#予約受付

★ワクチン敗戦国の無残な姿~下

★ワクチン敗戦国の無残な姿~下

   新型コロナウイルスのワクチンをめぐって、興味深いニュースが流れていた。NHKニュースWeb版(5月6日付)によると、WTO(世界貿易機関)は、ワクチンの供給を拡大するためにワクチンの特許権を一時的に停止すべきかどうか協議している。南アフリカとインドが低価格のジェネリックワクチンを自由に生産できるよう、特許権を一時的に停止することを提案し、ワクチンを十分に確保できていない途上国の間で支持が広がっている。これについて、アメリカ政府は特許権の停止を支持すると表明した。

    予約で混乱、コロナ禍は拡大、まるで破滅の行進曲  

   また、時事通信Web版(同7日付)によると、ドイツ政府は生産能力の増強を目指すべきだとして消極的な姿勢を示した。報道官は声明で「ワクチン生産の障害となっているのは、生産能力と高い品質が要求されることであって、特許ではない」と強調。「知的財産権の保護は技術革新の源泉であり、将来もそうあるべきだ」と指摘した。

   記事を読んでの自身の感想で言えば、「ジェネリックワクチンはそう簡単ではない」ということだ。先発メーカーがコストと時間をかけて開発した新薬(先発医薬品)を安価に大量生産という目的のために簡単に技術を渡せるものなのか。特許権の一時的停止ではなく、むしろ、ワクチン製造メーカーが信頼がおけると判断したメーカーに委託生産をするという方式でなければ技術は伝わらない。この国際的な論議の中で、日本政府はどのような考えなのだろうか。日本国内での委託生産を積極的に受け入れると表明した方がよいでのはないか。

   きのうの続き。金沢市は6日にワクチン接種の予約受付を開始したが、市内の医療機関に足を運んでも受け付けてもらえず、コールセンターに電話しても繋がらない状態だった。朝9時に受付開始なのでけさ電話したが、『回線が混み合ってるのでかけ直して下さい』と自動音声が繰り返されるだけだった。結局、きょうも予約はできなかった。別に焦ってはいないのだが、行動範囲が狭められていることに気分がうっ積している。

   金沢市で起きているワクチン接種の予約をめぐるトラブルは全国でも起きている。横浜市では、80歳以上の34万人を対象に今月3日午前9時に始まった。ところが、専用ホームページや電話での申し込みが殺到し、45分で受付中止となった。サーバーを増設するなどして5日に再開したものの、電話は終日かかりにくい状態が続いた。6日朝、今回用意した7万6千人分の予約が埋まり、受付はいったん締め切った(5月6日付・毎日新聞Web版)。電話が繋がらない、アプリでアクセスできない、そのように取り残されたシニアの人たちはどう思っているだろうか。北陸では「ワクチンよこせ」の一揆が起きそうな気配だ。

   オープンな接種はできないものだろうか。たとえば、選挙管理委員会と連携して、予約なしで有権者名簿をチェックするだけで市内の地区ごとで接種ができるようにすればどうだろう。場所は選挙のように体育館を使う。その代わり、地区によって接種日が異なる。そうなれば、少なくとも予約の混乱は防げるのではないか。

   きょう石川県は1日の感染者としては最多となる47人の感染が確認され、1人が亡くなったと発表した。県ではコロナ禍で感染拡大に歯止めがかからないとして、政府に対し、金沢市を対象地域として「まん延防止等重点措置」の適用を要請した(6日付・石川県庁公式ホームページ)。これにともない、金沢市内の飲食店の営業時間は午後8時までになる見通しだ。ワクチンは十分に届かない、コロナ禍はさらに拡大する。破滅の行進曲が聞こえてくるようだ。

(※写真はファイザー社のワクチン=同社の公式ホームページより)

⇒7日(金)夜・金沢の天気      くもり

☆ワクチン敗戦国の無残な姿~上

☆ワクチン敗戦国の無残な姿~上

   きょう6日、金沢市でも65歳以上を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種の予約受付が始まった。自身もその対象に入るのでさっそく自宅近くの内科医院へ申し込みに出かけた。「電話での申し込み」と市の説明書に書いてあったが、電話だと混雑してかかりにくいかもしれないと察して、直接申し込みに行くことにした。ところが、医院の受付の女性は「せっかくおいでいただきましたが、直接の申込受付はいたしておりません。市のコールセンターに電話して申し込むか、LINEでも予約ができます」とチラシ=写真=を出してきた。

      自国で開発できず、国民は求めさまよう、これが日本の姿か

   せっかく来たのにと文句の一つでもと思わないでもなかったが、「市の健康政策課の担当者からは医療機関に電話で直接申し込むことができる言われましたよ。わざわざ足を運んだのですから、受付の登録をしてくださいよ」とお願いした。すると、「当院では直接受け付けておりませんので市のコールセンターにお電話ください」の一点張りだ。すると、「そんなダラなね。せっかく来たのに」と背後から声がしたので振り返ると、順番待ちの人が5人いて、私と受付の女性のやり取り聞いていたようだ。「市のコールセンターに電話をかけたけど、電話が繋がらんからわざわざ来たんや。それがダメならどうすりゃいいんや」と、杖をついた高齢の男性が怒りだした。一触即発の状況だととっさに思い、「ここで言い合っていてもラチがあきませんので、自宅から気長にコールセンターに電話しましょう」と場をなだめて外に出た。

   そもそも、高齢者にLINEで予約を申し込めということ自体が間違っているのではないか。総務省「情報通信白書(令和2年版)」によると、70代(70-79歳)のSNS利用者は41%だ。さらに、「NTTドコモ」モバイル社会研究所のSNS利用動向についての調査リポート(2020年6月29日付)によると、スマホを所持する70代の46%がLINEを利用している。この割合でいくと、LINEを使っている70代は19%、つまり5人に1人ということになる。金沢市の65歳以上の人口は12万人なので、LINEで申し込んでいる人は2万2千人だ。残り9万8千人は電話で申し込むか、直接申し込むしかない。

   午後4時、コールセンターに30回目の電話をしたが、『回線が混み合ってるのでかけ直して下さい』と自動的に繰り返さるだけだった。そこで、近くの別の内科医院を探して申し込みに行った。この医院では窓口に「コロナワクチン受付」と貼り紙がしてあり、名簿に記入して待合室で順番を待った。番号は「165」だった。しばらくして受付の女性から名前が呼ばれた。「ウノさんは当院は初めてですよね。当院では通院をされておられる方のみワクチン接種は受け付けています。申し訳ありません」と。「えっ、でもコロナワクチン受付と書いてあるではないですか。ダメなんですか」と言うと、「配布されるワクチンの量が限られているということで仕方なく通院されている方を優先させていただいています」と。

   実に情けない気分になった。LINEは使わないことにしているので、わざわざ申し込みに出向いたのにこの様だ。その後、コ-ルセンターに電話しても繋がらない。高校時代からの友人が金沢に住んでいるので電話した。すると彼も通っている病院に申し込んだが、1週間後に再度申し込んでほしいと言われたという。「まるで日本はワクチン後進国だね」と言うと、彼は「いや、ワクチン敗戦国だよ」と返してきた。自国でワクチン開発をできず、他国の企業に頼らざるを得ない。一国の首相がわざわざ製薬会社の社長に電話して拝む頼むでワクチンの供給を懇願する。そして、国民はワクチンを求めてさまよっている。まさに、敗戦国の姿ではないか。

⇒6日(木)夜・金沢の天気     はれ