#中国恒大集団

☆ガソリン高騰、日本海、そして隣国のキナ臭さ

☆ガソリン高騰、日本海、そして隣国のキナ臭さ

   近所のガソリンスタンドに行き、「レギュラー161円」の表示看板=写真・上=を横目に見ながら給油した。先月までは「158円」だったのが一気に3円値上がり。ニュースでは、石油関連施設が集中するアメリカ南部をハリケーンが直撃して原油の先物価格が上昇している。また、OPECやロシアなど産油国が生産量を据え置いたこと、そして、ヨーロッパでは冬の燃料在庫を積み増する動きもあって、ガソリンの需給がひっ迫しているようだ(10月6日付・NHKニュースWeb版)。年内に1㍑170円を超えるのだろうか。石油価格の高騰は1970年代のオイルショックを思い出し、なんともキナ臭い。

   日本海にもキナ臭さが漂う。能登半島沖のEEZ内の漁場「大和堆」で、北朝鮮当局の船が航行しているのが確認されていて、ことし6月末には、そのうちの1隻が携帯型の対空ミサイルを装備していたことを海上保安庁が確認した。ミサイルは旧ソビエトが開発した「SA-16」と同じタイプで、射程は4.5㌔に及ぶ。海上保安庁は、現場海域で操業する日本の漁船の安全確保に向け、警戒レベルを上げて対応している(同)。地元紙も一面などで大きく報じている=写真・下=。

   対空ミサイルを装備してこの海域に出ているということは、海洋権益を主張する手段、つまり、他国の哨戒艇や漁船などを追い出すためではないかと想像してしまう。1984年7月、北朝鮮が一方的に引いた「軍事境界線」の内に侵入したとして、能登半島の小木漁協所属のイカ釣り漁船「第36八千代丸」が北朝鮮の警備艇に銃撃され、船長が死亡、乗組員4人が拿捕された。1ヵ月後に「罰金」1951万円を払わされ4人は帰国した。

   さらにキナ臭いのが中国だ。BBCニュースWeb版日本語(10月5日付)によると、台湾当局は4日、中国軍のJ-16戦闘機34機、核攻撃能力のあるH-6爆撃機12機などが台湾が実効支配する東沙諸島の近くを飛行したと発表した。その後、さらに戦闘機4機が確認されるなど、この日に台湾付近を飛行した中国軍機は計56機にも上った。中国は今月1日以降、延べ150機以上の軍機を、台湾が設定した防空識別圏内で飛行させている。アナリストらは、台湾の国慶日(10月10日)を前に、中国が台湾の蔡英文総統に警告を発した可能性があると分析している。

   BloombergニュースWeb版日本語(10月7日付)によると、ここ数週間で中国恒大集団の危機が一段と深まっているが、危機は中国の不動産業界全体に波及している。初のドル建て債デフォルト(債務不履行)が起きた。高級マンションや都市再開発プロジェクトを手掛ける花様年控股集団は、4日が期限だった社債2億570万㌦相当を償還できなかった。5日には同社を「一部デフォルト」に格下げする動きが相次いだ。緊張感の高まる中国不動産業界で次にトラブルを起こすのはどこか。

   ガソリン高騰、日本海、そして隣国のキナ臭さ。ブログを書きながら周囲を見渡すと、嗅覚がすこぶる敏感になる。

⇒7日(木)夜・金沢の天気    はれ

★中秋の名月なれど チャイナリスクの暗雲

★中秋の名月なれど チャイナリスクの暗雲

   今夜は「中秋の名月」だ。天候が変りやすい北陸では名月を拝めないことが多い。なにしろ芭蕉の句がある。「名月や北国日和定なき」(『奥の細道』)。今夜は中秋の名月を期待していたけれど、あいにく雨で拝むことができなかった。福井・敦賀で詠んだ句とされる。しかし、今夜はすっきりと見ることができた=撮影:午後7時45分=。しかも、平成25年(2013)以来、8年ぶりの満月というから、まさに名月だ。  

   時代劇のドラマで中秋の名月のカットがよく使われる。大事件や裏切り、画策、謀反、旗揚げなど不吉な出来事の予兆のシーンとして、ウオーッという犬の鳴き声や風に揺れるススキの穂とともに名月が浮かんで出てくる、あのカットだ。きょうの名月もひょっとして。  

   連休明けのきょう21日の日経平均株価は取り引き開始直後からほぼ全面安。終値は先週末より660円安い2万9839円だった。終値が3万円を割り込むのは9月7日以来だ。そして、日本だけでなくアメリカ株も全面安となるなど、世界同時株安の様相だ。その原因と報じられているのが「チャイナリスク」。中国の不動産大手「中国恒大集団」の経営悪化が原因と言われる。日本円で33兆円におよぶ巨額の負債を抱えているとされ、中国経済全体や金融システムに影響を及ぼすのではないかとの懸念が強まっている。

   その予兆は昨年から顕著になっていた。恒大集団は負債比率の削減を目指しすべての不動産物件を30%値引きすると発表(2020年9月7日付・ロイター通信Web版日本語)、このころから危機説が浮上した。もともと、中国当局が不動産価格の過度な高騰を警戒し、市場を引き締めたことが資金繰りが悪化した原因の一つとみられている。そして、本格的にデフォルト(債務不履行)となれば、リーマン・ショック級の信用崩壊が発生し、不動産資産が下落するだろう。不動産を担保にしてビジネスをしている人たちが金融機関の強引な貸しはがしに合うケースも増えるだろう。こうなると、資金繰りが全体に悪化し、不況へと突入する。

   では、中国政府による恒大集団の救済はあるだろうか。習近平政権は「共同富裕」を掲げ、貧富の格差解消を進めている。ある意味で不動産バブルを煽ってきたとも言える恒大集団に助け舟を出せば人民の反発を招くことになるかもしれない。

⇒21日(火)夜・金沢の天気      はれ

★「死なばもろとも」中国の不動産バブル

★「死なばもろとも」中国の不動産バブル

   中国のマンションの建設ラッシュはすさまじいと実感したことがある。世界農業遺産(GIAHS)の国際ワークショップで中国を訪れた2012年8月のことだった。降り立った上海市や会議が開かれた浙江省紹興市などは高層マンションが立ち並んでいた。見学ツアーで同省青田県の山あいの村でもマンション建設が進んでいて、新築マンションの看板がやたらと目についた=写真=。

   移動のバスの中で、中国人の女性ガイドに尋ねた。「なぜ山あいでマンションが建っているんですか」と。すると笑顔で答えてくれた。「日本でも結婚の3高があるように、中国でも女性の結婚条件があります」と。それによると、1つにマンション、2つに乗用車、そして3つ目が礼金、だとか。マンションは1平方㍍当たり1万元が相場という。1元は当時のレートで12円だったので円換算で12万円となる。1戸88平方㍍のマンションが人気というから1056万円だ。それに乗用車、そして礼金。礼金もランクがあって、基本的にめでたい「8」の数字。つまり、8万元、18万元、88万元となる。この3つの「高」をそろえるとなると大変だ。

   当時もマンションは投資対象になっていたが、ガイド嬢の話を聞いて、結婚の条件としてのマンション需要となるとさらにすそ野は広がると納得した。その中国のマンションの「不動産バブル」、最近異変が起きているようだ。

   中国の不動産大手「中国恒大集団」は今月7日から1ヵ月間、すべての不動産物件を30%値引きする方針を示し、ニュースになった。同社は同業他社との比較で多額の負債を抱えており、負債比率の削減を目指している(9月7日付・ロイター通信Web版日本語)。このニュースでいよいよ中国の不動産バブルは崩壊かとの印象も抱いた。そして、今月25日のニュース。中国恒大集団がデフォルト(債務不履行)の可能性について中国当局に警告した。同社が求める深圳上場を当局が認めなければ、中国の50兆㌦(5274兆円)規模の金融システムが動揺する恐れがあるとしている。中国恒大は広東省政府に宛てた8月24日付書簡で、資金不足を回避し、上場を確実にするために必要な再編案への支持を求めた。この書簡をブルームバーグは確認した(9月25日付・ブルームバーグWeb版日本語)。

   証券取引所に上場できなければ、破産するぞと脅しているとの印象だ。さらに、50兆㌦規模の中国の金融システムを揺るがすぞ、と。「死なばもろとも」だと。

   中国政府は2008年のリーマンショック後に、やみくもに成長を追い求めずに安定をめざす「新常態(ニューノーマル)」経営を企業に求めているが、常に投資が先行する不動産の場合は簡単ではないだろう。「3高」の結婚の条件が今でも変わっていなければ、買いのチャンスかもしれないが。

⇒28日(月)午前・金沢の天気    はれ時々くもり