#共同通信社

☆「変化を力にする内閣」も支持率は上がらず

☆「変化を力にする内閣」も支持率は上がらず

   第2次岸田再改造内閣の発足を受けて、新聞メディア各社が緊急世論調査を行い、その結果を報じている。結果を比較すると、内閣支持率が「横ばい」と「上昇」の2つの結果に分かれている。

   読売新聞が今月13日と14日に実施した調査では内閣支持率が35%で前回調査(8月25-27日)と同じだった。不支持も50%で前回と同じだった。日経新聞の調査(13、14日)も支持率が42%で前回(8月25-27日)と同じだった。不支持は51%で前回より1ポイント上昇した。一方、共同通信の調査(13、14日)では支持率が39.8%で前回(8月19、20日)より6.2ポイント上昇した。不支持率は39.7%で前回より10.3ポイントも減少した。

   G7広島サミットの議長国を無難にこなした5月の内閣支持率は上昇したものの、その後、総理長男の秘書官辞任やマイナンバーカードをめぐる一連のトラブルで内閣支持率が続落していた。本来ならば、内閣改造と自民党役員人事の入れ替えがあれば、支持率が上がるのが通例なのだが、今回はメディアによって数字のバラつきがあるのはなぜか。

   調査手法の違いかもしれない。調査方法は3社とも、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号をつくり、固定電話と携帯電話の番号にかけて調査を行う、いわゆる「RDD(Random Digit Dialing)」方式で行っている。

          違うのは質問の仕方だ。読売、日経の両社は内閣支持率の質問で「支持」か「不支持か」を尋ねるが、「言えない・分からない」と答えた回答者に再度、「支持しますか、支持しませんか、お気持ちに近いのはどちらですか」と1回だけ重ね聞きするルールを採用している。なので、重ね聞きをしない場合と比べ、「支持」「不支持」の数字がそれぞれ上積みされる傾向にある。それが、前回の調査と比べて数字が動かなかったということは、今回の改造内閣発足では「支持」を増やすまでには至らなかった、ということになる。共同通信は重ね聞きを採用していないが、前回低くかった支持率がやや持ち直したのかもしれない。

   自民党支持層が多いとされる読売や日経の調査で支持率が上がらなかったことに、むしろ自民党関係者は焦りを募らせているかもしれない。

⇒15日(金)夜・金沢の天気    くもり時々はれ

★ガタ落ち内閣支持率 ゴリ押しマイナカード

★ガタ落ち内閣支持率 ゴリ押しマイナカード

   ウクライナのゼレンスキー大統領も飛び入り参加するなど、G7広島サミットが注目されて岸田総理の株は上がった。が、その後、秘書官を務めていた長男が総理公邸で親族を集めて忘年会を開いていたことが発覚し、最近ではマイナンバーカードをめぐる相次ぐトラブルや健康保険証との一本化を進める政府方針をめぐって世論は揺れている。共同通信社の世論調査(今月17、18日)によると、内閣支持率は40.8%と前回(5月27、28日)47.0%を6ポイントも下げた。不支持は41.6%で前回35.9%より6ポイント上がり、再び不支持が支持を上回った。

   下げの主な要因は、やはりマイナンバーカードにあるようだ。世論調査では、マイナンバーカードについて、「他人の年金情報が表示されたり、他人の口座や医療情報が登録されたりするトラブルが相次いでいます。あなたは、政府が進めるマイナンバーカードの活用拡大に不安を感じていますか」と問いに、「不安を感じている」39.8%、「ある程度感じる」31.8%と、計71.6%が不安に感じるていることが分かった。

   そもそも論ではあるが、マイナンバーカードは市区町村長が交付するもので、取得は義務ではなく任意である。なのに、健康保険証を来年秋に廃止して、マイナンバーカードに一本化するなど本末転倒ではないかとの強い違和感が世論調査で浮かんで見える。

   ところが、デジタル庁は2026年中にも偽造防止のため、暗号技術などを採用する新たなマイナンバーカードの導入を目指す方針を示していて、改正マイナンバー法を今月2日の参院本会議で可決成立させている。民意とは裏腹に、岸田総理がマイナンバーカードの普及をゴリ押しする背景には、これを「デジタル社会のパスポート」と位置づける狙いがあるようだ。

   であるならば、国民にもっと丁寧に説明すべきだろう。世論調査では健康保険証の廃止について、「廃止を延期するべき」38.3%、「廃止を撤回するべき」33.8%、「予定通り廃止するべき」24.5%と、来年秋の廃止に対する異論は72.1%にも及ぶ。マイナンバーカードのゴリ押しで、内閣支持率がガタ落ち。こうなると衆院解散の話どころではない。どうする岸田内閣。

(※写真は今月18日、母校の早稲田大学で講演する岸田総理=総理官邸公式サイトより)

⇒20日(火)夕・金沢の天気    はれ

☆物価高や旧統一教会問題 ズルズル下がる内閣支持率

☆物価高や旧統一教会問題 ズルズル下がる内閣支持率

   内閣支持率が急落している。共同通信社の世論調査(10月8、9日)を各紙が伝えている。それによると、岸田内閣を「支持する」は35%で、前回調査(9月17、18日)の40%を5ポイントも下回っている。「支持しない」は48%で、前回より2ポイント高まった。(※小数点以下は四捨五入)

   支持する理由については「ほかに適当な人がいない」が49%、また、不支持の理由は「経済政策に期待が持てない」36%とそれぞれ突出している。とくに、経済政策については前回より9ポイント増えている。この背景にあるのが物価高のようだ。値上げによる生活への打撃についての問いでは、「非常に打撃」19%、「ある程度打撃」60%で、8割が「打撃」と答えている。

   自身が注目したのは、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイルの発射に関連する質問だった。問いでは「政府は、外国からミサイル攻撃を受ける前に、相手国のミサイル発射基地などを攻撃する『敵基地攻撃能力』の保持を検討しています」との説明で、賛否を尋ねている。「賛成」が54%、「反対」が38%となっている。弾道ミサイル発射は9月25日以降7回目、そして、調査期間中のきのう9日未明にSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの発射があり、急激高まった世論の危機意識のあらわれとも言える。

   関連して、「日本の防衛費をどうするべきか」との問いでは、「大幅に増やす」11%、「ある程度増やす」45%、6割近くが増額と答えている。「今のままでいい」は31%、「ある程度減らすべき」7%、「大幅に減らすべき」3%と4割が現状ないし減額と答えている。これは、防衛費より物価高対策にお金を回せとの民意のようにも読める。

   安倍元総理の国葬(9月27日)についての問い。「全額を国費で負担しました。あなたは安倍氏の国葬実施を評価しますか」では、「評価しない」39%、「どちらかといえば評価しない」23%、と評価しないが6割を占めている。一方、「評価する」13%、「どちらかといえば評価する」26%だった。積極的な意見だけを取り上げれば、「評価しない」が「評価する」の3倍となる。

   連日のようにメディア各社が、政治家と世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の関係を取り上げている。「自民党は旧統一教会と党所属の国会議員との関係を調査し公表しました。あなたは、自民党の対応が十分だと思いますか」との問いでは、「十分ではない」が83%で、前回調査の80%よりさらに増えている。また、「細田衆院議長は、旧統一教会側との関係を自民党調査の発表後に相次いで公表しました。あなたは、細田氏の説明は十分だと思いますか」の問いでは、「十分ではない」が87%だった。旧統一教会に対する厳しい世論の風当たりが政治に向かって吹き続けている。

   共同通信の前々回調査(8月10、11日)では54%あった内閣支持が今回と比べると19ポイントも落ちている。物価高や旧統一教会問題に対して有効な手が打てず、現状の「ズルズル内閣」では、次回は20%台ではないかと憶測してしまう。

⇒10日(月・祝)午後・金沢の天気    あめ