#世論調査

☆「衛星」であってもなくても / 世論調査で読む心象風景

☆「衛星」であってもなくても / 世論調査で読む心象風景

   きょう北朝鮮から、今月31日から来月11日の間に「衛星」を発射すると通報があったと日本政府が明らかにした。政府では、この「衛星」が弾道ミサイルの発射予告と見なし、防衛大臣は日本の領空に飛来した場合には破壊措置命令を出すと発表した(29日付・NHKニュースWeb版)。このニュースを知って、正直な話、北朝鮮の「ディープフェイク」ではないかと疑った。

   2022年12月18日、偵察衛星開発のための実験と主張し、中距離弾道ミサイル2発を日本海に向けて発射しているが=写真・上=、事前の通報などはなかった。逆に、これまで通報なしに弾道ミサイルを飛ばしてしてはいたが、あえて通報があったということは本当に衛星を打ち上げるのではないか、との見方もある。ただ、それが国威発揚告につながったとしても、北朝鮮のなすべきことかと、世界の人々はいぶかるだろう。「もっと人民のために金を使え」「われわれが人道支援をする意義はあるのだろうか」と。

   きょうメディア各社は世論調査での岸田内閣の支持率を発表している。朝日新聞(29日付)の内閣支持率は46%(前回4月調査は38%)、不支持率は42%(同45%)だった。G7広島サミットの議長国として「指導力を発揮した」が59%で、「そう思わない」の32%を上回り、いわゆるサミット効果が支持率を押し上げたと読める。日経新聞(29日付)の内閣支持率は47%で、前回4月の調査から5ポイント下落した。不支持率は44%で、前回より4ポイント上昇した。G7サミットでの岸田氏の働きぶりを「評価する」は66%あったものの、直近で総理の長男による首相公邸内での忘年会の騒ぎが報道され支持率を下げたと同紙は分析している。

   共同通信社が28日に実施した世論調査では、内閣支持率は47.0%(前回4月調査は46.6%)と横ばいだった。不支持率は35.9%(同35.5%)とこれも横ばいだった。岸田総理について、「総理は、子ども予算の倍増のほか、防衛費の増額も目指してします。あなたは、今後の日本の財政に不安を感じますか、感じませんか」との問いでは、「不安を感じる」が78.3%もある。「不安を感じない」が20.0%だ。支持はするものの、大いなる不安もある。支持率横ばいの数字から、有権者の微妙な心象風景が見えてくる。

⇒29日(月)夜・金沢の天気   あめ時々くもり

☆人権侵害や国土防衛にどう手立て あす憲法記念日

☆人権侵害や国土防衛にどう手立て あす憲法記念日

   あす3日の憲法記念日を前に共同通信が行った憲法に関する世論調査(郵送方式)の結果が各紙で報じられている。目を引いた項目は「問5:憲法に関し、あなたが国会で議論してほしいテーマは何ですか。優先度の高いものを三つまでお答えください」。答えのトップは「九条と自衛隊」38%で、「社会保障などの生存権」32%、「教育」25%、「大災害時などの緊急事態」24%、「デジタル社会での人権」22%などと続いている。

   「九条と自衛隊」がトップなのは、隣国のロシアによるウクライナ侵攻が北方領土から北海道へと連鎖反応するのではないか、北朝鮮は弾道ミサイルを日本領土に撃ち込んでくるのではないか、中国は尖閣諸島に軍事侵攻するのではないか、といった懸念を抱く有権者がこのところ増えているからではないだろうか。日本は、国際紛争を解決する手段として戦争や武力の行使に訴えることは、憲法によって認められていない。

   この対応策の一つとして、政府は2022年12月の閣議で「国家安全保障戦略」など新たな防衛3文書を決定し、敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有を明記した。ところが、北朝鮮は固体燃料ロケットの開発でICBMを素早く実践配備できるよう動いている。追尾して発射前に叩くことはできるのだろうか。

   そして最近とくに高まっている懸念という意味では「デジタル社会での人権」もそうだ。他人への誹謗中傷や侮辱、プライバシーの侵害、SNSいじめ、ヘイトスピーチなど。フジテレビのリアリティ番組『テラスハウス』に出演していた女子プロレスラーがSNSの誹謗中傷を苦に自死した事件(2020年5月)はその典型的な事案だろう。この事件がきっかけで、公然と人を侮辱した行為に適用される侮辱罪に、「1年以下の懲役・禁錮」と「30万円以下の罰金」を加えられて厳罰化した。しかし、刑法の厳罰化によって、SNSの誹謗中傷は治まったと言えるだろうか。

   デジタル社会の人権問題はさらに複雑だ。たとえば、児童ポルノはその画像がいったんネット上で出回ると、画像のコピーが転々と拡散して回収が極めて困難となる。被害者は将来にわたって苦しむことになる。重大な人権侵害だ。

   衆参の国会議員には法の見直しによる対応や与野党の足の引っ張り合いではなく、憲法そのものをテーマに本筋の議論を深めてもらいたい。

⇒2日(火)午後・金沢の天気    はれ   

★岸田内閣につきまとう「不支持率」という影

★岸田内閣につきまとう「不支持率」という影

   桜の開花が年々早まっている。東京では今月14日に開花が発表されたが、金沢では24日で、去年より6日、平年より10日、それぞれ早くなると予想されている。そして、満開は今月28日で、去年より8日、平年より11日も早い見込みとのこと。満開の桜は入学式というイメージだが、このままのペースだとあと数年で、桜満開の卒業式、花吹雪の入学式になるのではないか。余計な心配かもしれないが、ちょっと切ない入学式になるかも。

   話は変わる。WBC侍ジャパンの準決勝(21日・対メキシコ戦)への進出でメディアは盛り上がっていて、このところ岸田内閣の影が薄いように感じるのは自身だけだろうか。今月16日、岸田総理は初めて来日した韓国の尹大統領と首脳会談に臨み、「シャトル外交」を復活させることや、経済安全保障に関する協議体の創設、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化など日韓外交では画期的な内容だった。が、同日のWBC準々決勝の対イタリア戦での大谷翔平選手のあのバントで、連日、テレビメディアなどは盛り上がっていて、日韓首脳会談の影が薄くなった。(※写真は、今月16日、日韓首脳会談後の共同記者会見=NHK総合より)

   さらに、18日に日本を訪れたドイツのショルツ首相との首脳会談や、G7議長国としてきょう20日にG20議長国のインドを訪れ、モディ首相との首脳会談に臨むが、こうした岸田総理の得意技である外交が、メディアで目立っていないと感じるのは自身だけだろうか。

   メディア各社の世論調査でも影の薄さが裏付けられるかもしれない。読売新聞社が今月17日から19日にかけて実施した全国世論調査によると、日韓首脳会談を「評価する」は65%で、「評価しない」24%を大きく上回った。ところが、内閣支持率は42%と前回調査(2月17-19日)41%ほぼ変わらず横ばい。不支持率は43%で、前回47%よりポイントを下げたが、支持率アップには回っていない。朝日新聞の世論調査(今月18、19日実施)では、内閣支持率は40%で、前回2月調査の35%から上昇したものの、不支持率は50%(前回調査は53%)で、不支持率が支持率を上回るのは7ヵ月連続となる。

   成果を上げた一連の外交がなぜ支持率につながらないのか。ことし5月に広島市で開催されるG7サミットまでに支持率が不支持率を逆転できるのか。

⇒20日(月)夜・金沢の天気    はれ

☆身を切らずして、安易に増税と言うなかれ

☆身を切らずして、安易に増税と言うなかれ

   ことしの政権の行く末を占うような世論調査が次々と出ている。テレビ朝日系ANNの1月の世論調査(今月21、22日実施)によると、岸田内閣の支持率が政権発足以来、最も低い28.1%となった。前回調査(12月17、18日)より3ポイントの下落。不支持率は47.5%で前回より4.2ポイント上昇した。防衛費の財源として段階的に増税する方針については「支持しない」が58%、「支持する」が30%となっている。    

   朝日新聞社が実施した1月の世論調査(今月21、22日)によると、内閣支持率は35%だった。前回調査(12月17、18日)は31%で岸田内閣発足以来最低を記録したが、今回は4ポイント上昇しやや持ち直した。不支持は52%で前回より5ポイント減少した。防衛費を増やすために、およそ1兆円を増税する方針については、「賛成」が24%、「反対」が71%だった。

   産経新聞社とフジテレビ系FNNの合同世論調査(今月21、22日)によると、内閣支持率は37.7%で、前回調査(12月17、18日)より0.7ポイント増だった。7ヵ月連続で下落していた内閣支持率が下げ止まった。不支持率は前回比0.6ポイント増の58.1%だった。政府が防衛力強化のため防衛費を大幅に増額する方針を決めたことについては「賛成」が50.7%で、「反対」42.8%を上回ったものの、必要な財源を法人税や所得税、たばこ税を段階的に増税して賄うことについては「反対」が67.3%を占め、「賛成」28.9%だった。

   時事通信の世論調査(12月13-16日)によると、内閣支持率は26.5%で、前回調査(12月9-12日)より2.7ポイント下落。政権維持の「危険水域」とされる20%台は4ヵ月連続となった。不支持率は43.6%で前回より1.1ポイント上昇した。防衛力強化に伴う増税方針の表明や一段と進む物価高などが影響したとみられる。

   きょう午後2時からのNHKの国会中継で、岸田総理は施政方針演説を行った=写真、総理官邸公式サイトより=。去年12月、安保関連3文書を改定し、「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有を宣言。新年度から5年間の防衛費を総額43兆円と1.5倍にし、増税で年1兆円強を捻出する方針も決めている。この増税が内閣支持率の低迷の要因になっていることは上記の世論調査の数字でも見て取れる。

   国会議員には毎月給与が129万円、そして300万円以上のボーナスが年に2回支給される。「第二の財布」もある。給与とは別に月額100万円の「調査研究広報滞在費」が支給される。領収書は不要で、使途報告や残金返還の義務はない。さらに、「立法事務費」では所属の党を通じて議員一人当たり65万円。これも領収書の提出や使途報告の必要はない。国会で寝ていても、欠席しても年間4200万円余りが支給される。

   岸田総理がこの議員の第二、第三の財布をカットすると宣言し、増税に踏み込むのであれば国民の理解が得られ、内閣支持率も上がるだろう。身を切らずして、安易に増税と言うなかれ。

⇒23日(月)夜・金沢の天気    はれ

★「どん底」内閣支持率36% 「危険水域」あと7ポイント

★「どん底」内閣支持率36% 「危険水域」あと7ポイント

   岸田内閣はいつまでも持つのか。7日付の読売新聞の世論調査(今月4-6日)によると、内閣支持率は36%と内閣発足以降で最低となった。前回調査(10月1、2日)は45%だったので、9ポイントも下落したことになる。不支持率は50%で前回46%より4ポイント上昇した。不支持の理由では「政策に期待できない」33%、「首相に指導力がない」24%と続いている。政党支持率も自民党は33%で前回より7ポイント落ち込んでいる。

   TBSなどJNN系列の世論調査(今月5、6日)でも内閣支持率は39.6%と3か月連続で過去最低を更新し、初めて40%を下回った。不支持率は57.7%だった。読売、JNNの世論調査ではっきり読めるのは、支持率下落の主な要因は政治家と世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の関係だ。自民党は旧統一教会と党所属の国会議員との関係を調査し公表したものの、有効対策に手が打てず、ようやく宗教法人法に基づく「調査」を行うことを表明した。

   読売調査では、これを「評価する」と答えたのは67%。そして、旧統一教会による被害者を救済するための法案を今国会で成立させるべきかどうかの問いには、「思う」が73%となっている。JNN調査でも、教団との関係をめぐり、山際経済再生担当大臣が辞任したが、そのほかの教団との関係を十分に説明していない大臣や政党幹部についても「辞任すべき」との答えは65%、宗教法人法に基づく調査で「政府は解散命令を裁判所に請求すべき」との答えは69%だった。

   以下は憶測だが、宗教法人法に基づく調査を「評価」67%となっているが、世論は「やっと重い腰を上げたか。はやくやれ」という意味合いを込めているのではないか。そして、細田衆院議長は旧統一教会側との関係を自民党調査の発表後に文書で公表しただけで、記者会見などは行っていない。「ズルズルべったり」の政治家と旧統一教会の関係について、世論の不信感は収まっていない。

   支持率は落ち始めると急カーブを描く。それが世論調査の怖さだ。メディア関係者の間では、読売の調査で内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」とよく言われる。第一次安倍改造内閣の退陣(2007年9月)の直前の読売の内閣支持率は29%(2007年9月調査)、その後の福田内閣は28%(2008年9月退陣)、麻生内閣は18%(2009年9月退陣)。民主党政権が安倍内閣にバトンタッチした2012年12月の野田内閣の支持率は19%だった。

   あと7ポイント下がれば「危険水域」だ。岸田総理の提案で、来年5月に広島市でG7サミットが開催される。果たして、岸田内閣はそのころまで持つのか。(※写真は、参院代表質問に答える岸田総理=10月7日のNHK総合)

⇒8日(火)午後・金沢の天気   くもり時々あめ

☆物価高や旧統一教会問題 ズルズル下がる内閣支持率

☆物価高や旧統一教会問題 ズルズル下がる内閣支持率

   内閣支持率が急落している。共同通信社の世論調査(10月8、9日)を各紙が伝えている。それによると、岸田内閣を「支持する」は35%で、前回調査(9月17、18日)の40%を5ポイントも下回っている。「支持しない」は48%で、前回より2ポイント高まった。(※小数点以下は四捨五入)

   支持する理由については「ほかに適当な人がいない」が49%、また、不支持の理由は「経済政策に期待が持てない」36%とそれぞれ突出している。とくに、経済政策については前回より9ポイント増えている。この背景にあるのが物価高のようだ。値上げによる生活への打撃についての問いでは、「非常に打撃」19%、「ある程度打撃」60%で、8割が「打撃」と答えている。

   自身が注目したのは、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイルの発射に関連する質問だった。問いでは「政府は、外国からミサイル攻撃を受ける前に、相手国のミサイル発射基地などを攻撃する『敵基地攻撃能力』の保持を検討しています」との説明で、賛否を尋ねている。「賛成」が54%、「反対」が38%となっている。弾道ミサイル発射は9月25日以降7回目、そして、調査期間中のきのう9日未明にSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの発射があり、急激高まった世論の危機意識のあらわれとも言える。

   関連して、「日本の防衛費をどうするべきか」との問いでは、「大幅に増やす」11%、「ある程度増やす」45%、6割近くが増額と答えている。「今のままでいい」は31%、「ある程度減らすべき」7%、「大幅に減らすべき」3%と4割が現状ないし減額と答えている。これは、防衛費より物価高対策にお金を回せとの民意のようにも読める。

   安倍元総理の国葬(9月27日)についての問い。「全額を国費で負担しました。あなたは安倍氏の国葬実施を評価しますか」では、「評価しない」39%、「どちらかといえば評価しない」23%、と評価しないが6割を占めている。一方、「評価する」13%、「どちらかといえば評価する」26%だった。積極的な意見だけを取り上げれば、「評価しない」が「評価する」の3倍となる。

   連日のようにメディア各社が、政治家と世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の関係を取り上げている。「自民党は旧統一教会と党所属の国会議員との関係を調査し公表しました。あなたは、自民党の対応が十分だと思いますか」との問いでは、「十分ではない」が83%で、前回調査の80%よりさらに増えている。また、「細田衆院議長は、旧統一教会側との関係を自民党調査の発表後に相次いで公表しました。あなたは、細田氏の説明は十分だと思いますか」の問いでは、「十分ではない」が87%だった。旧統一教会に対する厳しい世論の風当たりが政治に向かって吹き続けている。

   共同通信の前々回調査(8月10、11日)では54%あった内閣支持が今回と比べると19ポイントも落ちている。物価高や旧統一教会問題に対して有効な手が打てず、現状の「ズルズル内閣」では、次回は20%台ではないかと憶測してしまう。

⇒10日(月・祝)午後・金沢の天気    あめ 

★「内閣支持率」はどう動く きょうから臨時国会

★「内閣支持率」はどう動く きょうから臨時国会

   けさの読売新聞と朝日新聞の紙面で、それぞれの世論調査の結果が掲載されている。読売の調査(1、2日)では岸田内閣の支持率が45%、不支持が46%となり、「初の逆転」と見出しで伝えている。前回調査(9月2-4日)では支持率は50%だったので、5ポイントの下落。逆に不支持は41%だったので、5ポイント上昇した。

   一方、朝日の調査(1、2日)では内閣支持率が40%、不支持率が50%となり、記事では「不支持率が初めて半数に達した」「不支持率が支持率を上回るのは2ヵ月連続」としている。前回調査(9月10、11日)では支持率41%、不支持率47%だったので、支持率はほぼ同じ、不支持率がやや上昇した。読売と朝日の世論調査を比較すると、数字の上がり下がりは読売の方が大きい。

   そして、読売、朝日ともに内閣不支持の要因となっているのは、政府・自民党の世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)に対する不透明な対応だろう。旧統一教会と政治家の関係をめぐる問題で、読売の「岸田総理が指導力を発揮していると思うか」との問いでは、「思わない」が80%、「思う」が13%となっている。朝日の「岸田総理の対応を評価するか」との問いでは、「評価しない」が67%、「評価する」が22%だった。また、安倍元総理と旧統一教会の関係について「調査を行うべきだと思うか」との問いでは、読売の調査は「思う」59%、「思わない」37%、また、朝日では「調査すべき」64%、「必要はない」31%となっている。

   先月27日に営まれた国葬について、読売の「よかったと思うか」との問いに、「思わない」54%、「思う」41%だった。朝日の「評価するか」との問いでは、「評価しない」59%、「評価する」35%だった。

   旧統一教会との関係をめぐり、自民党は所属する国会議員全体の半数近くにあたる179人が何らかの接点があり、選挙で支援を受けるなど、一定以上の関係を認めた121人の氏名を公表した(9月8日付・NHKニュースWeb版)。また、立憲民主党の辻元議員も統一教会の教会の関係団体の勉強会に出席し、会費を支払っていた(27日付・同)。では、政党支持率はどうなっているのか。読売の調査では、「自民党」40%、「立憲民主党」5%と続いた。両党の支持率は前回と同じだった。朝日の調査では「自民党」34%、「立憲民主党」6%と続いた。前回は自民が31%だったので、むしろ支持を伸ばしている。

   きょう臨時国会が召集される。国会論戦は7月の参院選後で初めてとなる。読売と朝日がこの日に世論調査を掲載したのも、臨時国会の論戦を意識してのことだろう。会期中(12月10日まで)に岸田内閣の支持率がさらに「危険水域」(20%台)に落ち込むのか、あるいは起死回生の矢を放つのか。

⇒3日(月)午後・金沢の天気    くもり

☆台風去れど 岸田内閣への逆風止まず

☆台風去れど 岸田内閣への逆風止まず

   台風14号はきょう午前9時に東北地方の太平洋側へ抜けて温帯低気圧に変わったとニュースが伝えている。未明に能登半島を通過し、輪島では最大瞬間風速32.9㍍を記録したほか、金沢でも26.7㍍を観測している。窓ガラスを叩きつけるような激しい雨もあり、夜中に2度目覚めた。倒木などの被害がないか、自宅の周囲を見回ったが、外では肌寒さを感じた。午前9時で外気温は19度だった。台風が去り、北から冷たい風が入ってきているようだ。

   台風は去ったが、岸田内閣への逆風は止みそうもない。毎日新聞と社会調査研究センターの世論調査(今月17、18日)によると、内閣支持率は29%で、前回調査(8月20、21日)の36%から7ポイント下落した。不支持率は64%で、前回の54%より10ポイント増加した。各社の世論調査も下落傾向だが、20%台はこれが初めて。

   共同通信の世論調査(同)も各紙が報じていて、内閣支持率は40%で、前回調査(8月10、11日)から14ポイントも急落した。不支持率は18ポイント増の46%で、同調査で初めて岸田内閣の支持率と不支持率が逆転した。日経新聞とテレビ東京による世論調査(今月16-18日)でも支持率は43%で、2021年10月の政権発足後で最低となっている。不支持は49%だった。

   毎日新聞、共同通信、日経新聞ともに、内閣支持率の低迷、不支持率の急増の原因として、自民党と世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)との関係を上げている。岸田総理は今後、統一教会や関連団体と一切関係を持たないことを基本方針とし、党所属の国会議員との関係を点検して公表したが、自民党の対応は十分だと思うかという問いでは、「不十分」が毎日では76%、日経では79%、共同では80%となっている。もう一つの内閣支持率の低迷の要因が、安倍元総理の「国葬」をめぐって、だ。「反対」が毎日では62%、日経では60%、共同では61%となっている。

   注目するのは読売新聞の世論調査だ。読売の調査で内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」とよく言われる。第一次安倍改造内閣の退陣(2007年9月)の直前の読売の内閣支持率は29%(2007年9月調査)、その後の福田内閣は28%(2008年9月退陣)、麻生内閣は18%(2009年9月退陣)。民主党政権が安倍内閣にバトンタッチした2012年12月の野田内閣の支持率は19%だった。

   読売の直近の世論調査(今月2-4日)では、内閣支持率は50%と前回調査(8月10、11日)の51%と横ばいだった。岸田内閣はこの数字を見て、「まだまだやれる」と安堵しているのではないか。支持率は落ち始めると急カーブを描く。それが世論調査の怖さだ。

⇒20日(火)夜・金沢の天気   くもり時々はれ

★内閣支持率がドロ沼化 「聞くチカラ」の限界

★内閣支持率がドロ沼化 「聞くチカラ」の限界

   内閣支持率は下がる一方で、底が見えない。NHKの世論調査(電話・9月9-11日)によると、岸田内閣を「支持する」と答えた人は、前回調査(8月5-7日)より6ポイント下がって40%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は12ポイント上がって40%となった。

   内閣支持率の足を引っ張っているとされるのが、安倍元総理の「国葬」(今月27日)の実施についてだ。「国葬」を行うことについて、「評価する」が32%、「評価しない」が57%だった。さらに「国葬」についての政府の説明は十分だと思うかとの問いでは、「十分だ」が15%、「不十分だ」が72%だった。

   そして、岸田内閣をさらに支持率低下へと引きづり込んでいるのが、自民党と世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)との関係だろう。自民党は、今後、統一教会や関連団体と一切関係を持たないことを基本方針とし、党所属の国会議員との関係を点検して公表したが、自民党の対応は十分だと思うかという問いでは、「十分だ」が22%、「不十分だ」が65%だった。「国葬」と合わせ、統一教会についても大半の有権者は納得いく説明がなされていないと感じているのだ。

   内閣支持率の低下は他のメディアの世論調査でも同様の結果が出ている。時事通信の世論調査(今月9-12日)によると、内閣支持率は前月比12ポイント減の32%と急落した。不支持率は同11ポイント増の40%で、初めて不支持率が支持率を上回った。「国葬」については「反対」が51%で、「賛成」は25%だった(15日付・時事通信Web版)。

   また、読売新聞の世論調査(今月2-4日)では、内閣支持率は50%と前回調査(8月10、11日)の51%と横ばいだったものの、不支持率は41%で、前回調査34%よりアップしている。「国葬」を決めたことに対する評価では、「評価しない」が56%で、「評価する」38%を上回っている。読売の調査でも、岸田総理がその意義や理由を十分に説明していないという不満が、否定的な評価として現れている。

   内閣支持率はドロ沼化している。内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」と言われる。「聞くチカラ」を岸田総理は強調してきたが、いま必要なのは説得ある政策の実行だろう。政権が反社会的な宗教団体との関係性を絶つには、税務調査と警察による情報収集で実態解明に着手すること。その上で、問題が露呈すれば非課税などの優遇措置の解除、場合によっては解散命令(宗教法人法第81条)を検討すると有権者に公約することだ。 

   苦境に陥っている岸田内閣をいま高笑いして眺めているのは、むしろ統一教会の教団幹部ではないだろうか。「岸田さん、地獄の底までお付き合いさせていただきますよ」と。

⇒15日(木)夜・金沢の天気   くもり

☆国葬問題 世論の憤り

☆国葬問題 世論の憤り

   大型で強い台風11号があす6日午後には北陸地方に最も接近するようだ。メディア各社が報じている。北陸地方では南寄りの強風と高波、そしてフェーン現象による高温と乾燥。金沢の予想気温はなんと36度だ。

   そして、民意もヒートアップしている。きょうの読売新聞によると、世論調査(今月2-4日)で内閣支持率は50%と前回調査(8月10、11日)の51%と横ばいだったものの、不支持率は41%で、前回調査34%より大幅にアップした。まさに、支持する、しないの世論が二分されるような状態だ。

   さらに、政府が今月27日に安倍元総理の国葬を決めたことに対する評価では、「評価しない」が56%で、「評価する」38%を大幅に上回っている。7月に国葬の実施を決めて以降、岸田総理がその意義や理由を十分に説明していないという不満が、今回の否定的な評価として現れたのだろう。

   TBS系列によるJNN世論調査(今月3、4日)でも、内閣支持率が48%で、前回調査(8月6、7日)の57%から9ポイント急落。不支持率は48%で、前回調査の39%より9ポイント上昇した。安倍元総理の国葬については「反対」が51%と前回調査から6ポイント上昇し、「賛成」38%を上回った。国葬の意義について岸田総理の説明で納得しているかどうかは、「納得していない」が63%、「納得している」が25%だった。

   きのう放送されていたNHK番組「日曜討論」を視聴していたが、安倍元総理の国葬をめぐる自民党の茂木幹事長の説明は、いわゆる国葬ありきの発言だった。「国内外から多くの弔意が寄せられていて、海外からの参列者も招いて、敬意や弔意を表す機会を国の儀式として行うのは国際的に見ても適切なこと」「国葬は現行の内閣府設置法で閣議決定しているので、法的には問題ない」。このような説明で有権者は果たして納得するだろうか。

   国葬は法的な基準がない。しかし、そのときの内閣が「国葬にふさわしい」と判断すれば、国民の税金を使って国葬ができる。世論が憤っているのはこのことだ。いとも簡単にやすやすと国葬なんてやるんじゃない、と。

⇒5日(月)夜・金沢の天気    はれ