊急事態宣言が全面解除(25日)となって以降、ドラッグストアなどではマスクの安売りが始まっている。多くの有権者にとって、いまだに国家支給のマスクが届かいない状況は政権の体たらくと映って見えてしまう。「安倍さん、いったいマスクはどうなっているの」と。

   そして、夏の暑さが増せば、布マスクには見向きもしなくなる。起死回生の一発がない限り、アベノマスクの風評とともに内閣支持率は今後も下がり続けるだろう。読売調査で20%台に落ちるのはあと半年、12月まで持つか持たないか。「アベノマスク解散」もありうるのではないか。

⇒31日(日)夜・金沢の天気    くもり