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☆コロナワクチン接種 打つか打たないかの自分事

☆コロナワクチン接種 打つか打たないかの自分事

   前回ブログで、自身のコロナワクチン接種4回目(8月)の副反応のことを記した。接種の翌日に小刻みに体が震える症状が出て、キードボードを打つことさえできなくなった。数分して震えが治まったものの、それ以来、「アナフィラキシー症状だったのか」と気になっていて、5回目接種の案内が市役所から届いたものの、万が一のことを考えて接種を控えることにした。

   たまたまブログをチェックしてくれた知人からは「医者と相談して決めたら」とメールが届いた。また、ブログでは「ベクルリー等の治療薬が在りますので医師に相談して接種した方が良いですよ」とコメントが寄せられた。ブログでそのように「意思表明」をしたので、後には引けないと思っている。しかし、接種しなかったことから、感染しやすくなるのではないかとの不安もよぎる。そして、夜にコロナ治療薬に関するニュースが入った。

   加藤厚労大臣は午後7時すぎの記者会見で塩野義製薬が開発したコロナ治療薬「ゾコーバ」について、国内での製造販売を緊急承認したと発表した。 承認されたのは、口から飲む錠剤タイプの抗ウイルス薬で、国産初の軽症者向けの新型コロナ治療薬となる。

   メディア各社によると、ゾコーバは北海道大学と塩野義製薬の共同研究でつくられ、コロナウイルスが増殖するのに必要な「3CLプロテアーゼ」という酵素を阻害することで、コロナウイルスの増殖を抑える効果がある。重症化リスクを抱えた患者や軽症・中等症患者を対象に実施した臨床試験で改善効果があった。

   このニュースに前のめりになったのは、ワクチン接種の有無にかかわらず効果があるということだった。5回目ワイチンを打たないと決めた自身にとっては、「もし、コロナに罹ったら、これだ」と励まされた気分になった。

   ただ、緊急承認は感染症などの際に医薬品を迅速に使えるようにするための制度なので、いわゆる「仮免許」のようなもの。承認期限は1年で、再審議で有効性を「確認」できなければ取り消される。また、塩野義は今後も有効性と安全性のデータを集める必要がある。

   これまでコロナ感染はワクチンを打てば大丈夫とまるで他人事のような感覚でいたが、5回目接種をどうすべきかと思慮するうちに自分事のように実感がわいてきた。

⇒23日(水・祝)午後・金沢の天気    くもり時々あめ  

★「除菌スタッフ」を横目に「ブースター接種」

★「除菌スタッフ」を横目に「ブースター接種」

   新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。きょうの紙面を見ると、北陸3県で千人を上回る新たな感染者が報じられている。進学や就職など人の動きが活発になるこの時季、そして今月13日に知事選と金沢市長選の投票がある石川県は大丈夫かと、ふと思ったりする。

   ようやくワクチンの3回目の接種を受けることができた。7日午後に予約した病院に行く。検温をして受付窓口へ。接種会場に行き、指定された番号のイスに着席した。順番待ちは30人くらいはいただろうか。そこで、見慣れない光景を見た。「除菌スタッフ」と書かれた作業着の5人が左手にスプレー、右手に布巾を持って、手すりやイス、机、カウンターで小まめに作業をしていた=写真=。「除菌スタッフ」という言葉は初めてだった。

   この病院で去年6月と7月にワクチンを2回接種したが、「除菌スタッフ」は見たことがなかった。思い当たるのは、先月25日付の報道で、この病院で感染者22人が出てクラスターとなったこと。おそらく、その対応策なのかと思ったりもした。とにかくていねいに徹底的に除菌するプロ集団のように思えた。

   順番が回って来た。小型ワゴンを押しながら女性看護師2人が近づいてきた。1回目、2回目と同様に接種を受ける側は座ったままで、看護師が会場を移動して接種する。接種後は15分間、イスに座って経過観察。用紙には「気分が悪くなってきた。座っているのがしんどい」「息切れがする。咳が出る」「じんましんや皮膚のかゆみがでてきた」などの体調の変化や自覚症状を感じた場合にはスタッフに告げてくださいとある。

   接種案内にはこの病院が扱っているワクチンはファイザー製とモデルナ製とあった。そこで、接種してくれた看護師が横を通ったので聞いた。「先ほど打っていただいたワクチンはファイザーですか」と。すると、「ファイザーは在庫がなくなり、モデルナです」との返事だった。1回目と2回目はファイザー製だったので、ちょっと嫌な副反応の予感がした。

   特に自覚症状はなかったので帰宅した。しばらくすると、1回目と2回目のときにはなかった副反応が出てきた。接種した左腕の付け根の当たりに痛みを感じるようになった。さらに倦怠感が出てきた。熱はないが、全身にだるさがある。翌日も同様だった。市内に所用があったので、念のため乗用車を使わずタクシーで出かけた。3日目のきょうようやく平常に戻った。

  ネットで調べると、ファイザー製ワクチンを2回打った人のうち、3回目にモデルナ製を交互接種した人の方が、3回ともファイザー製を打った人より抗体価の上昇率が高いと厚生労働省副反応検討部会で報告されている。接種後の副反応はモデルナ製の方が多く出る傾向も判明した(2月19日付・東京新聞Web版)。3回目接種は「ブースター接種」とも言われる。ブースターは「増幅器」のこと。副反応が出た分、抗体値がぐんと増幅してほしいものだ。

⇒9日(水)夜・金沢の天気    はれ

☆ワクチン接種完了もコロナ禍との戦いは尽きず

☆ワクチン接種完了もコロナ禍との戦いは尽きず

   石川県内の新型コロナウイルスの感染者で、感染力が強いとされる「デルタ株」の占める割合が今月に入り74.9%になった(石川県公式ホームページ「新型コロナウイルス」)。それにともなって、若年層(19歳から30歳)向けに県が開設した大規模ワクチン接種センターの新規予約が、国からのワクチンの供給が滞り、一時停止されたと報道されている。ワクチンはモデルナ社製だが、世界的に需要が高まり、供給がひっ迫している。

   ただ、ワクチンを接種したからといって安心できるだろうか。自身は7月18日に2回目のワクチン接種を終え、今月4日に抗体検査をした。ファイザー製ワクチンは、発症予防効果は95%とされているものの、効果には個人差があると言われている。自身の場合、ワクチン接種後の副反応がなかったため、本当に抗体ができたのかどうか、数値で調べてみたいと抗体検査を思い立った。接種を受けた金沢市内の病院で採血、その血液は検査機関で分析された。保険適用外で税込み6000円。きのう結果が書面で届いた。

   検査の項目名称は「SARS-CoV-2 抗S抗体定量 」。説明書などによると、ワクチンを打つと、スパイクタンパク質(Sタンパク質)の抗体を獲得する。Sタンパク質はコロナウイルスのトゲトゲの部分だ。このトゲトゲの構造に人体の免疫系が強く反応することで、ウイルスの感染に対する抵抗力、つまり抗体が獲得できる。その抗体獲得を示す抗体値が「定量」として示されている。結果は定量が「778.00 U/mL」で、判定は「陽性(+)」と書かれてあった。基準値は「0.80未満」が陰性の判定なので、数字的には大きく超えている。ひとまず安心したが、それにしても「陽性」という表現が釈然としない。ほかに適切な言葉がないものか。

   検査結果の書面を見て、接種後2週間余りでどのくらいの抗体値ができるものなのか、その中央値が知りたくなり、病院に電話で問い合わせた。すると、検査担当者は、「日本ではそのデータはまだない」とつれない返事だった。もう一つ質問した。接種してから日数が経過すると抗体値が減少するので、ファイザー製ワクチンを使用したイスラエルでは接種後5ヵ月経った60歳以上に3回目の接種を行っている。日本ではいつから3回目接種を行うのか、と。返事はこうだった。「抗体値が減少していても、感染源に触れると抗体は増加するものだ。また、3回目接種に関しては政府の方針が定まっていない」と。

   ワクチン接種を終えたからといってコロナとの戦いは終わったわけではない。この戦いはさらに続く。(※写真はファイザー社のワクチン=同社の公式ホームページより)

⇒12日(木)午後・金沢の天気     くもり

☆ワクチンパスポート申請は「勇み足」なのか

☆ワクチンパスポート申請は「勇み足」なのか

            新型コロナウイルスのワクチンを無事に2回接種し、副反応もなかったことから知人たちと海外旅行に行こうかとオンランでやりとりをしている。きょう26日から全国の自治体で「ワクチンパスポート」の申請の受け付けが始まるというので、さっそく午前中に金沢市役所に郵送で申し込んだ。知人たちから「えっ、旅行先もまだ決めていないのに、急ぐ必要はないよ」「あせることはない」とたしなめられた。確かに、旅行先すら決まっていないのに。これは自身の性格だ。体よくいえば「先手必勝」、悪く言えば「勇み足」「先走り」。

   ワクチンパスポートはワクチン接種を受けたことを証明するものだ。これを入国時に提示すると、隔離措置などが免除される。ただし、当面はイタリア、オーストリア、トルコ、ブルガリア、ポーランドの5か国のみで、今後相手国の確認が取れれば随時公表していくとしている(外務省公式ホームページ)。

   必要書類は金沢市役所の公式ホームページに記載されている。まず、ホームページから交付申請書をダウンロード。その他に旅券、接種した病院が発行した予防接種済証(臨時)、マイナンバーカードか運転免許など住所を明示するもの、それぞれコピーの一式をそろえた。返信用の封筒に切手を貼って同封して、近くの郵便局で投函した。市のホームページには「受付から接種証明書の発行までは1週間程度要します」と記載されている。来月の初旬にはワクチンパスポートが自宅に届くだろう。

   知人たちとのその後のメールのやりとり。自身は今月18日にワクチン接種の2回目を終えて安堵しているのだが、一人からこんなメールが。「接種を終えたからといって安心できないよ。毎日酒を飲んでいると抗体ができにくいらしい」と。これにはまたひと騒ぎが起きた。その知人が送ってくれたURLは読売新聞Web版の記事(6月6日付)だった。以下要約。

   千葉大医学部付属病院は、同院職員を対象とした新型コロナウイルスワクチンの有効性を調べる研究の経過報告を発表した。ファイザー社製ワクチンを2回接種した1774人のうち、99.9%の人に抗体の量を示す「抗体価」の上昇がみられたという。抗体価が上がりやすかったのは、コロナの罹患歴がある人や女性、抗アレルギー薬を内服している人。一方、副腎皮質ステロイドの内服や頻繁に飲酒をしている人などは、抗体価が上がりにくいことも分かった。ただ、同院は「十分な量の抗体ができていると考えられる」としている。

   上記の記事では「頻繁に飲酒をしている人などは、抗体価が上がりにくい」と記されている。続けて、「十分な量の抗体ができていると考えられる」とも書かれている。実に微妙な言い回しだ。知人たちは疑心暗鬼に陥った。本当は飲酒者には効果が低いのだが、正直にそのように報告書に掲載すると、社会が混乱する。そこで、「十分な抗体ができていると考えられる」とあえて付記しているのではないか、と。そもそも、「考えられる」は逃げの表現だ。

   オンラインでやり取りしている知人たちは皆、酒飲みだ。中には、繁華街に出る回数が減った分、毎日の家飲みが習慣化して家族関係が微妙になったと告白する輩もいる。ワクチンを2回接種したからと言って安心はできない、ということだ。ワクチンパスポートを持っているからと言って、抗体や免疫が担保されなければ意味がない。海外で感染すれば元も子もない。

   午前中の盛り上がりが午後には一転、海外旅行の話は急にトーンダウンしてしまった。ワクチンパスポートの申請はやはり「勇み足」だったのか。(※イラストは厚労省公式ホームページより)

⇒26日(月)午後・金沢の天気     はれ時々くもり

☆オリンピック、ワクチン「金づる」のシステム

☆オリンピック、ワクチン「金づる」のシステム

    結局、いいように「金づる」にされているのか。時事通信Web版(6月3日付)によると、WHOが参加を呼びかけたワクチン供給の国際組織「COVAX」のサミット(オンライン会議)が2日開かれ、菅総理は新型コロナウイルスワクチンの途上国への公平な普及に向け、8億㌦の追加拠出を行うと表明した。途上国向けワクチンについては、これまで日本政府は2億㌦を拠出していて、今回の8億㌦と合わせると、拠出額はアメリカに次ぐ10億㌦となる。

   日本国内のワクチン接種は65歳以上の高齢者3600万人のうち2回接種は47万人(6月1日現在・総理官邸公式ホームページ)、率ではわずか1.3%だ。国内でこんな状況なのに、他国になぜ10億㌦も寄付をするのか、国内にもっと注力してほしいと誰しもいぶかるに違いない。

   金づるの仕組みはもう出来上がっている。5月15日付のこのブログでも述べたが、昨年2020年5月16日、WHOのテドロス氏とIOCのバッハ会長は「スポーツを通して健康を共同で促進していく覚書(MOU)」を交わしている。その中で、オリンピックなど国際スポーツイベントの開催にあたっては、WHOからガイドライン(この場合は助言)が示される。つまり、パンデミックの下で東京オリンピックを開催するしないの「決定権」を握っているのはWHOだ。

   テドロス氏がオリンピック参加国でもある低所得国にワクチンが行き渡らない状態ではオリンピックは開催できないと言えば、バッハ会長も従わざるを得ないだろう。そこで、テドロス氏の意向を受けたバッハ氏が今度は東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本会長を通して、COVAXへの拠出を要望してきた。菅総理も日本が拠出しないと東京オリンピックのイメージダウンになると決断したのではないだろうか。

   この「COVAXストーリー」はさらに奥が深い。WHOが中心となってワクチンを共同購入することになるが、主な購入先は中国だろう。WHOは5月7日に中国国有製薬大手「中国医薬集団(シノファーム)」が開発した新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認。治験などから推定される有効性は79%。そして、きのう2日にも中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)のワクチンについて緊急使用を承認した。

   CNNニュースWeb版(6月2日付)=写真=によると、WHOはシノバック製ワクチンの使用認可で、供給問題に直面しているCOVAX計画が加速すると期待し、担当者は「世界全体で起きているワクチンへのアクセスの不平等さを克服するには、複数のワクチンが必要だ」と述べた。中国政府は、年末までに30億回分を生産したいとしている。

   これまで最大のワクチン供給元となっていた「インド血清研究所(SII)」は、国内の感染急拡大を受けて3月にワクチンの輸出を停止している。

   世界から集められた拠出金で中国製のワクチンを購入するシステムが出来上がる。同時に、中国としては、来年2月の北京冬季五輪はワクチンが世界に行き渡った状態で開催する。まさに「一石二鳥」と豪語しているだろう。日本はただの金づるになっているだけ。裏読みのストーリーではある。

⇒3日(木)午前・金沢の天気    はれ

★「トーチキス」って何だ 時代の変化とカタカナ語

★「トーチキス」って何だ 時代の変化とカタカナ語

          きょう2日、ようやく金沢市のコロナワクチンコールセンターと電話がつながり接種の予約ができた。5月6日から予約が始まり、土日を除いて毎日繰り返し電話をしたがつながらず、「電話うつ」の状態だった。夕方になって繋がってもきょうの予約分はすでにいっぱいになっていて、係員から「あすまた電話をおかけください」と言われ、ショックを受けていた。電話そのものをかけたくなくなる状態だった。

   きょうは正午ごろにつながって、接種券の番号や住所・氏名、指定の病院、日時、当日持参する書類の確認など5分足らずの手続きだった。最後に「ほかに何か問い合わせがありますか」と聞かれたので、「なぜつながらないのか、予約の仕組みがおかしい」と一言文句を垂れようかと一瞬思った。が、電話の相手の男性のしゃがれ声に対応の疲労を察して、「お疲れ様、ありがとう、これで安心しました」と受話器を置いた。

   話はがらりと変わる。東京オリンピック・パラリンピックの「聖火リレー」が31日と1日の両日、石川県内で行われた。テレビでその様子を見ていた。石川県に適用されている新型コロナウイルスの「蔓延防止等重点措置」(今月13日まで)を受けて、公道でのリレーは中止になった。その代わり行われたのが無観客のセレモニー会場のステージで行われた「トーチキス」。ランナーは走らずにトーチで聖火を受け渡す=写真、東京オリ・パラ組織委員会公式ホームページより=。

   それにしても、「トーチキス」という言葉は今回初めて知った。それぞれトーチがまるでキスでも交わすように聖火を渡していくので、「トーチキス」。和製英語なのだろうか。

   昨年の新型コロナウイルスのパンデミック以来、次々とカタカナ語が飛び交っている。「ロックダウン」や「ソーシャルデスタンス」、「クラスター」などはその典型だろう。これらの言葉は聞いただけでなんとなく理解はできるが、戸惑うカタカナ語もある。この3月、テレビのニュースで東京都の小池知事が「ハンマー・アンド・ダンスという言葉があるが、今はダンスの時ではない」と語っていた。「ハンマー・アンド・ダンス(The Hammer &The Dance)」、ネットなどで調べると、ハンマーでたたくように対峙、そしてダンスを踊るように共存を意味する。アメリカでは医療従事者の間でよく使われる感染対策の理論のようだ。

   時代の変化とともにカタカナ語などがどんどんと生れ、移入してくる。そして時代が去れば言葉も死語と化す。言葉は生き物のようでもある。とりとめのない話になってしまった。

⇒2日(水)夜・金沢の天気      はれ

★「誰一人取り残さない」ワクチン接種のシステムを

★「誰一人取り残さない」ワクチン接種のシステムを

   「報道の自由」は国民の知る権利に応えるメディアの振る舞いであり、憲法第21条の表現の自由が拠りどころとなっている。ところが、欠点やあやまちを執拗に探して報じる、「あら探し」のような報道もないわけではない。

   岸防衛大臣がきのう18日閣議後の記者会見で述べたメディアへの抗議がニュースになった。新型コロナウイルスのワクチンの大規模接種センターのインターネットによる予約をめぐり、朝日新聞出版のニュースサイト「アエラドット」と毎日新聞の記者がそれぞれ、実在しない接種券番号で予約できることを実際に予約して試した記事を掲載した。これに対して、岸氏は「悪質な行為で、極めて遺憾だ」と抗議した(5月18日付・NHKニュースWeb版)。

  防衛庁の公式ホームページに岸氏の会見内容が掲載されている。その中で、「今般の予約に関して、朝日新聞出版アエラドットの記者の方および毎日新聞の記者の方から、不正な手段によって予約が取れたがどのように受け止めているのか、との問い合わせが防衛省にございました」と経緯を述べている。

   架空の番号でも入力が可能であることの原因について、「不正な手段による虚偽予約を完全に防止するためには、市区町村が管理する接種券番号を含む個人情報をあらかじめ防衛省が把握し、入力される予約情報と照合する必要があります。このようなシステムを短期間で実現するのは、国民の皆さまに迅速にワクチン接種を受けていただけるようにするという観点から、困難であり、そして何より、この予約システムを本センターにおいて運営するにあたり、接種対象となる全国民の個人情報を防衛省が把握することは適切ではないと考え、採用しないこととした」と。解釈すれば、予約システムの完璧性を求めて時間をかけるより、迅速な接種のために必要な範囲でシステム構築をした。

   問題はむしろ以下だと指摘している。「今回の記者の行為は、ワクチン接種を希望する65歳以上の方の接種機会を奪い、ワクチンそのものが無駄になりかねない悪質な行為であり、極めて遺憾」。つまり、予約システムにこのような欠陥があると報道すれば、かえって不正なアクセスを助長することになりかねない。一方で、岸氏は「今回の問題を受け、例えば、市区町村コード等については、真正な情報であることが確認できるように、対応可能な範囲でのシステム改修を実施する予定」とシステム改修の意向を述べている。

   このニュースで思うことは、メディアが問うべきは、高齢者の中にはネットにアクセスできない人が大勢いるはずで、その人たちへの接種の段取りのケアはどうすべきなのか、ではないだろうか。それより何より、これは持論だが、予約システムそのものが必要なのか、ということだ。予約にこれほど時間をかけるより、迅速に接種を始めること、接種率を高めることが必要だろう。このブログでも何度か述べているが、選挙の投票方式で地区ごとに日程を指定した案内はがきを出して接収を始めればよい。予約システムが完璧であることより、「誰一人取り残さない」接種のシステムをどう構築するか、ではないだろうか。

(※写真は、朝日新聞出版のニュースサイト「アエラドット」で掲載された「予約システムに重大欠陥」の5月17日付記事)

⇒19日(水)午後・金沢の天気     くもり時々あめ

☆世界にさらす「ワクチン敗戦国」の姿

☆世界にさらす「ワクチン敗戦国」の姿

   国ごとの新型コロナウイルスのワクチンの接種率はすでに国際評価の判断基準になった。オックスフォード大学などが運営する共同サイト「Our World ㏌ Data」によると、「少なくとも1回のワクチン接種した人数の国ごとの人口割合」(5月16日現在)で日本は3.46%となっている。トップはイスラエルでの62.7%で、それに続くのがモンゴルで54.25%だ。同じサイトでワクチン供給元を探すと、モンゴルはアストラゼネカやファイザーの企業のほか、中国やロシアからも入れている。地の利を生かしながら世界からワクチンを集めているのだ。こうしたデータを見ると「日本3.46%」は実に情けない数字だ。それどころか、国際評価から完全に見放されている。

   その事例が経済と株価、そして東京オリンピックではないだろうか。先ほど内閣府が公式ホームページで発表した2021年1-3月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.3%減、年率換算で5.1%減だった。マイナス成長は3四半期ぶり。1-3月期は新型コロナウイルスの感染拡大で政府が東京などに緊急事態宣言を発令した時期と重なる。そして2020年度は前年度比4.6%減で、戦後最大の落ち込みとなったことが分かった。日本は国債や借入金などを合わせた「国の借金」が3月末時点で1216兆円に達し、過去最大、そして世界で最大となった。世界の誰もが考えることは、日本は変異株によってこれからも緊急事態宣言を繰り返すことで経済はさらに低迷する、国の借金で財政破綻するのも間近だろう、と。

   東京オリンピックについても世界は厳しい目で見ている。ニューヨーク・タイム紙(5月11日付)は「A Sports Event Shouldn’t Be a Superspreader. Cancel the Olympics.」の見出し=写真=で、オリンピックを研究する政治学者の記事を掲載している。記事では、IOCは収益の73%を放送権料が占めるので東京五輪を手放さないだろうが、ワクチン接種が数%で日本の世論も60%が開催に反対している。オリンピックを「スーパースプレッダー(感染源)」してはならない、「科学に耳を傾け、危険なジェスチャーを止める時が来た。東京オリンピックは中止されなければならない」と痛烈だ。

   日経平均株価はことし2月16日に3万714円をつけて以降は、最近は下降傾向で2万8000円台だ。逆に、アメリカは3月以降、コロナ感染状況の好転とワクチン接種の進展を受けて経済活動が息を吹き返し、5月10日にダウは3万5000㌦を一時突破した。ワクチン接種が遅れた日本と進んだアメリカの格差が、株価パフォーマンスとしてはっきりと表れている。

   今後、日本はグローバル化から見放されて世界から旅行先などに選ばれなくなるだろう。また、留学生たちも母国に帰りワクチンを接種、そして日本には戻らないのではないだろうか。こう書いているだけで気が滅入る。

⇒18日(火)午前・金沢の天気     くもり

★「ワクチン接種」予約は必要なのか

★「ワクチン接種」予約は必要なのか

   きょうから東京と大阪で行われる新型コロナウイルのスワクチン接種の予約受付が始まる。このブログで何度か「ワクチン敗戦国」と称してきた行政の対応の矛盾などが一気に噴き出すのではないかと懸念している。たとえば、一番の混乱は、予約は防衛省のホームページや通信アプリ「LINE」などインターネットでのみの受付となっていて、電話は受け付けないということだ。

   ネットやスマモを使わないシニアは多数いる。これは全国統計だが、総務省「情報通信白書(令和2年版)」によると、70代(70-79歳)のSNS利用者は41%だ。さらに、「NTTドコモ」モバイル社会研究所のSNS利用動向についての調査リポート(2020年6月29日付)によると、スマホを所持する70代の46%がLINEを利用している。この割合でいくと、LINEを使っている70代は19%、つまり5人に1人ということになる。東京23区では午前11時から予約を開始しているが、「なぜ電話で受け付けないのか」と各役所には苦情が殺到しているだろう。

   さらに、金沢市でも見られた事例だが、二重予約の原因にもなる。ネットやスマホを使わないお年寄りは知人や家族ら複数の人に予約の代行を依頼している。実際に知り合いの80歳代のお年寄りは3人に依頼し、うち2人が登録を済ませていた。接種センターでは、自治体とシステムがつながっていないため、二重の予約を防ぐ手立てはない。

   そもそも予約は必要だろうか。むしろ、ワクチンの接種率をどうすれば高めることができるかが肝心な点ではないか。これを選挙の投票率を高める発想と考えるといろいろアイデアが浮かぶ。つまり、「接種権」と「投票権」を同列に考えて、選挙管理委員会と連携を取る。住民登録をベースにした「接種人名簿」を作成し、「接種はがき」を事前に送付する。接種日と会場を地区ごとに分散させて、小中学校や公共施設で接種会場で来訪順に接種する。1回目が済んだときに2回目の接種はがきを渡す。アナフィラキシーショックを想定して、15分後をめどに会場を退出する。医師1人1時間あたり20回接種(厚労省基準)といわれているので、地区ごとの接種人の人口を換算して医療関係者を配置する。 

   政府は高齢者への接種を7月末までに終えたいとの方針のようだが、変異株では年代は関係なく感染が拡大する傾向にある。接種日と会場を地区ごとに分散させる方式ならば、接種年齢を現在の65歳以上から20歳以上に拡大してもよい。さらに、緊急事態宣言や「まん延防止等重点措置」の対象地域を優先的に接種した方が効率的ではないだろうか。

   2月に始まった日本のワクチン接種は2%と先進国の中で最も低い(5月14日付・Bloomberg-Web版日本語)。接種率が上がらなければ、「ワクチン敗戦国」として、世界からオリンピック参加すら忌避されるだろう。

⇒17日(月)午前・金沢の天気    あめ

★WHOテドロス氏「ワクチン寄付」集めの裏読み

★WHOテドロス氏「ワクチン寄付」集めの裏読み

   WHOのテドロス事務局長の発言がまた波紋を呼んでいる。 テドロス氏が14日の記者会見で、一部の高所得国が子供に対する新型コロナウイルスワクチンの接種を始めたことについて、医療従事者らもまだ接種できていない低所得国への寄付を優先すべきと述べたと報じられた(5月15日付・時事通信Web版)。テドロス氏の発言内容を詳しく知りたくて、WHOの公式ホ-ムページをチェックした=写真=。問題の発言は以下だ。

   I understand why some countries want to vaccinate their children and adolescents, but right now I urge them to reconsider and to instead donate vaccines to COVAX. (意訳:私は、一部の国が子供や青年にワクチンを接種したい理由を理解しているが、今、彼らに再考を促し、代わりにCOVAXにワクチンを寄付することを強く勧めしている)。

   ワクチン供給のわずか0.3%しか低所得国に届いていない状況の中で、アメリカが接種年齢をこれまでの16歳以上から12歳以上に拡大したことを受けての発言だろう。そのテドロス氏の発言が波紋を呼ぶ背景には、中国がある。WHOは今月7日に中国国有製薬大手「中国医薬集団(シノファーム)」が開発した新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認している。治験などから推定される有効性は79%。中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)のワクチンについても審査中で、近く結果が発表される見通し(5月8日付・同)。

   上記からあるストーリーが浮かぶ。COVAXはWHOが中心となってワクチンを共同購入する組織だ。WHOの公認ワクチンを中国から購入することで低所得国に分配したいとテドロス氏は考えているに違いない。あるいは、中国から入れ知恵があったのかもしれない。中国側もこれまでのワクチン外交からワクチンビジネスに本格的に参入したい思惑があるだろう。

    さらにスト-リーは展開する。WHOによる低所得国へのワクチン寄付の要請は真っ先に日本に向かってくる。そう懸念する論拠は以下だ。昨年2020年5月16日、テドロス氏とIOCのバッハ会長は「スポーツを通して健康を共同で促進していく覚書(MOU)」を交わしている。その中で、オリンピックなど国際スポーツイベントの開催にあたっては、WHOからガイドライン(この場合は助言)が示される。つまり、パンデミックの下で東京オリンピックを開催するしないの「決定権」を握っているのはWHOなのだ。

   テドロス氏がオリンピック参加国でもある低所得国にワクチンが行き渡らない状態ではオリンピックは開催できないと言えば、バッハ会長も従わざるを得ないだろう。そこで、テドロス氏の意向を受けたバッハ氏が今度は東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本会長にWHOへのワクチン寄付を要望してくることは想像に難くない。

   そうして集められた世界からの寄付金で中国製のワクチンが購入されるシステムが出来上がる。同時に、中国としては、来年2月の北京冬季五輪はワクチンが世界に行き渡った状態で開催する、世界史上で類を見ない大会だと豪語するだろう。中国製ワクチンの緊急使用をWHOが承認したのはその布石だった。裏読みではある。

⇒15日(土)夜・金沢の天気      あめ