#住宅ローン

☆能登半島地震 マイナス金利解除、そして過疎化に拍車

☆能登半島地震 マイナス金利解除、そして過疎化に拍車

  日銀がマイナス金利の解除を決めた。これが被災地にどのような影響を及ぼすのか。地震の激しい揺れや土砂災害、液状化、火災、津波などで住宅に大きな被害が出ている。石川県のまとめ(3月15日現在)で、全壊が8500棟、半壊が1万5200棟、一部破損が4万9700棟あまりとなる。全半壊の解体・撤去は自治体が公費で行うが、新築して再建する際に住宅ローンはどうなるのか。

      武見厚労大臣は2月27日の記者会見で、能登半島地震で被災した世帯が住宅ローンを組んで自宅を再建する場合、石川県事業として最大300万円の金利助成を実施すると発表した。また、北國銀行(金沢市)はきょう19日付のニュースリリースで、「住宅ローンを今月22日以降に新規でお借入される際に、特約固定2年、3年を選択されるお客さまのお借入時および初回金利更新時の割引幅を拡大します」と発表している。さらに、能登半島地震の住宅再建のため、一部の優遇金利をさらに引き下げる考えも示している。確かに、金融機関にとっては、復旧・復興にこれから着手する地域での貸出金利の引き上げはそう簡単な話ではないだろう。

  元旦ということもあって自宅でくつろいでいるときの地震だった。被災地をめぐると、住宅だけでなくガレージも車ごと押しつぶされたような状態になっているケースが目につく。住宅再建のほかに車も新規に購入するなど、対応に迫られるだろう。そして、被災した中小企業や個人事業主にとっては住宅のほかに店舗や工場の再建もあり、負担はさらに重くなることは想像に難くない。(※写真は、七尾市の老舗商店街「一本杉通り」で倒壊した和ろうそくの店舗=2月3日撮影)

  被災地のさらなる難題は過疎化の進行かも知れない。もともと能登は人口減少が急ピッチで進んでいた。65歳以上の高齢化率が50%以上の自治体もある。震災を機に、金沢など都市で暮らす息子や娘たちとの同居、あるいはアパートやマンション住まいが加速するだろう。共同通信Web版(3月3日付)によると、今回の地震で甚大な被害を受けた輪島市や珠洲市など奥能登2市2町の今年1月の転出者数が計397人となり、前年1月の93人の4.27倍に上ることが、石川県がまとめた2月1日時点の人口推計で判明した。4市町の1月の転出者数は被害が大きかった輪島市が180人で、前年1月の29人の6.2倍、そして珠洲市は112人で同20人の5.6倍に上っている。

  これは一時的な現象ではない。2007年3月25日の能登半島地震(震度6強)で家屋被害が大きかった輪島市と穴水町では、10年間で人口減少が輪島市で17%、穴水町で19%も進んだ(2017年・石川県の人口統計)。今回の地震は2007年に比べて広範囲で桁違いに被害が大きい。今後、強烈に過疎化が進むのではないか。

⇒19日(火)夜・金沢の天気   あめ

☆きょうから11月 日常・政治・経済に漂う妙な胸騒ぎ

☆きょうから11月 日常・政治・経済に漂う妙な胸騒ぎ

   きょうから11月、とは言え金沢の最高気温はきょう23度、あす2日は24度、あさって3日は27度が予想され、5日まで夏日が続く。庭もちょっといつもの風景とは違う。6月から夏にかけてピンク色の花を咲かせるツモツケが、先日から再び花をつけている=写真・上=。ことしの冬はエルニーニョ現象で暖冬と長期予報が出ていたが、季節感が失われるのではないかと、妙な胸騒ぎがする。

          妙な胸騒ぎと言えば、きょうの各紙の一面トップもそうだ。「日銀 長期金利1%超容認 大規模緩和策を再修正」=写真・下=。住宅ローンを抱える身とすれば、日銀の政策修正は家計に跳ね返る。7月に上限を0.5%から1%に修正した後に固定金利の引き上げの動きが出て、今回の決定でさらに引き上げにつながるのはないか、と。変動金利への乗り換えも選択肢だが、日銀が短期金利に適用しているマイナス金利の解除も近いのか。

   そしてきょうの株式は午前中、前日比600円余り高くなっている。外国為替市場で1㌦=151円台まで円安にシフトしていて、輸出関連企業への買いが広がっているようだ。

   さらに気になるのは政治。メディア各社の10月の岸田内閣の支持率は過去最低となっている。読売の調査(10月13-15日)では支持するが34%で、支持しないが49%。朝日の調査(14、15日)は支持するが29%で前回9月調査から8ポイントも下落している。支持しないは60%だった。直近の日経の調査(27-29日)で支持するは33%で前回より9ポイントも下落している。支持しないは59%で8ポイント上昇した。

   岸田総理は先月26日の政府与党政策懇談会で所得税と住民税の定額減税を表明したものの、その直後に行われた日経の調査で大幅にダウンしている。物価高対策としての所得税減税を「適切だとは思わない」は65%で「適切だと思う」の24%を大きく上回った。防衛や少子化対策の財源が足りてないと言っていたのに、なぜ総理がいまごろになって「減税、減税」と言っているのか。有権者には不可解というか、妙な胸騒ぎを感じるのだ。

⇒1日(水)午後・金沢の天気    はれ

☆2023卯年・飛躍の年に ~経済~

☆2023卯年・飛躍の年に ~経済~

   景気が良いときは、市場にお金が回り、経済全体が活性化するというこれまでの常識が崩れている。何しろ、経済の活性化は人件費と物価などが同時に値上がりしたものだが、現在のインフレと呼ばれている状況は物価だけが高騰している。これは一時的に新型コロナウイルス感染(パンデミック)により世界経済がロックダウン状況に見舞われたものの、その後、世界が同時に経済活動を再開したことによるモノの供給不足ともいわれる。これが物価に跳ね返っている。

            ~キャッシュレス経済と「タンス預金」の話~

   アメリカのFRBの金融引き締めやインフレ懸念を背景に、世界の利は上昇傾向にある。日銀は先月20日に一転して金融緩和策を修正し、長期金利の変動幅の上限を0.5%程度に引き上げた。これが「黒田サプライズ」となり、株価が下がり為替が円高に変動した。日本の経済はこれからどうなるのか。

   一つ注目しているのが、市場金利の上昇と住宅ローン金利、そして住宅価格だ。すでに建築資材などの価格が一斉に上がっている。当然、新築住宅を中心に価格は高くなっている。さらに、大手銀行などは住宅ローン金利を今月から引き上げる。変動型の金利は据え置いたものの、将来変動金利が上がるリスクもある。「家は人生最大の買い物」との言葉がある通り、価格と住宅ローンが上がれば、購入や新築を考えている人々は二の足を踏むだろう。これが日本の景気にってマナイナ要因になるかもしれない。

   ただ、2023年という年には経済的な異変が起きるかもしれない。以下、勝手な憶測だ。50兆円ともいわれる「タンス預金」がどう動くか、だ。というのも、2024年度から1万円札のデザインが福沢諭吉から渋沢栄一に、5千円札は樋口一葉から津田梅子に、千円札は野口英世から北里柴三郎になる。1984年に聖徳太子から福沢諭吉になったので、40年ぶりだ。この新札発行前にタンス預金が住宅投資などに動けば、経済効果に寄与するかもしれない。また、新紙幣発行にともなう、金融機関のATMやCD、さらに自動販売機の改修や買い替えに投入されるコストを考えると、これも経済効果だ。

   ただ、キャッシュレス経済はこれからさらに進むだろう。現金は匿名性が高く、決済情報が記録として残らないためにマネーロンダリングの温床とまで言われ、EUやスウェーデン、シンガポールなどではすでに高額紙幣を廃止する流れとなっている。ひょっとして、日本でも来年の新札が最後の1万円札になるかもしれない。正月の放言ではある。

(※写真は、国立印刷局東京工場で2021年9月1日に行われた新一万円札の印刷開始式の模様=国立印刷局公式ホームページより)

⇒1日(土)夜・金沢の天気     くもり時々あめ