#共同記者会見

★「尖閣」めぐり高まる怨嗟の声

★「尖閣」めぐり高まる怨嗟の声

   24日の中国の王毅外相、茂木敏充外務大臣の共同記者会見での王氏の尖閣をめぐる発言、そして茂木氏の黙認するそぶりへの批判がいまだに尾を引いている。

           きょう27日の参院本会議で、質問した自民の山田宏氏は「国民は茂木外相にびしっと反論してほしかったと強く感じている。なぜ反論しなかったのか」とただした。すると茂木氏は「全く受け入れられない。尖閣は歴史的にも国際法上も疑いのないわが国固有の領土だ」「会談の中で(中国公船の)領海侵入やわが国の漁船への接近など個別事案も取り上げ、こうした行動を取らないよう強く申し入れた」と反論した(11月27日付・共同通信Web版)。 質問の答えにはまったくなっていない。むしろ、不信感を増長するだけの答弁だ。

   両者をさらに手厳しく批判したのは意外にも共産党の志位和夫委員長だった。以下、26日の記者会見。志位氏は「王毅外相の発言は、“日本側に問題があったから、やむを得ず中国として対応をしている”と日本側に責任を転嫁するものだ」と批判した。その上で、今年の中国公船の尖閣諸島の接続海域への入域日数24日現在)はすでに304日に達し、昨年の282日を大きく上回ったのに加え、「中国公船が日本漁船を追い回すという非常に危険な事態も起きている」と指摘。「中国のこのような覇権主義的な行動を直ちに中止することを強く求める」と表明した(11月26日付・しんぶん赤旗WEB版)。

   さらに志位氏は、共同記者会見に同席した茂木氏は王氏に何ら反論や批判もしなかったとして、「中国側の不当で一方的な主張だけが(記録に)残るという事態になる。極めてだらしない態度だ」と批判。また、直後に王氏と会談した菅総理が王氏の「暴言」についてただした形跡もないとして、「覇権主義にモノも言えない屈従外交でいいのか」と厳しく批判した(同)。 

   日本と中国の相互意識を探る第16回日中共同世論調査(実施=言論NPO、中国国際出版集団)の調査結果(ことし9月と10月調査)で、中国に「良くない」という印象を持つ日本人は前回に比べ5ポイント増の89.7%に上った。その理由として、中国公船などによる「尖閣諸島周辺の日本領海や領空の侵犯」が同6ポイント増の57%で最も多く、以下、「国際的なルールと異なる行動」49%、「南シナ海などで行動が強引・違和感」47%で、中国による一方的な海洋活動が対中感情を悪化させている。

   韓国もさることながら、中国に対する不信の念、怨嗟の声は高まるばかりだ。そして、尖閣諸島が実に根深い外交問題になってきた。

⇒27日(金)夜・金沢の天気  はれ

☆番記者が手強さを感じる次の総理は

☆番記者が手強さを感じる次の総理は

   安倍総理の後継を決める自民党総裁選挙がきのう8日に告示され、石破茂、菅義偉、岸田文雄の3氏が立候補を届け出た。きょうの新聞各紙に党本部での演説会の内容と、その後の共同記者会見の発言要旨が掲載されている=写真=。記者会見の内容を吟味してみる。

   面白いは安倍政権へのそれぞれの評価だ。以下、発言順でコメントは一部を抜粋。菅氏「安倍政権の経済政策は私が引き継ぐ。客観的に見ておかしいことは見直す。文書改ざんは二度と起こしてはならない。謙虚に耳を傾ける」。岸田氏「経済政策や官邸主導、トップダウンで物事を決める姿勢は評価できる。一方で強力な権限は謙虚に使っていく姿勢が大事。説明責任をしっかり果たしていく姿勢は何より大事だ」。石破氏「地方や女性の潜在的な可能性を最大限に引き出すことはまだ不十分だ。森友、加計学園、桜を見る会はどの世論調査でも納得した人が非常に少ない。特定の人が利益を受けることを、政府がやっていいはずがない。要するに、えこひいきがあってはならない」

   菅氏と岸田氏は、いわゆる「モリカケ」問題ではそれぞれ通りいっぺんの回答だが、石破氏は突っ込んだ発言をした。「世論調査でも納得した人が非常に少ない」と。そもそも、石破氏は今回の総裁選そのものに批判的だ。「詐欺のような総裁選はやめるべき」と『週刊朝日』(9月11日号)で述べていた。記事を引用する。「現在、自民党は党員数の拡大を目指して総力を結集していますが、党員を勧誘するときのセールストークは『党員になれば、あなたにも自民党総裁を選ぶ選挙権があります』というもの。自民党総裁を選ぶことは多くの場合、総理大臣を選ぶことに等しい。その投票権があります、というのが一つのウリなんですね。いざとなったら、党員投票はやりませんというのでは、詐欺じゃないかと怒る党員もおられるのではないでしょうか」

   確かに、政治的な空白が起きるので、国会議員票と各県連の票のみで総裁を決めること自体が、「詐欺」に相当するというのは理にかなってはいる。うがった見方だが、石破氏はこのことを言いたいがために立候補したのではないだろうか。記者会見での「えこひいきがあってはならない」と主張しているのも、詐欺発言と文脈が連なるのではないか。

   もう一つ、国会と総理会見についてのそれぞれの発言だ。6月の通常国会の閉会後、2ヵ月半に安倍総理は記者会見を行わなかった。その是非について記者たちは問うた。

   最初に発言したのは石破氏だった。「メディアは国民を代表して聞いている。可能な限り、答えなければいけない。政治の義務だ」。菅氏「首相の国会出席は世界と比べて圧倒的に時間が多い。出席は大事なところに限定すべきだ。そうしないと行政の責任をなかなか果たせない。首相の会見については、官房長官が朝夕2回会見しており、内閣の方針は官房長会が責任をもって説明する」。岸田氏「記者会見は手が挙がらなくなるまで質問に答えるのが大事だ。首相の日程で限界があるのも事実だ。日本の首相の国会への拘束時間は先進国の中で桁外れだ」

   総理への記者会見は、権力者とジャーナリストの真剣勝負の場でもある。問題は、総理に聞くべきことを聞くことではないだろうか。時間の長さや回数の問題ではない。内閣全般のことであるならば、菅氏が述べた通り、「官房長官が朝夕2回会見しており、内閣の方針は官房長会が責任をもって説明する」でよいのではないか。

   ところが、メディアの記者たちはそれだけでは納得しない。総理が何を語ったことだけでなく、言葉や心のブレ、顔の表情、本音など心理的な変化も記者たちは読みたがっている。なので、あえて刺激的な言葉で質問したりする記者もいる。あるいは、国会議事堂や官邸で歩いている総理に「ぶら下がり」で質問をしたりする。上記の3氏の発言を読む限り、記者たちが本音をなかなか探れない人物とは誰か。発言を読んでも分かるように、実務肌の菅氏ではないだろうか。顔の表情を変えず、ブレない発言は石破氏や岸田氏に比べ、突っ込みどころがない。総理番の記者たちはすでに手強さを感じているかもしれない。

⇒9日(水)夜・金沢の天気    あめ