#ワクチン

☆この株高、「ワクチンバブル」なのか

☆この株高、「ワクチンバブル」なのか

   東京株式の日経平均はきのう27日も107円上げ2万6644円で終えた。メディア各社は、1991年4月以来およそ29年半ぶりの高値を連日で更新したと報じている。株高は日本だけではない。ニューヨークのダウも今月24日に初めて3万㌦の大台に乗せている。

   振り返ってみると、新型コロナウイルスのパンデミックによる世界的な景気後退の懸念や、ロシアとサウジアラビアの対立による原油価格の暴落なども絡まり、全体が「弱気相場」に入っていた。とくに3月に入り、ニューヨークの株価指数「S&P500」の下落率が7%を超えると自動的に売買を停止する「サーキットブレーカー=Circuit Breaker」が何度か作動し、3月23日にはダウが1万8591㌦にまで落ちていた。東京株式も3月19日に1万6500円まで下がり、ことしの最安値だった。

   今でもコロナ禍は世界、とくにアメリカでの猛威は止まない。ジョンズ・ホプキンス大学のコロナダッシュボード(日本時間28日午前9時現在)によると、アメリカの感染者総数は1307万人、死亡者は26万人と断トツに多い。そして日本でもきのう27日は全国で2531人の新規感染者が発表され、2日連続で2500人超だ。にもかかわらず、年末が近づくにつれて株価が上がり、日経平均もダウも株価は絶好調だ。この現象はいったい何んなのか、そのファクターは何か。

   マーケット関係の記事を読むと、アメリカではコロナ対策で政府や連邦準備理事会(FRB)がつぎ込んだマネーが膨張して株式市場に流れ込んでいるのではないかという論が散見される。ただ、3月の安値からの上昇率は6割以上に達する。マネーの流入にしては、最近の株価の加速性を見ると時期的にアンバランスのように思える。アメリカ大統領選があった11月3日以降が上昇のテンポが速いので、バイデン効果かとも推測する。

   むしろ、ワクチン開発がアメリカの期待度を高めているのかもしれない。アメリカの株価が持ち直してきたのは、ワクチン開発を国家プロジェクトで進める「ワープ・スピード計画」が8月以降で臨床試験が本格化したタイミングだった。それが11月に入り早期実現のメドが立ってきた。「トランプ大統領は、新型コロナウイルスのワクチンの供給が来週とその翌週に開始する見通しだと述べた」「感謝祭の祝日に合わせて行われた海外駐留米軍兵士とのテレビ会議で語った。当初はコロナ対応の最前線に立つ人たちや医療従事者、高齢者に供給されると述べた」(11月27日付・ロイター通信Web版日本語)。

   ワクチンに関しては、アメリカの製薬会社は90%以上の有効性が確認されたとして、すでに緊急使用許可を政府に申請している。アメリカで12月からワクチン投与が始まれば、コロナ禍が社会や経済に及ぼしている影響が大幅に緩和されるとの期待が高まるだろう。ただ、ワクチン頼みだと、その効果の持続性や副作用などのマイナス面が出ると反動も大きく、経済パニックが再来し、ワクチンバブルも一瞬にして弾ける。アメリカのワクチン効果が国際社会に及ぼす影響を観察していきたい。

⇒28日(土)午前・金沢の天気     あめ

★コロナワクチン 世界の希望の光になるか

★コロナワクチン 世界の希望の光になるか

   けさのニュースをチェックすると、18日のニューヨーク株式のダウ終値は911㌦高で、一時上げ幅が1000㌦を超えた。その理由が新型コロナウイルスのワクチン開発への期待感が高まりだった(19日付・共同通信Web版)。そこで、アメリカメディアを検索してみる。「Moderna Coronavirus Vaccine Trial Shows Promising Early Results」(モデルナ社がコロナウイルスのワクチンの初期の臨床試験で有望な結果)の見出しの記事があった(18日付・ニューヨーク・タイムズWeb版)。

   モデルナ社はアメリカのバイオテクノロジーの製薬会社。記事を読む。「The company said a test in 8 healthy volunteers found its experimental vaccine was safe and provoked a strong immune response. It is on an accelerated timetable to begin larger human trials soon.」(同社によると、健康なボランティア8人を対象にテストを行なったところ、この実験用ワクチンは安全で、強い免疫反応を引き起こすことがわかったという。近いうちに大規模な臨床試験を開始する予定である)。この3月からNIH(国立衛生研究所)と共同で、ワクチン開発を進めてきた、とある。

   第1段階の臨床試験では、18歳から55歳の45人が対象となっているが、今回発表した結果は8人分にとどまっている。臨床試験全体の結果の公開がまだ示されていない。600人を対象とした第2段階の試験をまもなく開始、7月には健康な数千人を対象とした第3段階の試験を前倒しのスケジュールで進める。記事では「急ぐと安全性が損なわれ、結果的にワクチンが効かなくなったり、患者に害を与えたりするのではないかという懸念が科学者の間に広がっている」との懸念も示している。ただ、全体的な記事のトーンは、「offering a glint of hope to a world desperate for ways to stop the pandemic.」(パンデミックを食い止めようと必死になっている世界に希望の光を与えている)と前向きだ。

   そしてきょうの東京株式は日経平均が335円高で始まり、上げ幅は一時500円を超えている。ニューヨーク株式の「ワクチン高」の流れを引き継いでいるのだろう。確かに暗いニュースが蔓延する世界で希望の光になってほしい。このワクチンの普及で、来年は東京オリンピックも盛り上がってほしいと願う。

⇒19日(火)午前・金沢の天気    くもり