#全半壊の家屋解体

☆全半壊の家屋解体が正念場 見込より1万棟増え、台風の影響は

☆全半壊の家屋解体が正念場 見込より1万棟増え、台風の影響は

  前回ブログの続き。石川県庁はきのう(26日)能登半島地震で全半壊した家屋の解体を加速させる、「公費解体加速化プラン」を公表した。これまで県は解体棟数を2万2499棟と想定していたが、9911棟多い3万2410棟に見直しをしたからだ。本来ならば、来年2025年10月で解体作業を完了するとのスケジュールも同時に見直すことになるが、それはせずに「加速化」を推進することで、帳尻を合わせるようだ。

  公費解体加速化プランによると、その加速化の中心となるのが「自費解体」だ。これまでメインで進めてきたのは「公費解体」だったが、自費解体との両輪で進めることで全体の作業のピッチを上げる。自費解体は全半壊の家屋を所有者が事前に自治体に届け出を行い、独自で解体作業を行う。かかった経費(解体費、運搬費、処分費)は各市町の算定基準で後日、償還される。(※写真は、輪島市の家屋解体現場=今月24日撮影)

  今回の公費解体の見込棟数の大幅な見直しは、県では2月に空中撮影と現地調査で被害状況の確認を行い、解体見込み数を2万2499棟と算定していた。ところが、4月末から受け付けた申請件数はすでに2万6774棟(8月19日時点)と大幅に上回ったことから、県は被害状況の見直し行っていた。

  県が想定する解体棟数を9911棟上乗せしたことで、災害廃棄物の量をこれまで244万㌧と推計していたが、これも大幅に上回る見込み。このため、廃棄物を一時的に置く仮置き場は現在、12の市町で計16ヵ所あるが、暫定的に6ヵ所増設し、追加の設置も検討しているという。

  話は飛ぶが、非常に強い勢力の台風10号が29日に九州に上陸し、石川県内は30日午後から31日午前にかけて最も近づく見込みだ。このため、輪島市は30日に予定していた市内の小・中学校あわせて12校の2学期の始業式を9月2日に延期することを決めた(26日付・NHKニュース)。この台風が解体作業の現場などにどのような影響をもたらすのか。

⇒27日(火)午後・金沢の天気    はれ時々くもり

★能登の被災現場 空調ベストで暑さしのぎ、マスクでアスベスト除去

★能登の被災現場 空調ベストで暑さしのぎ、マスクでアスベスト除去

  元日の能登半島地震以来、初めて知った言葉は「公費解体」だった。全半壊した家屋については所有者の申請に基づいて、自治体が費用を負担して解体ならびに撤去をする。申請棟数は2万6003棟(8月12日時点)に上っていて、4月末から始まった公費解体の完了棟数は2594棟(同)、率にしてほぼ10%となる。石川県庁では2025年10月までに解体を完了する予定だが、あと1年2ヵ月で終えることができるのか、どうか。先日(8月24日)奥能登に所用があり公費解体の現場を何ヵ所か見ることことができた。

  日中は33度の真夏日だった。輪島市内で見た民家の解体現場での光景は、作業員が暑いにもかかわらず、ベストのようなものを着用していた。空調ファン付きの衣服だ=写真・上=。屋外工事の作業服として着用されている。空調服は背面にある半径5㌢ほどの2個のファンで風を取り入れ、汗が気化する際に体温を下げて冷涼感を生む仕組み。バッテリー付きだ。作業員の男性に着心地を尋ねると、「一度着たらやめられないね。空調服なしに夏場は仕事ができないよ」と、すがすがしそうな声で返事が返って来た。

  珠洲市内ではパワーショベルで半壊住宅の解体作業が行われていた。すごくホコリが舞っていた。2階の天井付近だろうか、黄色のアスベスト(石綿)がむき出しになっていた=写真・下=。作業員はアスベストを防ぐマスクや目を守るフェースガードを装着していた。また、粉じんが舞うのを防ぐために水をまきながら住宅の解体を行っていた。

  アスベストに関しては、厳しい規制がある。解体現場では石綿が建物に含まれているかどうかの事前調査や、含まれていた場合はマスクをしたり、飛散防止のための水まきが法律で義務付けられている。かつて、アスベストは耐火材や断熱材、防音材として家屋のいたるところで使用されていた。しかし、人の健康に被害をもたらす危険性があることから、1975年に一部使用が禁止されるなど法的な制限がされるようになり、2012年以降は全面的に使用禁止となっている。
 
  逆に言えば、1975年以前の建築物には大量のアスベストが使われていたわけで、解体現場の一線に立つ作業員のほか、近隣の住人も注意を払うべきだろう。そして、行政の注意喚起は行き届いているだろうか。
 
⇒26日(月)夜・金沢の天気    くもり