#乱世

★岸田政権のこれから 「黄金の3年」か「乱世」か

★岸田政権のこれから 「黄金の3年」か「乱世」か

  今回の参院選で自民党が単独で63議席を確保して、改選125議席のうち過半数を占めた。メディア各社の事前の世論調査でも報じられていたように、自民の大勝は予想された。NHKの世論調査(7月1-3日)で、岸田内閣を「支持する」は54%だったのに対し、「支持しない」は27%と政権支持は盤石だった。選挙でもそのまま数字で表れた。

  ただ、投票率は低い。共同通信ニュースWeb版によると、全都道府県選管の確定投票率がけさ午前6時半までに出そろい、集計すると全国の投票率は52.05%だった。2回連続の50%割れは回避したが、過去4番目の低さだった。地域でバラつきがある。北陸中日新聞(11日付)によると、石川県では46.41%と全国より5.6ポイント低く、補選4回を含め過去30回行われた参院選で最低の数字となった。

   政府は投票率向上のため、期日前投票制度の導入や、選挙権年齢の18歳以上への引き下げなど制度改正が行ってきたが、1990年代以降は一度も投票率は60%を上回っておらず、低水準にとどまっている。参院の有り様が問われているのではないか。

   今回の選挙結果を受けた報道で気になるのは「黄金の3年」という言葉だ。岸田総理は衆参両院で過半数を維持し、さらに今後3年間、衆院の任期満了を含めて国政選挙をしなくてもよいことから、「黄金の3年」という期間を手にした、という意味のようだ。とくに、衆参両院の3分の2の賛成が必要になる憲法改正案について着手するタイミングではないのかという意味が込められている。憲法9条への自衛隊明記や緊急事態条項の盛り込みなど徹底的に議論するにはタイムリーなのかもしれない。

   ただ、岸田政権はこれから先も安泰が続くのか。ロシアや中国、北朝鮮という厄介な隣国との厄介な問題(サハリン2・北方領土、尖閣諸島、核実験など)があり、さらに南海トラフの巨大地震や首都直下地震など天災、そして安倍元総理の狙撃事件が公衆の目前で起きたように、いわゆる乱世に入ったのではないか。そして、世界経済がインフレで混乱している中で、いつまで「異次元の金融緩和」が続くのだろうか。

⇒11日(月)午前・金沢の天気      くもり

★乱世に突入するのか日本

★乱世に突入するのか日本

   安倍元総理が射殺されて世の中が騒然となって、そして一夜が明けた。ブログで振り返ってみると、安倍氏の写真で印象に残っているのはこれかもしれない(2020年8月31日付)。 

   この写真を見て感じたことは、お笑いコンビのようだ、と。写真は総理官邸のツイッター(2019年5月26日付)で公開している。安倍氏(右)とトランプ大統領(左)が千葉県のゴルフ場で自撮りした写真だ。とくに、安倍氏の顔がなんとなく、芸能人っぽく見える。アメリカのCNNニュース(日本版)は「外務省によれば、昼食は米国産の牛肉のダブルチーズバーガーだった。トランプ大統領は相撲観戦も行った。優勝した力士にはトロフィーの上部に翼を広げたワシをあしらった『トランプ杯』も贈呈した」と。安倍氏のきめの細かな外交のテクニックが懐かしく思える。

   不謹慎な表現かもしれないが、今回の事件で日本は乱世の様相を呈してきたのではないかと、ふと思った。銃規制がきびしい日本の社会にあって、専門知識があれば銃や弾を自作できる。それも無尽蔵にだ。これから銃がはびこるのではないか。そして、世の中ではモラルの崩壊が起きている。税金を役人が詐取する事件が横行する。東京国税局の職員が国の持続化給付金をだまし取ったとして6月に詐欺罪で逮捕・起訴されている。去年7月には経産省のキャリア官僚2人が国の家賃支援給付金を詐取して逮捕・起訴されている。学校の教師が児童・生徒に猥褻な行為するという不適切な事象が後を絶たない。

   そして天変地異だ。「いつ起きてもおかしくない」と言われ続けている巨大地震がある。南海トラフ地震だ。四国や近畿、東海地方の広い範囲でマグニチュード8から9クラスで震度6強や6弱の激しい揺れが生じ、死者32万人、負傷者62万と想定されている。この30年の間に70%から80%の確率で起きる(国の地震調査研究推進本部)。さらに、東京の都心南部でマグニチュード7.3の地震が起きた場合、死者は最大で6100人、負傷者は同じく9万3400人、帰宅困難者は453万人、揺れや火災による建物被害は19万4400棟に上ると推計されている(5月25日・東京都防災会議)。

   地震はいつやってくるか分からない。80%の確率だとしても30年後も地震は起きない可能性もある。20%の確率だとしても、あすやってくるかもしれない。

   リアリティがあるのは隣国のリスクだ。ロシア流強奪の論理は日本でもまかり通る。極東の石油天然ガス開発事業「サハリン2」の運営をロシアが新たに設立する法人に移管し、現在の運営会社の資産を無償譲渡するよう命じる大統領令が下された。この事業に参画している三井物産や三菱商事などは経営の枠組みから排除されることになるだろう。そして、ロシア政府は6月7日、北方四島周辺水域での日本漁船の安全操業に関する日ロ政府間協定の停止を表明し、スケソウダラやホッケの刺し網漁ができなくなる。

   さらに、ロシアの政党「公正ロシア」のミロノフ党首が4月1日に「一部の専門家によると、ロシアは北海道にすべての権利を有している」と党公式サイトを通じて見解を述べた(4月8日付・時事通信Web版)。さまざまな憶測を呼んでいる。中国は尖閣諸島は中国の領土として主張し続けている。8日未明にも、中国海警局の船2隻が尖閣諸島の沖合で、日本の漁船を追いかけるように日本の領海に侵入。7日夜にも64時間余りにわたって領海に侵入した(8日付・NHKニュースWeb版)。

   大量の難民問題も起こりうる。北朝鮮に有事が起これば、大量の難民が発生し、船に乗って逃げるだろう。リマン海流に乗って日本海側に漂着する。そうした難民をどう受け入れるのか、中には武装難民もいるだろう。

   乱世というさまざまなリスクを抱えた時代にこのまま突入するのか。世の中の乱れ、天変地異、隣国のさまざまなリスク・ファクターが集中する日本。安倍氏だったら、どう乗り切るだろうか。

⇒9日(土)夜・金沢の天気    あめ