#ロシア

★反戦とロシアへ怒り込め「Peace!」IPC会長スピーチ

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☆「原発占拠」と「注射器の投棄」不気味さ増すロシア

☆「原発占拠」と「注射器の投棄」不気味さ増すロシア

   おそらくロシアはこれをNATOやEUへの脅しに使ってくるのではないかと考え込んでしまった。メディア各社の報道によると、ウクライナ南部のクリミア半島近くにあるザボロジエ原発がロシア軍から砲撃を受け、占拠された=写真=。ウクライナにある15の原子炉のうち6基がザボロジエ原発に集中している。ザボロジエ原発が爆発すれば、チェルノブイリ原発の10倍の被害になるとして、ウクライナ側はロシアに即時停止を求めた。ゼレンスキー大統領はFacebookに動画を投稿し「もし核爆発が起きればみんなおしまいだ。ヨーロッパの終わりになる。ヨーロッパの即座の行動だけがロシア軍を止められる。ヨーロッパを核で破滅させるわけにはいかない」と危機感を露わにした(4日付・NHKニュースWeb版)。

   ロシア側はザボロジエ原発を占拠した理由について、原発に貯蔵されている使用済み核燃料や高レベルの放射性物質をウクライナが核兵器に利用する恐れがあると主張した。IAEAは原子力施設に対する武力攻撃は国連憲章、国際法などの原則に反すると声明を発表し、ロシアをけん制した。いまのところ、原発周辺の放射線量に変化はなく、ウクライナ側は火災は主要設備に影響していないとIAEAに報告した(同)。ロシアがザボロジエ原発を占拠したことで、ヨーロッパへの脅しに使ってくるのではないか。「いつでも爆破させるぞ」と。

   ロシアの不気味なニュースをもう一つ。石川県の地元メディアによると、能登半島の尖端付近の海岸に大量の注射器が漂着し、輪島市の海岸だけで625本が見つかった。包装用の袋にはロシア語の表記があった。注射器の長さは約10㌢で、針のついているもの、針だけ包装されているものもあった(4日付・北國新聞夕刊)。

   これまで島根や鳥取、兵庫、京都府の海岸でも似た注射器が見つかっている(2月28日付・共同通信Web版)。これだけ広域に漂着しているということは以下のことが推測できる。能登半島の沖合には北朝鮮の木造船がよく流れ着く。大陸側に沿って南下するリマン海流が、朝鮮半島の沖で対馬海流と合流し日本海側の沿岸に流れてくる。とくに能登半島は突き出ているため、近隣国の漂着ごみのたまり場になりやすい。おそらく、ロシア、あるいはロシアから提供を受けた北朝鮮が沖合で廃棄した注射器ではないだろうか。見つかっているのはごく一部で、膨大な量の注射器が海を漂っているに違いない。

   ことし1月には能登半島の珠洲市の海岸で、船体の全長が50㍍ほどある鉄製の船が海岸に流れ着いた。船体にはロシア語が書かれていた。能登海上保安署は、ロシアで射撃訓練の際に「標的船」として使われる船に似ているという(1月4日付・朝日新聞ニュースWeb版)。ロシアは日本海でなぜ、どのような理由で射撃訓練をしたのか。実に不気味だった。

⇒4日(金)夜・金沢の天気     くもり

★「瀬戸際外交」「人質外交」 日米はどう向き合うのか

★「瀬戸際外交」「人質外交」 日米はどう向き合うのか

   ウクライナ情勢は一線を超えたのか。ロシアはウクライナ国境付近に13万人規模の軍部隊を配置している。戦車、大砲、医療施設、後方支援態勢などすべてがそろっている(2月15日付・BBCニュースWeb版日本語)。ロシアのプーチン大統領はウクライナを攻撃して侵攻するつもりはないと繰り返してきた。しかし、ついに21日、停戦協定を破棄し、ウクライナ東部で親ロシア派の武装分離勢力が実効支配してきた2つの地域について、独立を自称してきた「共和国」を承認。加えて、この2地域にロシア軍部隊の派遣を命令した。「平和維持」が目的だと、プーチン氏は言う(23日付・同)。

   ロシアのこの手法は2014年3月にウクライナのクリミア半島を併合したときと同じだ。クリミア半島にはロシア系住民が多くいたことから、ロシアは主権・領土の一体性を保障する国際法を無視して半島に浸出し、現地での住民投票でロシアへの編入を望む声が圧倒的多数だったとして半島を併合した。このとき、プーチン氏は演説で「9割以上がロシア併合に賛成したことは、十分に説得力のある数字だ」と述べた(Wikipedia「ロシアによるクリミアの併合」)。正当性がありそうな主張に聞こえるが、そもそも国際法違反だ。ロシアのむちゃぶりな「瀬戸際外交」だ。ロシアによるクリミア併合は認めないとする国連総会決議も採択されている。

   中国のケースは「人質外交」を狙っていると言えるかもしれない。NHKニュースWeb版(23日付)によると、 北京の日本大使館の職員が21日午後、北京市内で公務中に中国当局に一時的に拘束された。日本の外務省の事務次官は、中国の駐日臨時代理大使を呼んで、正当な公務中の拘束でありウィーン条約に明白に違反していると厳重な抗議を行った。これに対し、中国大使館は23日、報道官の談話を発表し「日本の外交官は中国でその地位にふさわしくない活動を行っており、中国の関係部門が法律に基づいて調査を行った。中国は日本側のいわゆる抗議を受け入れない」と反論した。

   日本も中国も批准しているウィーン条約では外交官が現地の国内法に違反していても逮捕を免れる「不逮捕特権」を認めている。おそらく、中国は一時拘束はしたものの、逮捕はしていないので条約違反ではないと言いたいのだろう。それにしても、中国側が大使館員の情報収集活動などの公務を逐一チェックしていることが明白になった。中国には「国家情報法」がある。11項目にわたる安全(政治、国土、軍事、経済、文化、社会、科学技術、情報、生態系、資源、核)を守るために、日本の大使館員がこうした関係者に接触した場合、重大な機密情報を盗み出す行為と解釈すれば長期の拘束もありうるだろう。

   以下憶測だ。先月21日、岸田総理はアメリカのバイデン大統領とテレビ会議方式で会談を行った=写真、外務省公式ホームページより=。両者は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、ウクライナ情勢について日米連携を確認した。これに対し中国は、日米は台湾に口出しするなと言いたいだろう。そして、駆け引き材料となるような「人質」を狙っているのかもしれない。
 
   そう憶測させる事件として、2018年12月に中国の通信機器「ファーウェイ」の副会長がカナダ当局に詐欺疑惑で逮捕された。その後、中国は国内にいたカナダの実業家と元外交官の2人をスパイ容疑で逮捕。2021年9月にファーウェイ副会長はアメリカに身柄の引き渡しが決まっていたが、アメリカとの司法取引に応じることで起訴猶予となり釈放。実刑が決まっていたカナダ人2人も釈放された。この事件、中国は「人質」を駆け引きの材料に、カナダとアメリカを相手に激しい外交協議を行っていたことは想像に難くない。

   ウクライナ、そして台湾海峡をめぐる情勢に、ロシアは「瀬戸際外交」を、中国は「人質外交」を駆使してくる。日米はどう向き合っていくのか。

⇒24日(木)午後・金沢の天気    くもち時々ゆき

☆五輪後に漂うキナ臭さ

☆五輪後に漂うキナ臭さ

   日増しにキナ臭さが漂う世界の動きだ。時事通信Web版(2月15日付)によると、防衛省は15日、ロシア海軍の艦艇24隻が今月1日以降、日本海とオホーツク海南部で活動しているのを確認したと発表した。さらに、岸防衛大臣は次のように述べている。

   「(ロシア海軍は)オホーツク海および太平洋に広大な訓練海域を設定して演習を実施するとともに、2月12日には、演習に参加するロシア海軍の艦艇が、アメリカ海軍の原潜のロシア『領海』への進入に対応した旨、主張しています。こうしたことを踏まえれば、少なくとも昨今のウクライナ周辺におけるロシアの動きと呼応する形で、ロシア軍が東西双方で同時に活動し得る能力を誇示するため、ロシアの戦略原潜の活動領域であるオホーツク海においても、その活動を活発化させていると考えられます」(2月15日付・防衛省公式ホームページ「防衛大臣記者会見」)

   BBCニュースWeb版日本語(15日付)は「ロシアはウクライナ国境付近に約13万人規模の軍部隊を配置している。戦車、大砲、医療施設、後方支援態勢など、すべてがそろっている」と報じている。また、20日付では、イギリスのジョンソン首相がウクライナ問題について、「ロシアは1945年以来、ヨーロッパで最大の戦争を計画している」と語ったと報じている=写真=。その一方で、東側の日本海とオホーツク海南部にロシアは艦艇24隻を配備している。なぜロシアはこのような西と東の2正面展開を行っているのか。

   以下はあくまで憶測である。中国の習近平国家主席は今月4日、北京オリンピックの開幕に合わせて北京を訪問したロシアのプーチン大統領と会談を行っている。このときの確認事項は、中国はロシアのウクライナ併合を支援し、ロシアは中国の台湾併合を支援することではなかったか。そう考えると、ロシアの艦艇24隻が今後日本海を南下して台湾を囲んで、アメリカ海軍と対峙するのではないかと想像する。中国海軍とロシア海軍が合同でアメリカ海軍と向かう。同時に尖閣諸島を取り囲み、日本と対峙する、そのようなシナリオではないのか。

   CNNニュースWeb版日本語(20日付)によると、オーストラリア国防軍は19日、空軍の哨戒機が飛行中に中国軍艦からレーザー照射を受けたとして、「命を危険にさらす恐れのある行為」を非難する声明を出した。 声明によると、哨戒機は17日、豪州北部とインドネシア東部ニューギニア島の間に位置するアラフラ海の上空で、東進中の中国軍艦2隻のうち一方からレーザーを照射された。レーザーを照射された操縦士は方向感覚を失ったり、痛みやけいれん、視界の異常を起こしたりすることが知られている。

           中国軍の挑発的とも読めるこの行為は何を意味しているのか。北京オリンピックの後、何が始まるのか。軍事力による一方的な現状変更が西と東で起きるのか。

⇒20日(日)夜・金沢の天気     くもり

★ニュース悲喜こもごも

★ニュース悲喜こもごも

   残念なこと。今月2日付のブログ「☆現場を行く~海上の空で消えたF-15戦闘機~」の続報。先月31日、航空自衛隊小松基地のF15戦闘機1機が訓練のために基地を離陸したあとにレーダーから機影が消え、小松市沖の日本海に墜落した。この事故で戦闘機に乗っていた飛行教導群司令の田中公司1等空佐52歳と飛行教導隊隊員の植田竜生1等空尉33歳の2人が行方不明になっていた。田中1佐が前席、植田1尉が後席に乗っていた。捜索できょう14日までに2人の遺体が発見された。

   地元紙の報道によると、11日午前11時50分ごろ、海上自衛隊の隊員が潜水して捜索していたところ、機体がレーダーから消えた基地からおよそ5㌔の海域で一人の遺体を発見。そしてきのう13日午前9時10分ごろ、現場海域で海自の隊員が新たに一人遺体を見つけ、それぞれ身元を特定した。航空自衛隊のこれまでの捜索で、水平尾翼やエンジン排気口、燃料配管などの一部がそれぞれ見つかっている。空自が委託した民間のサルベージ船が近く機体を引き揚げ、原因究明を進める。

   あっぱれ。北京オリンピックのあのダイナミックな演技は冬季五輪の歴史に輝くだろう。平野歩夢選手が11日にスノーボード男子ハーフパイプで金メダルを獲得した。テレビで協議の中継を見ていた。言葉も初めてだった。「トリプルコーク」。最高難度の大技で「1440(斜め軸に縦3回転、横4回転)」を決めた。2回目で2位の91.75点は物議を醸したが、3回目に96.00点をマークして逆転で金メダルを獲得した。このトリプルコーク1440というのが人類初めての公式戦で演技だったというので納得した。

   危うい。紛争は2014年からあったが、今もっとも緊張が高まっている。ロシアがウクライナを侵攻すれば、エネルギーの需給がひっ迫するとの見方から原油価格も上昇している。アメリカの政府高官が11日に、「ロシアの侵攻が北京オリンピックの期間中にもありうる」と発言したあたりから世界に緊張感が高まった。日本の外務省はウクライナの危機情報を最高度の「レベル4」(退避勧告)に引き上げ、滞在する日本人にただちに退避するよう指示している。

⇒14日(月)夜・金沢の天気       くもり

★「日本海の脅威」ロシアの軍用船漂着、北の弾道ミサイル

★「日本海の脅威」ロシアの軍用船漂着、北の弾道ミサイル

   前回のブログの続き。きのう4日午前8時30分ごろ、能登半島の尖端、珠洲市真浦町の海岸に船体の全長が50㍍ほどある鉄製の船が海岸に流れ着いているのを住民が見つけ、海上保安庁に連絡した。船体にはロシア語が書かれている。能登海上保安署では、ロシアで射撃訓練の際に「標的船」として使われる船に似ているという(4日付・朝日新聞ニュースWeb版)。きょう漂着船を実際に見に行ってきた。

   現地に到着したのは午前11時45分ごろ、金沢から2時間ほどかかった。現場は車が通行できない旧道のトンネルの近くにある。通行禁止の柵が設けられ、警察パトカー2台が見張っていた。そこで、トンネルの反対側の道路から入ることにした。その道路はがけ崩れ現場で、車は入れない。パトカーは配置されていなかったので、車を近くに置いて徒歩で現場に向かった。

   途中で道は土砂崩れで陥没していた。引き返そうかとも思ったが、思い切って山積みになった土石を登ってみた。すると、100㍍ほど先に漂着船が見えた=写真・上、5日午後0時5分ごろ撮影=。船体は岩の入り江のようなところにあり、高波で船体が岩に打ち付けられている。前日の新聞写真の船体よりもかなり崩れていて、船体そものが2つに折れているようにも見えた。この鉄製の漂着船の処分費用にはどれほどかかるのか。木造船とは違って、相当な税金が使われるのだろう。日本海のごみ問題を考えてしまう。

   きょうはこの海の向こうでも大変なことが起きていた。北朝鮮が日本海に向けた弾道ミサイルを発射したのだ。防衛省公式ホームページによると、北朝鮮はきょう午前8時7分ごろ、内陸部から弾道ミサイルの可能性があるものを東方向に発射した。落下地点は排他的経済水域(EEZ)外と推定される。航空機や船舶からの被害報告などは確認されていない。去年10月19日にも北朝鮮は潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)を、9月には11・12日に長距離巡航ミサイル、15日に鉄道線路での移動式ミサイル=写真・下、朝鮮中央テレビ動画=、28日に極超音速ミサイルを発射している。

   その脅威は狙いを定めて発射していることだ。弾道ミサイルを撃ち込む標的の一つが能登半島だ。2017年3月6日、北朝鮮は「スカッドER」と推定される弾道ミサイルを4発発射し、うちの1発を能登半島から北に200㌔の海上に着弾させた。半島の先端・輪島市の高洲山(567㍍)には航空自衛隊のレーダーサイトがある。その監視レーダーサイトの目と鼻の先にスカッドERが撃ち込まれた。

   ロシアの軍用船の漂着も北朝鮮の弾道ミサイルも海の向こうからの脅威だ。これらをなぜ外交問題としないのか。

⇒5日(水)夜・金沢の天気     くもり

☆地震と漂着船 漂う不気味さ

☆地震と漂着船 漂う不気味さ

   きょう新年の初詣に白山比咩神社(白山市)に行ってきた。「ことし1年、無事でありますように」と祈った。このところ地震と漂着ごみの不気味な動きが続いている。5日前の大晦日の午後2時時52分ごろ、能登半島の尖端を震源とする震度3、マグニチュード4.2の揺れがあった。金沢地方気象台によると、2021年1月から12月までの1年間で震度1以上の地震が70回以上も発生している。9月16日には震度5弱の地震もあった。不気味だったのは、9月29日に能登半島沖が震源なのに太平洋側が揺れた「異常震域」の地震があった。震源の深さは400㌔、マグニチュード6.1の地震に、北海道、青森、岩手、福島、茨城、埼玉の1道5県の太平洋側で震度3の揺れを観測した。

   これは人為的な原因によって誘発される「誘発地震」か、と考え込んでしまった。というのも、北朝鮮が同じ9月の15日正午過ぎに弾道ミサイル2発を発射、その1発が能登半島沖の舳倉島の北約300㌔のEEZに落下した(同月15日・防衛大臣臨時会見「北朝鮮による弾道ミサイル発射事案」)。この落下地点と29日の震源が近かった。不気味だ。

   そして、寒風吹きすさぶ冬の日本海から漂着船が流れ着いている。きょう4日午前8時30分ごろ、珠洲市真浦町の海岸で、船体の全長が50㍍ほどある鉄製の船が海岸に流れ着いていると住民から海上保安庁に連絡があった。船体にはロシア語が書かれている。能登海上保安署では、ロシアで射撃訓練の際に「標的船」として使われる船に似ているという(4日付・朝日新聞ニュースWeb版)。では、ロシアは日本海でなぜ、どのような理由で射撃訓練をしたのか。これも不気味だ。

   このほかにも、先月だけでも輪島市、かほく市、珠洲市、志賀町の海岸に木造船や船の一部が相次いで漂着している。ハングルで数字や文字が書かれていて、北朝鮮の木造船の可能性があると報じられている。不審な人物や遺留品などはいまのところ見つかってはいない。

   能登半島の沖合には北朝鮮の木造船がよく流れて来る。大陸側に沿って南下するリマン海流が、朝鮮半島の沖で対馬海流と合流し日本の沿岸に流れてくる。ロシアや北朝鮮の沖合で難破した船や、海に廃棄された産業や生活ごみなどが漂着する。日本海に突き出た能登半島は近隣国の漂着ごみのたまり場の一つなのだ。

⇒4日(火)夜・金沢の天気     あめ

★著作権・商標問題 フランスの苛立ち

★著作権・商標問題 フランスの苛立ち

   紙面やネットでニュースをチェックしていて、おそらくフランス政府は相当に苛立っているのだろうと察した記事を2つ。「シャンパン」と言えば、フランスのシャンパーニュー地方で製造されたスパークリングワインを指すが、日本国内では発泡性ワインそのものを「シャンパン」と言ったりする。フランスではワインの法律(原産地呼称管理法)に規定された条件(生産地、ブドウ品種と栽培方法、伝統的な製造方法、アルコール度数など)、いわゆる「シャンパン製法」を満たして初めて「シャンパン」の商標が与えられる。

   ところが、ロシアではロシア産のスパークリングワインだけに「シャンパン」を名乗ること認める法律が発効し、騒動となっている。フランスのAFP通信(7月6日付・日本語版)によると、この新法は今月2日、プーチン大統領の署名で成立した。フランス産のボトルにフランス語で「シャンパン」と表記することは引き続き可能だが、ボトルの後ろにキリル文字(ロシア語文字)で「スパークリングワイン」と明記することが義務付けられた。

   新法により、フランスの高級ワイン大手「モエ・ヘネシー」はロシア市場への出荷を一時停止しているが、ドンペリニヨンなどの輸出を新法に従って再開すると発表している。また、シャンパン生産者らはロシアの法律の変更を求める外交的な働きかけをするよう嘆願書を政府に提出した。フランスは原産地名称の保護に関するリスボン協定に加盟しているが、ロシアは加盟していない(同)。

   フランスが苛立っているニュースをもう一つ。報道機関がコストをかけてニュースや情報を発掘する。ところが、「プラットフォーマー」であるIT大手はメディアのニュースを「ただ見せ」して広告ビジネスで稼いでいる。AFP通信(7月14日付・日本語)によると、フランスの競争評議会(公正取引委員会)は今月13日、EUの著作権規則に基づいたニュースコンテンツ使用料をめぐり、メディア企業との「誠実な交渉」を怠ったとして、アメリカのIT大手「グーグル」に5億ユーロ(650億円)の制裁金を科すと発表した。(※写真はフランス競争評議会の公式ホームページより)

   EUはデジタル化時代に対応するため、2019年4月に旧来の著作権ルールを見直し、著作権市場がより機能する公平なルールを整備する「著作権指令」を発効した。在日欧州連合代表部の公式ウエッブマガジンの解説によると、「Google、Yahoo!、AOLなどのオンラインサービスプロバイダーが新聞や雑誌の記事を使用する際、記事の発行元が報酬を受けられる新しい権利。例えば、『Googleニュース』で記事が使われた場合、発行元はその記事使用料を要求できる」としている。

   著作権指令に基づき、フランスの競争評議会は昨年4月、メディア各社がグーグルは十分な対価を支払わずに検索結果に記事や動画を表示していると批判したことを受け、グーグルに対しメディア側との「誠実な交渉」を命じた。しかし、同9月、AFP通信などメディア側が使用料支払いに向けた交渉の進展をグーグルが阻んでいるとして、競争評議会に苦情を申し立てていた。

   メディア側との「誠実な交渉」をなぜグーグルが阻んでいるのか。以下憶測だ。世界の検索の9割をグーグルが占め、膨大な検索データを広告ビジネスに活用している。問題となっているのは、検索で表示される記事の使用料についてだ。ニュースを検索すると、記事の断片が出てくる。グーグルはこの断片を「スニペット(snippet)」と称している。報道機関側はこのスニペットの段階ですでに著作使用料が発生しているとしている。

   これに対して、グーグルは「ニュース・ショーケース」のサービスをイギリスやフランスなどで始め、通常のグーグルニュースやネット検索とは別に、契約した報道メディアが提供する記事の見出しや概要を掲載している。グーグルの狙いは、このニュース・ショーケースでの契約料をもってすべての記事の著作使用権とみなしたいのだろう。なので、著作権指令に従う立場より、むしろ個別にメディア各社と契約を結びたいのではないだろうか。指令に従わないグーグルに対して、フランスの競争評議会は苛立ちを深めている。

⇒14日(水)夜・金沢の天気     はれ